茶屋町勝呂のレビュー一覧
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大好きな本が、またひとつ増えました。
とても、よかった。
人は産まれて、生きて、死ぬんだっていう、当たり前だけど普段意識していないことを、改めて感じさせてくれるお話でした。
悲しかったり、苦しかったり、切なかったり、幸せだったり、甘かったり、懐かしかったり、とにかく色んな気持ちが湧き上がって、心がいっぱいになりました。感想として言いたいことがたくさんあるのに、ひとつとしてうまく言葉にできません。
小説だから当然作られたお話だし、感動させようとしてるだとか、こんなので泣くなんて安っぽいだとか、そんな風に思う人もいるのかもしれない。だけどわたしはこのお話に出会えてよかったと思います。たくさん -
Posted by ブクログ
(´・ω・`) ネタバレアリ〼
上下巻であることを知らずに、先に夏の子供を途中まで読んでしまいました。だからさちのちゃんが亡くなることも知っていたし、二人が晴れて結ばれる場面も読んでしまっていました。
だけどそれでも、とても心に響きました。魚住の置かれていた環境、マリやサリーム、濱田さんがどういった存在で、久留米がどれほど魚住のことを大切に思っているか。幸福をうまく感じられずに生きてきた魚住が、彼らと過ごす中でやっと人間らしくなっていく様子。
BLという、人によっては抵抗を感じてしまうジャンルで括られるのは、とてももったいないと思いました。ページを繰る手が止まらず、すごい早さで読み進めた -
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魚住真澄はいろいろあって味覚障害。しかし、大学時代の友人、久留米充の家に転がり込んでから、徐々に変化していって――。
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なんやかんやでBL商業小説を読むのは、ほとんど初めてじゃないかなあ。漫画のスピンオフとかは割と読んでるんですけどね。とにかく、繊細な描写やキャラクターの魅力、脇キャラたちのお話、いろいろ絡み合って綺麗な世界を覗きこめました。綺麗かどうかは主観になっちゃいますけど。
もちろん、魚住くんが儚げで不安定で面白い子なのも、久留米が大雑把で気にしない性格なのもいいんです。でも、わたしが一番「うわーこんな人いたら楽しい! 友達になってみたい!」と感じたのは、マリさんです!!
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Posted by ブクログ
ネタバレハードカバーの装丁がとても綺麗。
大雑把でヘビースモーカーな一社会人である久留米と、美しいけれど生活力ゼロな魚住の、スローテンポな愛のお話。
ふたりの他にも、近所に住むインド人留学生サリームや、魚住の友人で放浪癖のあるマリ、魚住の上司である微あて馬な濱田など、まるでこの日本のどこかで本当に呼吸をしていそうな生きた人物が存在する。
本が離せなくなってしまうような流麗でやさしい文章が脈々と流れている。最後のページまで言っても、まだまだずっとかれらの日常を覗きたいと思えるような、余韻に浸れる小説。とてもすてき。
哀しいほど暗い過去を持つ魚住と、それを無自覚ながら丸ごと受け入れてしまう久留米がすこし -
購入済み
殿堂入り〜(個人比)
前編読んでる時は正直スローな流れに間伸び感があったとゆーかドキドキするよーな派手な展開もなく、まあじっくり読ませる作品なんだろーとは思っていましたが、読み進めば進むほどに時には些細でさえある日常の出来事の積み重ねがいかに大事かを考えさせられました。トラウマから無自覚に愚鈍を装ってしまったが故に逆にシワ寄せで深く傷つき心身共に障害が起き久留米や友人の支えもありでも最後は自分の足でしっかり立って自分の生と向き合っていこうとする魚住に、何でしょうBLや恋愛云々よりむしろ生きていくことへのちょっとした指南書って印象が残りました。生きているってことはちょっとづつ死んでいるってこと、、うん、ですね。あとネ
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Posted by ブクログ
ネタバレ完読しました。
文庫全5巻が、ハードカバーで上下巻になってます。
喪失に重なる喪失で、自分を無意識に追い込んできた魚住と、
それを支えることもしない、出来ない久留米との不器用な恋。
魚住たちを取り巻く人物が本当に魅力的で、誰一人として
ご都合主義的役回りを演じない。
マリにサリーム、響子に濱田、其々が其々に沢山の物を抱え、悩み、
それでも誰に依存するでもなく淡々と物語が進む。
ストーリーの随所に泣きどころがあり、それは読む人間によって、
其々全く異なる場所であると思う。
本当に些細な一言で、ぼろりとくる。
御涙頂戴的展開なら、きっと上巻の『夏の塩』の方がぼろ泣きできると
思うが、私は幸福感が