中原中也のレビュー一覧
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「生い立ちの歌」がイチバン好きです
Ⅰ
幼年時
私の上に降る雪は
真綿のようでありました
少年時
私の上に降る雪は
霙のようでありました
十七〜十九
私の上に降る雪は
霰のように散りました
二十〜二十二
私の上に降る雪は
雹であるかと思われた
二十三
私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました
二十四
私の上に降る雪は
いとしめやかになりました
Ⅱ
私の上に降る雪は
花びらのように降ってきます
薪の燃える音もして
凍るみ空の黝む頃
私の上に降る雪は
いとなよびかになつかしく
手を差伸べて降りました
私の上に降る雪は
熱い額に落ちもくる
涙のようでありました
私の上に降る雪に
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ネタバレ人の性格が数種類に異なるように、文学のあり方も幾通りかあるだろう。例えば、活力に満ちた起伏のある物語もあれば、静的で浮き沈みのない、人生を冷静に観察する物語もある。夢想を語るものもあれば、美に耽るものもある。文学は、書き手の性格と発想のスタイルが作り出したものではないか。◆私が勝手に名づけている文学スタイルの一つに「自己言及」がある。自分の内面に沈潜し、闇に閉じこもり、やっと出てきた言葉を紡ぐ時、その言葉は、もはや闇を纏わず、光を発する言葉となって、聞く人を勇気づける。中原中也はその典型だ。例えばこの詩。「あゝ、おまへはなにをして来たのだと/吹き来る風が私に云ふ」(「帰郷」)。◆詩人は元来自己
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中也全詩集を時間をかけて読んだ。今彼の詩を読んで所謂名作と言わてるものが物凄く際立っているように思えた。
好きだった作品をあげてみる。
山羊の歌より
・帰郷
・失せし希望
・汚れちまった悲しみに……
・生い立ちの歌
・時こそ今は…
在りし日の歌より
・冷たい夜
・湖上
・骨
・北の湖
・一つのメルヘン
・冬の長門峡
未発表詩篇より
・春の夕暮
・(概念が明日となれば)
・(秋の日を歩み疲れて)
・秋の日
・幼なかりし日
・夏の海
・夏
・湖上
・砂漠の渇き
・(吹く風を心の友と)
・(疲れやつれた美しい顔よ)
・コキューの憶ひ出
・細心
・酒場にて(定稿)
・脱毛の秋
・いちぢくの葉
・朝
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乙女の本棚シリーズから、中原中也さんとまくらくらまさんのコラボ作品「詩集『山羊の歌』より」です。この作品のイラストがスゴイんです!!画集としても楽しめるとうたっている、乙女の本棚シリーズの中でピカイチです。飾っておきたくなります。
「汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる」
あまりにも有名なフレーズ…中原中也さんの詩だったんですね!!この詩って、中原中也さんの失恋に基づく詩らしいです。
「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」
こちらは、「サーカス」という詩で…なんか、頭から離れなくなりますよね。サーカスの空中ブランコの描写らしいです。
この独特な世界、そしてホント美 -
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『汚れつちまつた悲しみに……』を初めて聞いたのは、小学生の頃。教育テレビでやっていた、"にほんごであそぼ"という番組でした。その時に、妙に耳に残る語感のよさが印象的で、もういちど、きちんと文字として読んでみたくなり、高校生になってこの本を手にしました。
表題作の『汚れつちまつた――』は、冒頭も印象的ですが、私は後半、三連目の
「汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む」
の部分が好きです。
他にも、『別離』『いのちの声』など、すてきな作品がたくさん載っています。
難しい言い回しはあまり使われておらず、詩をあまり読ん