無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
映画化もされた誘拐コメディ(ミステリ?)。稚拙な誘拐グループが、誘拐した切れ者のおばあちゃんに振り回されて、逆に利用されてしまう。
映画は一部分しか見ていなかったのだが、その一部分そのままの文章で、シナリオと勘違いしたが、原作は1978年で映画は1991年。おばあちゃんはともかく、誘拐犯は原作のほうがどんくさくて泥臭い。風間トオルや無いわなあ。
そこそこ長い本だが、ストーリー展開が非常に巧みで、勢い良く読める。さらに全編を通してニヤっとする小ネタも多い。相続税などの税制や和歌山と奈良の間の曖昧な土地のリアリティ、若干荒いながらも警察やテレビ局というところも、かなり調べてから、それなりに噛み砕いて書かれていることは、文章を面白くしているし、非常に好感を持てる。
ただ読者が置いてけぼりになるかもしれないのは、やっぱりコテコテの関西弁でしょうなあ。関西出身のワタクシなどからすると、あたかも喋りを聞いているかのように読めるけれども、関西弁に抵抗の有る人には受け付けないだろう。そういう人は、ちょっとさわりだけでも、映画の方をご覧になればよろしい。あの声で再生されますよって。
ところどころの刀自(おばあちゃん)の語りはくどいけれども、なかなかの名作。井上ひさしの関西弁版といったところ。
Posted by ブクログ
誘拐モノの小説にはあるルールが存在する。
推理作家の西澤保彦氏いわく、万にひとつも模倣犯が現れぬよう、わざと犯行過程に実行不可能な手順を紛れ込ませておく、のだそうだ。
本作でいうならば、それは「100億円の身代金」「劇場型犯罪」「慈愛」である。
和歌山に山林を持つ、大地主の柳川とし子を誘拐した犯人グループは当初5000万円の身代金を用意させるつもりだった。だが、とし子に「自分はそんなに安くはない」と一喝され、家族に100億円を要求する。
まず、ありえない。
そして、警察の手による犯人確保の隙を作らせないため、
身代金受け渡し等の一部始終をテレビとラジオに生中継させる。
劇場型とよばれるメディアを使った犯罪…これもありえない。
そして「慈愛」。
人質からのアドバイスや巨額の身代金など、
映画化もされた本作はその奇想天外な部分がクローズアップされがち…だとは思うのだが、この作品の本質はこの「慈愛」にあると思う。
それは、とし子を助けようとする人々であったり、
とし子を尊敬する人々であったり、
犯人がとし子に持つ秘められた思いだ。
この「慈愛」だけは、どんな模倣犯も真似することはできない。
それがこの小説を読めば分かる。
ミステリー史にその名を刻む名作を読み終わったあと、
思ったのはそんなことでした。(泉)
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。