井上一夫のレビュー一覧
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007映画は全部観ているはずだし、サントラのCDも持っていました(見つからないので何度かの引っ越しで処分したのかもしれない(-_-;) 『死ぬのは奴らだ』映画音楽はポール・マッカートニー。
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ジェームズ・ボンドは007のコードネームを持つ英国の諜報員。00の番号持ちは任務のための殺人も許可されている。ジェームス・ボンドはアメリカとの合同作戦でNYに招待された。前作『カジノ・ロワイヤル』でも一緒に仕事をしたフェリックス・ライターが本作でもコンビ相手になります。
時代が第二次世界大戦終戦からまだ日が経っていないので、街には「爆撃があったらどこどこへ」という看板が残っているなどの戦争の名残もあるが、ボンドは「黒人女がタクシーの運転手になっているぞ!?」ということに驚いたりする。イギリス人ボンドにとってアメリカのNYは進んだ自由の国なのだ。
さて、今度のボンドの任務は、前作でボンドとの因縁が始まったソ連スパイ団スメルシュの一員である黒人”ミスター・ビッグ”の資金源を突き止め潰すこと。ミスター・ビッグはNYのハーレムからアメリカ中の黒人に君臨している。彼はブードゥー教の神の生霊だと思われ、畏れられている。
このミスター・ビッグの支配方法というのが、「自分は神の写し身だから、全部お見通しだし、裏切ると酷い死に方をするし、死ぬことはない(生霊ですでに死んでいる身だから死なない)」と信じさせていること。そして敵や裏切り者に対する現実的な暴力も行うので、精神的にも現実的にも誰も逆らえないというもの。ミスター・ビッグがオソロシイ奴なので暴力的な描写は読んでいても痛い(-_-;)
まあいろいろ痛いことや危ないことを切り抜けて突き止めたことによると、ミスター・ビッグは伝説の海賊“血まみれモーガン”(実在の海賊)が隠した金貨を持ち込み資金源としていたのだ。
そして「ボンドガール」といえば映画では一作限りのヒロインだが、今回その原点のような女性が出てきた!彼女はタヒチ出身のフランス系のソリテア。貧困からクラブで働き、霊感があるということでミスター・ビッグの目に止まり、妻にするという立場で閉じ込められた生活をしていた。
ソリテアはミスター・ビッグの元から逃れるためにボンドに協力する。ボンドは彼女を逃がすためにフロリダに向かうが、ソリテアはミスター・ビッグに連れ去られてしまう。
ボンドは血まみれモーガンの各資金貨があるといわれるカリブ海のジャマイカへ向かう。ブードゥー教の太鼓が響き渡り(この太鼓にも意味と仕掛けがあることがわかる)、侵入しようとした者たちは鮫に食い荒らされた遺体で見つかるこの島で、ボンドとミスター・ビッグの最後の対決が始まる。
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映画の印象で007は軽妙なものかと思っていたのですがピンチが本当にピンチだし、今回の相手は呪いとか海の獰猛な魚たちなので痛そう描写が本当に痛そう…(-_-;)
しかしボンドもあっさり捕まったり痛い目に合わされたりして「自分からそれを言ってどうするんだ!」「逃げてるんだから顔くらい隠そうよ!」とは言いたい…(^_^;)
ボンドガールのソリティアは、自力で逃げようとするし、ボンドとも命がけの逃亡のあとの恋愛を楽しむ☆というのに良い相手でした。このあと独立しただろうから一作限りヒロインでも納得。 -
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『キングの身代金 87分署シリーズ(原題:King's Ransom)』を読みました。
『死が二人を 87分署シリーズ』に続き、エド・マクベインの作品です。
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グレンジャー製靴会社の重役キングは、事業の不振を利用して会社の乗っ取りを画策していた。
必死に金を都合し、長年の夢が実現しかけたその時、降って湧いたような幼児誘拐事件が起こった!
