紺野登のレビュー一覧
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わたしが最初に読んだ野中郁次郎さんの本は、この本でした。
今でこそビジネスシーンでは誰でもが使う言葉「ナレマネ」や「見える化」は、日本企業文化の特徴である「暗黙知」を認知し、企業の価値として育み発展させていく知識経営を提唱した野中先生が始まりだったのではないでしょうか?
その企業の真の価値は既に現場で蓄積されている暗黙知によって支えられているという指摘は、目から鱗が落ちるどころか、頭をガツンと叩かれたような衝撃を与えるとともに、現場の価値を再認識して強みを活かす自信を与えてくれました。
以後、改めて『知識創造企業』を読んで詳細を学び、時を経て『野中郁次郎ナレッジ・フォーラム講義録』でリカレントしました。
言い方は変かもしれませんが、野中郁次郎は、わたしにとっては、常に憧れのブランドであり、迷ったら戻れば良いという基地のような存在でした。
ドラッカーよりも先に野中郁次郎を知ったわたしは、親鳥の後をついて歩く雛のようにしっかりと摺り込みされていました。
暗黙知の見える化を行うという客観的な視点と、自社内の価値を見直すという姿勢は、わたしを「学ぶ組織」や「場の理論」や「ポートフォリオ」、ドラッカーマネジメントやコトラーマーケティング、ひいてはMBAの世界やハーバードビジネスレビューに導きました。
本物と亜流を見極める目も野中経営学の衝撃が与えてくれたように思います。
お目にかかったことなどありませんが、密かに師と仰いでいた方でした。
言い古された言葉ですが、巨星堕つといった感慨です。
学びをいただいた感謝を 哀悼を込めて -
Posted by ブクログ
ネタバレでは3本目は「幸せな小国 オランダの智慧 災害にも負けないイノベーション社会」です。お前なんでオランダなんだよ~?と言われると思われますが、私はTPP推進派なのですが、日本の農業もたいせつ~と思っています。
そこで私の郷里の高知県では、天才・尾崎正直知事の下、オランダの農業振興策を参考にしているとのことで、是非実態を知りたかったのですが、なかなかピッタリの書籍を探せず、本書に出会ったという感じです。
まず著者は21世紀は「グローバル。ウィアーディング(Global Weirding)」の時代だと説きます。これは地震、津波、洪水、竜巻、豪雪などの自然災害を指すとのことです。
これらに対処するには「知的弾力性」が必要であると著書はいい、その典型がオランダ及びオランダ人だそうです。
なぜオランダは知的弾力性を持つようになったか?それは、度重なる洪水などの災害で「社会的思考(ソーシャル・シンキング)」を培ってきたというのだ。その結果、オランダ人の間には災害や危機に対する能力を解決する能力「ソーシャルキャピタル(社会的知的資本)」が蓄積されたのだ。
現在の社会においては、ソーシャルキャピタルが不確実性に対する社会の許容度や知的弾力性を高め、天災等による危機に対する復元力をもたらすからである。またソーシャルキャピタルは、イノベーションに欠かせない知の多様性(ダイバーシティ)という側面も持っている。
著者は指摘する。20世紀の工業国家の優等生だった日本は、21世紀の知的経済社会にうまく対応できてないと説く。それを克服するためには社会システムの変化を起こさないといけないそうだ。
一般的には災害の対策は、技術的問題あるいは「モノ」、「カネ」の問題に帰してしまいがちだが、肝心なのは危機や不確実性に対応する社会の知的弾力性、すなわち智慧なのだ。
オランダでは初夏にもなると、どこともなく人々が運河沿いのカフェに集まってビールを飲んだり、水辺で語り合う。これは「ヘゼリッヒハイト(gezelligheid)」というオランダ語で共生する、共に飲み食いするといったオランダ人の人生観・幸福感を反映したものである。
国土の4分の1が海水面以下というオランダは、何度も大洪水に見舞われてきた。1953年の大洪水の後、オランダは多数の堤防やダムを建設して「一万年に一度」の確率の洪水に備えられるようにした。
いまオランダから学べることは、「災害に強い知的国家」の本質とは何かである。その基本単位は、社会や過去の仕組みに単純に依存しない「個」とその相互の関係性、対話力ではないか?と筆者は説く。
