奥村章子のレビュー一覧
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すごく面白かった!学院生活は華やかかつ不穏でハラハラワクワクしたし、3名の生徒の卒業論文、その評価まで読んでいて楽しかった。
クリフの卒業論文は肝が据わっていて最高。クリフとフィードラーの心理戦、「最後の賭け」が素晴らしい。ドリアも手際が良い。そしてジェマ!
削除対象の人間性にまつわる描写も好き。小ネタが多く歴史的ゴシップとか著名人に詳しいともっと楽しめただろうと思うが、ノリと雰囲気で面白い。結構ボリュームがあって読むのに10日かかったけど、エンタメパワーと終盤のたたみ方が好みでテンション上がった。前半のアカデミックな部分と後半の卒論実行部分、どちらもとても良かった。 -
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ネタバレネットで見かけて。
ヴェネツィアが舞台というだけで、華やかな印象を受ける。
強力な建築規制があり、許可を得るには強力なコネが必要だとか、
憲兵隊はレストランで店主が代金を請求しないとか、
マフィアのことは誰もしゃべらないとか、
負の側面もちりばめられているが、その華やかさは失われない。
それは、世界的な観光地が登場するからなのか、
バスではなくヴァポレットに乗っているからなのか、
カソリック教会の強大な力が見え隠れするからなのか。
それだけではなく、
ヴァーチャルなヴェネツィアである「カルニヴィア」や、
オカルトのシンボルかと思われたクロアチアのタトゥー、
人身売買にユーゴスラヴィアでの虐殺、誘導砲弾による爆撃と
これでもかというぐらい詰め込まれている。
それでいて、
憲兵隊の大尉と米軍の少尉の女性二人と、
幼少期に誘拐事件に遭ったハッカーの活躍も光を放っている。
色とりどりに輝くきらめきの流れに溺れそうになりながら、
最大の証拠は人の中のDNAなのではと、
気が付いた自分をほめてあげたい。
要するに、面白かった。 -
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ネタバレエリカ&パトリックシリーズの作者だったので。
面白いか、面白くないか、と言われれば、
面白かった。
若くして大富豪となった男の妻フェイが、
浮気され娘も奪われて離婚される。
そのあとの彼女のサクセス・ストーリーが上手くいきすぎとはいえ、
リベンジがコンセプトというヘアケア製品と香水が売れる気がしないとはいえ、
ちらりと見てしまった裏表紙の「復讐劇」の期待は裏切っていない。
フェイの子供時代からの秘密も、
殺人も犯罪行為も、
夫の非道ぶりも、
ラストに登場する人物も、
ぶっ飛んでるとはいえ、読者としては「許せる」。
悲しかったのは、
フェイの長年の親友クリスが真実の愛を見つけながら、
癌で亡くなってしまったこと。
彼女にも幸せになってほしかった。
そのクリスが恋人に癌を告白し、
お返しにプロポーズされるところは、
数少ない、いや唯一の美しい場面だった。 -
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不在とは、存在を否定するものではない。血の繋がる親子であれば、なおのこと。互いがそこに不在であろうと、それぞれの心の中にそれぞれが常に存在を続ける。
20年前、当時一歳の娘アリスが、ビーチで行方不明となった。母親のステラは、それからの人生を、娘から眼を話したことへの悔いと罪悪感を心に負って生きることになった。その時の夫とは離婚し、新しい夫との間に新しい息子を産み、育て、新しい別の人生を送っている。仕事は心理カウンセラー。ある日、イサベルと名乗る学生が彼女の勤務するクリニックを訪ねてきた。その瞬間に、ステラはイサベルが自分の娘アリスだと確信する。しかしイサベルには、ダーラナ地方に住むシャスティンという母が存在する。
そのようなスタートと状況とで、この物語の核心部となる構造は示される。以後、ステラ、イサベル(アリス?)、シャスティンと三人の女性たちの一人称で、物語は語られ、進行してゆく。とりわけ、ステラの確信であるイサベルはアリスであるという構図は、周囲の誰にも認められず、ステラは暴走を始める。自分の心が砕け散り、行動すらが自分をよりネガティブな状況に追いやっていることも自覚できず、生活基盤のバランスは崩壊の一途を辿る。巻き込まれる夫、息子。元夫。患者たち。
20年前の警察官と過去のアリス事件の捜査。現在、患者からの訴訟に巻き込まれるステラ。そして各所に散りばめられた伏線の数々。徐々にシャスティンの描写も増えてゆく。イサベルの危うい青春と、奇妙な家庭環境、ステラとの不思議な出会い。それらが重層構造になって三人の物語は発火してゆく。そして思いもかけぬクライマックスへと疾走する。
まさに疾走。ラストシーンへと、怒涛のように雪崩込でゆく手に汗握る展開は、アンスリーパブルとしか言いようがない。読み終わるまで、眠れない。静の導入部から動の終幕へ。じっくりじわじわ迫る心理サスペンスから、スリルに満ちた後半部へ。
