天藤真のレビュー一覧
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映画化もされた誘拐コメディ(ミステリ?)。稚拙な誘拐グループが、誘拐した切れ者のおばあちゃんに振り回されて、逆に利用されてしまう。
映画は一部分しか見ていなかったのだが、その一部分そのままの文章で、シナリオと勘違いしたが、原作は1978年で映画は1991年。おばあちゃんはともかく、誘拐犯は原作のほうがどんくさくて泥臭い。風間トオルや無いわなあ。
そこそこ長い本だが、ストーリー展開が非常に巧みで、勢い良く読める。さらに全編を通してニヤっとする小ネタも多い。相続税などの税制や和歌山と奈良の間の曖昧な土地のリアリティ、若干荒いながらも警察やテレビ局というところも、かなり調べてから、それなりに噛み -
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膨大な紀州の山々を所有する日本有数の大富豪、柳川家の女主人は齢82歳にして未だ矍鑠たるとし子刀自。
身長140センチにも満たない可愛らしいおばあさんだが、所有する土地財産の目録はすべて頭に入り、一度会った人合った出来事は忘れず、常に公平で慈善事業を行い、彼女を知る人たちからは生神のように慕われている。
そんなとし子刀自を狙う仮面の三人の若者。刑務所で知り合った彼らは、出所後の再出発の為にとし子刀自を誘拐し手身代金を得よう、地道な努力を重ねていた。
山歩きのとし子刀自の前に飛び出す三人。
そこから日本のみならず世界の注目する大誘拐の数日間が幕を開ける。
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愉快痛快無心で楽しめるミステ -
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この本の根っこにあるのは、仁木悦子さんの『青じろい季節』というミステリーである。それ自体は個人的にあまりおもしろい話とは思わない。しかし、ちょい役で強烈な個性の少年が登場する。それはちょっと頭のいい脳性麻痺の少年である。他人とコミュニケーションをとるのも大変で、一人では殆どなにもできない。しかし、存在が非常に清清しく何となく気持ちがいい。
そして、その少年を気に入った天藤さんが仁木さんに許可をもらい、その清清しい脳性麻痺の少年を主人公にしたのがこの作品である。ひといきに、安楽椅子探偵もの・・・のくくりにはいれられない何かがある。
この作品の素晴らしさは、ともすればただの福祉奨励小説になりそ -
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万年リーグ最下位の弱小プロ野球球団『東京ヒーローズ』をリーグ優勝に導いた監督の桂が、日本シリーズを前にして東京タワーの展望台から突然姿を消してしまう。ベレー帽と髭だけを残して。監督自身にとっても、因縁の相手だった『大阪ダイヤ』との決戦を前にして、監督はどこに消えてしまったのか。翌日、ピッチングコーチの立花は、球団担当記者である矢田貝に秘密裡に監督を探して欲しい、と依頼する。失踪か誘拐か。日本シリーズははじまり、チームは代理監督を立てて臨むが――。
というのが本作の導入。短くきゅっと引き締まっていて、テンポよく物語は進み、心地良く読み終えることのできる物語です。モデルは巨人と阪神なのか、と