ところで割り勘は英語で「Go Dutch」というが、協力的かつ個人的なオランダ人は単純に人数頭で割り勘しない。一人一人が飲んだ量に応じて割るのだ。
そんなオランダ人は3.11の時も大使館に「国外へ逃避したい」という自国民の声に反対して、東京在住のオランダ人に東京に滞在しても大丈夫だという判断を下している。
なぜなら、彼らには「知の弾力性」があったため、予め大掛かりなシュミレーションをしていたという。例えば大使が死んで、日本語ができるオランダ人スタッフが一人だけになったらどうするか、テーラーメイドの実験をやったそうだ。そして災害慣れしているオランダ大使は、OKの命を下したそうだ。
またオランダは1980年代に経済危機に陥ったが、見事オランダ人の智慧で解決している。即ち政・労・経お互い議論を行い、「同一労働・同一賃金」、「ワークシェアリング」、「ダイバーシティの導入」を行って、窮地から立ち直り経済繁栄をもたらし、国債はトリプル・エーの格付けを得た。
と本書の触りだけ紹介したが、とても複雑かつ有機的なので、私の筆ではこの程度でしか書けない。一言でいうと、オランダは「知の弾力性」による社会的知的資本を下に「知識経済とイノベーション」を標榜しているのだ。結果も出ており「購買力平価ベースの一人当たりのGDPランキング」では、毎年10位(日本は25位)を保っている。
私の知りたかったオランダ農業の事も一定量記載がある。関心のある方是非本書を取って欲しい。このブログは没論理的であるが、この書籍は一貫して論理的整合性が取れている。
と本書の触りだけ紹介したが、とても複雑かつ有機的なので、私の筆ではこの程度でしか書けない。一言でいうと、オランダは「知の弾力性」による社会的知的資本を下に「知識経済とイノベーション」を標榜しているのだ。結果も出ており「購買力平価ベースの一人当たりのGDPランキング」では、毎年10位(日本は25位)を保っている。
私の知りたかったオランダ農業の事も一定量記載がある。関心のある方是非本書を取って欲しい。このブログは没論理的であるが、この書籍は一貫して論理的整合性が取れている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレデザイン思考を日本の産業界に早くから紹介し、牽引役を果たしてきた多摩大大学院紺野登教授が、ビジネスパーソンの基礎リテラシーとしてデザイン思考の概念、活用方法を紹介している本。
デザインという言葉が日本では狭義に捉えられていることを憂い、実際にはよりダイナミックな「知のデザイン」が要請される時代である説く。
方法論の詳細にも字幅をさいているが、
・エスノグラフィーデザイン:顧客や社会の現場から知を獲得する、デザイン思考の起点となる方法論
・ビジネスモデルデザイン:コンセプトを顧客価値や市場のエコシステムとの関連性で綜合する方法論
・シナリオデザイン:どのような視点をもって戦略を考えるか、またはイノベーションを志向するかの指針を与える方法論
という三つのアプローチをどう統合的に使うのかという問いこそ、もっとも重要なメッセージであると感じた。
著者自身は、次のように語っている。
「これらが、今後の経営の知の方法論のすべてというわけではないが、フォーマルな分析的戦略に対しての、現場の生命感(エスノグラフィー)、従来の企業の枠組みにとらわれない関係性(ビジネスモデル)、一元的なマインドセットにとらわれない可能性(シナリオ)など、これからの経営にとって、有意義な視点を補完する役割を担っているのである。」 -
Posted by ブクログ
『SECIは単純な機会的プロセスではありません。知識創造という点で一番重要なことは、SECIの背後にある大きな目的意識、存在論だといえます。何のために存在するのか、いかにあるべきか、他社とは何が違うんだ、どんな理想状態をめざすのか。こういうところまでつながる存在論がないと知識の根本が崩れていってしまいます。
それは究極的には自己を越えた世界の“知”の追求です。その意味で知識というのは「真・善・美」を追求するものであります。』
ナレッジマネジメントについて極めてシンプルに整理されていて良かった。
