菅浩江のレビュー一覧
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SFで学芸員が主人公の話って、基本的に私好みではあるのですが、軽いノリのこじゃれたおはなしに仕上がっております。未来の学芸員は脳が直接コンピュータと繋がっており、データベースを自在に操るのである。
それでいて主人公は絵画、音楽、自然という分野の調整役で現代のサラリーマン同様、各セクションの好き勝手な要望のとりまとめに日々頭を悩ませているのである。この設定は面白いのだが、舞台が地球と月のラグランジュ・ポイントに設定された美術館星という設定が話を軽くしているのである。
できればルーブル美術館のあとに建った美術館というような地に足がついた設定にしていただけるともう少し重厚感もでた話になったのではない -
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目が覚めると、目の前には江成一信院長と、江成瑞枝総看護士長がいた。ここは病院で、自分が介護をするためのロボットであることを知る。「ミキ」と名付けられ、病棟で様々な患者と接することになるが、次第にミキは自分の中の不思議な感覚が気になってくる。これは記憶?”私”は一体何だったのだろう?ただのロボットではないのだろうか?
オチはまぁ、それしかないだろうな~という感じだったので特に驚きもなく。ここまでの技術は今の世の中でも発展していないけれど、介護の世界にロボットが進出してくることは間違いないのではないのだろうか。ミキのように人間と同じく反応してくれる方がいいのか、もっとあえて機械的な方が介護を -
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ネタバレバイオ企業を率いる父によって、成長型の人工臓器を埋め込まれた葉那子には、臓器スペアとして4体のクローンが用意されていた。やがて無事に成長した彼女は、亡き父の想いをもとめ“姉妹”との面会を果たすが…クローン姉妹の複雑な心模様をつづる表題作、『永遠の森博物館惑星』の後日譚「お代は見てのお帰り」など、先端科学が生みだす心の揺れを描いた9篇。“やさしさ”と“せつなさ”の名手による珠玉の作品集。
SFのジャンルになるのかな。近未来の世界を描いた短編集でした。優しい物語もあれば、ちょっと切ない物語もありましたが、どれも鮮やかに情景が浮かんできてキレイな1冊でした。私が気に入ったのは「夜を駆けるドギー」 -
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SFファンタジー。
もとは人間だったにもかかわらず、ある人物から化け物につくり変えられ、その手先として利用されていた男。理性を取り戻し、己を血に飢えた化け物へと変えた相手への復讐を誓った彼は、その旅の途中、森の奥でひとりの少女と出会う。
森にひっそりと住む、変わり者の少女。げてものを食べ、おかしな奇行に走るせいで、村の人々から頭が足りないのだと思われていた彼女は、男に出会ったことをきっかけに、急激な成長をはじめる。男とゆく旅路の中で、少女はやがて己に課せられた運命を知り……
失礼ながら、ものすごーーく「もったいない!」というのがいちばんの感想でした。SFファンタジーの大作になりそうな -
Posted by ブクログ
著者の短編集『雨の檻』に1作加わり8編となった初期短編集。
「雨の檻」・・・細菌に勝てない体を持ち世代宇宙船で生まれたシノは、ずっと無菌室に閉じこめられたまま感情型ロボットのフィーと過ごす日々を送っていた。その生活は単調で、両親とも直接ではなく立体映像を通してしか会話もできず、さらに数少ない変化を見せてくれていた映像窓も何年も前から雨しか映さなくなっていた。
そんなある時、立体映像で会話していたパパの画像が突然乱れる・・・、そしてその日を境に宇宙船、フィー、制御を司る中枢とシノを取り巻く環境に狂いが生じはじめ・・・
「セピアの迷彩」・・・智子は恋人ネッドを交通事故で失った、しかし彼はクロー -