小泉八雲のレビュー一覧
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小泉八雲といえば、怪談話の蒐集だけが有名ではあるが、実はそれが総てではない。此処に紹介されている話の多くは「怪談」ともいえない「ちょっと不思議な話」が多くある。
江戸時代。蔦屋重三郎の耕書堂の店先に展示されている本の数を、絵やドラマなどで確かめると、せいぜい20種類にも満たない。毎月様変わりして行ったとしても、せいぜい100作ぐらいが毎年の刊行著作だったろう。
そのうち、黄表紙滑稽本以外の著作はどれくらいあったのだろうか。
人は常に物語を欲している動物である。
ちょっと怖いけど、なんかスッキリしない、なんか悲しい、なんか心があったまる、なんか腹立たしい、そんな話を聞いて、人はなんか心を整 -
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小泉八雲が外国人だったと最近になって知った。
内容は日本なのに文体が訳書なところが、「外国人が日本を舞台にして作ったゲームに感じる違和感」に似て趣があるというか、独特で面白い。
私は「茶碗の中」が特に好き。
ミステリー的な面白さがありながら、丁度続きが気になるところで尻切れ蜻蛉…前につんのめるような感覚。茶碗の中の男が何者なのか、何が目的なのか…何も分からないまま。
今の時代「分からなさ」を「分からなさ」のままにしておくことはあまり歓迎されず、明快であることが大きな価値基準とされている。それはそれで良いのだが、こういった「どうにも消化できない澱」というのは忘れ難く好ましい。
電灯の届かない不 -
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ネタバレ作者である小泉八雲先生が残した作品集から選び抜かれた作品がまとめられた今作。日本の19世紀の日常の生活や民族習慣、民話や伝説さらには怪談など様々なものが描かれている。
怪談話には、聞いたこともある話がたくさんあり、そのモチーフや最初になった作品なのかな、とも思えた。
また、「日本人の微笑」はとっても興味深い作品であった。これは、小泉八雲が感じた日本の習慣や良いところ、国民性を描いているエッセイみたいなものだった。その中で欧米の価値観である人権の意識や資本主義が導入されると日本人の伝統的な価値観が失われ、貧者への圧倒的な義務を課す社会となるだろう、と予言しており、実際にそのような社会になっている -
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何度読み返しても素晴らしい。上田和夫の訳も好きだ。「影」「日本雑記」「怪談」などの短編集から選ばれた作品集である。英国人だった八雲は妻の節子から怪談話を聞き、それを英文の本にまとめた。その意味で彼は小説家ではなく翻訳家であって、ほとんどの話に出典があり、他の作家の話を文章に書き起こしているものも多い。有名な「耳なし芳一の話」も元ネタはあるが、似た話は西日本に多く残る昔話で柳田國男は徳島の「耳切り団一」の話として書いていた。私が好きな話は、未完で終わるが故に謎と恐怖が最高潮のままで余韻を残す「茶碗の中」と微笑む日本人の謎について語るエッセイ「日本人の微笑」でしょうか。
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有名なお話から、そうでないお話まで網羅らされている。
アイルランド出身とは思えないほどの堪能な日本語ではある(訳者が実に上手い)が、ベースはやはりヨーロッパ人だなと思われる記述が見られる。
個人的には作品の真ん中ぐらいの278ページ「心中」あたりから、 ラフカディオハーンならではの感想が入ってくるのが、非常に面白く感じる。
それまでは、忠実に昔話を再現しているが、ハーン自身の心情も組み込まれている。
とくに『日本人の微笑』におけるイギリス人と日本人の比較は、当時の日本人がどういう存在であるかを知ることができる貴重な資料のようにも感じる。
日本人として生き、日本の中にいると、当たり前のように感 -
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小泉八雲文学忌、八雲忌
さてと、今年の新潮文庫の100冊に何故か
小泉八雲集。
きちんと分類された短編集で、久しぶり再読の短編もあり、全くの未読も多々あり。
印象的な作品は、日本人の微笑について書かれたもの。決して、日本人の微笑を卑下することなく
悲しみも微笑で表す繊細な状況を理解している。
せっかくなので、再読しなくて良いように覚書多めとなりました。
「影」1900年(明治33年)
今昔物語や御伽百物語に題材をとる。
⚪︎和解(京都)
困窮した若侍は妻を捨て、新たな妻と伝地へ向かう。やがて別れて戻ると、そこは屍の家となっていた。
⚪︎衝立の乙女(京都)
恋い慕った衝立の絵の女が、現実 -
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【一言感想】
曖昧なモノゴトに対して目を向けていくと
感性が成長していく
恐怖の裏にある日本古来の道徳観や教訓、文化、情念などが含まれる怪談に興味を持ったギリシア人から帰化して日本人となった小泉八雲氏が記録・世界に紹介したものの中の代表作を収録された一冊
小泉八雲氏は西洋の利己的な側面が強いことを嫌っていたらしく、物質主義に傾倒しすぎると自分や他人を型に嵌めたがってしまい、感情に対しては薄情となり、道徳観や幸福感も低下してしまうと本書の中でも指摘をしていました("日本人の微笑")
曖昧なモノゴトに対して目を向けていくことで、一つの型に当て嵌めようとはせずに、捉え方の幅 -
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小泉八雲の本を読むと
言い知れぬ女心が、殿方たちを恐れへと
誘っていたのかな。。。
などと、人の心の恐怖へ誘われるけど。。。
本当は日本女性の純粋さ
想い人を遺して先立つ哀れさ
儚い約束を信じて旅立つ哀れさ
その切ない念が小泉八雲を通じて
悲しい運命の女心が切々と綴られていたのが
なんとも心が締めつけられる思いだった。
時代背景から心中が多かったこと。
その理由もこの本から知ることができた。
だから、明治以降の文豪たちの作品には
叶わぬ恋ゆえの悲哀が多いのかな。。。
小泉八雲さん
日本は随分と変わりましたよ。
現代の日本人を、どう書き残してくれるかな。。。
どんな神々の音楽を聞くことがで