豊島与志雄のレビュー一覧
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ネタバレ下巻の始まりはガヴローシュから。
そしてたっぷりとマリユスのこと。
マリユスとテナルディエ、ガヴローシュ、エポニーヌとの繋がりにびっくり。
映画でのエポニーヌはマリユスに付きまとってるようであまり良いイメージがなかったけれど、小説のエポニーヌは、映画よりも少し距離を保っていて、どこかさっぱりとしている。それでもマリユスへの想いは確かで、切なかった。
映画でのマリユスの印象は、コゼットに恋する青年というイメージが強かったが、小説で生い立ちや人間らしさ(グズなところも)知られて面白かった。
映画では、出会って、目があっただけで恋をしてしまったようだったが、小説ではかなりもどかしい。
以下マリユスの印象に残ったセリフ。
『マリユスにとって、ひとつの香りであって、ひとりの女性ではなかった。マリユスはコゼットを呼吸していた。』p173
『もし、別れるようなことがあれば、わたしはきっと、気がへんになります。死にます、病気になります、川に身を投げます。どうしても結婚しなければなりません。』p181
実態のない香りに例えてロマンチックだな〜、愛だな〜、と感じていた矢先、突然のメンヘラ大爆発!!やっぱり恋なんだな〜。人間くさいマリユス。面白い。
終盤はヴァルジャンの語り長め。
マリユスに打ち明けるシーン
『むかし、わたしは生きるために、一きれのパンを盗みました。そしていま、私は、生きるためにひとつの名まえを盗みたくはありません。』p292
ここ、グッときた。
マリユスとコゼットが結婚してから、コゼットがいなくなった家にヴァルジャンは一人暮らしを続け、自らコゼットから距離をとっていくシーンは読んでいて苦しかった。
最後はテナルディエとの会話でマリユスは全てを悟り、ヴァルジャンのもとへコゼットと駆けつける。
自分の父(ポンメルシー大佐)の最後には間に合わなかったため、今回は間に合って良かった。ほっとした。
だけど死に際のヴァルジャンの語りの長さに笑ってしまった。その凄まじい生命力は流石である。
そういえばヴァルジャンってこれまで、逃げるか、黙るか、耐えることで生き延びてきた。
だけど、最後に自分の人生を語り、納得し、認められようとする姿は、人間らしくて好き。
何度も観た映画だが、ついに岩波少年文庫で原作に挑戦したことで、作品のへの理解と解像度が上がって、とても良い読書体験だった。
いつか角川版、新潮版、岩波文庫版にも挑戦してみたい。
p369〜 鹿島茂さんの解説を読んで
『レ・ミゼラブル』は、(中略)貧困ゆえに社会の荒波に翻弄される人々をえがいています。
個人の意志を越えたところで、人々の運命を決めてしまう「貧困」こそが、あらゆる社会悪の根源だと訴えているのです。p373〜374
わたしも本当にそう思った。
今の日本は、貧しいと感じている。
物質的な豊かさだけでなく、人々の心までも。
その貧しさは、さまざまな社会問題の根にあるのかもしれない。
ユーゴーの時代には、実際にパンを一切れ盗んだために身を滅ぼした民衆がたくさんいたのです。なぜなら、労働者は1時間働いても、バゲット二本を買うこともできないほど貧しかったからです。p371
現代の日本だったら1時間働けばバゲット四本は買えるかもしれない。しかし、それは軽めのランチやコンビニでお弁当とお茶が買える程度で決して裕福とはいえない。
150年以上も前の物語なのに、古く感じられなかった。
思わず日本の未来について案じてしまった。 -
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ネタバレ・少年文庫なのにあまりにも容赦がなく、悲劇的すぎて情緒が本気で殴られる。
・「人が善くあろうとすることは、こんなにも困難で、それでも価値がある」ということを真正面から知らされる。
・冬に読みたいと思って、購入から半年以上温めてきた。
・映画は何度も見た。
公開時1回目は友達と、もう一度集中して観たいと思い2回目はひとりで。
配信でも数回視聴し、昨年の再上映も観に行った。
・映画を何度も観たからこそ、5日間でするする読めた。
・映画を何度も観たのに、こんな場面あったかしらと見返したくなった。でも話の大筋は同じで安心。
以下、ネタバレを含む印象に残ったところと、映画では無かったようなところ。
・話の始まりがミリエル司教の「銀の食器」と「銀の燭台」
私はこの物語の心臓部はここだと思っていたので、話の初めに描かれていてとても感激した。
・ジャン・ヴァルジャンの生い立ち
早くに両親を亡くしたこと、未亡人の姉とその子ども7人と暮らしていたこと、ファヴロールで果樹の剪定人だったこと。想像以上に壮絶。
果樹の剪定人だったことはのちに役立ち、読んでいて和んだ。
・四十スー銀貨
これは映画には無かった気がする。
司教のところから必死に逃げ出してきたことが伝わる。後にまたこの四十スー銀貨が出てくる。
銀の燭台が「救済」なら、
四十スー銀貨は「人間の弱さ」。
・「ワーテルローの軍曹」飲食店
テナルディエ夫婦の店の由来。とんでもない夫婦だけど、映画でのキャラクターは好き。店名の由来が知れて、嫌な夫婦だけど、面白くまた少し憎めなくなってしまった。
・フォーシュルヴァンじいさん
上巻のキーパーソンでは?
