鎌谷悠希のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレポポちゃんの言葉から歌うことにアイデンティティを求め始めたゆたかは、克服したと思われた音の洪水に再び悩まされることに。
オペラの練習も部活も休む日が続いてしまう。
そんななか、ゆたかを欠いた河海東中合唱部の面々は、いつかきっと彼が戻ってくると信じ、Nコンの予選に出場。自分たちの着地点に向け、着実に進んでいく。
ただ歌うことを楽しんでいただけのゆたかが、自分らしさを求めて葛藤する姿にエールを送りたい。
引っ込み思案な伊勢さんが、自分の内面とばかり対峙していたことに気づき、周囲に目を向けられるようになっていく過程も印象的。
少年たちのひたむきな姿と母のあたたかさに涙が出た。 -
Posted by ブクログ
まず10年前の回想であるが、是空使用の前の日でその態度を語り終えた後、一度現代に戻してから是空使用の日の行動を一気に語り挙げることで、回想を考える部分と緊迫感のある部分に分けているのが読者にとって非常に効果的に作用する。現代から回想後半への入り方がまた疾走感がある演出で、後半の衝撃的な事件性をとてもよく受け止められるのだろう。
回想後にしっかりその秘密を守り続けてきた帷先生のエピソードとして、英と壬晴の言葉を通して纏め上げているのも大変良い。
そして壬晴の話へと戻って、旭日の存在をここでも非常に効果的に使っているのがまた凄い。無関心であったことの理由には驚くこと間違いない。
この巻の最後の引き