それにしても、グローバル・ナレッジ・リーダーの資質がすごい。
1.確立された個(individuality)
2.マーケット・ビジョナリー(visionary)
3.意思決定力あるいは「意志力」(will)
4.価値創出力あるいは価値経済感覚(value)
5.場をデザインし駆動させるリーダーシップ(ba)
こんだけ兼ね備えていれば、そりゃ〜できるに決まってるわな。 -
Posted by ブクログ
タイトルを読んでドキッとしました。
正にその通りです。
売上を伸ばそうとして一番手っ取い手法である値下げを行う。
利益を出そうとして人件費や経費削減に走る。
これらは結局のところ極短期の結果しか残せません。
直近の成果を残すことばかり考えると、長期的に会社にとっては致命的な結果につながります。
価格を下げたことで利益が減る。質が落ちる。
人を減らしたことで質が下がり、客が逃げる。
優秀な経営者はこれらのことをわかっていますが、
世には経費削減の仕事こそ経営だと思っている経営者が山ほどいますね。
彼らはマイクロマネジメントこそマネジメントだと勘違いしています。
しかし彼らはあながち間違っていなかったのです。
少し前の世代は「利潤の最大化こそ企業の目的である」とし、「いかに競争優位を実現し、売り上げや利益、市場シェアを最大化しうるか」とされていました。
これらの言葉はマイケル・ポーターなどの有名なマネジメントグールーによって体系化されました。
そして管理経営こそ会社を繁栄に導くものとされていました。
現在はガラリと変わって、利潤の最大化という目的ではなく個人の目的を社会の目的を結びつけた考えが主流になりつつあります。
ドラッカーだけは早くから「社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすこと」が企業の目的だと喝破していました。根源的に哲学者であるドラッカーの面目躍如ですね。
本著では己の目的とは何かを熟考し、具体化することが共同体や社会に貢献するとします。
社会的な目的に目覚めることが幸福な人生につながる。
個人も会社も社会的な目的を掲げ、それを具体化することことで社会の発展に寄与する。
社会的活動をする会社は世間から支持され発展する、としています。
そのためには社会性のある目的を掲げることが大切とし、多くの成功した具体例を挙げて詳述しています。
なるほどと唸ることが多く、久しぶりに読み応えのある本に出会いました。
会社の社是社訓といえば空理空論を掲げただけの空虚なものが多いですね。
明確に目的やミッションを掲げていれば、組織員は自己実現を結び付けやすいです。
利益追求、売上追及ばかり言っている経営者には誰も付いていきません。
個人も会社も自己実現のためには明確な目的を持つことは大切ですね。 -
Posted by ブクログ
読み終わってオランダという国への興味が増した。
オランダの強み
社会インフラの充実
→個人主義と共同体意識の共存
知的弾力性
一度決まったことについて再度見直し、ダメな部分は改める
上記2点は、海抜が低く、昔から多くの洪水に見舞われる中で円熟してきたもの
すぐには無理だが、日本には必要な、かつて持っていたもので取り戻すべきもの(明治維新前後の日本にはあったと自分は考える)
また、経済危機を経て、導入した「同一労働同一賃金」という考え方のワークシェアリングは多少の問題はありながらも、閉塞感の強い日本にも導入すべきであるし、下らないシガラミを無視出来れば実現可能
最後に個人的にはトータルフットボールに見るオランダ人分析が一番面白かったという印象 -
Posted by ブクログ
掘り下げているのに、新書であるのでサクサク読めるそんな本。
最近読んだ新書の中では、一番な好印象。
時々出てくる他の専門家の発言や著作からの引用が、いやらしい感じがまったくなく、説得力を加えてくれている。
オランダと日本は異なるので、だからこそ学ぶべきところがあるのではという視点。(単純にマネしろなどとそこ浅はかなことを決して著者は論じていない。)
災害とイノベーションという一見関係性の薄い事柄を「知的弾力性」の視点を通じて見る。
オランダだって、問題は山積している。
それでも終わりなき対話に真摯に向かい合い、ちょっとずつでも個々人の幸福を追求できる社会。持続性をある社会。
