樋口一葉のレビュー一覧

  • にごりえ・たけくらべ

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    なによりもまず、そのあまりにも美しい文章について触れるべきなのかも。言文一致が生まれて間もない頃の文章であるにも関わらず滑らかに流れていく言葉と、そんな時期だからこそまだ使われていた古文調の言葉遣いで述べられていくその文章は、読めば読む程に魅力が増していく。
    そして、そこに描かれる物語の大半は、世間という荒波に翻弄され、風習という名の運命の荒野に投げ出された男女の報われぬ物語。社会の進歩に対して余りにも早く自我というものに目覚めてしまった、早熟の才故に描くことのできたあまりにも報われぬのに美しき物語。僅か25歳で天寿を全うする、その最後の1年間に書かれた本書には、踏み躙られても尚衰えぬ輝きとい

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    2011年11月20日
  • たけくらべ・にごりえ

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    どのお話も凝縮されていて無駄がなく、文章の美しさに惚れ惚れした。言葉少なな雅文体が想像をかきたて、哀しさが増す。また読み返したい。

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    2011年03月25日
  • にごりえ たけくらべ

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    8/3
    軽妙洒脱。
    焦点移動の巧みさと流麗な文体に、悔しいかな男性作家じゃかなわない。
    川上未映子のはるか上を行っている。気がする。

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    2009年10月07日
  • にごりえ たけくらべ

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    遊郭の周辺に生きる人々を舞台にした小説です。一葉自身がそのような場所に住んでいたからこそのりありてぃーがあります。現代語に訳したら魅力が消えてしまう。ぜひ原文で読んで欲しいです。明治は古典じゃなくて近代ですから。

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    2009年10月04日
  • にごりえ たけくらべ

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    一葉の没した24歳すぎて再度読み返した。「たけくらべ」の美登利は「ええ厭々、大人になるは厭やな事…」と彼女ら吉原遊郭周辺に暮らす子供達に「思春期」「青春期」モラトリアムという猶予期間はない。子供の時間を終えたら、大人になり職につく。酉の市を境に「子供、子供である時間」を終えて遊女としての身の哀しさを知ったか、少女美登利は憂いて沈み、水仙の造花を懐かしい想いで眺める…手に入らない清き男性をそのはるかに見つつ…美しい美登利の姿に終焉する物語に、私は耽美といいきれないリアリズムを感じる。
    20歳大学一年、英語の教授が夏休みに、日本語で評せよと謎の課題としての扱いで読んだ記憶…妙な思い出とともに、時代

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    2009年10月04日
  • 明治深刻悲惨小説集

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     お前の罪じゃ無い、世の中の罪だ
               (田山花袋「断流」より)

    人生の不条理・社会の闇と真正面に向き合い描かれた「悲惨小説(深刻小説)」または「観念小説」と呼ばれる作品のアンソロジー。あまり聞き慣れぬ作家の、大手出版社の文庫本レーベルにもなかなかラインアップされない作品をたくさん味わえる貴重な一冊だと思う。

     川上眉山「大さかずき」
     泉 鏡花「夜行巡査」
     前田曙山「蝗売り」
     田山花袋「断流」
     北田薄氷「乳母」
     広津柳浪「亀さん」
     徳田秋声「藪こうじ」
     小栗風葉「寝白粉」
     江見水蔭「女房殺し」
     樋口一葉「にごりえ」

    性別、生まれ、家庭の経済状況……。収録

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    2025年10月17日
  • にごりえ たけくらべ

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    『たけくらべ』は難しかったですが、『にごりえ』は読みやすかったです。『にごりえ』は1文か2文で章が終わっているので、今の小説に読み慣れているとかなり驚くかもしれません。

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    2025年08月06日
  • にごりえ たけくらべ

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    Audieble にてにごりえを聴く

    たけくらべよりわかりやすかった。会話が多かったからかも?今べらぼうで吉原の遊女の話見てるから、この話の遊女はもっと格下なんだろうけど話し方とかで繋がるなと思った。最後はかなり呆気ない。途中おりきの吐露がきっと現代語訳で聞いたらもっとぎゅっとくるものがあるのだろうなとおもった。また現代語訳も聞いてみたい

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    2025年05月21日
  • 明治深刻悲惨小説集

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    古い小説が多いのですけれども、割かし読みにくさも感じずに読めたかと思います…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、少々解釈が難しい部分もあったのですが…また機会があれば再読したい作品群でしたね!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    亀さん…とかいう作品が一番印象に残りましたかねぇ…女性なら誰でも構わずについていく、抱き着いて行こうとする男性の話…(;´∀`)

    実際に居たら困惑する人物ですけれどもまあ、印象には残りましたねぇ…。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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    2024年12月08日
  • にごりえ たけくらべ

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    旧字体でなかなか頭に入ってこず、かなり苦戦したけれどなんとか読破。男性優位社会における女性たちの葛藤を描いた画期的な作品で、女性の社会進出に多大な影響を与えたであろうことを感じさせられた。
    当時の価値観を反映した男女の葛藤は今読むと新鮮さもあるが、一昔前の昭和にはまだこの男性優位の価値観は存在したし、現代においても忘れてはいけない反省すべき風習だ。身の回りで女性差別などの問題が浮上したり、意識したいと思ったときに、定期的に読み返したい作品だった。

