奥村章子のレビュー一覧

  • マクマスターズ殺人者養成学校

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    殺人の技術を教える学校の学院長が自ら執筆したキャンパス紹介本、という体裁の本。
    作中、例として3人のキャンパスライフと卒業後の様子(標的の暗殺とその後)が紹介されている。
    卒業後の様子のパートは、殺人の準備計画段階やアリバイ工作のために巻き込まれてしまう一過性の一般人がたくさん登場するが、そういう端役の名前は覚えずストーリーを追うと読みやすい。
    ユーモア満載のミステリというほどではないが、書名やあらすじから受ける印象とは違い、シリアスな話ではない。
    結末もハッピーエンド気味だが、ラストのオチも効いていて、かなり面白く読めた。

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    2024年11月05日
  • マクマスターズ殺人者養成学校

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    すごく面白かった!学院生活は華やかかつ不穏でハラハラワクワクしたし、3名の生徒の卒業論文、その評価まで読んでいて楽しかった。

    クリフの卒業論文は肝が据わっていて最高。クリフとフィードラーの心理戦、「最後の賭け」が素晴らしい。ドリアも手際が良い。そしてジェマ!

    削除対象の人間性にまつわる描写も好き。小ネタが多く歴史的ゴシップとか著名人に詳しいともっと楽しめただろうと思うが、ノリと雰囲気で面白い。結構ボリュームがあって読むのに10日かかったけど、エンタメパワーと終盤のたたみ方が好みでテンション上がった。前半のアカデミックな部分と後半の卒論実行部分、どちらもとても良かった。

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    2024年08月26日
  • その部屋に、いる

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    映画を見てる感じがした。
    夫婦それぞれの目線で『泊まってはいけない部屋』で起きる災難。
    心理描写が怖かった。
    こんな部屋、泊まりたくない…

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    2023年09月17日
  • カルニヴィア1 禁忌

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    ネタバレ

    ネットで見かけて。

    ヴェネツィアが舞台というだけで、華やかな印象を受ける。
    強力な建築規制があり、許可を得るには強力なコネが必要だとか、
    憲兵隊はレストランで店主が代金を請求しないとか、
    マフィアのことは誰もしゃべらないとか、
    負の側面もちりばめられているが、その華やかさは失われない。

    それは、世界的な観光地が登場するからなのか、
    バスではなくヴァポレットに乗っているからなのか、
    カソリック教会の強大な力が見え隠れするからなのか。

    それだけではなく、
    ヴァーチャルなヴェネツィアである「カルニヴィア」や、
    オカルトのシンボルかと思われたクロアチアのタトゥー、
    人身売買にユーゴスラヴィアでの

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    2023年04月15日
  • 黄金の檻

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    ネタバレ

    エリカ&パトリックシリーズの作者だったので。

    面白いか、面白くないか、と言われれば、
    面白かった。

    若くして大富豪となった男の妻フェイが、
    浮気され娘も奪われて離婚される。
    そのあとの彼女のサクセス・ストーリーが上手くいきすぎとはいえ、
    リベンジがコンセプトというヘアケア製品と香水が売れる気がしないとはいえ、
    ちらりと見てしまった裏表紙の「復讐劇」の期待は裏切っていない。

    フェイの子供時代からの秘密も、
    殺人も犯罪行為も、
    夫の非道ぶりも、
    ラストに登場する人物も、
    ぶっ飛んでるとはいえ、読者としては「許せる」。

    悲しかったのは、
    フェイの長年の親友クリスが真実の愛を見つけながら、

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    2022年10月16日
  • 黄金の檻

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    エリカ&パトリックシリーズが好きで、発売を楽しみにしていた本。
    ドロドロした展開だがテンポが良くて夢中で読んだ。
    作者はエリカやフェイのような強く逞しい女性を描くのが上手で、読んでいて気持ちがいい。
    ドラマ化したら面白そう。

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    2021年07月10日
  • 私のイサベル

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     不在とは、存在を否定するものではない。血の繋がる親子であれば、なおのこと。互いがそこに不在であろうと、それぞれの心の中にそれぞれが常に存在を続ける。

     20年前、当時一歳の娘アリスが、ビーチで行方不明となった。母親のステラは、それからの人生を、娘から眼を話したことへの悔いと罪悪感を心に負って生きることになった。その時の夫とは離婚し、新しい夫との間に新しい息子を産み、育て、新しい別の人生を送っている。仕事は心理カウンセラー。ある日、イサベルと名乗る学生が彼女の勤務するクリニックを訪ねてきた。その瞬間に、ステラはイサベルが自分の娘アリスだと確信する。しかしイサベルには、ダーラナ地方に住むシャス

