辻早苗のレビュー一覧
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第二次大戦下、ナチスドイツの侵攻におびえるイギリスのお話。錠前破りのエリーは警察ではなく軍にとらえられ、軍の諜報作戦に協力を余儀なくされる。重要文書のためにとある屋敷に忍び込んだところそこには死体が・・・
最初反目しあっていたエリーと堅物将校のラムゼイ少佐がだんだんと心開いていくのが読んでいた楽しいですね。というかそここそが見どころというか。ナチスと通じているスパイは誰か?最初にみつけた死体は誰に殺されたのか?みたいなミステリっぽさはないでもないですが、べつにあんまり重要でもなさそうな。不可能犯罪とかそういうものでもないし、犯人特定のための手がかりがちりばめられ・・・とかでもないし。エンタメ感を強くしてる感じ。
エリーの母親の冤罪事件だとかフィリックスをふくむ三角関係的なものだとか、他にもまあいろいろ解決していない話もあっていかにもシリーズ続くんだよ的な終わりでした。 -
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なんとなく、昔読んだミス・メルヴィルの後悔とかいう作品を思い出しました。とは言え、ヒロインが罪は犯さないあたりが最近のコンプラなのかな?
子供の面倒は見てもらいたいけど親権は渡したくない、というなかなか複雑な心境のヒロイン。確かに私が身内でもお金にならない小説書いてるよりも、現金収入がある他の仕事をとりあえずしたら?と助言すると思う。
それにしてもバーの大学(院?)生は彼女の何が気に入ったんだろう?とりあえず個人的にロマンスは必要ないんじゃないかな~なんて思いながら読み終えました。
ベビーシッターが良い味出しているので、二人でいい感じにワルモノをやっつける…という展開の方が面白そうかなぁとは思いました。ま、でも一般人がギャング相手に器用に立ち回るのは無理ですよね。 -
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ネタバレFBI捜査官のヴィクターが取調室で対峙しているのは、マヤと自称する10代後半とおぼしい少女。ある事件の被害者である彼女は、実は共犯者なのではないかという疑いをかけられていた。やがてマヤが語りだしたのは、〈庭師〉と呼ばれる男が創りだした理想の庭に集められ、彼の手で背中に刺青を彫られ、名前を剥奪され尊厳を踏みにじられ、〈蝶〉にされた少女たちの物語だった。おぞましい〈男の夢〉と、拉致された少女同士の絆を描いたサスペンス。
耽美主義のシリアルキラーものとして読むと、〈ガーデン〉のアイデアやダミアン・ハーストじみた死体の保存法には既視感がよぎったが、マヤ=イナーラという独自の価値観を持つ語り手の設定は新鮮だった。彼女を中心に、気が強い粘土アーティストのブリス、マヤの前に少女たちのメンターを務めていたリオネットら、被害者少女たちの絶望とささやかな希望を描くシスターフッド小説としての面はすごくいい。ジーラの最後の一日が奇妙な幸福感に包まれる一連のくだりなど、涙ぐみもした。
〈庭師〉と二人の息子を通じて、女性を所有物扱いする男の典型例を見せているのも上手い。特に、父親を告発しない代わりに少女たちを攻撃もしないデズモンドを、諦めと共に受け入れていく〈蝶〉たちのやるせなさとか、どんな現実も自身の理想どおりに見ようとする〈庭師〉の認知の歪みなど、日常生活でも遭遇する種類のリアルなイヤさがある。〈庭師〉の紳士的な物腰は『侍女の物語』の司令官を思いださせる。自分が散々レイプした少女を息子に"相続"させることができて興奮する〈庭師〉のキモさにうっかり笑ってしまったが、当然笑う場面ではない。
