【感想・ネタバレ】にごりえ たけくらべのレビュー

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Posted by ブクログ

実は、しっかりと読んだことがなかったのです。にごりゑ、たけくらべ、なんというか、その叙情性、切り取られたカットごとの深い印象、吉原の女性を取り巻く悲哀が描き出されています。天才紫式部が見透し、愛惜の念を持って描き出した平安の世の女性の行く末を彷彿とさせる傑作。特に、たけくらべで、美登利が信如の後ろ姿を「何時までも、何時までも、何時までも」見送るシーン、淋しく雨に濡れる紅入り友仙、霜の朝に差し入れられた水仙の作り花の各シーンが、まるで映画のワンシーンのように、決して交わることのない男女の行く末を哀しくあぶり出して、独りでに涙が出ます。

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2016年11月11日

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思わずため息をついてしまうくらい清廉として、そしてどこかほの暖かい日本語で書かれているなと感じました。

ろうそくの光のような雰囲気を持った日本語。

柔らかく、どこか輪郭のぼやけた先には深い闇もあって…はっきり見えない霞の向こうを知りたいような、知らずにいた方がいいような…曖昧さが心地よく、そして物悲しい。

『にごりえ』はストーリーがよく分かったのに、『たけくらべ』はイマイチお話についていけなかったのは何故かしら?

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2012年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

NHKのテレビ番組のJブンガクを見ています。
2010年の8月に にごりえを紹介していたので読み直しました。

相手はいくらもあれど一生を頼む人が無いのでござんす

というくだりを

Sure, I have loads of admires - but no one I can trust my life to.

と訳していました。 最後のtoは思い至りませんでした。

へー,そう訳すんだと
にごりえ の中身と英語の勉強になりました。

英語にしてみるとにごりえ の良さと日本語の良さを再認識できることが分かりました

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2012年03月21日

Posted by ブクログ

8/3
軽妙洒脱。
焦点移動の巧みさと流麗な文体に、悔しいかな男性作家じゃかなわない。
川上未映子のはるか上を行っている。気がする。

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2009年10月07日

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遊郭の周辺に生きる人々を舞台にした小説です。一葉自身がそのような場所に住んでいたからこそのりありてぃーがあります。現代語に訳したら魅力が消えてしまう。ぜひ原文で読んで欲しいです。明治は古典じゃなくて近代ですから。

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2009年10月04日

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一葉の没した24歳すぎて再度読み返した。「たけくらべ」の美登利は「ええ厭々、大人になるは厭やな事…」と彼女ら吉原遊郭周辺に暮らす子供達に「思春期」「青春期」モラトリアムという猶予期間はない。子供の時間を終えたら、大人になり職につく。酉の市を境に「子供、子供である時間」を終えて遊女としての身の哀しさを知ったか、少女美登利は憂いて沈み、水仙の造花を懐かしい想いで眺める…手に入らない清き男性をそのはるかに見つつ…美しい美登利の姿に終焉する物語に、私は耽美といいきれないリアリズムを感じる。
20歳大学一年、英語の教授が夏休みに、日本語で評せよと謎の課題としての扱いで読んだ記憶…妙な思い出とともに、時代の先端を生きつつも、家を守る古風な明治の女性一葉の存在を感じるに、自立、の意識が私にはまだ足りないか。?

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2009年10月04日

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旧字体でなかなか頭に入ってこず、かなり苦戦したけれどなんとか読破。男性優位社会における女性たちの葛藤を描いた画期的な作品で、女性の社会進出に多大な影響を与えたであろうことを感じさせられた。
当時の価値観を反映した男女の葛藤は今読むと新鮮さもあるが、一昔前の昭和にはまだこの男性優位の価値観は存在したし、現代においても忘れてはいけない反省すべき風習だ。身の回りで女性差別などの問題が浮上したり、意識したいと思ったときに、定期的に読み返したい作品だった。

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2022年12月05日

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少女マンガかと思った。

明治以降子女への教育が盛んになり、裕福な家庭の子女による教養というか娯楽としての文学が出るようになった一方で、古文を勉強した経歴から古典的な仏教文化に基づいた、それでいてそこまで裕福でなく吉原の近くで生活環境のよくないところで暮らした過去が作品に特徴を与えている。らしい。

ひらがな中心とかはそうだけども、現代でもありそうなレベルの人の表裏の複雑な感情と生活が描かれていて、正直すごいと思った。
まあ少し少女漫画的な恥ずかしさに悶絶したけども。

時代が時代だからスラスラは読みにくいけども、おすすめ。

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2012年10月16日

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文章の美しさもさることながら、キャラメイキングがたまらんですよ。気が強くてめんどくさい女性、大好きです。

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2012年08月11日

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いわずと知れた明治の文学。いつかは読もうと思いつつ、55歳を超えてはじめて読む。だからこそかもしれない。「たけくらべ」はせつなく、悲しく、十代の淡い思いがよみがえる。さらに悲しくもある。
これからは何度も繰り返し読むことになるだろう。

