小泉八雲のレビュー一覧
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日本の怪談って、どうしてこんなに美しいんだろう。
怖いというより、どこか人の業みたいなものが滲んでいて、
読むたびにその悲哀に胸がじんとする。
『小泉八雲の世界一美しい怪談』小泉八雲
まず言わせてほしい…
子供の頃に読んだ『耳なし芳一』と『雪女』、
「これどっちも小泉八雲の作品だったの!?」という衝撃。
そりゃ子供の頃、作者なんて気にしてなかったけどさ?
でも日本人なら誰もが一度は触れている物語なんだよね。 久
々に読み返したら、その美しさに息をのんだ。
平家の亡霊と夜を過ごしたことに気づく芳一。
氷のように透き通った、あの雪女の美しさと恐ろしさ。
小泉八雲 -
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小泉八雲といえば、怪談話の蒐集だけが有名ではあるが、実はそれが総てではない。此処に紹介されている話の多くは「怪談」ともいえない「ちょっと不思議な話」が多くある。
江戸時代。蔦屋重三郎の耕書堂の店先に展示されている本の数を、絵やドラマなどで確かめると、せいぜい20種類にも満たない。毎月様変わりして行ったとしても、せいぜい100作ぐらいが毎年の刊行著作だったろう。
そのうち、黄表紙滑稽本以外の著作はどれくらいあったのだろうか。
人は常に物語を欲している動物である。
ちょっと怖いけど、なんかスッキリしない、なんか悲しい、なんか心があったまる、なんか腹立たしい、そんな話を聞いて、人はなんか心を整 -
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小泉八雲が外国人だったと最近になって知った。
内容は日本なのに文体が訳書なところが、「外国人が日本を舞台にして作ったゲームに感じる違和感」に似て趣があるというか、独特で面白い。
私は「茶碗の中」が特に好き。
ミステリー的な面白さがありながら、丁度続きが気になるところで尻切れ蜻蛉…前につんのめるような感覚。茶碗の中の男が何者なのか、何が目的なのか…何も分からないまま。
今の時代「分からなさ」を「分からなさ」のままにしておくことはあまり歓迎されず、明快であることが大きな価値基準とされている。それはそれで良いのだが、こういった「どうにも消化できない澱」というのは忘れ難く好ましい。
電灯の届かない不 -
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ネタバレ作者である小泉八雲先生が残した作品集から選び抜かれた作品がまとめられた今作。日本の19世紀の日常の生活や民族習慣、民話や伝説さらには怪談など様々なものが描かれている。
怪談話には、聞いたこともある話がたくさんあり、そのモチーフや最初になった作品なのかな、とも思えた。
また、「日本人の微笑」はとっても興味深い作品であった。これは、小泉八雲が感じた日本の習慣や良いところ、国民性を描いているエッセイみたいなものだった。その中で欧米の価値観である人権の意識や資本主義が導入されると日本人の伝統的な価値観が失われ、貧者への圧倒的な義務を課す社会となるだろう、と予言しており、実際にそのような社会になっている -
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何度読み返しても素晴らしい。上田和夫の訳も好きだ。「影」「日本雑記」「怪談」などの短編集から選ばれた作品集である。英国人だった八雲は妻の節子から怪談話を聞き、それを英文の本にまとめた。その意味で彼は小説家ではなく翻訳家であって、ほとんどの話に出典があり、他の作家の話を文章に書き起こしているものも多い。有名な「耳なし芳一の話」も元ネタはあるが、似た話は西日本に多く残る昔話で柳田國男は徳島の「耳切り団一」の話として書いていた。私が好きな話は、未完で終わるが故に謎と恐怖が最高潮のままで余韻を残す「茶碗の中」と微笑む日本人の謎について語るエッセイ「日本人の微笑」でしょうか。
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ラフカディオ・ハーンが来日前に書いた2作の小説を収録した1冊
とにかく風景や風俗の描写が丁寧で細かいのだけど、文章が素晴らしく上手くて読みながらその場所の景色が目の前に広がるような臨場感が半端なかったです。延々と風景描写が続いて一向に物語が進まないのも全く気にならないし、なんならもっと読みたいと思ったくらい。
物語の方も、白人の立場ではなくて、クレオールや黒人に寄り添う書き方をしていて、後年、異国の地で生涯を終える人生を歩んだベースがこの頃にはすでにあったのだなと思いました。
ユーマの方で、地元の怪談的な民話が挿入されていたのも面白かったです。
朝ドラを見てるので、作品を通して彼の人生 -
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小泉八雲の日本名で知られる「ラフカディオ・ハーン(1850~1904年)」の、その54年の生涯に於いて書かれた小説は僅か二編のみで、それら「チータ─最後の島の思い出」と、「ユーマ─西インド諸島の奴隷の物語」を収録したのが、本書になります。
1886~1889年にかけて執筆された作品だけれども読みやすくて、これには平川祐弘さんの訳が大きいのではないかと感じながら、更に彼自身による29ページもの充実した解説がハーンの作品を初めて読む私にはありがたくて、そこからは本書の二編についてだけではなく、他の作品やハーン自身のパーソナリティや生き方との繋がりも知ることができたことによって、ハーンに対する -
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怪談話以外の随筆は私には少し難しかった。けれど八雲が、題材のことを面白がって書いているように感ぜられた。
『力(りき)ばか』という話に出てくる力は、精神年齢が2歳ほどの16歳。名前にばかと付けるのはどうかと思うが、この時代は差別があまりなかったのか、力は世間から優しくされていたと書かれていたのが印象に残った。
昆虫の研究の『蚊』は、真面目に書いているのだろうがなんだか笑えた。蚊に苛まれる八雲を朝ドラのヘブン先生のイメージで想像すると可笑しい。『蚊』についてヘブン先生役のトミーさんが話しているのをInstagramのショート動画で見た。八雲の墓に参ったトミーさんが、墓前で蚊に刺された話をして -
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有名なお話から、そうでないお話まで網羅らされている。
アイルランド出身とは思えないほどの堪能な日本語ではある(訳者が実に上手い)が、ベースはやはりヨーロッパ人だなと思われる記述が見られる。
個人的には作品の真ん中ぐらいの278ページ「心中」あたりから、 ラフカディオハーンならではの感想が入ってくるのが、非常に面白く感じる。
それまでは、忠実に昔話を再現しているが、ハーン自身の心情も組み込まれている。
とくに『日本人の微笑』におけるイギリス人と日本人の比較は、当時の日本人がどういう存在であるかを知ることができる貴重な資料のようにも感じる。
日本人として生き、日本の中にいると、当たり前のように感