井上一夫のレビュー一覧
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『死んだ耳の男 87分署シリーズ(原題:Let's Hear It for the Deaf Man)』を読みました。
『ショットガン 87分署シリーズ』、『サディーが死んだとき 87分署シリーズ』に続き、エド・マクベインの作品です。
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刑事部屋の平和を破る一本の電話――「わたしは帰ってきたよ」予告電話を皮切りに次々と舞い込む意味不明の写真。
フーヴァー元FBI長官の写真が二枚、つづいてジョージ・ワシントン……奴の狙いは?
奇妙なギャラリーを前に刑事たちも頭を絞る。
天才犯罪者デフ・マンと87分署精鋭の死闘!
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1973年(昭和48年)に刊行された、87分署シリーズの第27作です。
時は春、のどかな季節……だが刑事部屋ののんびりした気分は1本の電話で破られた、、、
「わたしは帰ってきたよ」 街には“猫”と呼ばれる空巣狙いが横行し、奇怪なはりつけ殺人の捜査もはじっている……よりによってそんな時に、あいつが帰ってきた。
過去に2度も煮え湯を飲まされた天才的犯罪者デフ・マンが! やがて犯行を予告するかのように、意味不明の写真が次々と87分署に送りつけられてくる……フーヴァー元FBI長官の写真が2枚、続いてジョージ・ワシントン、、、
奇妙なギャラリーを前に刑事たちは頭を抱えるが……宿命の好敵手と87分署精鋭の対決。
これまで読んだことがないのですが……シリーズ第12作の『電話魔 87分署シリーズ』や第22作の『警官(さつ) 87分署シリーズ』にも登場した天才的犯罪者デフ・マンが登場する3作目の作品のようです、、、
過去に2度も87分署を出し抜き、嘲笑った天才的犯罪者デフ・マンの再来、そして、デフ・マンが復帰の合図としてスティーヴ・キャレラ刑事に送りつけてきたフーヴァー元FBI長官やジョージ・ワシントン、日本海軍のゼロ戦といった意味不明な写真……これらの写真は、まるで彼の犯行を予告するギャラリーのようであり、87分署の刑事たちはその隠された意味を解読しようと頭を悩ませる という事件を中心に据えつつ、通称「猫」と呼ばれる空き巣が横行したり、あるいは猟奇的な「はりつけ殺人」が発生したりと、デフ・マンの事件以外にも、刑事たちは日々様々な犯罪に直面し、捜査を進めていくという展開が愉しめました。
これらの複数の事件が物語に奥行きとリアリティを与えていると感じましたねー そして、印象的だったのたのは天才的犯罪者デフ・マンの犯行計画……失敗が成功のために欠くことのできない一部の計画になっているなんて、、、
途中から、何でデフ・マンが別な人物たちに犯行計画を指南しているのかな? と不思議に感じながら読んでいたのですが、まさか、一度失敗しているからこそ、うまく行く計画とはね……面白いアイデアでしたね。
本作以降もデフ・マンが登場する作品があるようです……デフ・マンの周到な計画、謎めいた行動、そして87分署の刑事たち(特にキャレラ刑事)との息詰まる頭脳戦を読むことができるのが愉しみです! 87分署シリーズ、次々と読みたくなっちゃいますね。 -
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イギリスの作家「イアン・フレミング」の冒険スパイ小説集『007/薔薇と拳銃(原題:For Your Eyes Only)』を読みました。
「イアン・フレミング」作品は昨年の4月に読んだ『007/カジノ・ロワイヤル』依頼ですね、、、
「ディック・フランシス」、「コリン・デクスター」、「ボブ・ラングレー」、「ジャック・ヒギンズ」に続き、イギリス作家の作品です。
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【007映画最新作『007/クォンタム・オブ・ソラス』原作『ナッソーの夜』収録】
英国秘密情報部の腕利きエージェント、「007」こと「ジェームズ・ボンド」。
祖国の平和と安寧のため、世界を股にかけ危険な任務を遂行する。
