菅浩江のレビュー一覧

  • そばかすのフィギュア

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    綺麗で切ない系です。
    表大作もよかったけど、最初の雨の檻でぐっと引き込まれて、そのあとのどの話もよかった…

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    2025年03月16日
  • 永遠の森 博物館惑星

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    ほぼ現在と地続きなようで、少し遠いようで、脳内でネット検索ができるのは果たして便利なのかどうなのか。自分がそれをできるとしたらやるかなーどうかなーと思わず考えながら読んだ。内容はお仕事なストーリーで、ああ、近未来でもこういった面倒臭さは人と人が交わる限りなくならないのか…wと。主人公がそうなんだけど全体的にロマンチックですごく良かった。恋愛的などうこうではなく、その世界がロマンチック。

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    2024年09月28日
  • 永遠の森 博物館惑星

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    データベースコンピューターの名前がかっこいい。どの話も紆余曲折あるけど、登場人物たちがみんなあまり不幸せにはならないように終わってるところがいい。登場する様々な学問分野の話が物語の説得力とか奥行とかを増させてて、著者の頭の良さがうかがえる。ベストSFなのも納得

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    2021年08月22日
  • 不見【みず】の月 博物館惑星Ⅱ

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    人が考えうる事は、いつか実現可能になるという意見があるが、何処からか宇宙に浮かぶ欠片を運んできて、人が住んだり何かの施設を作ったりという設定は、いろんなところで見かける。
    本当に出来たなら、人はどんなものを創り出すだろう。
    スミソニアンの宇宙版みたいな博物館惑星のようなものならば、是非とも見てみたいものだけど

    前回から変わって、新人2人のお話が中心になるわけだけど、気になるのは健の叔父の存在
    この叔父が、どんな人なのか、次のⅢの終盤まで、わからない。
    この叔父の存在が物語のとてもいい刺激になっていると思う。

    健は、AIに人の情動までも、判断できるように教育する役目を担っているのだけど、人の

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    2021年04月26日
  • アイ・アム I am.

    購入済み

    豊かな小説

    薄い書物だけど、その中身はとても「豊か」である。最初のページから、読むのに息苦しく感じ最後まで苦しい。「薄い本でよかった」と思えるほどお腹いっぱい。
    少しずつわかってくる展開から「やっぱり、そうなのか」と予測させてくれる書き方。話しの終わった先はそれぞれの読者に任されている…看護知識を試験するシーンももとより、すべてに「ひきしまっている文章」再読必須です!

    #切ない

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    2021年08月08日
  • 永遠の森 博物館惑星

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     2からSFマガジンで読んでいたが、1も1で面白い。こういう、進歩した世界における人の営みに重きをおいて書かれた作品はすごく好きだ。
     1つ1つで起承転結がありつつも、全体として大きな物語を描き出すような形だともっと好みだが、本作は1編の完成度が高く、様々な趣向が凝らされているのでそうでなくとも面白い。後ろの3つは結構しっかり繋がりもあって良かった。
     思わず唸るようなトリックがあるわけではないが、ミステリを書かれる作家ということもあって、推理小説風味の話の進行は興味深い。多岐に渡る題材からは、美術への深い造詣が伺える。専門用語が多く、想像力の及ばない箇所もままあるが、十分楽しめた。
     キャラ

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    2020年10月11日
  • 永遠の森 博物館惑星

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    まず設定に引き込まれる。

    一編毎に程よい読後感がありながら、後半まとめ上げる感じが良かった。

    美とは何か。
    感情とは何か。
    人間とは…といつの間にか考えさせられる本。

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    2019年08月21日
  • 永遠の森 博物館惑星

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    既知世界における「見物する」の目的語をジャンルをこえほぼすべて網羅する遠未来の博物館惑星を舞台に、学芸員・田代孝弘が出会う事件を描いた連作。

    人に頼られたらむげにはできない優しく苦労性の主人公・孝弘のてんてこまいっぷりに笑ったり、「過渡期の技術」の一言で忘れ去られた往年の先輩に対し

    「可哀想だって思うことと、哀れに思うことって、違うわよね」

    と胸中を吐露するネネに切なくなったり、データベースと直接接続する学芸員の特権に酔い痴れて「反省?なんですかそれ?僕エリートだし」といわんばかりに幼稚なマシューに心底むかついたりと魅力的かつ個性的なキャラクターにはすんなり感情移入できる。

    どこの職場

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    2017年08月26日
  • 永遠の森 博物館惑星

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    先進的なSFのギミックを効かせ芸術に関するモチーフがたっぷり入った連作短編集。絵画・音楽・彫刻・舞踊だけでなく多くの芸術群が登場するが、それらを扱う学芸員は、あるいは人は、どう向き合うのかといった芸術論が展開する。将来ムネモシュネーのようなデータベースやインターフェースが生み出されるのだろうか。それを使える後世の人たちが羨ましい。
    素晴らしい作品ばかりだが中でも「きらきら星」が一番好きだなぁ。

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    2014年10月10日
  • そばかすのフィギュア

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    「カーマイン・レッド」のラストシーンの鮮烈な美しさが初めて読んだときから忘れられない。
    それからなんといっても「カトレアの真実」。
    切なく美しく謎解きの楽しさも物語としての重みもある。完璧。