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2015年09月20日

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鎌倉の鶴が岡八幡宮近くの鏑木清方の美術館で一葉の墓に美登利の幻が佇む絵を見たことがある。その時から、いつかは読まなければと思っていた。
「たけくらべ」で思い出すのは、魔法使いサリーちゃん。40年ぐらい前の小学生の頃、春休みか夏休みの再放送で見た。(本放送中は男の子向けマンガを見ていたんだろう。)魔法使いは小説を読むと、物語の中に惹き込まれてしまう。本を読んだサリーちゃんが小説世界の中で美登利になってしまうという話だった。父親の大魔王の魔法で助け出されるのだが、話自体は大した盛り上がりも無く、変な違和感があった。

「たけくらべ」自体、短くて淡々とした物語。美登利と信如の間には何も起こらない。ある日、少女と少年の日が終わる。読み終えて堪らない寂寥感につまされた。
雅俗折衷体の文体は、かなりてこずったが、言文一致体で書かれたら、ピンとこないんだろうなあ。

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2012年03月18日

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夜中にAUDIOカセットで聞いていたら寝てしまったので翌朝もう一度聞いた。
文体が旧態なので、本ではじめに読むとしんどいと思う。テープでよかった。
朗読の幸田弘子さんもすごくよかった。
樋口一葉を中心に朗読活動を続けている女優さんでH.8に紫綬褒章を受章している人らしい。
源七の息子の太吉の声なんて、びっくりするほど上手だった。
話の内容も、銘酒屋(置屋のこと)の看板娘お力へ入れ込んだ源七のやるせなさや
それを夫にもってしまったお初のなさけなさ、それでも離縁してくれるなとせがむ哀しさ
太吉から鬼、鬼、と呼ばれるお力の人生(家族、恋)など盛りだくさんでありながらするすると
物語に吸い込まれるような文体でとてもよかった。
どちらかというとやはりお初に感情移入してしまって、10年連れ添って我慢しつづけたのに
たったいっぺんその愚痴をこぼしたからといって「そんなことが妻のすることか」と罵られ
離縁をつきつけられるなんてひどすぎると思った。昔の妻ってほんと忍耐だったんだなあ。
蒲団やをつぶしてしまい働かなくなった源七のかわりにたった2畳の長屋でせっせと休むことなく
内職をつづける姿ははっきりと想像できて、痛ましすぎて悲しかった。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

本書のタイトルにもある、「にごりえ」と「たけくらべ」の2作が収録されています。
樋口一葉は他にも「大つごもり」や「十三夜」など、代表作と呼べるものはあるのですが、それはそのうち。

樋口一葉といえば、近代初の女性職業作家なのですが、それまでの作家たちの恋愛描写に比べ、女性側からの視点での心理が書かれている点が新鮮に感じました。
本作以前、逍遥以降に書かれた恋愛は全て男性視点で、もっと物理的な描写をしているイメージを持っています。
また、一方で、ジェンダーに走った描写をしていないのも良かったと思います。
他の作品に関してはわかりませんが、本作に関しては、作中にリアリティに欠くレベルで我の強い女性が出て来るわけではなかったです。

両作とも素晴らしい作品なのですが、一方で読みづらさも感じました。
「たけくらべ」は前半、なかなか読み進めることができず、「にごりえ」に関しては、あらすじを頭に入れてから読まないと何が何だか分からないと思います。
山田美妙や森鴎外に比べると、まだこなれた感があって読みやすいのですが、それでも場面転換が多く、気がついたら今がどういう場面かわからなくなることがちらほらあります。
薄い短編なのですが一気に読もうとせずに、十分咀嚼しながら読み進めることをお勧めします。

2作の各々の感想は下記の通り。

・にごりえ …
単純明快な内容なのですが、遠回しな表現(あるいは、読者の想像にお任せする場面)が多く、非常に読み進め難かったです。
私は、文章や表現の難解さから、読む前にまずググって、あらすじを頭に入れてから読み始めることをおすすめしますが、解釈は読者に任せる内容になっているため、難解だろうがまずは解説なしに読みたいという方は、挑戦してみても良いと思います。

・たけくらべ …
森鴎外、斎藤緑雨などに影響を与えた、樋口一葉で一番有名な代表作。
前半はとっつきにくかったですが、中盤以降の美登利と信如の淡い関係が書かれたあたりからは比較的楽に読み進められました。
吉原に住む子どもたちの話で、美登利と信如の他にも幾人か子どもたちが登場し、2つのグループに別れて対立しています。
美登利と信如を中心とした解説が多いですが、この二人が登場するシーンは印象的だけど実のところ少ないです。
主役は登場する子どもたち全員で、子どもたちが大人へ成長する、その余韻というか虚無感というか、そういったところが本作のテーマだと感じました。

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2017年07月22日

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