パリ郊外の静かな森に隠れ潜むソ連の情報機関を破壊する『薔薇と拳銃』、ジャマイカで荘園主夫妻を殺害した、凶悪なナチの残党の男を暗殺する『読後焼却すべし』、ローマからベニスに通じる麻薬密輸ルートを追跡する『危険』、セーシェル諸島のサンゴ礁を舞台に、アメリカ人の富豪の死を描いた『珍魚ヒルデブランド』、植民地総督が「ボンド」に語る、一組のカップルの数奇な運命『ナッソーの夜』の全5編を収録。
解説=「石上三登志」
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1960年(昭和35年)発表の冒険スパイ小説「007」シリーズの第1短編集で、以下の5篇が収録されています、、、
ちなみに、本作品は1964年(昭39年)に翻訳された際のタイトルは『007号の冒険―秘密情報部007号』だったそうです。
■薇と拳銃(原題:From a View To A KIll)
■読後焼却すべし(原題:For Your Eyes Only)
■危険(原題:Risico)
■珍魚ヒルデブランド(原題:The Hildebrand Rarity)
■ナッソーの夜(原題:Quantum of Solace)
■解説 マゾヒストに愛をこめて―私のフレミング伝 石上三登志
フランス、サンジェルマンの森を舞台に、「ボンド」が殺し屋(ソ連の情報機関)とバイクで対決する『薔薇と拳銃』、
ジャマイカで荘園主で「M」の知人でもあった「ハヴロック夫妻」が殺害される… カナダの森を舞台に、凶悪なナチの残党「ハマーシュタイン」等を「ボンド」が暗殺する『読後焼却すべし』、
「クリスタトス」と「コロンボ」という対立する密輸業者が絡むローマからベニスに通じる麻薬密輸ルート… ヴェネチアなどイタリア沿岸部を舞台に「ボンド」が密輸ルートを追跡する『危険』、
セーシェル諸島で休暇を過ごしていた「ボンド」は、鼻持ちならないアメリカの富豪「ミルトン・クレスト」の豪華ヨットで珍魚ヒルデブランドの捕獲に向かう… 無事にヒルデブランドを捕獲した帰りの航路で「クレスト」が死体となって発見されるというミステリ調の『珍魚ヒルデブランド』、
バハマの首都ナッソーでの調査を終えた「ボンド」がマイアミへ発つ前の前日に出席したディナー・パーティー… そこに同席した植民地総督が、ある一組のカップルの数奇な運命について語るヒューマンドラマっぽい『ナッソーの夜』、
という5篇でしたが、イチバン面白くて、印象に残ったのは『読後焼却すべし』でしたね… 『007 ユア・アイズ・オンリー』のタイトルで映画化された作品の原作で、「ボンド」が、復讐を果たすために弓を武器に「ハマーシュタイン」等に近付いていた「ハヴロック夫妻」の娘「ジュディ・ハヴロック」と協力して暗殺を果たす展開が「007」シリーズらしくて良かったですね。 -
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イギリスの作家「イアン・フレミング」の冒険スパイ小説『007/カジノ・ロワイヤル(原題:Casino Royale/You Asked for It)』を読みました。
「チャールズ・カミング」作品に続きイギリス作家によるスパイ小説です。
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英国が誇る秘密情報部。
なかでもダブル零のコードをもつのはどんな状況でも冷静に切り抜ける腕利きばかり。
ソ連の工作員でフランス共産系労組の大物「ル・シッフル」が、党の資金を使い込み、カジノの勝負で一挙に挽回をはかるつもりらしい。
それを阻止すべくカジノ・ロワイヤルに送り込まれた「ジェームズ・ボンド」。
華麗なカジノを舞台に、巨額の賭金をめぐる息詰まる勝負の裏で、密かにめぐらされる陰謀。
「007ジェームズ・ボンド」登場。
解説=「杉江松恋」
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1953年(昭和28年)発表の冒険スパイ小説「007」シリーズの記念すべき長篇第1作です、、、
「ジェームズ・ボンド」初の長篇だからかな… 拷問シーンは過激なものの、アクションシーンやベッドシーンは限定的だし、「ボンド」の超人的な活躍はなく、スパイの仕事に悩むシーンもあり、一介の工作員という印象が強くて、ちょっと新鮮でしたね。
■1 秘密情報部員
■2 M宛の書類
■3 007号
■4 敵の耳
■5 本部からきた女
■6 麦わら帽子の男ふたり
■7 赤と黒