きめ細かく練られたストーリー。著者が初めて挑んだ小説作品。二年越しで書かれた作品は、35ヵ国語に翻訳されるという快挙を成し遂げたそうである。ぼくは日本小説より海外小説を手に取ることが多いのは、これがあるからである。サッカーで言えば、Jリーグはもちろん応援するチームを欠かさず観る。しかしワールドカップに出場する世界レベルの選手やその技を見たい。小説も同じである。世界レベルで売れる作品は、やはり素晴らしいものが多い。いや、それが当たり前というステージで勝負をしているのである。第二作執筆中というこの女流作家。女性ならではの母、娘の視点での作品を、今後も楽しみにしたい一人である。 -
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悪女もの、って言うんでしょうか。こういう小説は。
已む無く人を殺めるとのシチュエーションって有るのでしょうが、後半は加速度的に殺していくので段々気持ち悪くなります。
リアンやジュリアンを殺す必要は有ったのでしょうか。
しかも結局主人公は捕まらず、そこそこ成功すらしています。
『こんなに殺しているのに新聞に名前が載らない自分を不思議に思った。」と独白するシーンがありましたが、余りにも素直な感想で笑ってしまいました。
そう、なんか主人公にカラッとした明るさが有るんです。だからラストシーンに爽やかささえ感じてしまう。不思議な人物造形です。
「ゴーンガール」と比較されてるみたいですが、更に悪女で更にエロいです。映画化されるみたいですけど誰が演じるんでしょうね。楽しみです。 -
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米中二大国が対峙するというテーマを掘り下げた作品。トム・クランシーも米中開戦で予見したように対決は、中国からのバーチャル戦により経済及び社会(インフラ)に打撃があたえられるというシナリオに基づいている。本作では、単純なサイバー戦争ではなく市場や不動産売買などの調整の取れた作戦により経済に揺さぶりをかける様子が具に描かれ、特に中国の共産党一党支配の崩壊を怖れる権力者が内乱に神経をピリピリさせる様や外敵に国民の注意を向けさせる為に他国にちょっかいを出している様子がリアルである。こと米国との争いでは通常兵器での勝ち目のない中国が本書に書かれているような手段に訴える可能性が高いと思う。本書がエンターテイメントとして抜きん出たのが既存の応手では既に対抗する術がなく、型外れの方法で応戦するしかないと腹を括った点にある。やはり、中国のファイアウォールを壊す点が肝要か?
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ネタバレカルニヴィアカルニヴィア禁忌1
2014年1月19日に記事をアップしてた作品を含めて
カルニヴィア3部作の2番目作品。2014年9月刊行。
イタリア駐留米軍基地の建設現場で発見された人骨は
第二次世界大戦終了間際、
謎の失踪を遂げたパルチザンのものだった。
同じころ、米軍少佐の娘が誘拐される事件が起こる。
別々の事件と思われたが、実は背景が繋がりがあった。
犯人は米軍基地反対派と思われていた。
オバマ大統領がなくすと公言しながらも
事実は決して無くなっていず、
単に世界に散らばっているだけの収容所。
米軍が作った残酷尋問方法と同じやり方でいたぶり
その動画を拡散する。その意味は?
第二次世界大戦後のイタリアを共産主義が定着することを
嫌った米軍と時のカトリック教会の利害が一致し、
パルチザンに協力しながら最後で裏切った史実。
戦後強大な力を持った企業の成り立ちと米軍の秘密。
今回のこの作品も、事実を多く盛り込んで、
古い事件が、今の時代にもつながり、
気がつかないだけの其処にある絶望を浮かび上がらせている。
最後まで息もつかせず読ませてしまう筆力はさすが!
一気に読んでしまった一冊。
3部作目も楽しみ。 -
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『カルニヴィア』三部作の二作目。紛らわしいので、原題どおりの出版を望みたいのだが、何故か邦題では予定でしかない三部作を一作目から歌うから、大作の続きもののように勘違いしそうだ。でも一作一作は独立した長編小説であり、原題では数字も<カルニヴィア>という文字も振っていない。誤解されやすい翻訳はご遠慮願いたいものだが。ましてや、せっかくの見事な作品の出来栄えを見ると余計に老婆心が疼きそうだ。
とは言え、物語は独立してはいるものの、主人公たち四人の男女関係は微妙に変化しているので、できれば順序よく読んでもらいたい。つまりどんなシリーズ小説だって同断。順序よく独立した物語を紡いでもらったほうが楽しめるのは当たり前の話だ。
というわけで、二作目のラストで、ヒロインの一人憲兵隊大尉カテリーナが上司ピカーロと不倫の関係にピリオドを打つシーンが印象的であったが、その後の二人の距離感は本書ではさらに意味深なものとなる。捜査にまで影響を及ぼしそうになるのは、人間、男と女、そうした捜査官の属性として欠かせないものとしてストーリーのおかずにはなっても邪魔にはならぬだろう、といったところか。
一方、俄然進展を見せるのが、いわゆる引きこもりの典型であるダニエーレ・バルボに芽生える外界との交流の兆しである。とりわけ米軍少尉ホリーとの仲に注目である。なるほど物語のサブストーリーとしてはこちらも見逃せない楽しみであろうか。
