天藤真の長篇ミステリ作品『大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉(英題:RAINBOW KIDS)』を読みました。
連城三紀彦の『小さな異邦人』を読んで、誘拐モノが読みたくなったんですよね。
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●倉知淳氏推薦――「身代金は100億(高)!! 面白さも額に見合
...続きを読むった大傑作!!」
【日本推理作家協会賞受賞】
刑務所の雑居房で知り合った戸並健次、秋葉正義、三宅平太の3人は、出所するや営利誘拐の下調べにかかる。
狙うは紀州随一の大富豪、柳川家の当主とし子刀自。身代金も桁違い、破格ずくめの斬新な展開が無上の爽快感を呼ぶ、捧腹絶倒の大誘拐劇。
天藤真がストーリーテラーの本領を十全に発揮し、映画化もされた第32回日本推理作家協会賞受賞作。
解説=吉野仁
*第1位「週刊文春」ミステリーベスト10/20世紀国内部門
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『東西ミステリーベスト100』の日本編で第7位ランクインしている作品… 1978年(昭和53年)に書き下ろしで刊行された作品です。
三度目の刑務所生活でスリ師戸並健次は思案に暮れた… しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない、、、
雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り… 片や標的に定められた紀州随一の超大富豪・柳川家の女主人とし子刀自、お手伝いの吉村紀美を連れて持山を歩く。
時は満ちて、絶好の誘拐日和到来… 誘拐に成功した三人組「虹の童子」が要求した身代金はなんと百億円! しかも犯人は、金と引換えの場面をテレビで中継せよと捜査陣を煙に巻く、、、
このウルトラ誘拐事件に一番あわてたのは、全国中継の番組は開局以来初めてというローカルテレビ局… 犯罪史上前代未聞のユニークさを誇るこの事件は、一歩一歩と成功へ近づいていくが……。
前代未聞の大事件はさてどんな結末に… 三人組と柳川としの熱い日々が始まる!
いやぁ! 面白かったー 評判通りでしたね… 斬新かつ奇抜でスケールの大きな事件、予想もつかない展開、存在感のあるキャラクター、洗練された文体とテンポの良い話運び、ユーモア精神あふれる雰囲気、そして意外な結末と真相、、、
ミステリとしての面白さが全て詰まっているだけでなく、エンターテイメント性のあるヒューマンドラマとしても秀逸な作品… そして、ホントの意味での悪人が登場しないという点も好感が持てましたね。
とし子刀自のような「獅子の風格と、狐の抜け目なさと、パンダの親しさ」を兼ね備えた人物に出会いってみたいなー 天藤真の作品、他にも読んでみたいのですが… なかなか古書店で扱ってないんですよねー