日本の「男性的(性別により役割分担される)」で「寛容性が低い(多様性を認めない・受け入れにくい)」社会と対極に位置するオランダ社会を通じて、われわれ一人一人の変革の必要性について考えざるを得ない読後感となる。
ただ、失われた20年で、日本から「ソーシャルキャピタル」も失われたことになっていますが、これってそうでしたっけ。むしろ、ボランティアの精神なんかがその隙間を埋めるように浸透したように思います。。 -
Posted by ブクログ
すっかり経済の低成長が定着し新商品の上市のペースも鈍ったこと、あるいはリストラやアウト・ソーシングによって現場の実務知識が流出してしまったことなどを背景に、最近は日本でもソリューション・ビジネスやナレッジ・マネイジメントという言葉だけはかなり浸透した感がありますが、本書は、そのナレッジ・マネイジメント、そして知識経営がどのような思想のもとで、どのように推進されるべき概念のものか、実際にどのように活用されているか、などを概述しています。
前半は、観念哲学の概念論張りの説明で難しく感じるかもしれませんが、言語哲学のロゴス/パトスのような循環関係を持つSECIモデル、形式知/暗黙知をキータームを使っての説明は分かりやすく、知識経営とは何か、それを実践する為のプロセスや組織はどうあるべきか、などを全体的に見通すには最適の入門書です。 -
Posted by ブクログ
発売当初購入した本だったが、当時はさっぱりわからず。
今になってようやっと7割わかった。笑
SECIモデルという知識創造モデルの構成を、キーワードでメモしておく。
・共同化,暗黙知→暗黙知,経験の知,創発場,西田幾多郎的
・表出化,暗黙知→形式知,対話の知,対話場,プラトン的
・連結化,形式知→形式知,分析の知,体系場,デカルト的
・内面化,経験知→暗黙知,行動の知,実践場,デューイ的
共同→表出 (経験)のときに経験から仮説がぼんやりできて
表出→連結 (概念)のときに仮説がメタファーで表現されて
連結→内面 (模型)のときに★因果関係がモデル化されて
内面→共同 (実践)のときに観察が重要で。。。
この(実践)してはまり込む(経験)の状態のときに
自分の中になんかもやもやができる。
そこでアナロジー(ヒント,導火線)に出会って、
「そう!そういうことがいいたい!」という
ズバリのメタファーを見つけてやりたいことを人に話す。
そのとき、なんでそれが必要で、すごいか、
説得力を持たせて話すために、自分の中で対話がおこる。
他の人が「いいね!それやろうよ」となったら
模型を作りだす。(シミュレーションモデル,バージョン1,試供品)
おお、できた、さっそくそれ試そうよ、となって実験してみる。
そこでしっかり観察してデータを分析して
またもやもやができる。
そしてそのもやもやが。。。
というサイクル。(うずまきの絵がある)
今どの段階にあるのか、
どういうところを強調してリーダーシップとっているか、
何を得られる場を作っているか、
そんなことが分析できるのが、
SECIモデルだ、と解釈した。 -
Posted by ブクログ
1.好きなデザインだったので何も管変えずに購入しました。
2.構想力を社会の中で自分がどのような生き方をしていくのか、それに向けて得た発想をどのように筋道立てていくのかを言語化する能力だと言えます。本書では、構想力を定義したうえで、日本人に欠けている部分や、過去の偉人がどのように社会を改善してきたのかを述べています。難しいですが、知識創造と目的工学の視点からアプローチしています。
単語や文章が難しいですが、定義や偉人の偉業の部分だけでも読むことで十分元が取れる一冊です。
3.書き方が難しいので読むのに大変苦労しました。ただ、内容は発想力というだけではなく、その先を見通して筋道立てることが構想力なのだと思いました。
私が一番印象的だったのは、「若いころから組織運営を任され、リーダーとしてのあるべき姿とは何なのかを自問自答し続けて、自分なりの経営哲学を体得した人がどれだけいるだろうか?」の部分です。今は個人が目だ徹時代です。しかし、人と関わり合うことは生きている限り離すことができません。そのため、構想力は常に考えていかなければならないと思いました。