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ラフカディオ・ハーン=小泉八雲が来日前に発表した貴重な小説2編を収録。このアメリカ南部や仏領西インド諸島を舞台にした小説が高く評価され、ハーンは日本に通信員として派遣されることになった。
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Posted by ブクログ
小泉八雲の日本名で知られる「ラフカディオ・ハーン(1850~1904年)」の、その54年の生涯に於いて書かれた小説は僅か二編のみで、それら「チータ─最後の島の思い出」と、「ユーマ─西インド諸島の奴隷の物語」を収録したのが、本書になります。 1886~1889年にかけて執筆された作品だけれども読...続きを読むみやすくて、これには平川祐弘さんの訳が大きいのではないかと感じながら、更に彼自身による29ページもの充実した解説がハーンの作品を初めて読む私にはありがたくて、そこからは本書の二編についてだけではなく、他の作品やハーン自身のパーソナリティや生き方との繋がりも知ることができたことによって、ハーンに対する新たな興味を促してくれた。 「チータ」は、冒頭から約30ページかけて、アメリカはニューオーリンズの南、メキシコ湾の岸に連なる島々に関する自然描写が続くことに驚いたものの、平川さんの解説によると、ハーンの小説について『民俗学的観察と印象主義描写』が色濃く表れているということには肯けるものがあって、それはハーンの自然描写に思わず想像してみたくなるような一つ一つの対象にフォーカスした精密な細やかさがあると共に、どこか彼自身の思いも投影したような詩的な雰囲気を漂わせていたことと重なるものがあったからだ。 中でも印象深かったのが『海』の描写で、海とは生涯の友とも思えそうな感覚として捉えることのできる素晴らしさがある一方で、海とはこんなにも恐ろしいものなのだということを何度も痛感し、それは『人、祈ることを学ばんためには、海におもむくべし』や『海とは複雑で奇怪な一つの生命なのではないか』と人に思わせてしまう、他を超越した存在感には改めて自然の偉大さを思い知りながら、物語の主題となる奇跡の少女との、時の経過と共に移り変わる関係性も忘れられない。 そして、奇跡の少女のエピソードと交わるもう一つの主題とも思えた終盤のある人物の展開からは、これまた平川さんの解説より『感傷的小説』としての趣を感じられたことから、何とも言えない後味をもたらしてくれたのが、また印象深かった。 そんな小説としての構成に斬新さを感じられたのが「チータ」であるのならば、物語としての醍醐味を堪能できたのが「ユーマ」なのだと思い、それは「ダー」と呼ばれる黒人奴隷女の乳母が、その家族の中で高い地位を占めていることや、誰もがストーリーテラーで黒人、白人問わず口承文学を楽しんだことなどがあると聞くと、世の中も中々捨てたものではないなと感じられそうではあるけれども、法的には所有物だという奴隷であることを、人生の中のとても大切な局面に於いて痛感した時の絶望感といったら、どれ程のものであったのか、その狂おしいばかりの憤りは、『自分はこれまでずっと不幸だったのだという幻覚にとらわれた』、『燃えるような怒りを過去の長い、長い不正に対して向けた』なもよく表れていて、こうした絶望感はユーマのそれに比べたら遠く及ばないものの、私も自分自身を否定されたような現実に直面した時に感じる、これまでの人生に於ける悲しいことや不快なことを思い出しては、ずっと不幸だったのだと怒り嘆く様と重なるものもあり、共感できたのだ。 更にそうした絶望感は、奴隷解放という待ちに待った歴史的な出来事が起こった後にも降りかかり、やはり長年積み重なってきた怒りの火はそう易々と消えるものではないことを思い知ったのだが、ユーマはそうでは無かったことに激しく心を打たれ、それは『自分の道義の感覚にそむく何かを感じたのである』や、『人間はなんらかの動機のためだけで親切になれるとお思いですか?』の言葉に秘められた、ユーマが乳母として人生を送った家族への恩や感謝の気持ちであり、それはマイヨットを支えてあげられるのは私だけだという確固たる意志の表れでもあった、そうした気持ちが、『ことごとく不幸だった、などというのは真実ではない』ことを思い出させてくれたことによって、同じ人種の中に於いても人間は変わることができるし救われることができるのだということを実感できたのは、『ユーマは人種としての狭い連帯よりも、人間としての連帯をより尊いもの』と信じた結果なのだと思う。 そんなユーマのキャラクター像は、『ギリシャの母ローザから受けた原体験が深く刻まれていたからこそ』だと書かれた平川さんの解説によって、ハーンの作品には彼自身の人生が色濃く投影されていることを感じ入った、それは『来日後も異人種の人である、小泉節子と正式に結婚し、家族のためを思って異国の日本に帰化するという、当時としては非常識な道を選んだのだろう』、という彼の行動から、『この世界には人種や民族を超えた価値がある』ことを教えられたことにも、よく表れていた、これだけ厳粛なテーマを題材にした作品に於いても大きな希望を与えてくれた、小説ならではの力なのであろう。
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