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    2019年04月13日
  • その部屋に、いる

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    夜通し読んでしまった
    話が進めば進むほどマークが壊れていくのが怖いし
    本人は自分はおかしくない寧ろおかしいのはステファニーの方だと思っているのが更に怖い

    読んでいるこっちは明らかにマークの方が異常行動を起こしているのを知っているから
    ステファニー、ヘイデン逃げて!ってなる

    パリから自宅へ何かを連れて帰り、今もまだ自体にいる・・?

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    2021年12月30日
  • 真紅のマエストラ

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    悪女もの、って言うんでしょうか。こういう小説は。
    已む無く人を殺めるとのシチュエーションって有るのでしょうが、後半は加速度的に殺していくので段々気持ち悪くなります。
    リアンやジュリアンを殺す必要は有ったのでしょうか。
    しかも結局主人公は捕まらず、そこそこ成功すらしています。
    『こんなに殺しているのに新聞に名前が載らない自分を不思議に思った。」と独白するシーンがありましたが、余りにも素直な感想で笑ってしまいました。
    そう、なんか主人公にカラッとした明るさが有るんです。だからラストシーンに爽やかささえ感じてしまう。不思議な人物造形です。
    「ゴーンガール」と比較されてるみたいですが、更に悪女で更にエ

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    2017年07月12日
  • 米中対決―見えない戦争―

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    米中二大国が対峙するというテーマを掘り下げた作品。トム・クランシーも米中開戦で予見したように対決は、中国からのバーチャル戦により経済及び社会(インフラ)に打撃があたえられるというシナリオに基づいている。本作では、単純なサイバー戦争ではなく市場や不動産売買などの調整の取れた作戦により経済に揺さぶりをかける様子が具に描かれ、特に中国の共産党一党支配の崩壊を怖れる権力者が内乱に神経をピリピリさせる様や外敵に国民の注意を向けさせる為に他国にちょっかいを出している様子がリアルである。こと米国との争いでは通常兵器での勝ち目のない中国が本書に書かれているような手段に訴える可能性が高いと思う。本書がエンターテ

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    2017年07月08日
  • カルニヴィア2 誘拐

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    ネタバレ

    カルニヴィアカルニヴィア禁忌1
    2014年1月19日に記事をアップしてた作品を含めて
    カルニヴィア3部作の2番目作品。2014年9月刊行。
    イタリア駐留米軍基地の建設現場で発見された人骨は
    第二次世界大戦終了間際、
    謎の失踪を遂げたパルチザンのものだった。
    同じころ、米軍少佐の娘が誘拐される事件が起こる。
    別々の事件と思われたが、実は背景が繋がりがあった。
    犯人は米軍基地反対派と思われていた。

    オバマ大統領がなくすと公言しながらも
    事実は決して無くなっていず、
    単に世界に散らばっているだけの収容所。
    米軍が作った残酷尋問方法と同じやり方でいたぶり
    その動画を拡散する。その意味は?

    第二次世

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    2016年10月18日
  • カルニヴィア3 密謀

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    面白かったですね… 壮大な謎… イタリアを舞台にしていますが、この列島に当てはめても良いような… 筋は面白いですが、その分、登場人物の描き方が足りないような… カテリーナとホリー女性主役の掘り下げが足りなかったような気もします、ダニエーレが主役なのかもしれませんね  今回はヴェネティアの闇のようなものが少なかったのも残念ですね 不満点も書きましたが、面白さは抜群です

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    2015年10月04日
  • カルニヴィア2 誘拐

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     『カルニヴィア』三部作の二作目。紛らわしいので、原題どおりの出版を望みたいのだが、何故か邦題では予定でしかない三部作を一作目から歌うから、大作の続きもののように勘違いしそうだ。でも一作一作は独立した長編小説であり、原題では数字も<カルニヴィア>という文字も振っていない。誤解されやすい翻訳はご遠慮願いたいものだが。ましてや、せっかくの見事な作品の出来栄えを見ると余計に老婆心が疼きそうだ。

     とは言え、物語は独立してはいるものの、主人公たち四人の男女関係は微妙に変化しているので、できれば順序よく読んでもらいたい。つまりどんなシリーズ小説だって同断。順序よく独立した物語を紡いでもらったほうが楽し

