奥村章子のレビュー一覧
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強盗に入られたトラウマから気分を変えようと、ハウススワップを試みた夫婦。パリのおしゃれな休暇を期待していたのに、紹介された建物はとんでもなく気味の悪い場所で。度重なる怪異と不幸。次第に高まる夫婦間の不和。じわじわじめじめ嫌~な感じのお屋敷ホラーです。
ただし。案外と早く例の場所から抜け出せたのが意外だと思ったのですが。ほっとしたのもつかの間……それだけじゃダメだったのか!!! 普通の(?)幽霊屋敷の方がましですね。そしてそもそもの原因となったものが何だったのかはっきりと明らかになっていないところも嫌さ倍増。ラストもまた嫌。これぞホラーです。 -
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イタリアが舞台の、読み応えある怒涛のミステリ。
三部作の一作目です☆
ヴェネツィアのとある教会前で、司祭の格好で倒れていたのは実は女性。
それはカトリックの教会では今もあり得ないことだった。
捜査に当たるのは、憲兵隊の大佐ピオーラと、女性の大尉カテリーナ。
イタリアの警察というのは複雑で、憲兵隊と別な組織が張り合っているんですね。
米軍基地に赴任したばかりのアメリカ女性のホリー少尉も、捜査に関わってきます。
イタリアの基地育ちのホリーは、故郷に帰ったかのようなくつろぎを感じていたのですが‥?
ヴェネツィアっ子のカテリーナはすごい美人で奔放だが、野心家で何より大事なのは仕事。
ホリーはもっと親しみやすそうな若い娘でおだやかな性格だけど、陸軍少尉ですから訓練で身につけた勇ましい所も。
この二人に加えて、異色な人物が加わります。
SNSで本物のヴェネツィアそっくりというカルニヴィアを作り上げた天才、ダニエーレ・バルボ。
彼は幼いときに誘拐されて犯人に鼻と耳をそがれ、トラウマで自閉症になっていた壮絶な過去がある。
豪華な古い館から出ることもなく過ごしていましたが‥
イタリアにある米軍基地がそれほど大きいとは知りませんでした。
ヴェネツィアというだけでも魅力がありますが、戦争犯罪、マフィア、米軍基地への反対運動、秘密組織の暗躍、カトリック内部や警察内部の葛藤、さらに男女の問題など、思わぬ要素がてんこ盛りで濃い!
「ミレニアム」と比較されてしまうと、う~ん、どうだろ‥ていう気にもなりますが。
読み応えは十分です! -
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ネタバレコンピュータの中の都市カルニヴィア
この3部作の最終章には
これまでの全ての謎の因果関係が露わになる。
これまでと同様、実際にあった数々の事件や政治的陰謀を
織り交ぜて、古都ヴェネツィアを中心に
二人の女性イタリア憲兵とイタリア駐軍米軍少尉が
天才的ソーシャルネットワークの開設者とともに
謎を解き多くの市民を救う。
今回も、実際にあった事件が盛り込まれ、
赤い旅団、フリーメーソン、CIA、極右集団
バチカン、それぞれが絡み合う展開。
極右にも極左にも資金を流用させていたのは?
その狙いは?
現代の大きな弱点、サイバーテロは
どんな方法で?
グイグイ引き込む展開は素晴らしくスリリングで
圧倒的! -
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ネタバレこの物語のベビーシッターのゾーイと『ゆりかごを揺らす手』のベビーシッターのペイトンのイメージが重なっちゃったまま読んでた。
なんで「ホンモノのベビーシッター」じゃないのに、それまでの経歴をうまくごまかせるんだろう。
それができるなら身分の保証なんてムリってことだよねー。
っていうのが、この小説とかゆりかごとかに抱きつづけてたギモン。
だけど、この小説ではそこの「ナゾ」もちゃんと解明されてた。
この物語を展開させていくのは女性3人の視点。
ひとりは、海軍のエリート軍人の後妻となったクローディア。
前妻とのあいだの双子の男の子の継母となりながら、じぶんも女の子がもうじき生まれる臨月。
ケッコンした家はお金持ちでものすごい豪邸。
仕事は福祉事務所のソーシャルワーカーで、出産後も仕事を辞める気はない。
もうひとりは、3人の子持ちになっても働きつづけるつもりのクローディアに雇われたベビーシッターのゾーイ。
ちゃんと過去のシッター歴の保証もあるし、すぐに双子の男の子を手懐けちゃったほどの腕前。
だけどいろいろ怪しくて、クローディアはゾーイにいろんな違和感をいだいていく。
もうひとりの視点は警察官のロレイン。
警察官の夫といっしょに、臨月の妊婦のお腹を切り裂いて胎児をとりだす妊婦惨殺事件を捜査してる。
ティーンズの娘がふたりいて、長女はカレシとケッコンするからと家出しちゃうし、次女もそんな姉を支持してて、「親子」関係の危機真っ最中。
ロレイン視点は三人称だけど、クローディアとゾーイは一人称で、この視点の切り替えにさいしょはちょっと戸惑ったりしてた。
読みにくいかんじがしたんだけど、でもストーリー的にはぐいぐい読めちゃって。
読んでると、いろんな伏線が散りばめられてるのに気づく。
どの伏線もなんとなく回収法が予測ついていくんだけど、ある伏線だけなかなかその回収の予測がたたないから、「あれはなにー?どんな意味ー?」っていう「ナゾ」がじぶんの中にはりつき続けてた。
結果的にこれが衝撃のラストに繋がる伏線だったねー。
だけど、いろいろ次々出てくる人たちが、いろいろ繋がってることが明らかになっていくから、読んでてラストの予測が混乱して、そのニンゲン関係をまとめようと働いてしまう。