しかも、誘拐されたのはキングの息子ではなく、犯人は誤って彼の運転手の息子を連れ去ったのだ。
身代金の要求は五十万ドル。
キングは逡巡した。
長年の夢か、貴重な子供の生命か……誘拐問題に真っ向から取り組んだシリーズ代表作…黒澤明監督の映画「天国と地獄」の原作。
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1959年(昭和34年)に刊行された、87分署シリーズの第10作です。
アメリカの大都市アイソラで、大会社重役ダグラス・キングの運転手チャールズ・レナーズの息子ジェフが誘拐された……犯人はキングの息子ボビーと間違えたのだ、、、
身代金を払えばキングは破産……しかし人道的には……。
一方、アイソラ市警87分署のスティーヴ・キャレラ刑事らは犯人との交渉のためキング邸に赴くが、主人が非協力的で捜査は難航……まもなく身代金の受け渡し時刻が迫る、、、
警察小説の金字塔にして映画『天国と地獄』の原作……誘拐問題に真っ向から取り組んだシリーズ代表作。
黒澤明監督作品の『天国と地獄』は大好きな映画! その原作ですからねー 面白くないはずがありません……誰を誘拐しても脅迫は成り立つという発想が素晴らしいですよね、、、
アイデアというか……着眼点が凄いと思いますね! 身代金の受け渡しの部分は、映画と原作では全く異なるのですが、お国柄も違うし、映画の方は後からさらにアイデアを追加した感じでしょうね(映画の方は身代金の受け渡し方法も斬新ですね)。
身代金を要求されたキングも、決して単なる成金の嫌な奴ではなく……工場の下働きから叩き上げ、会社の重役にまで昇りつめた男であり、自社の製品に誇りを持ち、安いけれど質は悪い商品を叩き売る、儲け主義の現状を憂える理想主義者で、アメリカン・ドリームの体現者という設定も感情移入できて良かったですね、、、
事件解決後……犯人一味の首領であるサイ・バーナードや誘拐されたジェフの警察に対する態度・発言も好感ですねー 結末含め、愉しめる作品でした。
87分署シリーズ……次々と読みたくなる魅力でいっぱいですね。 -
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『殺意の楔 87分署シリーズ(原題:Killer's Wedge)』を読みました。
『警官嫌い 87分署シリーズ』、『通り魔 87分署シリーズ』に続き、エド・マクベインの作品です。
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秋の静かな昼下りに刑事部屋に押入った女の手には、拳銃とニトロの小壜が握られていた。
女はキャレラに恨みを抱いている。
だが彼は、今ここにはいない……復讐の鬼と化した女と刑事たちとの熾烈な心理闘争。
刻一刻と迫るカタストロフィ。
息づまるスリルと緊迫感で描くシリーズの決定版。
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1959年(昭和34年)に刊行された、87分署シリーズの第8作……1964年(昭和39年)に『恐怖の時間』というタイトルで山﨑努や加山雄三、星由里子、志村喬 等が出演して映画化されているようですね。
平穏な10月のある昼下がり……87分署の前に黒ずくめの女がひとり立っていた、、、
顔は死神のように蒼白だ……刑事のキャレラに恨みを抱いている。
彼に逮捕された夫が獄中で病死したのだ……彼女は署にキャレラがいないと知るや、強引に刑事部屋に押し入った、、、
そして呆気にとられている刑事たちに隠し持った拳銃とニトログリセリンの小壜ををつきつけたのだ! 一方その頃キャレラは不可解な密室殺人の捜査にあたっていた。
復讐の鬼と化した女ヴァージニア・ドッジと刑事たちとの熾烈な心理闘争……刻一刻とせまるカタストロフィー、、、
87分署の刑事部屋は、果たして殺人現場となるのか? 息づまるスリルと緊迫感で描くシリーズ屈指のサスペンス!