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    2014年11月06日
  • カルニヴィア1 禁忌

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    カルニヴィアとは小説の舞台であるヴェネツィアを忠実に再現したミラー・ワールドであり、あらゆる噂と情報が行き交う匿名性を保った3Dソーシャル・ネットワークだ。この仕掛けを行き来することで主人公たちは謎の手がかりを得たり、敵の手から逃れたりする。現実にもこんな空間があったら便利そうだなあ。今のところは、本書をミラー・ワールドとして意識することで現実の歪みや問題、または希望について気づくことでも十分、意義がありました。お話はミステリ、サスペンス、歴史、エロ、グロ、旅情、グルメ、スパイ、政治、軍事、警察他てんこ盛りなので様々な観点から楽しく読めますよ。

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    2014年04月16日
  • カルニヴィア1 禁忌

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    新聞の書評欄で見かけてから、読みたかった一冊。『ミレニアム』『ボーンアイディンティティー』シリーズ三部作と同様に、現実社会の事件、政治を丹念にリサーチし、1人はイタリアの女子憲兵、一人はイタリアに駐軍する幼少期をイタリアで育った女子少尉、そしてもう一人は、裕福な財閥に生まれながら、幼少期に誘拐事件に巻き込まれ耳と鼻を犯人に削がれるという大きなトラウマを持ちながら抜きん出た数学的才能で本物と寸分違わぬベネツィアという都市をネットの世界で構築し、誰もが仮面をかぶり決して履歴が表に出ない世界を構築した天才!。カトリックではあり得ない司祭の服を着て殺された女性の遺体を皮切りに、アンジェリーナジョリーが

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    2014年01月19日
  • カルニヴィア1 禁忌

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    「ヴェネチアを舞台にした壮大な三部作」というコピーにひかれ購入。

    イタリア憲兵隊の女性大尉と在イタリアの米陸軍少尉が活躍。組織のなかで女性が働くうえでの難しさや、カトリック教会の女性蔑視、ユーゴ内戦における集団レイプなど、様々な女性関連の社会的な課題が盛り込まれ、面白く読んだ。

    謎解きという意味では、勝手に解けていく部分があり、物足りない面はあるが、活劇的な面白さはある。

    「ミレニアム」を彷彿させるミステリー(まだそこまでには至っていないけど)。今後刊行予定の2作で、3人の関係の深化とイタリアが抱える社会的な問題についてのさらなる解説を期待したい。

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    2013年09月16日
  • 死への旅

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    ネタバレ

    アガサクリスティの推理小説をたくさん読んできたので、
    だんだん類型化して読むようになってきました。

    最初の見開きの人物紹介で、誰が死に、誰が犯人かを予測するようになりました。
    半分以上は当たりません。

    第1章を呼んだところで、次の予測をするようにしています。
    本書では、すぐにその予測も外れました。
    第2章で、予想外の方がなくなられたからです。

    主人公は、死なない。主人公だと思われる人は死んでしまう。
    結局、本筋の主人公は、人物紹介の下の方にある人になったところで、がっくりしました。

    このがっくり観を味わいたくて、アガサクリスティを読み続けています。
    本書も、第3章ま

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    2011年08月14日
  • もし今夜ぼくが死んだら、

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    推理小説として読むと星2だが、ヒューマンドラマとして読むなら星4くらい。
    SNS炎上で人生変わってしまった家族という、現代ではものすごく身近なテーマなので現実味があるのが良き。
    容疑者として疑われている少年がものすごく容疑者ムーブしていて「こいつがもう少し賢ければもっと早く解決したんじゃね?」とは思った。

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    2025年10月21日
  • 孔雀と雀 アラブに消えゆくスパイ

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    関西万博で中東に興味をもち、今までバーレーンがどこにあるかも知らないぐらいだったので読んでみようと思いました。

    反政府デモやスラム街の描写など、当時のリアルなバーレーン、そしてアラブの春のことを知ることができました。

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    2025年10月02日
  • 黄金の檻

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    フェイと言う女性の現在と過去を描きながら巧みに父親と元夫に復讐を果たすミステリー。
    最初の方は実の父親のDVや見栄っ張りで女好きの夫の態度に読むのが苦痛になる程だったが、フェイが追い出された後からの胸がすくような活躍がとても面白くて一気読み。女性を家政婦とみなす様な描写があり、先進国のスエーデンでもガラスの天井があるのかと驚いた。最後の締め方もとても気持ち良かった。

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    2025年08月24日