後に修道院で「マドレーヌ市長」ではなく「ジャン・ヴァルジャン」としての彼に再会する。
・ファンティーヌ
映画のイメージとは異なり、若く美しくものを知らず、無茶なことする。
雪の夜ジャヴェルに捕まり、通りがかった市長が彼女を助けようとした。しかし彼女は彼の顔につばをはきかけた。
こんなシーン映画にあった?衝撃的過ぎた。
「弱いから尊い」存在ではなく、追い詰められた人間が持つ荒さごと描かれている。理想化されていない。
・裁判所〜脱獄
ほんもののジャン・ヴァルジャンが捕まったとジャヴェルから聞き、彼の冤罪を晴らすため正しい行いをした。映画には無かったシーンに思うが、とてもグッとくる。今までのジャン・ヴァルジャンとは違うことがここではっきり分かった。
そしてコゼットを迎えに行くまで何度も何度も捕まっては、諦めずに脱獄を繰り返した。
話の最後の一文がジャン・ヴァルジャンの人生そのもののように感じた。
『人にあたえるよろこびこそは、ふしぎなもので、ほかのすべてのものとちがって、あたえることによって、すくなくなるどころか、かえっていっそう大きくなって、また自分にかえってくるものなのである。』 ー 342ページ
上巻の余韻を味わってから、下巻を読み始めたい。
【追記2026.02.19.】
下巻も読み終わり映画を見返したら、ファンティーヌはつばをはいていたし、バルジャンの裁判所のシーンもあっさりとだがちゃんとあった。 -
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ネタバレ貧困、善と悪、宗教について深く考えさせられた本。
お腹を満たすことのできない時代に、本人も望んでいなかったであろう犯罪に手を染めてしまう悲しみ。自分と家族を守りたいが為に、願ってもいない暗い人生へと転落していく姿。時代背景や取り巻く環境が与える影響の大きさに、個の無力さを感じてしまう。
はたまた、ミリエル司教の持つ善の心はあまりにも眩くて、全てをゆるすあの心の大きさったら。ジャン・バルジャンの心を大きく変える出来事の先は、マドレーヌ氏として市を盛り上げたことで多くの人々の生活を支え、命をつなぐ数々の場面へと繋がっていく。コゼットやマリユス、色々あったけどジャヴェール然り。1人の司教の教えが、数え切れないほど多くの人々の希望を生み出したりする。
信仰の重要性(精神を保つという意味で)に改めて興味が湧くなど。
個は時に無力だと感じるけれど、計り知れない力を持つ場合もあるんだね〜。
一気に読んで、ジャン・バルジャンの一生が終わる頃には大号泣、枕びしょびしょ。心が大きく揺さぶられたお話でした。
子供の頃に読んだかもしれないけれど、大人になった今だからこそ伝わってくる感情が多い気がして。読んでよかったーー。買おうかな。 -
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ネタバレ古典文学のコミカライズ
原作や映像等見たことがなく、今回初見でした
貧困からくる家庭内の圧にはじまった不法行為から
立て続いたトラブルに対して
寛容な言葉をかけられたことで更生を志す主人公の物語
変わるきっかけを得られるというのは
とても幸運だと思う反面、
善行がことごとく報われない結果に終わるという
理不尽さがよく描かれていました
また、どんなに反省しても過去の罪が許されない、
「リセットできなさ」について考えさせられました
命の大切さが一層声高に呼びかけられる昨今
更生者の未来をどうやって保証できるのか
現代も続く課題を提起する作品を
新井先生の少年漫画ながら重厚感ある絵とともに学びました。
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マリウスは、美しい少女に一目惚れする。
また、下宿先のゴルボー屋敷の隣人が金持ちの慈善をせびる悪党テナルディエで、テナルディエの娘エポニーヌと友人になる。
だが慈善家が、ジャン・ヴァルジャンであることを知り、ヴァルジャンの財産を狙ってパリの悪党集団パトロン・ミネットとヴァルジャンを罠に掛けようとする。
ジャン・ヴァルジャンとマリウスとテナルディエの運命が、ゴルボー屋敷で交錯する第5巻。
マリウスとコゼットとエポニーヌの三角関係の始まり、あまり映画などで描かれていないジャン・ヴァルジャンとテナルディエとジャベール三つ巴の対決が描かれていて、テナルディエの極悪ぶりが怖いけど、パトロン・ミネットを相手に引かないジャン・ヴァルジャンが頼り甲斐がある第5巻。 -