わたしのあたまでは相関図が必要になったぐらい。
あきらかに『ゆりかごを揺らす手』みたいなラストだとおもってたのに、複雑なニンゲン関係がぜーんぶちゃんと繋がってることに気づいてくると、「警察官が犯人にたどり着く」行程がおもしろくなってくる。
ただ出産の予定がある女主人とベビーシッターのごたごたじゃなくて、警察が殺人事件の犯人を追いつめていくミステリ仕立て。
このおかげで、ベビーシッターのゾーイがクローディアに隠していたことが明らかになってくる。
最後まで読み終えると、この小説、あのラストの衝撃を読者にたのしませる工夫がうまくされてたねー、って感心しちゃう。
予測できる人もいるとおもうし、冷静にかんがえるとカンタンに予測できちゃうラストなんだけど。
途中にいろんな方向に話を膨らませていろんな伏線を散りばめていくせいで、冷静になる間もなく一気に読み進めちゃったわたしは、このラスト、「え!?」ってなった。
おもしろかった。
途中でいくつか抱いた違和感も、ちゃんとその解明のオチがつけられてたし。
でも。
ものすごい残忍な犯行を思いついたのに、その犯人の計画じたい、ものすごいムリがあるすぎる気がする。
被害者選びもぜんぜん慎重じゃないし。
肝心なとこが杜撰。
それがこの小説のちょっと残念なとこ。 -
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ヴェネチアをサイバー空間に再現したサイト、カルニヴィアと現実のヴェネチアを舞台に、天才ハッカー、女性警官、女性米軍士官の3人が国際的な陰謀に巻き込まれる。
こんな設定の3部作、カルニヴィアシリーズも本書で2作目。
何分、前作を読んだのが約1年前と言う事もあり、既にその内容はほぼ綺麗に忘れ去っておりますが、折角なので本書を読んでみました。
このシリーズ、カルニヴィアの絶対的ともいえる匿名性が世界各国の様々な立場の人間を引き寄せ、そしてヴェネチアを舞台とする陰謀が展開されるといった構図を持っているらしく、本作もその例外ではありません。
ストーリーは、米軍指揮官の娘の誘拐事件を中心に展開し、テロとの戦いの暗部、第2次世界大戦前後から続くヴァチカンとCIAとの関係等、過去と現在が入り乱れたスケールの大きな物となっています。
最後は、突拍子もないと思うと同時にあるいは有り得るのか?とも感じさせてくれる終わり方となっており、この点、(前作でも思いましたが)大いなるB級小説の面目躍如といった所でしょうか。
娯楽小説にガッツきたい感じの時にお勧めです。 -
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ネタバレ本書はベネチアを舞台に、ベネチア貴族の引きこもり天才ハッカーとアメリカ軍の新人女性士官、情熱的なイタリア人女性警官の1男2女が、国際的な謀略に巻き込まれていくミステリー小説です。
カトリックが禁忌とする女性司祭の死体発見から始まるストーリーは、コソボ紛争をめぐる謀略、戦争犯罪、天才ハッカーが作ったバーチャル・ベネチア・サイト、カルニヴィアへの攻撃といった様々な要素が織り込まれ、これにアクションシーンやら上司との不倫やらが彩りを添えていると言う、
「ネタになるもの、突っ込めるだけ突っ込みました」的な"てんこ盛り"ストーリーでした。
これは本業が広告会社のクリエイティブ・ディレクターである著者が「売れる小説とは何か?」と言う事を考えた結果なのでしょうか?
仮にそうであれば、二転三転するストーリーや誰が敵か味方か確信が抱けない様など、ストーリーがよく練られているにも関わらずどことなくチープな印象をぬぐえないのは、この所為なのかも知れません。
正にエンターテイメントを追求した大衆小説と言った所です。
とは言え、あまりに俗すぎてうんざりしてしまうのかと言えば差にあらず。
十分楽しめますので、”歯ごたえ”のある娯楽小説をお求めの際にはお勧めです。
ちなみに本書は著者のデビュー作にして「カルニヴィア」3部作の第一作目。
まだまだストーリーは続き、第一作目で出会った3人の関係が今後どうなるのか等、読者の想像力を刺激する終わり方をしています。
尚、後書きによれば、まだ原著の方ですら次巻が出版されていないとか。
次巻が読めるのはいつになるのでしょうか・・・ -
Posted by ブクログ
面白かった。一気に読めた。これは良シリーズの予感。個人的偏見だが、ポケミスってもっと個性的な作品が多くなかったかな? 普通に人気の出そうな三部作をポケミスから出すって違和感ありあり。…てなことも考えながらの読書でした。
『ミレニアム』+『ダ・ヴィンチ・コード』という単純な発想ではあるが、前者ほどヴァイオレンス色はなく、後者ほど宗教色も強くない。事実に基づく歴史的背景に支えられた、完成度の高いサスペンス。
この歴史的背景がかなり堪える。北欧の社会問題にも通ずるので、作中では幾度と目にしてきたつもりだが、やり方が卑劣で冷酷。何でもありの内戦のどさくさに乗じて、アイデンティティーの確立に躍起になる権力者たちの醜さが尾を引いて残る。ここの部分だけは何年経ってもどうやっても進歩しないよね。
「カルニヴィア」は斬新で興味深いアイテム。IT系をこうやって取り入れるのは面白い。手書きのメモを探す展開は古くなりそう。キャラクターは様子見かな。敵味方の判断は保留ってことで。基本サスペンスなのだが、重めの背景できちっと締めて、でもエンタメ性もあるからスピードに乗って一気に読ませる。全体のバランスがいいので細かいアラは気にならない。
“次作に続く!”のようなラストではないので、第二部の展開が全く予想できない。続編の刊行時期は不明だが、これは期待できるシリーズ。楽しみがひとつ増えてご機嫌な読後感でした。