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    2013年04月23日
  • 末枯れの花守り

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    人の心には花が咲く。傲慢さを、臆病さを、一途さを苗床に、牡丹が、百合が、曼珠沙華が咲く。それはけして枯れることのない、永遠の花。

    永遠の花を求める「永久の姫君たち」と、人の心に咲く花を守る「花守」の物語。

    角川文庫の解説で夢枕獏さんが書かれている通り、泉鏡花を思わせる妖しく美しい物語です。鏡花の文章は、夢と現実が曖昧で、ぐるぐると暗くて絢爛な世界に入り込む感覚がしますが、同じような感覚をおぼえます

    全体的に、歌舞伎を引用した演出や、和装の描写がとても繊細で、そういったものに興味を持たれる方には是非ともおすすめです。
    (あと個人的に夢枕獏さんの解説がとってもおすすめなので、是非とも角川文

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    2013年03月16日
  • 永遠の森 博物館惑星

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    舞台は地球衛星軌道上、世界のあらゆる「美」を蒐集する博物館惑星<アフロディーテ>で勤務する学芸員の日常がささやかな謎とともに描かれる。サイバーパンクなガジェットもそれで知性体とやりあうわけでもなく。SF版日常の謎とでも言おうか、あくまでも人と人や「美」とは何か、といった言ってしまえば地味なテーマが多いが、それをもって余りある美しさ、完成度。音楽を奏でる絵画、雪の中響き渡る篠笛、水の音色、そして弾けるピアノの音。どの篇も良いけど、「ラブ・ソング」のクライマックスほど美しいシーンは滅多にないだろうと思う。

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    2016年01月17日
  • そばかすのフィギュア

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    なんとキュートなタイトルでしょう!びっくり仰天のアイディアとか、面白いガジェットが飛び出すわけではありませんが、かえってそれが古さを感じさせません。SFの舞台装置を借りながら、人の内面をじっくり見つめたバリエーション豊かな作品集です。

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    2012年10月27日
  • ゆらぎの森のシエラ

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    ネタバレ

    はかなげな少女と異形の騎士
    ……という組み合わせがすでにツボでした。
    思ったよりもちょっとグロテスクというかバイオというかでしたが、おもしろかったです。
    弱々しそうなヒロインの二面性とか。
    映像化してもおもしろそう。

    最後の方にある、金目は幸せだった。というような一文がとても印象深い。
    個人的にはすこし切なかったけど、金目自身が幸せだったのならよかったと思う。

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    2012年06月27日
  • アイ・アム I am.

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    ネタバレ

    SF。
     看護用ロボット、ミキ(三番目の機械)の自分探し。
     外科・小児・ホスピスと、ミキは体験していくにつれて自分とは何かを気にし始める。ロボットゆえに差別され、ロボットゆえに頼りにされて、でも……、ロボットであることを諦めてしまう自分に気がついて、何を諦めるのか自問自答するのだ。

     ラストで、不覚にも涙ぐんでしまった。
    「裸眼で見たかったの  お父さんとお母さんの顔」
     そこから、思い出の部分で。
     なんで哀しいのか、説明できませんが。
     哀しいのです。
     自分が猿だと忘れさせられて、ロボットだと思い込んだジミーの哀れさも。
     自分がロボットだと思い込まされて、それでもホスピス(終身医療

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    2011年05月28日
  • そばかすのフィギュア

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    星雲賞を受賞した表題作「そばかすのフィギュア」、デビュー作「ブルーフライト」など、八篇の初期作品を集めた珠玉の短編集。

    もの悲しくも美しい物語をお楽しみください。

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    2011年01月05日
  • 五人姉妹

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    ズシリと来る読み応え。これが短編か? エスエフという括りがもどかしいほどに人間の内面をえぐる九つの掌編。
    短編の旨味を凝縮した表題作「五人姉妹」。迫り来る高齢化社会へのメッセージに満ちたヘビィな愛憎譚「賤の小田巻」。長距離恋愛と量子力学を絡めた「箱の中の猫」が特に良かった。
    巻末、加納朋子氏による登場人物の名前に対する考察も膝を打った。

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    2010年11月28日
  • 五人姉妹

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    SF短編集。

    菅さんの作品て、すごく落ち着いた感じがします。
    静かに語る感じ。
    淡々としてるのに、読後感がじわり。

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    2010年06月06日
  • 五人姉妹

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    もう絶対お勧めの一冊です。
    わたしが言いたいことすべてに加え、目から鱗の深い読み方をしていらっしゃる加納朋子さんの解説付。

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    2009年10月04日
  • 歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ

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    ネタバレ

    好きな四字熟語は伏線回収。張り巡らされた伏線がするすると解かれて回収されていくのを読むときの快感は、なかなかほかにない。なによりも、それ伏線だったの?とこちらにも気づかないところにそっと仕掛けられたものがきれいに解かれたときの感覚は、なかなかほかでは得られない。

    博物館惑星のシリーズ3作目にして、大団円、としか言えないほどのエンディング。
    謎として残されていたものをきちんと解ききったうえで、1作目から出ていた人たちを漏らさず掬い上げて、登場させた。
    それにふさわしい舞台は、どこから仕込まれていたんだろうか。
    注意深く準備を整える詐欺師に騙されたくらいの気持ち。
    こういう騙しは、いくらでも食ら

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    2025年05月25日