井上一夫のレビュー一覧
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この巻にはいくつもの事件が錯綜するが、なんといっても87分署の宿敵、デフ・マンの再登場が目を引く。キャレラにSF小説の一節を送りつけて来るデフ・マンの狙いは何か。小説の場面のように、群集に暴動を起こさせようというのか。
アイソラの街は荒れていた。連続して起こる落書き屋殺し。身元を示すものを取り去られた、痴呆状態の老婆が置き去りにされる事件。これらの事件は何を目的としているのか。立てこもり事件が起こり、アイリーン・バークが説得にあたる。
街を覆う不満に満ちた人々の空気が、ストーリーの通奏低音となっている。上記のメインの事件だけでなく、ちょっとしたことから、障害、殺人にいたるまでの事件が起きる -
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ミッシェル・キャシディという女優が、脅迫されていると言って87分署を訪れた。彼女が主役として出演する芝居「ロマンス」には、まさに女優が刺されたり、刑事が尋問する場面まである。しかし脚本家、演出家、俳優たちの不協和音で、公開前から先行きが危ぶまれていた。そして実際にキャシディが切りつけられる事件が発生し、キャレラとクリングは捜査を開始する。
クリングは捜査の傍ら、前作で知り合った市警の医師、シャーリン・クックに接近する。年上で黒人のクックは、白人のクリングに惹かれつつも、なかなか心を許さない。クリングの想いは届くのか。
この巻は「ロマンス」という劇を巡って起こる事件と、クリングのロマンスを軸 -
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「ミステリーは読まない」などと言う文章を書いた直後に87分署。言動不一致ですね。前作「キス」はルール違反でちょっと失望したのですが、この作品はまずまず。いつものマクベインです。。。。
しかし、この本はシリーズ45冊目、初出の「警官嫌い」が1956年。昨年(2001)には51作目が発表されてるそうで
50年になろうかと言う化け物みたいなシリーズです。
最近さすがにスピード感が無くなり、衰えを感じさせるように思うのですが、この作品では4つの事件を織り交ぜる事により、飽きさせることなく話を進めます。
久々のデフ・マン登場と言う事で期待をしたのですが、その点については可も無く不可も無くというと -
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馴染みの刑事部屋に入り、ガサツでありながらも心優しい刑事たちに再会する。スティーブ・キャレラ、マイヤー・マイヤー、バート・クリング、ミスコロ、バーンズ……1956年発表の「警官嫌い」以降、2005年「最後の旋律」まで全56作。マクベインの死によって惜しまれつつ終焉する「87分署シリーズ」は、架空の都市アイソラを舞台に、常に市井の人々に寄り添い、憎むべき犯罪に立ち向かう刑事群像を描き続けてきた。
本作は1983年発表の第36作。貧富の差に関わらず蔓延する麻薬が絡む殺人が発生。凍り付くような寒波の中、捜査を開始したキャレラたちは、辛抱強く関係者に当たり、嘘と真を見極め、矛盾を察知し、事件を再構築 -
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ネタバレ87分署シリーズ第一作。三人の警察官が殺され同一犯による連続殺人とされた。同僚を殺された87分署の刑事たちが犯人逮捕のために捜査を続ける。
1人の刑事による推理を元にした捜査ではなく、刑事たちのチームによる捜査を描く。現実の警察の捜査を感じさせるリアルな物語となっている。
刑事たちの会話が多く、そこにユーモアや時代背景なども描かれている。新聞記者の暴走により事件が大きく動く。一つの可能性としての捜査方針が、真犯人とっては真相に導く大きな方向性であった。刑事スティーヴ・キャレラの恋人テディに真犯人が近づく。これに気付いたキャレラがテディのもとに向かう。
本命の被害者をカモフラージュし、警察