樋口一葉のレビュー一覧
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ネタバレここ半年の間に性風俗産業の世界を描いた五社英雄監督の映画や、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(森下佳子, 2025)に親しんだ。なので「今なら読めそう!」と思い再読。——改めて読むと、女性たちの苦しみを実に写実的に描いていてびっくり!
「にごりえ」は酌婦お力と、お力に入れ揚げて零落した源七の妻 お初の境遇がたまらない。一見お力は〈家〉の外に、お初は中にいて正反対のようだが、女性として〈家〉——男性に搾取されている点で二人は共通している。奪い合い、蔑み合っているようで同じ“地獄”に囚われているという皮肉で悲劇!
お力の「物思い」とは? 詳細は作中で明らかにされず。書き忘れたのか、 -
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一葉が漱石・鴎外に比べて(たぶん)読まれていないのは、その文体がハードルだからだろう。かくいう私も、一葉は本書が初めて。長時間移動する機会ができたので(つまり、他に読むものがないので投げ出せない)、挑戦してみた。
案の定、細部まで追うのには苦労したが、短編なのでとりあえず最後まで読み切る。で、また重要な箇所を読み返すと、だんだん理解が深まった。ネット上にはあらすじ紹介もあるので、後でそれで確認することもできる。
肝心の内容だが、文体の美しさや女性を描いたことの意義は言うまでもなく、展開の巧みさを感じた。なので、先ずは予備知識なしに読む方が、読後の印象は深まると思う。所収作のなかでは「十三夜 -
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あなた、私の心が見えましょう
鏡花目的で購入したけれど、この編集考えた人天才。永井荷風の随筆と、そこで紹介された3作品を収録している。
でもやっぱり鏡花が最高。
同じテーマでも圧倒的に美しく、優しく、悲しくて幻想的。
江戸っ子言葉も読んでいてたのしい。
たけくらべは川上未映子の新訳がでているからそちらで読む予定。昔一回読んだけどあんまり記憶にない。
あと、雅文が読めないのです。
広津柳浪は会話が軽快でとても読みやすかった。
この辺りは田んぼだったとか、今は残っていないお稲荷様とか、昔の浅草を想像して読むのがとても楽しかった。今はもうほとんど面影はないけど、土地勘ある人にはぜひ、みんなにす