紺野登のレビュー一覧
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「知識経営」(ナレッジ・マネジメント)を、従来よりもいっそう包括的な視点から捉えなおそうとする本です。
90年代半ばから欧米で関心が高まった「知識経営」は、個人の知識や企業の知識資産を組織的に集結し、共有することで、効率を高めたり価値を生み出すこと、そして、そのための組織作りや技術の活用をおこなうことを意味します。しかし著者たちは、従来の知識経営が、私たちの「頭の中にある」知識よりも、データベースなどに蓄えられた情報が対象となっており、それを応用する「知識管理」の段階にとどまっていたと述べます。
知識経営は、知識ワーカーたちの組織的行為を通じて、単に知識を活用するだけでなく、新しい価値を創 -
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1999年当時の「ナレッジマネジメント」に関する著書である。
初版当時は、Lotus Notesが企業を席巻していかに会社の中にある「知」をソフト上に集積するかが重要なテーマだったように思う。一方、ナレッジマネジメントの動きに当時はデータの流量やそのもの量の保管に充分にインフラが充分なソリューションを提供でなかったことや、「暗黙知」の集積の先のその利用にまで手が回らなかった。
テキストマイニングやデータマイニングが充分に発達したのは21世紀にはいってからである。
本書は、その背景にあった理論の書である。理論はソリューションを伴って、始めて活きるということであろうか。 -
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3.11をきっかけに、インターネット、情報通信を用いたネットワークの力が発揮された。
おりしも、日本でも、働きかたや、コミュニケーションの仕方が急速に変わってきている。
オランダでは、いわゆるフューチャーセンターから、イノベーションが生まれており、我が国への示唆となっているという筆者からの紹介がなされている。
仕事=会社に来ること、つまりは、ネットワーク上で出来ることを、わざわざオフィスに集まって行っていたり、社員の仕事を定型化させる仕事をしているのであれば、投資効果が低いと主張される。
未来への集合知を生み出すのがフューチャーセンター。 -
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p.21 優良事例を分析して取り入れることによって成果を上げることに慣れてしまうと、自分で考え、挑戦、失敗する風土がなくなってしまう。
p.66, 84 個々人の持っている知識は個人が組織の中で認められるための財産なので、それを同僚と分かち合おうという呼び掛けには必ず心理的抵抗が生まれる。でも個人が抱え込んでいるのは知識資産を腐らせているようなものだし、こういう知識は組織の仕事を通じて得たものなので「公共財」としての性格ももっている。
共有しよう、という組織文化がないといけないが、これにはトップダウンの強力なイニシアチブが求められる。
p.89 古い組織に新しい技術を導入しても、複雑さを増す -
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ネタバレ1回生夏季休暇の課題図書として先生が複数の書籍を紹介した中から、タイトルに惹かれ選択。
近年叫ばれる「知識経営」についての著作。勉強している方にとっては当たり前のことばかり書かれているのかもしれませんが、読んだ当時の私にとっては学ぶことの多い本でした。この本で得た知識は、他の経済論やマーケティングの授業でも役に立っています。
「知識経営」と言われると何だか仰々しく聞こえますが、無形の知識を商品にする、あるいは知識を組み込んだ商品を提供することで収益を得る経済・企業の話(コンサルティング業など)で、これはまさに現在の経済の姿です。よって、是非知っておくべき内容です。
一番重要なのは、やはり