87分署の刑事部屋に監禁されたピーター・バーンズ警部、バート・クリング刑事、マイヤー・マイヤー刑事、コットン・ホース刑事等とキャレラ刑事に恨みを抱く黒衣の女ヴァージニア・ドッジとの心理闘争を描いた密室監禁の心理サスペンス……キャレラ刑事が担当する金持ちの老人ジェファースン・スコットが密室で殺害された事件の謎をを解き明かす密室ミステリが並行して描かれる物語、、、
妊娠したばかりのキャレラ刑事の妻テディも事件に巻き込まれ、ハラハラドキドキのタイムリミット・サスペンスが愉しめました……この2つのエピソードが事件としては交わらないのも面白かったですねー 事件が解決した後の、エピローグ的な部分も洒落ていて印章的でしたね。
ホントに面白かったですねー 傑作娯楽小説でした! -
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ネタバレ再読。★3
ハル・ウィリスと恋人マリリンが過去の因縁に悩まされる事件と、神父が刺殺された事件が並行して描かれる。
前回読んだ時は全体を覆う暗鬱な雰囲気と凄惨さにのまれて★5をつけたのだったが、今回はそこまでの刺激を受けなかった。
特に悪魔崇拝の人らに関しては「くだらないことやってんなーどうぞご勝手に」といった感じで、熱を持てず流し読みに。
昔は悪魔崇拝という響きだけで興味を持って読めたんだろうが、やってることは雰囲気づくりをちょっと凝った乱交パーティと変わらなく思える。遊びでやってるんじゃないというようなことを代表が言ってたので、より具体的な心理や背景があれば楽しめたかもしれない。
結局悪魔が微笑んで終わり、という筋書きだったが、過去の自分はこれに後味の悪さとそれなりのショックを受けたことを覚えている。
しかし今回はそういった感情移入も無く、「ああ、母ちゃん息子を追い払いたかっただけなのね」と話の筋を確認するだけで終わってしまった。
キャレラが教会に行かなくなった理由(神父に「一番忙しい時期にきた」と嫌味を言われたこと)が挿入されるが、あの話と神父を殺してしまった少女の「裏切られた」という感情がリンクする。
キャレラの話は思い出として描かれただけで、犯行の布石として描かれたわけじゃないかもしれないが、違う結果を生んだふたつの裏切られた話、殺意の大きさは少女の信仰度の大きさの裏返し、こういう点に関心を惹かれる。 -
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007の初仕事が画かれたこの作品。
英国諜報部、MI6の00のナンバーを持つ7番目の男
仕事の鬼
酒と煙草と女好きの紳士
スリルを楽しむ狂人
女王陛下の狗
我等がジェームス・ボンド
劇場版しか知らない方は
別物としてお読み下さい。
派手なアクションシーンはありません
奇妙な兵器もありませんし
毎回車が壊れる事もありません(大抵壊れますが)
カジノロワイヤルではありませんが
平穏無事にしっかりと諜報部員として活躍する事もあります。
そして、そうですね
彼のオリジナルカクテル「ヴェスパー」が生まれたのも
この作品です。
ただまぁ、ヴェルパーって適当なバーだと呑めないんで
呑んだ事無いんですよね。
何せレシピが
「ドライマティーニを一つ。一つだよ。
深めのしゃん便グラスに入れた奴だ。
ちょっと待った。ゴードンのジンを3に、ウォッカを1、
キナ・リレのベルモットを二分の一の割合で。
氷みたいに冷たくなるまでよくシェイクして、
それからレモンの皮を薄く大きく切った奴を入れる。
わかったね?」
と事細かく注文しているので
それなりの良いバーでないといけません。
なので私は
「ウォッカマティーニをシェイクで。掻き混ぜずに。
それからオリーブを一つ」
くらいしかやった事がありません。
正直007シリーズは大好きなので
登録し出すとキリがないのでやってなかったんですが
ぼちぼちやっていこうかと思ったりしております。 -
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『87分署シリーズ』三作目は、拮抗するギャング三勢力の抗争を描いたハードなストーリーで、前作の『通り魔』からは13年の月日が流れています。
物語の始め、キャレラとクリングが登場する際に13年という時間が経過していることが記述されているのですが…ここで、私たちは驚愕の事実を知ることになります。