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    2022年12月05日
  • にごりえ・たけくらべ

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    2021年 32冊目  

    これほど美しい文学を今まで読まずにいたことは自分にとって大きな過ちでした。文語体なので主語がなく場面の切り替わりが急なので多少まごつきますが、現代文でこの繊細な筆致を堪能することはできなかったでしょう。

    ・たけくらべ
    フィリップ・アリエスの「子どもの誕生」のように、当時の日本も子どもって観念はなかったんじゃ。年端をいかないうちから奉公に出て、居住地区間の争いがあり、当然のように運命を受け入れる。あどけない子どもたちと思いきや、初潮を迎え遊女の将来を悟ったり出家したりの登場人物の境遇、心情を推測するのが難しかったです。
    最後の1ページ、慈愛と悲壮と諦観がちりばめられ

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    2021年04月14日
  • にごりえ・たけくらべ

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    脚注にない言葉の意味を確認するため、いちいち辞書を引く必要に迫られることも屡々あろうが、何より時代背景が違うのだから、それは致し方ないと言うべきなのであろう。
    最初は擬古文の読みにくさを感じていたが、よくよく考えれば、明治時代に書かれたものを現代の小説を読むのと同じスピードで読むこと自体が不自然なのである。ゆっくり一つ一つの言葉を噛み締めながら読んでいくと、自ずと意味も通じて、暫し明治時代にタイムスリップしたかのような気分を味わえた。

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    2020年07月11日
  • たけくらべ

    購入済み

    たけくらべ

    とにかく、日本の名著の一冊です。文章は一文が物凄く長く、文体も、なかなか読みにくいですが、読み返すうちに少しづつ分かってきます。吉原花街にかかわる4人の子供たちの青春物語でもあります。一葉は日本近代文学の出発点に位置した作家と言われています。24歳で亡くなったのは惜しまれます。

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    2019年04月15日
  • ちくま日本文学全集樋口一葉

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    これは難しかった。最初の「たけくらべ」を20ページぐらい読んで、これはカナワンと放り出していた。
    こういう文章です。

    龍華寺の信如、大黒屋の美登利、二人ながら學校は育英舍なり、去りし四月の末つかた、櫻は散りて青葉のかげに藤の花見といふ頃、春季の大運動會とて水の谷(や)の原にせし事ありしが、つな引、鞠なげ、繩とびの遊びに興をそへて長き日の暮るゝを忘れし、其折の事とや、信如いかにしたるか平常の沈着(おちつき)に似ず、池のほとりの松が根につまづきて赤土道に手をつきたれば、羽織の袂も泥に成りて見にくかりしを、居あはせたる美登利みかねて我が紅の絹はんけちを取出し、これにてお拭きなされと介抱をなしけ

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    2017年12月17日
  • にごりえ・たけくらべ

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    明治時代を逞しく生き抜いた女性を鮮明且つ生々しく描かれており、当時の社会を知るには適当な書物である。また、ぼかした表現があり、謎に包まれたまま終焉を迎える点は、読者を引き込む力がある。

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    2014年08月20日
  • にごりえ・たけくらべ

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    文語体の小説。
    「。」が「、」になってたりするため、慣れるまではちょっと大変。
    しかし一旦慣れると、樋口一葉の美しい日本語による洗練された世界観にどっぷり浸れます。

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    2013年01月19日
  • にごりえ たけくらべ

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    少女マンガかと思った。

    明治以降子女への教育が盛んになり、裕福な家庭の子女による教養というか娯楽としての文学が出るようになった一方で、古文を勉強した経歴から古典的な仏教文化に基づいた、それでいてそこまで裕福でなく吉原の近くで生活環境のよくないところで暮らした過去が作品に特徴を与えている。らしい。

    ひらがな中心とかはそうだけども、現代でもありそうなレベルの人の表裏の複雑な感情と生活が描かれていて、正直すごいと思った。
    まあ少し少女漫画的な恥ずかしさに悶絶したけども。

    時代が時代だからスラスラは読みにくいけども、おすすめ。

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    2012年10月16日
  • にごりえ たけくらべ

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    文章の美しさもさることながら、キャラメイキングがたまらんですよ。気が強くてめんどくさい女性、大好きです。

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    2012年08月11日
  • にごりえ・たけくらべ

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    文体に慣れるまでに時間がかかるけど、慣れてしまえば心地よい、さらさらとしたとてもきれいな日本語。
    内容も興味深い話が多く、樋口一葉のすごさを感じた。

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    2012年07月22日
  • にごりえ たけくらべ

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    いわずと知れた明治の文学。いつかは読もうと思いつつ、55歳を超えてはじめて読む。だからこそかもしれない。「たけくらべ」はせつなく、悲しく、十代の淡い思いがよみがえる。さらに悲しくもある。
    これからは何度も繰り返し読むことになるだろう。

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    2015年09月20日