菅浩江のレビュー一覧
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人が考えうる事は、いつか実現可能になるという意見があるが、何処からか宇宙に浮かぶ欠片を運んできて、人が住んだり何かの施設を作ったりという設定は、いろんなところで見かける。
本当に出来たなら、人はどんなものを創り出すだろう。
スミソニアンの宇宙版みたいな博物館惑星のようなものならば、是非とも見てみたいものだけど
前回から変わって、新人2人のお話が中心になるわけだけど、気になるのは健の叔父の存在
この叔父が、どんな人なのか、次のⅢの終盤まで、わからない。
この叔父の存在が物語のとてもいい刺激になっていると思う。
健は、AIに人の情動までも、判断できるように教育する役目を担っているのだけど、人の -
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2からSFマガジンで読んでいたが、1も1で面白い。こういう、進歩した世界における人の営みに重きをおいて書かれた作品はすごく好きだ。
1つ1つで起承転結がありつつも、全体として大きな物語を描き出すような形だともっと好みだが、本作は1編の完成度が高く、様々な趣向が凝らされているのでそうでなくとも面白い。後ろの3つは結構しっかり繋がりもあって良かった。
思わず唸るようなトリックがあるわけではないが、ミステリを書かれる作家ということもあって、推理小説風味の話の進行は興味深い。多岐に渡る題材からは、美術への深い造詣が伺える。専門用語が多く、想像力の及ばない箇所もままあるが、十分楽しめた。
キャラ -
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既知世界における「見物する」の目的語をジャンルをこえほぼすべて網羅する遠未来の博物館惑星を舞台に、学芸員・田代孝弘が出会う事件を描いた連作。
人に頼られたらむげにはできない優しく苦労性の主人公・孝弘のてんてこまいっぷりに笑ったり、「過渡期の技術」の一言で忘れ去られた往年の先輩に対し
「可哀想だって思うことと、哀れに思うことって、違うわよね」
と胸中を吐露するネネに切なくなったり、データベースと直接接続する学芸員の特権に酔い痴れて「反省?なんですかそれ?僕エリートだし」といわんばかりに幼稚なマシューに心底むかついたりと魅力的かつ個性的なキャラクターにはすんなり感情移入できる。
どこの職場 -
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人の心には花が咲く。傲慢さを、臆病さを、一途さを苗床に、牡丹が、百合が、曼珠沙華が咲く。それはけして枯れることのない、永遠の花。
永遠の花を求める「永久の姫君たち」と、人の心に咲く花を守る「花守」の物語。
角川文庫の解説で夢枕獏さんが書かれている通り、泉鏡花を思わせる妖しく美しい物語です。鏡花の文章は、夢と現実が曖昧で、ぐるぐると暗くて絢爛な世界に入り込む感覚がしますが、同じような感覚をおぼえます
。
全体的に、歌舞伎を引用した演出や、和装の描写がとても繊細で、そういったものに興味を持たれる方には是非ともおすすめです。
(あと個人的に夢枕獏さんの解説がとってもおすすめなので、是非とも角川文 -
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ネタバレSF。
看護用ロボット、ミキ(三番目の機械)の自分探し。
外科・小児・ホスピスと、ミキは体験していくにつれて自分とは何かを気にし始める。ロボットゆえに差別され、ロボットゆえに頼りにされて、でも……、ロボットであることを諦めてしまう自分に気がついて、何を諦めるのか自問自答するのだ。
ラストで、不覚にも涙ぐんでしまった。
「裸眼で見たかったの お父さんとお母さんの顔」
そこから、思い出の部分で。
なんで哀しいのか、説明できませんが。
哀しいのです。
自分が猿だと忘れさせられて、ロボットだと思い込んだジミーの哀れさも。
自分がロボットだと思い込まされて、それでもホスピス(終身医療 -
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ネタバレ好きな四字熟語は伏線回収。張り巡らされた伏線がするすると解かれて回収されていくのを読むときの快感は、なかなかほかにない。なによりも、それ伏線だったの?とこちらにも気づかないところにそっと仕掛けられたものがきれいに解かれたときの感覚は、なかなかほかでは得られない。
博物館惑星のシリーズ3作目にして、大団円、としか言えないほどのエンディング。
謎として残されていたものをきちんと解ききったうえで、1作目から出ていた人たちを漏らさず掬い上げて、登場させた。
それにふさわしい舞台は、どこから仕込まれていたんだろうか。
注意深く準備を整える詐欺師に騙されたくらいの気持ち。
こういう騙しは、いくらでも食ら