天藤真のレビュー一覧

  • 遠きに目ありて
    名探偵が身体障害者の少年であるという変り種の作品です。例え口があまり利けず、体の機能があまり動かなかったとしても、少年には鋭い洞察力がある。事件の話を聞きながら彼だからこそ気付いた素朴な疑惑にただただ感心するばかりでした。
  • 大誘拐
    第三十二回日本推理作家協会賞受賞作。

    映画の原作でもある。


    「身代金は百億円だ!!念を押すと1の後に0が十個つく。事件の進行はすべてテレビ中継し……」

    前代未聞の大事件はゆっくりと成功に向けて動き出すが……。
  • 遠きに目ありて
    この本の根っこにあるのは、仁木悦子さんの『青じろい季節』というミステリーである。それ自体は個人的にあまりおもしろい話とは思わない。しかし、ちょい役で強烈な個性の少年が登場する。それはちょっと頭のいい脳性麻痺の少年である。他人とコミュニケーションをとるのも大変で、一人では殆どなにもできない。しかし、存...続きを読む
  • 大誘拐
    富豪のおばあさんが誘拐された!犯人たちとの関係性、どこかユーモラスな雰囲気が好き。細かいトリックを読む気力が自分になかった。
  • 大誘拐
    あまりにも今の時代には即さないお話で、説明がまわり口説く飛ばして読んでしまったところもあったが、エンターテイメントとしては面白かった。

    映画やドラマとして楽しまれてきたのは非常によくわかる。今の時代に合わせて作っても面白いかもしれない。
  • 大誘拐

    昔なつかしい

    大昔、水の江瀧子主演のドラマをテレビでみたことがあり、懐かしさで購入したが、やっぱり無理がある展開、時代が良かったのか
  • 鈍い球音
    思っていたより遥かに面白い。
    分かりそうで分からない失踪事件の真相、そして日本シリーズの展開。登場人物も皆いきいきとしており、解説にある通り、皆人間らしい。
    ミステリとプロ野球を絡めた先が気になる展開と人間ドラマが非常によく噛み合っており、素直に面白い。これが「読者を引き込む吸引力」の為せる業なのだ...続きを読む
  • 大誘拐
    ユーモアがあって、ちょっとほろっともしたり、素敵なお話しでした。

    主人公は、大富豪柳川とし子刀自。
    刀自(とじ)って初めて聞いたけど、敬愛の気持ちを込めたおばあちゃんの呼び方だそうです。

    刀自 vs 虹の童子 vs 県警本部長
    とし子刀自の「猜疑心と虚栄心」が、真面目な人たちを煙に巻き、根は優し...続きを読む
  • 大誘拐
    爆問の太田さんがお薦めしていたので読んでみた。

    ネタバレになるかわからんけども、一応。
    刀自の気持ちがわかるなあ。
    国に取られるだけ取られて死んでゆくのには抗えるものなら抗ってみたい。
    何か生きた実感とか痕跡とか、そんなものも感じてみたい。
    でもそれが出来たのは、刀自の財産や知能や人望があってのこ...続きを読む
  • 大誘拐
    誘拐モノというと重く暗い作品を想像するが、この作品はユーモアがある展開で読者を楽しませてくれる。もちろん身代金受け渡し方法も読者の上を行くものであり、ラストもなかなか面白い。
    映画も見てみたい。
  • 大誘拐
    誘拐というシリアスなテーマでしたがキャラやセリフのどこか気の抜けている感がたまらなく心地よかったです。
  • 遠きに目ありて
    1976年頃の作品で、今風の書き方ではないけれど、こういう推理小説も楽しい。名探偵コナンみたい。機会を見て著者の他の作品を読みたくなった。特に映画化された大誘拐。
    探偵が警部の話を聞くだけで問題を解くから、読み手と探偵が同じ土俵に立てるところが安楽いす探偵の醍醐味です。
  • 遠きに目ありて
    いつも読んでる本より少し読みにくかったですが、 
    少年が少しずつ成長するところや、推理のどんでん返し安楽椅子探偵要素など楽しめる要素がたくさんあったのがよかったです。
  • 遠きに目ありて
    眞名部警部が心癒される場所は、ある少年(とその母親)の元だった。その少年は整った顔立ちをしており、明晰な頭脳を持っている。ただ、彼には行動の自由がない。なぜなら彼はからだに障害を持って生まれたからだ。
    障害を持った信一少年と、ひょんなことから知り合った眞名部警部。少年のリハビリにとはじめた事件の話だ...続きを読む
  • 殺しへの招待
    巻措く能わず、とはこのことなのかと今回実感した。
    全343ページを5日で消化したのは近来にないハイペースだったと思う。平均にして68~69ページを1時間で読むのだからやはり速い。島田荘司氏の『アトポス』は1日100ページぐらい読んだ記憶があるが、あれとクーンツ以外には思い当たらない。
    いや、しかし、...続きを読む
  • 背が高くて東大出
    今回の天藤作品も粒揃いの傑作ばかりで、嬉しくなる。
    今回は特に構成に凝った作品が多かったような印象が強いのだが、振り返ってみると実際に構成が凝っていたのは中編の「日曜日は殺しの日」と「死神はコーナーに待つ」のみだった。ということは如何に印象が強かったかという証左になるわけだ。特にこの2編は所謂倒叙物...続きを読む
  • 雲の中の証人
    本作は天藤版リーガル・ミステリ集とでも云おうか、9編中5編が法廷を舞台にしたミステリでそのどれもが傑作。
    設定から結末まで一貫してユニークな「公平について」はもとより、中篇の表題作の何とも云えない爽快感。天藤真氏はシンプルな題名によくダブル・ミーニングを持たせるが本作もそれ。それがさらに効果を上げて...続きを読む
  • 鈍い球音
    『遠きに目ありて』をきっかけに名作『大誘拐』と読み進んできた私の天藤作品体験にある意味、決定打を打ち込んだのは数年前に古本で購入した本書であったと今にして思う。
    前作『死の内幕』までの時には私の目に狂いがあったかとも思ったが、本書を久々に読んで、ああやはり間違ってはなかったと思いを新たにした。ここに...続きを読む
  • 大誘拐
    再読
    誘拐事件を題材にしていながら心温まる結末で終わる
    作者の代表作に相応しい一品
    ミステリとしては潜伏先にどうみても無理があるが
    山林地主という時代背景も印象深く手堅く面白い
  • 大誘拐
    和歌山の大地主の柳川家の当主のおばあちゃんを誘拐する3人組。ところが途中でその大ばあちゃんにそそのかされて3千万の身代金が100億円に!しかもその手口が3人からではなくおばあちゃんが計画して実行させるところなんぞ,普通では考えられない展開。最後に世話になった県警本部長とおばあちゃんはお話ししたけどま...続きを読む