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ジャン・ヴァルジャンは、コゼットをテナルディエ夫妻から救い出す。
ジャン・ヴァルジャンは、コゼットと本当の親子のように暮らす。
しかしジャベールは、執拗にジャン・ヴァルジャンを追う。
マリウスは、生き別れの父の生き様を知り、金持ちの叔父の援助を断って、共和制復活を企むアンジョルラスたちABCの友と交流する。
役者が、ゴルボー屋敷に揃った第4巻。
ミュージカルなどだとおぼっちゃまキャラだけど、生き別れの父の過去を知り、叔父から押し付けられる王党派の生き様を拒否して民主ボナパルト派に転向した複雑なキャラであるマリウスを知り、改めてミュージカルなどを見ると違って見えてくる「レ・ミゼラブル」ファンには必読の4巻。 -
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ファンティーヌは、パリのカルチェラタンでトロミエスたち金持ちの放蕩息子に出会い、ファンティーヌはトロミエスと恋に落ちた。
だが長年の放蕩から国元に呼び戻されたトロミエスたちは、ファンティーヌたちが置いて国元に帰った。
ファンティーヌは、妊娠していた。
女工のファンティーヌは、娘のコゼットを宿屋の主人テナルディエに預けて働き始める。
テナルディエから養育費以外に薬代などの名目で搾り取られ、生活に窮していくファンティーヌ。
ジャン・ヴァルジャンは、ミリエル司教との誓いに応える為、マドレーヌと名前を変え宝飾品工場を繁盛させ、利益は街の病院などの整備に寄附して、住民から慕われ市長になった。
ヴァルジャンとジャベールとファンティーヌの邂逅が描かれる第2巻。
金持ちの放蕩息子、工場の同僚、テナルディエ夫妻たちに弄ばれ、搾取され、底辺に堕ちるファンティーヌの悲劇は、ミュージカル映画以上に悪辣なテナルディエ夫妻のアコギさもあり、より悲惨。
ついにジャン・ヴァルジャンとジャベールが、初対決するのが楽しみな第3巻に続く。 -
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ファヴロールの貧しい枝切り人ジャン・ヴァルジャンは、親代わりの姉と6人の息子を養う為に頑張っていた。だが枝切り人の仕事は、冬にはなく他の仕事もなく、飢えに苦しむ家族の為に、ヴァルジャンはパンを盗み、刑務所で重労働を課せられ、貴族や聖職者だけが富む不条理に怒りを募らせ、脱獄を繰り返す。
やっと仮釈放を認められたヴァルジャンは、仮釈放後も前科者としての身分証に縛られ、宿も食べ物も与えられない不条理に社会への怨みを募らせていた時、神のように献身的で寛大なミリエル司教と出会ったことで運命が変わる!
不朽不滅の傑作文学、漫画化第1巻。
正直で優しいジャン・ヴァルジャンが、いかに貧しさと飢えに苦しみ罪を犯し、社会に怨みを募らせたか、神に真摯に仕えるミリエル司教と出会い人間として愛されることで、正しい人になる決心をするまでを、ヴァルジャンの分身を鎖で繋がれた黒い獅子などで丁寧に心象を描かれていて、ミュージカルから知った人も満足出来る第1巻。 -
購入済み
おすすめです!
レ・ミゼラブルの題名は知っているけど読んだことはない、読んでみたいけど難しそう、と思っている方に、まずはこの漫画版をおすすめしたいです!
絵が本当に素晴らしく、もちろん内容も面白く、あっという間に最終巻まで読んでしまいました。感動するシーンがたくさんありますが、やっぱりジャン・バルジャンの人生を変えた銀の燭台のシーン(1巻収録)が一番好きです!レ・ミゼラブルを読んだことがなくてもこのシーンだけは知っている人も多いのではないでしょうか。
登場人物達がとても生き生きと描かれています。新井先生の絵柄が外国のお話にとてもマッチしていて、違和感が全くありません。最後まで読んだら、また最初から読み直したくなりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ言わずと知れたジャンバルジャンの話。
伊坂幸太郎のホワイトラビットを読んで、また読みたくなって読みました。
今読み返すと色んな発見がありますね。
有名なのは銀の燭台の所ですが、(小学校の道徳にもある)その後のジャンバルジャンの人生をみて「善と悪」について考えさせられるですよねー。
罪を犯した彼は許されるべきなのか、ジャベールの正義は善と言えるのか。私たちも現代において、間違いを犯した人を永遠に責め続けるのか、許すべきなのか。それはいいことなのか、悪いことなのか…価値観はそれぞれですが、私は信じて許せる人になりたいなあーと思いました。