あのクレア・タウンゼントが、すでにこの世を去っているという悲しい知らせを、こんなにも冒頭で打ち明けられるとは。
かくして、脳天への強烈な一撃を与えられたような始まり方をする本書には、もう一つ新たな手法が用いられています。
それは、時系列的に進行する物語の大筋に、ギャングのボスの供述がことわりもなく交錯してゆくという点です。
実力伯仲のギャング団の三つ巴の抗争がいかにして進行していったのかを、ボスの供述が明らかにする一方---キャレラとクリングが『死ななくても良かったはず』の男の殺人について、いかにして真相を明らかにしてゆくのか---
両者はラストで一つの真実へと、見事な一致を見せます。
エド・マクベインの新たな試みともいえる斬新な構成が、何ともいえないやり切れなさや、スリリングな描写を巧みに演出しているのです。
前作では新婚旅行で出番のなかったキャレラ。
今作では、彼の大活躍が見られることでしょう。 -
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マクベイン『87分署シリーズ』の第一作目を飾る『警官嫌い』。本書が、警察小説のはしりとも言える作品のようです。
巻頭の注釈…『この小説に現れる都会は架空のものである。登場人物も場所もすべて虚構である。』といったものは、よく目にするものですが。
---ただし警察活動は実際の捜査方法に基づいている。
この一文には、なかなかお目にかかれないでしょう。
舞台となる87分署管轄の街や行き交う人々は勿論のこと、登場する警官たちの『バッジを外した』後の生活ぶりまで。読み始めて間もなく、精巧な描写と美しい筆致に、魅了されました。
必要以上の情景描写を取り入れる小説には飽き飽きすることが多々あるのですが、マクベインの腕にかかれば、それら全てが美しい調和を保っているのです。
警官三人を射殺した犯人はだれか…?
物語の焦点が定まるにつれて高まる緊張感は、まるでスリリングな映画のワンシーンを観ているようです。
疑いようもない名作と言えるのではないでしょうか。 -
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『魔術 87分署シリーズ(原題:Tricks)』を読みました。
『毒薬 87分署シリーズ』に続き、エド・マクベインの作品です。
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ハロウィーンの夜。
「ごちそうしないと、いたずらするぞ」と叫びながら、次々と酒屋強盗をはたらく子供の一団が出現した。
一方87分署では、奇術師の夫が突然姿を消してしまったと妻が訴えていた。
おりしも街では男のバラバラ死体の一部が発見され……ハロウィーンの夜を脅かす数々の怪事件!
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1988年(昭和63年)に刊行された、87分署シリーズの第40作です。
ハロウィーンの宵、酒屋に駆け込んできた仮面姿の子どもたちは口々に叫んだ……「ごちそうしないといたずらするぞ!」 そして、手にした拳銃で店主を射殺した、、、
一方、87分署では取り乱した女マリーが、マジックを演じていた奇術師の夫フランク・セバスティアーニが舞台から忽然と消えてしまったと訴えていた……折りしも、市内で切断された男の胴体が発見され、さらに脚が……。
87分署の刑事たちを幻惑するかのように続発する怪事件には、はたして関連があるのか?
奇術師の失踪事件、子どもたちによる酒屋連続拳銃強盗事件、バラバラ死体事件、囮を使ったレイプ殺人犯捜査 等の事件が同時進行……本シリーズの特徴である、複数の事件が並列的に描かれるモジュラー型警察捜査小説としての展開が色濃く出ていた作品でしたね、、、
そして、別々と思っていた事件の一部が絡み合い、最後に収束していく構成は巧いな! と感じました。
そこに、刑事たちの私生活……特に本作ではアンディ・パーカー刑事の私生活での発展ぶり、女刑事アイリーン・バークの囮捜査による心のダメージや恋人バート・クリング刑事の囮捜査への介入による混乱、さらにはスティーヴ・キャレラ刑事とマイヤー・マイヤー刑事が銃弾を受けて生死の境を彷徨ったり 等のエピソードを絡ませ、重層的な展開が愉しめる作品に仕上がっていましたね、、、
面白かったです……書棚の在庫の87分署シリーズを順次読んでいこうと思います。