高橋弘希のレビュー一覧
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ネタバレ圧倒的なリアリティとか読んだ人みんなが言っているのだがホントにそうで、見た人しか書けないような、圧倒的な生々しさが全編に漂っている。まるで太平洋戦争のその時その島のその場所の臭いまで感じるような内容。野火を読んだ時と同じような感覚も覚える。イメージのような戦いのない戦わない戦場があり、それ故の悲惨さが重くのしかかる。戦争だけはしたくないとつくづく思うし、自分の子どもが戦争に行き戦うと言うなら何も考えずに止めたい。戦場で戦おうが戦わなかろうが、死がそこにある状況、個人の意思に反した死を迎えざるを得ない場面を絶対的強者が作るべきではないと思う。戦わざるを得なかったというのは思考の停止であり、そうせ
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Posted by ブクログ
ネタバレ以前読んだ大岡昇平『野火』は古い作品であることもあり読み辛さがあったが、こちらは2017年刊行ということで非常に読みやすかった。
『野火』の終始タイヘンな生活とは大きく異なり、尾の小説の描写は長閑で平和な感じ。もちろん周囲は死で溢れているのだが、それも感傷的だったりドラマチックであったりブラックユーモアが交じっていたりと、大人しい文学という感じがした。戦争における日常。戦争が凄惨なものであるという前提に立てば、どこか壊れたけど平和に見える日常(2016年のヒット映画『この世界の片隅に』とか)が描かれていると言えるだろうか。
ただし、その日常が仮初めのものであり、そこにいた人が既に壊さ -
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あらすじを読んでみてすぐに気になった作品。
不穏な空気感、意味ありげな情景描写、緊張感のある文体、そういうのすべて好みでした。
ただ「スイミングスクール」と「短冊流し」の、どちらも上手く感想をまとめることが難しい。
自分がこの小説を読んで何を感じたのかが自分でもよく分からない。ただ心が確かにざわついた。
9歳の娘ひなたをスイミングスクールに通わせることにした早苗。
自分もかつてスイミングスクールに通っていたな、と早苗は自身の幼少時を回想していく。
母との確執、伯父との関係、まだ赤ん坊のひなたにぶつけた言葉、録音したカセットテープ。
どうにもならない過去があり、これからも続いてく日常がある。
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タイトルに惹かれて。そして、芥川賞作家がエンタメを書いた、ということで。
6つの連作短編とエピローグ。
ひとつひとつは非常に読みやすい勧善懲悪モノで、エピローグでいいオチが付いていた。
ブラックユーモアもネットスラングも味わい深い。
面白かったが、「ファイル6」以外は内容的に少し薄いかなとも感じた。
せっかくダークウェブにまで侵入してまで、と思うと、事件も復讐もスケールが小さい。
その日常性が魅力だとも言えるが、この手の復讐モノは割と溢れている、飽和状態だから、物足りないと感じるのかもしれない。漫画などを見れば……。
「子供部屋おじさん」と社会から揶揄される存在が、代行業として復讐するとい -
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社会から疎外された、こどおじが集い「子供部屋同盟」という復讐代行組織が、ダークウェーブに潜んでいる。
裁かれぬ現代社会の悪を子供部屋おじさんが、復讐するといったわけだ。
対価は動機という金銭を要求しないのも面白い。
成敗レベルは、悪戯レベルからタヒレベルまであり、レポート作成と同時に選択する。
ハロー、ハウロウ、こちら通信部のジョン・万次郎とのやりとりも危険さや冷たさを感じず逆に親しみを覚えてしまうのだが…
一気に読める痛快無比の世直しエンタメだった。
①パワハラ上司成敗
②オレオレ詐欺成敗
③痴漢冤罪成敗
④バイトテロ成敗
⑤書店万引き犯成敗
⑥いじめっこ成敗
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高橋弘希さんは芥川賞候補作の『指の骨』に続いて2作目(後に『送り火』でで芥川賞受賞)
本の紹介にはでかでかと「芥川賞作家が挑む、痛快・世直しエンタメ!」とあります。
ダークウェブ上で被害者の相談を受けた、いわゆる「こどおじ」(大人になっても実家の子ども部屋に住み続けている未婚の中年男性)集団が行う復讐代行を描いた短編集。パワハラ上司、祖母の貯金を巻き上げたオレオレ詐欺、痴漢冤罪。。。。確かに紹介通りの復讐代行。でも、そこは『指の骨』の高橋弘希、何かどんでん返しの様なモノがあるだろうと期待していたのですが。。。最後の最後に小さな反転がある位で、肩透かし。
まあ、エンタメに徹したと言えばそれまで -
Posted by ブクログ
高橋弘希さん、「送り火」とか「指の骨」のように読んでいていて気持ちが暗くなっていく本が多いから、世直し系というか成敗系の話書くんだ〜と思っていたら、やっぱりほんのり薄暗い…でも痛快。
酷い目に遭った人たちより子供部屋おじさん(おばさん)たちがどうして今こうしているのかを知りたくなった。でも語られないからこそ謎めいていていいな。
バイトテロされて訴えないとかいじめ加害者を直接的に成敗しないとか、ちょっとしたもやもやはあるけど現実ってこういう感じかもな。やたらリアルなのは最初の被害者が加害者の片鱗を見せて終わるところ。子供部屋同盟が解散しても、きっといずれ復活して彼は社会的に死ぬんだろうな。