■8 ピンクの光とシャンペン
■9 ゲームはバカラ
■10 特別テーブル
■11 真実の瞬間
■12 死の筒
■13 「愛のささやき、憎しみのささやき」
■14 「バラ色の人生?」
■15 黒うさぎとグレイハウンド
■16 肌のむずつき
■17 ねえ、きみ
■18 岩のような顔
■19 白いテント
■20 悪の本質
■21 ヴェスパー
■22 急ぐ大型車
■23 情熱の潮
■24 禁断の果実
■25 黒い眼帯
■26 ぐっすりおやすみ
■27 血まみれの心
■解説 杉江松恋
ソ連・スメルシュのフランスにおける工作員である「ル・シッフル」は、使い込んだ組織の資金を穴埋めするため、ロワイヤル・レゾーのカジノでバカラによる一攫千金を狙っていた… イギリス秘密情報部員「007」こと「ジェームズ・ボンド」は、上司「M」からバカラで「ル・シッフル」を負かして破滅させるよう命令される、、、
「ボンド」は、同僚の女性「ヴェスパー・リンド」、フランス参謀本部2課の「ルネ・マティス」、CIAの「フェリックス・ライター」と連携し、カジノで一度は窮地に陥りながらも三千二百万フランの巨額にまで達したバカラの勝負に勝ち任務に成功するが、その直後に「ヴェスパー」が「ル・シッフル」に拉致され、後を追った「ボンド」も捕まり、金を返すよう拷問にかけられる… しかし、「ル・シッフル」はスメルシュの刺客に粛清され、「ボンド」は命拾いをする。
「ボンド」は自分の仕事に疑問を抱いて辞職を決意… 「ヴェスパー」との結婚を考えるが、その結末は、、、
実は彼女はソ連の二重スパイだったんですよね… 「ボンド」のことを愛した「ヴェスパー」でしたが、ソ連を裏切れば自らがスメルシュに殺さるだけでなく、「ボンド」も狙われてしまうことから、自ら命を絶ちます。悲劇でしたね。
「ボンド」の超人的活躍はなく、一介の工作員として、スパイの仕事に悩む姿に人間らしさを感じました… 共感できて感情移入しながら読めましたね、、、
ちなみに、本作品は1963年(昭和38年)に翻訳された際のタイトルは『カジノ・ロワイヤル 秘密情報部〇〇七号』だったそうです。
それにしても、本作品のそもそもの設定… 工作員として与えられた資金を使い込んでしまい、バカラで取り戻そうするソ連のスパイ「ル・シッフル」の行動もどうかと思いますが、、、
それに対し、工作員をカジノに送り込み、バカラで勝負させて破滅させようとするMI6の作戦って、現実味がなくて、何だそりゃ… って、感じですよね。
まっ、これくらいの荒唐無稽な設定の方がエンタテイメント性があるからイイのかなぁ。
以下、主な登場人物です。
「ジェームズ・ボンド」
英国秘密情報部員
「M」
ボンドの上官
「ル・シッフル」
ソ連工作員、「アルザス労働者連合組合」地下会計責任者
「ヴェスパー・リンド」
美貌の英国秘密情報部員
「マチス」
フランス参謀本部第二課員
「フェリックス・レイター」
米国中央情報局員 -
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87分署シリーズは聞いた事はあったが、昔の人気シリーズという認識だった。
ちょっとしたキッカケでシリーズ第一作を手にして、夜寝る前に少しづつ読み進めた。
まずニューヨークの夜景の描写から始まるので、最初に夜のイメージが定着した。
1950年代の賑やかな巨大都市ニューヨーク。エアコンの設備が行き渡らない時代の茹だる様な暑い夏が舞台。もちろん夜となれば連日の熱帯夜。その熱にうかされように話は展開する。
これを夏に読んでよかったと思う。
海外ミステリーの醍醐味は、ストーリーや謎解きは当然だが、その時代・その場所の細かな描写が全体の雰囲気を大きく左右する。60年前に書かれた警察ミステリーの黎明期の作品だけに、ストーリー自体は特筆すべき点はないのだが、古き良きアメリカを堪能できた。良作。 -
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この巻にはいくつもの事件が錯綜するが、なんといっても87分署の宿敵、デフ・マンの再登場が目を引く。キャレラにSF小説の一節を送りつけて来るデフ・マンの狙いは何か。小説の場面のように、群集に暴動を起こさせようというのか。
アイソラの街は荒れていた。連続して起こる落書き屋殺し。身元を示すものを取り去られた、痴呆状態の老婆が置き去りにされる事件。これらの事件は何を目的としているのか。立てこもり事件が起こり、アイリーン・バークが説得にあたる。
