くらもちふさこのレビュー一覧
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「考えたさ 三十秒も考えた」人気急上昇中の実力派アイドル二藤ようこと、その敏腕マネージャー不破類は、実は夫婦だった。はじめっからヒロインのカップルが結婚してるんじゃ、全然ドキドキしないじゃない!と憤る方もいるかもしれないが、実際には気持ちの揺れ動きやすれ違いの連続なので、そんなことは全くない。というのも、二人が夫婦なのは、不破類がスカウトした際に二藤ようこが出した条件が「自分と結婚すること」だったためだからだ。よってようこは夫婦となってからも、「不破は半分仕事のために結婚した」という疑念を捨てきれない。さらに、不破という男はこれ以上ないくらいにかっこいいプレイボーイなのだ。顔が整っているのはも
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Posted by ブクログ
これは、そうとうスゴい。
構成についてはあんまり詳しく書かないほうがいいと思うので、ここでは触れないけれど、こういう独創的な作品を作り出せるというのは、天才的な才能だと思う。
2つの巻は、「α」の次に「+α」という題名にはなっているけれど、実体は、「追加エピソード」のような補足的なものではなく、陰と陽のように表裏一体のもので、お互いが揃って初めて一つの完全な作品になるという、すごく芸術的な作りをしていた。とても好みの物語だ。
「そりゃあ確かに私は、おべっかしたり、心にもないこと言うし、体裁屋で。
・・・・・
『そんなことないよ』とか返してくれないですね、やっぱり。
いいですけど、べつに。」 -
Posted by ブクログ
巻が増すたびに新キャラが増え、
そのたびにキャラの視点が増えていきます。
話が進むにつれ、とある人物視点のとあるエピソードに
さまざまな人物の視点や心情が重ねられていって
人物と人物、出来事と出来事に繋がりが生まれて
エピソードにどんどん深みが増していきます。
その瞬間がなんとも快感で、「ここでこの人とこの出来事が繋がるのか!」と
バラバラだったたくさん点が一つの線で繋がれる気持ちよさがあります。
この漫画で描かれているのは、
実際でも起こり得そうなごくフツーの日常的な出来事です。
そんなフツーの出来事でも
自分だけじゃないさまざまな人たちの感情や生活が関わっている。
これは一人では決し -
Posted by ブクログ
すごく面白い。
推理小説のような本で、「さっきの伏線がここで活きてくるのか!」という仕掛けがたくさんあるものは読んでいてワクワクするけれど、この「駅から5分」は、それと似た驚きに満ちている。
一人称の視点からの語りを一次方程式の物語だとすると、この本は、とても多くの人物からの思考という変数が絡み合った多次元方程式の様相を見せていて、そういう、人の繋がりの不思議さを感じさせてくれる、見事な構成だと思う。
登場人物が増えてさらに複雑さを増した、巻末の人物相関図がスゴいことになってきた。月刊誌に連載しているからなのか、刊行ペースが遅くて、この3巻は一年以上ぶりに出た新刊。どこまでこの、花染町とい -
Posted by ブクログ
くらもちふさこの絵は、独特な品があっていい。絵柄は全然違うけれど、荒木飛呂彦のようなオーラを感じる。
各話が独立したオムニバス形式なのだけれど、それぞれの話しで完結していながら、お互いの話しが有機的に結合している。こういう構成は大好きだ。
舞台が学校ではなく、一つの小さな町全体というところが面白い。クラスや部活の中に閉じた世界ではないから、老若男女様々な種類の人が関わり合って、ドラマが生まれていく。この立体的なクロス・オーバーは、昔に見た「ツインピークス」を思い出す。
ある一つの場面に5人の人が居合わせたとすれば、そこには当然、5通りの物語がある。同じ出来事でも、誰の視点から見るかによって、