菅 浩江のレビュー一覧

  • 永遠の森 博物館惑星
    データベースコンピューターの名前がかっこいい。どの話も紆余曲折あるけど、登場人物たちがみんなあまり不幸せにはならないように終わってるところがいい。登場する様々な学問分野の話が物語の説得力とか奥行とかを増させてて、著者の頭の良さがうかがえる。ベストSFなのも納得
  • 不見【みず】の月 博物館惑星Ⅱ
    人が考えうる事は、いつか実現可能になるという意見があるが、何処からか宇宙に浮かぶ欠片を運んできて、人が住んだり何かの施設を作ったりという設定は、いろんなところで見かける。
    本当に出来たなら、人はどんなものを創り出すだろう。
    スミソニアンの宇宙版みたいな博物館惑星のようなものならば、是非とも見てみたい...続きを読む
  • アイ・アム I am.

    豊かな小説

    薄い書物だけど、その中身はとても「豊か」である。最初のページから、読むのに息苦しく感じ最後まで苦しい。「薄い本でよかった」と思えるほどお腹いっぱい。
    少しずつわかってくる展開から「やっぱり、そうなのか」と予測させてくれる書き方。話しの終わった先はそれぞれの読者に任されている…看護知識を試験するシー...続きを読む
  • 永遠の森 博物館惑星
     2からSFマガジンで読んでいたが、1も1で面白い。こういう、進歩した世界における人の営みに重きをおいて書かれた作品はすごく好きだ。
     1つ1つで起承転結がありつつも、全体として大きな物語を描き出すような形だともっと好みだが、本作は1編の完成度が高く、様々な趣向が凝らされているのでそうでなくとも面白...続きを読む
  • 永遠の森 博物館惑星
    まず設定に引き込まれる。

    一編毎に程よい読後感がありながら、後半まとめ上げる感じが良かった。

    美とは何か。
    感情とは何か。
    人間とは…といつの間にか考えさせられる本。
  • 永遠の森 博物館惑星
    既知世界における「見物する」の目的語をジャンルをこえほぼすべて網羅する遠未来の博物館惑星を舞台に、学芸員・田代孝弘が出会う事件を描いた連作。

    人に頼られたらむげにはできない優しく苦労性の主人公・孝弘のてんてこまいっぷりに笑ったり、「過渡期の技術」の一言で忘れ去られた往年の先輩に対し

    「可哀想だっ...続きを読む
  • 永遠の森 博物館惑星
    先進的なSFのギミックを効かせ芸術に関するモチーフがたっぷり入った連作短編集。絵画・音楽・彫刻・舞踊だけでなく多くの芸術群が登場するが、それらを扱う学芸員は、あるいは人は、どう向き合うのかといった芸術論が展開する。将来ムネモシュネーのようなデータベースやインターフェースが生み出されるのだろうか。それ...続きを読む
  • そばかすのフィギュア
    「カーマイン・レッド」のラストシーンの鮮烈な美しさが初めて読んだときから忘れられない。
    それからなんといっても「カトレアの真実」。
    切なく美しく謎解きの楽しさも物語としての重みもある。完璧。
  • 末枯れの花守り
    人の心には花が咲く。傲慢さを、臆病さを、一途さを苗床に、牡丹が、百合が、曼珠沙華が咲く。それはけして枯れることのない、永遠の花。

    永遠の花を求める「永久の姫君たち」と、人の心に咲く花を守る「花守」の物語。

    角川文庫の解説で夢枕獏さんが書かれている通り、泉鏡花を思わせる妖しく美しい物語です。鏡花の...続きを読む
  • 永遠の森 博物館惑星
    舞台は地球衛星軌道上、世界のあらゆる「美」を蒐集する博物館惑星<アフロディーテ>で勤務する学芸員の日常がささやかな謎とともに描かれる。サイバーパンクなガジェットもそれで知性体とやりあうわけでもなく。SF版日常の謎とでも言おうか、あくまでも人と人や「美」とは何か、といった言ってしまえば地味なテーマが多...続きを読む
  • そばかすのフィギュア
    なんとキュートなタイトルでしょう!びっくり仰天のアイディアとか、面白いガジェットが飛び出すわけではありませんが、かえってそれが古さを感じさせません。SFの舞台装置を借りながら、人の内面をじっくり見つめたバリエーション豊かな作品集です。
  • ゆらぎの森のシエラ
    はかなげな少女と異形の騎士
    ……という組み合わせがすでにツボでした。
    思ったよりもちょっとグロテスクというかバイオというかでしたが、おもしろかったです。
    弱々しそうなヒロインの二面性とか。
    映像化してもおもしろそう。

    最後の方にある、金目は幸せだった。というような一文がとても印象深い。
    個人的には...続きを読む
  • アイ・アム I am.
    SF。
     看護用ロボット、ミキ(三番目の機械)の自分探し。
     外科・小児・ホスピスと、ミキは体験していくにつれて自分とは何かを気にし始める。ロボットゆえに差別され、ロボットゆえに頼りにされて、でも……、ロボットであることを諦めてしまう自分に気がついて、何を諦めるのか自問自答するのだ。

     ラストで、...続きを読む
  • そばかすのフィギュア
    星雲賞を受賞した表題作「そばかすのフィギュア」、デビュー作「ブルーフライト」など、八篇の初期作品を集めた珠玉の短編集。

    もの悲しくも美しい物語をお楽しみください。
  • 五人姉妹
    ズシリと来る読み応え。これが短編か? エスエフという括りがもどかしいほどに人間の内面をえぐる九つの掌編。
    短編の旨味を凝縮した表題作「五人姉妹」。迫り来る高齢化社会へのメッセージに満ちたヘビィな愛憎譚「賤の小田巻」。長距離恋愛と量子力学を絡めた「箱の中の猫」が特に良かった。
    巻末、加納朋子氏による登...続きを読む
  • 五人姉妹
    SF短編集。

    菅さんの作品て、すごく落ち着いた感じがします。
    静かに語る感じ。
    淡々としてるのに、読後感がじわり。
  • 五人姉妹
    もう絶対お勧めの一冊です。
    わたしが言いたいことすべてに加え、目から鱗の深い読み方をしていらっしゃる加納朋子さんの解説付。
  • 歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ
    博物館惑星のシリーズは、一作目を学生時代に読んでからずっと続刊を楽しみにしています。前作は主人公が変わったことで、ちょっとした寂しさを感じましたが、健と尚美のコンビは見ていて微笑ましく、すぐに好きになれました。今作は主人公が継続ということで、安心して?読み始めることができました。
    感想は、求めていた...続きを読む
  • 永遠の森 博物館惑星
    連作集。ネット上にあふれるさかしらな言説を振りかざす方達も、もともとはその対象に純粋な気持ちで関心を持ったはず。学ぶことは大切だし、データベースを充実させていくことも大事だけれども、それらはなんのためのものなのかを忘れてはいけないと感じさせられました。
  • 永遠の森 博物館惑星
    終始きれいな穏やかな物語だった!

    SFだと聞いて読み進め、あれ?ミステリ要素強め??とちょっと戸惑いました。
    切羽詰まった感じはなく、日常系のような優しい物語が続きます。

    美しい風景がほわ~んと頭に浮かんでくる素敵な小説です。

    感嘆詞として形容詞を使っちゃう美和子さん、わたしも同じタイプなので...続きを読む