街を覆う不満に満ちた人々の空気が、ストーリーの通奏低音となっている。上記のメインの事件だけでなく、ちょっとしたことから、障害、殺人にいたるまでの事件が起きる。そして、キャレラたちはデフ・マンの計画を阻止できるのだろうか。 -
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ミッシェル・キャシディという女優が、脅迫されていると言って87分署を訪れた。彼女が主役として出演する芝居「ロマンス」には、まさに女優が刺されたり、刑事が尋問する場面まである。しかし脚本家、演出家、俳優たちの不協和音で、公開前から先行きが危ぶまれていた。そして実際にキャシディが切りつけられる事件が発生し、キャレラとクリングは捜査を開始する。
クリングは捜査の傍ら、前作で知り合った市警の医師、シャーリン・クックに接近する。年上で黒人のクックは、白人のクリングに惹かれつつも、なかなか心を許さない。クリングの想いは届くのか。
この巻は「ロマンス」という劇を巡って起こる事件と、クリングのロマンスを軸に展開する。興行に関わる人々の、それぞれの思惑、一つの劇が作られてゆくまでの舞台裏が興味深い。また、人種問題によって社会が統合ではなく分断に向かいつつあることへの危惧が、もう一つの背景となっている。 -
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「ミステリーは読まない」などと言う文章を書いた直後に87分署。言動不一致ですね。前作「キス」はルール違反でちょっと失望したのですが、この作品はまずまず。いつものマクベインです。。。。
しかし、この本はシリーズ45冊目、初出の「警官嫌い」が1956年。昨年(2001)には51作目が発表されてるそうで
50年になろうかと言う化け物みたいなシリーズです。
最近さすがにスピード感が無くなり、衰えを感じさせるように思うのですが、この作品では4つの事件を織り交ぜる事により、飽きさせることなく話を進めます。
久々のデフ・マン登場と言う事で期待をしたのですが、その点については可も無く不可も無くというところでしょう
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馴染みの刑事部屋に入り、ガサツでありながらも心優しい刑事たちに再会する。スティーブ・キャレラ、マイヤー・マイヤー、バート・クリング、ミスコロ、バーンズ……1956年発表の「警官嫌い」以降、2005年「最後の旋律」まで全56作。マクベインの死によって惜しまれつつ終焉する「87分署シリーズ」は、架空の都市アイソラを舞台に、常に市井の人々に寄り添い、憎むべき犯罪に立ち向かう刑事群像を描き続けてきた。
本作は1983年発表の第36作。貧富の差に関わらず蔓延する麻薬が絡む殺人が発生。凍り付くような寒波の中、捜査を開始したキャレラたちは、辛抱強く関係者に当たり、嘘と真を見極め、矛盾を察知し、事件を再構築し、怪しい者には圧力を掛け、傷ついた者には癒しを与え、一歩一歩事実を探り出し、真相を突き止めていく。
冒頭での売春婦の感動的な出産やキャレラと妻・テディとの心温まるやりとり、クリングの新たな恋愛の幕開けなど、本筋とは直接関係の無いエピソードの数々がこれほど魅力的なシリーズを他に知らない。マクベイン自身の優しさが作品の底流にあるからこそだろう。 -
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ネタバレ87分署シリーズ第一作。三人の警察官が殺され同一犯による連続殺人とされた。同僚を殺された87分署の刑事たちが犯人逮捕のために捜査を続ける。
1人の刑事による推理を元にした捜査ではなく、刑事たちのチームによる捜査を描く。現実の警察の捜査を感じさせるリアルな物語となっている。
刑事たちの会話が多く、そこにユーモアや時代背景なども描かれている。新聞記者の暴走により事件が大きく動く。一つの可能性としての捜査方針が、真犯人とっては真相に導く大きな方向性であった。刑事スティーヴ・キャレラの恋人テディに真犯人が近づく。これに気付いたキャレラがテディのもとに向かう。
本命の被害者をカモフラージュし、警察官の連続殺人と誤解させるために他の刑事をも殺した犯罪だった。テディは助かりキャレラと結婚し新婚旅行に向かう。