樋口一葉のレビュー一覧
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鎌倉の鶴が岡八幡宮近くの鏑木清方の美術館で一葉の墓に美登利の幻が佇む絵を見たことがある。その時から、いつかは読まなければと思っていた。
「たけくらべ」で思い出すのは、魔法使いサリーちゃん。40年ぐらい前の小学生の頃、春休みか夏休みの再放送で見た。(本放送中は男の子向けマンガを見ていたんだろう。)魔法使いは小説を読むと、物語の中に惹き込まれてしまう。本を読んだサリーちゃんが小説世界の中で美登利になってしまうという話だった。父親の大魔王の魔法で助け出されるのだが、話自体は大した盛り上がりも無く、変な違和感があった。
「たけくらべ」自体、短くて淡々とした物語。美登利と信如の間には何も起こらない。あ -
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夜中にAUDIOカセットで聞いていたら寝てしまったので翌朝もう一度聞いた。
文体が旧態なので、本ではじめに読むとしんどいと思う。テープでよかった。
朗読の幸田弘子さんもすごくよかった。
樋口一葉を中心に朗読活動を続けている女優さんでH.8に紫綬褒章を受章している人らしい。
源七の息子の太吉の声なんて、びっくりするほど上手だった。
話の内容も、銘酒屋(置屋のこと)の看板娘お力へ入れ込んだ源七のやるせなさや
それを夫にもってしまったお初のなさけなさ、それでも離縁してくれるなとせがむ哀しさ
太吉から鬼、鬼、と呼ばれるお力の人生(家族、恋)など盛りだくさんでありながらするすると
物語に吸い込まれるよう -
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この本を読んで、吉原へ行ってみようとふと思った。一葉が見つめた風景を1.5世紀ほど経った今、見てみたいと思った。
そういえば、東京に来てから吉原には行ったことがない。(行く用事がない、、、)
浅草駅を降り、外国人でごったがえす、浅草寺の脇を抜け、千束までたどり着いた。
陽は雲に隠れているが、汗が吹き出すほど蒸し暑く、頭上にかぶさる曇天に、身も心も押しすくめられる。
抱えきれない欲望を抱えて、足早に急ぐ人らを白鬼たちが物陰から見ていそうだ。
お歯黒どぶを埋め立てたのだろう花園通りから吉原大門跡まで歩くと、「よし原大門」と書かれたか細い門柱が立っていて、その脇に交番が備え付けられていた。
土手 -
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君知らずや、人は魚の如し、暗らきに棲(す)み、暗らきに迷ふて、寒むく、食少なく世を送る者なり。北村透谷 雑誌「文学界」1893
美人の鑑には遠いが、物言う声は細く清(すず)しく、人を見る目は愛嬌に溢れて、身のこなしが活き活きとしている。樋口一葉『たけくらべ』1895
樋口一葉『にごりえ』1895
されど人生いくばくもあらず。うれしとおもふ一弾指(短時間)の間に、口張りあけて笑はずば、後にくやしくおもふ日あらむ。森鴎外『舞姫・うたたかの記』1890
人は性欲の虎の背に乗って絶望の谷に落ちる。森鴎外『ウィタ・セクスアリス』
妖艶な美女。道行く男を色香で誘い、獣に変えてしまう▼おんなが裸に -
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少し読みやすめの古典だったー!
恐らくニュアンスわかってない。
森鴎外は読めたのにな…明治の女流文学ってこうなのか?
これしか読んでいないのでわからない。
良いシーンとか絵になりそうな情緒はわかるんだけど、細かなところがね。
句点がなく1章まるまる1文で終わっちゃうところなんかもあったが、文章の節回しは完璧。さすが古典。
裕福な男子が哲学だヨーロッパだと遥かな未来を見据えているのと同じ時代に、貧しい女性は見え透いた未来に一歩ずつ落ちていくだけ。
生まれと境遇が切り離せず、涙を飲んで生きるしかない。
今の日本社会もきついが、この時代も苦しい。
いつの時代に生まれれば幸せだったんだろう。
お金さ -
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単純に4名の文豪の吉原をテーマの作品を揃えただけかと思いきや、これはこの文庫を企画編集された人のアイディアが面白い。
まず最初に荷風の「里の今昔」という随筆を持ってきて、その中で江戸の情緒が残る明治期の吉原の思い出を語らせます。
そしてその随筆内で荷風が推す「当時の吉原が上手く作品に描かれている」として、樋口一葉の「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」の3作品を挙げており、それを続けて掲載した一冊という体裁になっています。
ですので、読み方によっては「永井荷風セレクト吉原アンソロジー」って感じで楽しめる仕上がりです。
巻末解説(川本さん)に詳しく述べられていますが、3作品それぞ -
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本書のタイトルにもある、「にごりえ」と「たけくらべ」の2作が収録されています。
樋口一葉は他にも「大つごもり」や「十三夜」など、代表作と呼べるものはあるのですが、それはそのうち。
樋口一葉といえば、近代初の女性職業作家なのですが、それまでの作家たちの恋愛描写に比べ、女性側からの視点での心理が書かれている点が新鮮に感じました。
本作以前、逍遥以降に書かれた恋愛は全て男性視点で、もっと物理的な描写をしているイメージを持っています。
また、一方で、ジェンダーに走った描写をしていないのも良かったと思います。
他の作品に関してはわかりませんが、本作に関しては、作中にリアリティに欠くレベルで我の強い女性 -
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お札になるほどの人なので教養として読んでおこうと手に取った作品。
しかし最初の数ページ読んで後悔しました。
とっても読みづらくて。
一文が物凄く長いんですよね。
その上、話者がコロコロ変わるので誰が喋っているのか
とても分かりづらいという。
話の筋を追うだけでも苦労するという感じだったので
読み切れるかなと不安になりました。
しかし、当初の不安もどこへやらという感じで。
当然現代とは時代背景が全く違うわけですが
当時の文化や習慣などを思い浮かべながら読むのが
途中からは楽しくなりました。
表現が多彩で登場人物が生き生きとしていて惹き込まれていきました。
こういうのを文才というのかと思い知らさ