中谷美紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この間偶然見かけたテレビでの対談で、中谷美紀が「私には元々何もないからこそ、演じるのだと思う。伝えなくてはいけない言葉と感情を、私の身体を通して伝えているだけ」というような内容を言っていて、この人は、謙遜ではなく本気で自分は「何もない」と思っていそうだなと思った。
また、中谷美紀ではないけれど、違う女優さんが自分のことを表す言葉に「慎重で大胆、繊細で鈍感」を選んでいたように、彼女もまたひとつの言葉では表せない。
透明感のある演技の裏に、思わず電車の中で吹き出しそうになる文章を書く力もあり、素晴らしい集中力で役を引き寄せ、役に近付いたかと思えば、自信のことを「ひねまがった根性」の持ち主だという。
女優業のなんたるかが垣間見えるのはもちろんのこと、女優という人間の持つ業の深さもちらりと見え隠れする。魅力的でありながらどこか冷たく、感情に寄り添う側面と、それから容赦なく離れて行く側面もあり、女優というのは「なりたい」と思って努力してなるものではないのだなと痛感したりもする。
つい最近読んだ某モデルさんのエッセイと比べてしまってはあまりにあまりなのかもしれないけれど、文才というのもまた、「得よう!」と思って得られるものではないのかもしれない。
兎にも角にも、天から二物も三物も与えられてしまった彼女にの死角はどこなのか。考えても考えても思いつかない。おそるべし、中谷美紀。 -
Posted by ブクログ
拝啓、中谷美紀様、お元気でしょうか?
という気持ちで、中谷美紀さんのエッセイを読むときは話しかけるようになっていた。
前作のエッセイから時が進み、まさかの転居を検討する中谷一家のお話が書かれる。瑞々しい中谷さんの文体と言葉選びはいつも心にキレイな風が吹くようだ。悪戦苦闘するなかでも美学を忘れずにいてこちらも背筋を正したくなる。
年齢を重ね、どうしても万全の状態での演技をするために日々のケアが必要で、ありのままが描かれているからこそ身近に感じ、芸能人だって人間なんだと当たり前のことに気付かされる。しかし、このストイックにケアし続け自分と向き合い、仕事をし続けることができるのも一つの才能なので、結局背筋を正したくなるのだ。
中谷美紀様、健康に気をつけてお過ごし下さい。と、読み終えて思いを馳せた。 -
Posted by ブクログ
知的で真面目な印象のエッセイ集。
・自身のお仕事の話。真摯に、身を削って仕事をされている。
ベストコンディションで仕事をするために、身体の維持と健康に気を遣っている。
・ウィーンフィルに所属するヴィオラ奏者である夫を持ち、演奏会やクラシック音楽の話も多い。
・夫の娘さん、つまり義理の娘Jさんとの関係にも、悩みあり、進展あり。
世界を飛び回っているが、本拠地のお住まいはザルツブルクの郊外の山荘。
・ザルツブルクはモーツアルトで観光収入を得ているというのも初めて知った。観光用に馬車がたくさん走り、馬車渋滞、排泄物が・・・まるで19世紀以前のようで驚く。日本では観光用といえば主に人力車ですよね!
・いくつかの外国に住んで、お国柄の違いを肌で実感するだけでなく、国の状況もとてもよく勉強した上での比較も語られている。
外国の人と関わるにはやはり、その国についてかなり理解していないといけないのだろう。
ユダヤ人の友人をドイツ人の夫に紹介する際に、とても気を遣って、無事に引き合わせてことなきを得た後、三日間も寝込んでしまったとのこと。狭い日本の中だけで暮らしている私には考えられない苦労だ。
・自身も異邦人である。移民の問題は大きな心配事。極右の政党が移民排斥を掲げ、支持を得ている。確かに、秩序が乱れたり犯罪が増えたりしているけれど、そう極端でいいのだろうかと疑問を抱く(日本でもある問題)
ーー多様性を容認し、開かれた社会を作ることと、秩序を保つことに矛盾が生じている。(引用)ーー
・日本は規則を守る人が多いが他人に厳しく息苦しい、これは外国暮らしをした人の本を読むと必ず書かれているし、国内にいてもそう思う。
どの国も一長一短といったところ。
・ちょっと辛口な意見を述べている部分もある。
本のタイトルが『大草原の小さな農家』なので、移住先の外国で農業を営む話が一冊丸ごとだと思って読み始めたのだけれど、ここからだった。
古い農場を購入し、売主の描いた夢を引き継いで、自然と共に暮らす事を決め、また、あまり不自由ではないように現代的な設備も取り入れるべく、現在は絶賛改装中ということだ。
丸ごと農場暮らしの続編もあったらいいなと期待している。
最後は華やかなオペラ公演の話題で締めくくられていた。