だが、FBIの描写には違和感をおぼえた。容疑者に含まれているとはいえ、この境遇の女の子の話を聞くのに男二人でやるかなぁ。エディソンの直情的なキャラクターは読者がイナーラの供述に感じる苛立ちの受け皿として配置されているとはわかっても、最後まで好きになれなかった。ヴィクターもキャリアが30年もあるわりに尋問が上手いように思えない。彼らをもマッキントッシュ父子と同じくテンプレ的に描写することで、イナーラの口から個性豊かに語られる〈ガーデン〉や〈イヴニング・スター〉の女性たちと対比させる狙いなのかもしれないが。
深く傷つき、一度は社会との接続を絶たれた女性同士の新しい家族のあり方を書いたラストも良いことは良いのだが、なんとなく最後まで作者を信頼しきれない気持ちが残る。男性が読んでも気を悪くしないように、というところに特別心を配って書かれたシスターフッド小説という感じがするからだろうか。なんだか釈然としない。 -
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ネタバレ★3.5
眼鏡をかけたオールドミスなヒロインと放蕩者侯爵ヒーロー。
愛人と間違えてキスをしたヒロインに一目惚れしてしまうヒーロー。
本人は最後まで気付かなかったけどこれは絶対に一目惚れ。
最初から最後までメロメロなヒーロー。
勢いで体を重ねてしまい求婚をするヒーローだけど、ヒロインは妹のこともあり愛のない結婚はしないと断固拒否。
二人はヒーローの気持ちを友情と情熱だけだと思ってる。
周りはみんな気付いてるのにね。
ヒーロー家族のギスギスもヒロインのおかげですべてうまくいき本当のハッピーエンド。
微笑ましいカップルでした。
ヒロインの母親が毒母でつらく当たられるヒロインは見てて痛々しかったけど妹と父親がまともだったのが救い。 -
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FBIの取調べ室。特別捜査官のヴィクターが対峙する一人の女性。彼女の呼び名はマヤ。マヤは何年も拉致監禁され、救出された10名以上の女性の中の一人。
彼女たちは庭師と呼ばれる男によって拉致され、ガーデンと呼ばれる秘密の庭に「蝶」として監禁されていた。背中にそれぞれ蝶の翅のタトゥーをされて。
一体ガーデンで何が行われていたのか?一体何人の女性が拉致されていたのか?そして、そこから逃げのびることができた理由は?
全編ほぼ捜査官ヴィクターの取調べに答えるマヤの独白という形式で進む。
「美しい世界でどんなおぞましい地獄があったのか…」といった感じの宣伝文句が付けられてますが、最近のサイコパス系の犯罪のフィクションや、ノンフィクションに比べて、この小説が特におぞましいという事はない。
しかし、独白系の進行と、マヤのキャラクターが読者を惹き込む。また、最後に明かされる事実が、そうだったのか!とさせる佳作。 -
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『憂鬱なフィアンセ』―留学先からギリシャに帰国したフェーベは、ペトロニデス家の長男との婚約を解消しようと決心していた。本当は次男スピロスのほうを愛していたから。だが、親族が決めた婚約の破棄は許されない状況に陥る。婚約者の援助がなければ父の会社は倒産してしまう…。
『ローマの熱い風』―アリーは双子の妹を訪ねてローマに来たところ、緊急事態に直面した。妹は失恋が原因で自殺未遂を起こしていたのだ。失恋相手の親族ヴィットーリオは大富豪で、一族の平穏を守るためアリーに自分の恋人のふりをするよう命じる。彼女が双子の姉であるとも知らず。
『情熱の取り引き』―シドニーに住むリアは弟が作った借金の返済に頭を抱えていた。ある日、彼女の前に一人の男が現れる。スペインで半年間だけ熱い愛を交わしたアレハンドロだ。実業界の大物の彼は、リアの弟の借金を肩代わりする見返りに、またベッドをともにするよう要求した。
契約結婚もの。パターンはほぼ一緒。「憂鬱なフィアンセ」は「愛だけが見えなくて」のスピン。そっちよりも面白かったような。
「情熱の取り引き」にヒーローはいかにも愛を知らないと思っているヒーローだった。