さてメインのストーリー及び題材である。一作目はボスニア紛争とNATOの思惑といったところに国際政治の、今や昔懐かしい謀略、諜報戦といった大きなテーマを扱って世界に話題を読んだこのシリーズであるが、二作目の本書では、米軍のアフガニスタン侵攻に題材を取り、世界でも報道された米軍側の捕虜虐待の有名な映像をモチーフに、反米イタリア活動家によるネットでのアジテーション活動を狙った少女誘拐事件を扱っている。
ネットとはまさにダニエーレの創成した<カルニヴィア>というベネツィアそっくりの仮想都市であり、検閲不能な匿名メッセージを可能とする電子世界である。しかし誘拐は実際に起こり、その狙いは米軍基地反対活動家たちによる、米軍の拉致拷問批判の広報活動のようにも思える。しかし、国際謀略世界はそんな単純なものでは終わらない。裏には裏が。糸を引く者を操るさらに謀略家の気配。
前作に続いて仕組まれた事件であり仕組まれたシナリオであるその闇の奥に、四人のヒーロー&ヒロインたちは辿り着くことができるのか、といったところがこの大作の読みどころ、解きどころなのである。
今の時代に、あの時代を振り返る小説として貴重であり、最新現代史を読み解く歴史的事実を食材にした激辛グルメのようなこってり味のプロットである。消化しにくいほどの大量な具材は、紛れもなく北イタリアにかつて投下された爆薬たちの火薬の匂いに満ちており、危険である。驚愕の事実がたっぷり詰め込めれた歴史ミステリーとしても興味深い、大スケールの二作目に舌鼓を打った読者ならば、是非とも三作目の大団円を、共に期待してみようではないか。 -
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カルニヴィアとは小説の舞台であるヴェネツィアを忠実に再現したミラー・ワールドであり、あらゆる噂と情報が行き交う匿名性を保った3Dソーシャル・ネットワークだ。この仕掛けを行き来することで主人公たちは謎の手がかりを得たり、敵の手から逃れたりする。現実にもこんな空間があったら便利そうだなあ。今のところは、本書をミラー・ワールドとして意識することで現実の歪みや問題、または希望について気づくことでも十分、意義がありました。お話はミステリ、サスペンス、歴史、エロ、グロ、旅情、グルメ、スパイ、政治、軍事、警察他てんこ盛りなので様々な観点から楽しく読めますよ。
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新聞の書評欄で見かけてから、読みたかった一冊。『ミレニアム』『ボーンアイディンティティー』シリーズ三部作と同様に、現実社会の事件、政治を丹念にリサーチし、1人はイタリアの女子憲兵、一人はイタリアに駐軍する幼少期をイタリアで育った女子少尉、そしてもう一人は、裕福な財閥に生まれながら、幼少期に誘拐事件に巻き込まれ耳と鼻を犯人に削がれるという大きなトラウマを持ちながら抜きん出た数学的才能で本物と寸分違わぬベネツィアという都市をネットの世界で構築し、誰もが仮面をかぶり決して履歴が表に出ない世界を構築した天才!。カトリックではあり得ない司祭の服を着て殺された女性の遺体を皮切りに、アンジェリーナジョリーが最近映画化した、コソボ紛争の中で市民達、とりわけ女性達がどのように扱われていたか、そしてその戦争に巻き込んだ物は、民族闘争を隠れ蓑にしたある民間傭兵部隊(アメリカ)、NATO軍が関わった
非人道的な殺戮の歴史を闇に葬り去ろうとする団体との戦いになってゆく。作家ジョナサン.ホルトはこれが処女作!三部作の次回作が今から楽しみでたまらない! -
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「ヴェネチアを舞台にした壮大な三部作」というコピーにひかれ購入。
イタリア憲兵隊の女性大尉と在イタリアの米陸軍少尉が活躍。組織のなかで女性が働くうえでの難しさや、カトリック教会の女性蔑視、ユーゴ内戦における集団レイプなど、様々な女性関連の社会的な課題が盛り込まれ、面白く読んだ。
謎解きという意味では、勝手に解けていく部分があり、物足りない面はあるが、活劇的な面白さはある。
「ミレニアム」を彷彿させるミステリー(まだそこまでには至っていないけど)。今後刊行予定の2作で、3人の関係の深化とイタリアが抱える社会的な問題についてのさらなる解説を期待したい。 -
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ネタバレアガサクリスティの推理小説をたくさん読んできたので、
だんだん類型化して読むようになってきました。
最初の見開きの人物紹介で、誰が死に、誰が犯人かを予測するようになりました。
半分以上は当たりません。
第1章を呼んだところで、次の予測をするようにしています。
本書では、すぐにその予測も外れました。
第2章で、予想外の方がなくなられたからです。
主人公は、死なない。主人公だと思われる人は死んでしまう。
結局、本筋の主人公は、人物紹介の下の方にある人になったところで、がっくりしました。
このがっくり観を味わいたくて、アガサクリスティを読み続けています。
本書も、第3章までで、半分は満足しました。
最初の方に出てくるモロッコは行ったことがないので、ちょっとピンときていません。
モロッコを舞台にした映像作品を見てから、もう一度読み直そうと思いました。