高橋弘希のレビュー一覧

  • スイミングスクール

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    表題作ではひなたとお母さんのやり取りが淡々と記載されており,特にイベントはないが,深谷の家を売却する場面が何故か気になった.「短冊流し」は綾音の闘病生活の話だが,お父さんの気持ちがうまく表現されていた.

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    2018年04月10日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    ネタバレ

     以前読んだ大岡昇平『野火』は古い作品であることもあり読み辛さがあったが、こちらは2017年刊行ということで非常に読みやすかった。

     『野火』の終始タイヘンな生活とは大きく異なり、尾の小説の描写は長閑で平和な感じ。もちろん周囲は死で溢れているのだが、それも感傷的だったりドラマチックであったりブラックユーモアが交じっていたりと、大人しい文学という感じがした。戦争における日常。戦争が凄惨なものであるという前提に立てば、どこか壊れたけど平和に見える日常(2016年のヒット映画『この世界の片隅に』とか)が描かれていると言えるだろうか。

     ただし、その日常が仮初めのものであり、そこにいた人が既に壊さ

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    2018年02月04日
  • スイミングスクール

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    あらすじを読んでみてすぐに気になった作品。
    不穏な空気感、意味ありげな情景描写、緊張感のある文体、そういうのすべて好みでした。
    ただ「スイミングスクール」と「短冊流し」の、どちらも上手く感想をまとめることが難しい。
    自分がこの小説を読んで何を感じたのかが自分でもよく分からない。ただ心が確かにざわついた。

    9歳の娘ひなたをスイミングスクールに通わせることにした早苗。
    自分もかつてスイミングスクールに通っていたな、と早苗は自身の幼少時を回想していく。
    母との確執、伯父との関係、まだ赤ん坊のひなたにぶつけた言葉、録音したカセットテープ。
    どうにもならない過去があり、これからも続いてく日常がある。

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    2018年07月20日
  • 朝顔の日

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    「私の恋人」とは違い、含喩を深読みする必要の一切ない、真っ直ぐな純愛もの。

    真珠湾攻撃前後という時代背景、抗生物質の発見前の当時は不治の病であった結核を道具立てとして、若い主人公夫婦の時間が静かに、濃密に、だが容赦なく過ぎていく。

    佳作である。

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    2016年01月13日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    数年前に購入して積読されていた一冊

    今年はタイミングよくこの時期に手に取ったので読んでみた

    戦時下の話ということで
    戦火の…と思ってたけど
    読んでみるとこの題名の
    「指の骨」
    の意味が、ものすごく心に刺さる

    最後は切なくもどかしく悲しく
    何とも言えない感情が残る…

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    2025年08月17日
  • 音楽が鳴りやんだら

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    純文とエンタメの狭間にあるような本だった。
    フィクションでありがちな、なんならどこかで見たことがあるような、バンドマンが身を持ち崩していく話。けれどその描写の、言葉の選択の、綴られる文章の「初めまして」感たるや。
    大変楽しい読書でした。

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    2025年05月24日
  • 叩く

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    表題作の「叩く」は闇バイトが題材ということでタイムリーな話題なので興味を持って読んでみた。
    追い込まれた佐藤が芯から犯罪者に堕ちるのか、その心理の変遷と、鳥籠の二羽の鳥との対比が、短い話の中に凝縮されている。

    他の話では、「埋立地」や「風力発電所」が好みだった。作品に漂う、日常と非日常の狭間の危うさが、作品の魅力になっている。

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    2025年02月05日
  • 音楽が鳴りやんだら

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    これがライトノベル部門にいくとグラスハートになるのかというような
    破滅へむかっていくミュージシャン

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    2024年09月07日
  • 送り火

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    表題作「送り火」は、第159回芥川賞を受賞した著者の代表作です。父の転勤が多く引っ越しを繰り返していた歩は、その土地に順応するのが早かった。次の引越し先が、東北のある山の麓にある町で、歩は中学生最後をその町で過ごすことになった。そこで出会ったのが、学校のガキ大将的ポジションの晃だった。彼との出会いが、歩の人生を変えていく。クライマックスの部分がすごく印象的でした。

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    2024年07月01日
  • 叩く

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    アジサイの物語は、想像を掻き立てる話で好きだ。埋立地は、とにかく怖いし、当事者意識のなさを表す内容で現実的だ。個人的にまずまずの内容だ。

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    2024年05月25日
  • 叩く

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    5篇からなる短編集。

    「叩く」の登場人物の佐藤。
    闇職の掲示板で見つけた仕事は空き巣の補助だった。
    この男、依頼人に裏切られ
    高齢女性と一緒に残されてしまったのだが。

    「アジサイ」も「叩く」も
    最終的にどうなるのか書かれていない。
    不穏な空気がヒタヒタと・・・。

    最終章「海がふくれて」は幼馴染の男女のやり取りが清々しい。
    いやいや、本当にそうなのか。
    どこかに隠されているブラックな部分を見落としてはいないか。
    (ブラックは波?)
    つい、そんなことも思ってしまった。

    どの章も不穏だけれど、そこで描かれる色や光、匂いなどが
    頭の中でパーッと広がり楽しかった。

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    2023年11月08日
  • 叩く

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    人の心情の深いところを存分に味わえる本。
    5つの短編集で構成されている。
    叩く アジサイ 風力発電所 埋立地 海がふくれて

    「叩く」は闇バイトに足を突っ込んだ人が、強盗に入った家で仲間に裏切られた所から始まる。
    自分がどうするのか、何が正しいのか、ぐるぐると考えている訳だけど、とてもリアル。

    他の話も、ちょっとした怪談にも思えてしまう空恐ろしさを兼ね備えている。
    アジサイは、アジサイが咲いていく様を美しく描いているだけに、最後のシーンがぞわっとする。
    風力発電所は、1番ゾゾゾとしたかもしれない。
    埋立地も、一見子供達の悪戯心が呼んだちょっとした冒険話のようだけど、やっぱり怖い。
    海がふくれ

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    2023年09月27日
  • 日曜日の人々

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    表現が痛々しく、ぐぅーーとなり、読むのが辛い時があった。最後の方がちょっと意味がわからなかった。分かるような、理解できるような人になりたい。

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    2023年09月13日
  • 叩く

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    表題も含む2作は、現実を直視できない男の物語に思える。闇バイトに手を染める男が、共犯者に裏切られ、目の前の被害者である老婆を、殺してしまおうかと悩む話。もう一つは、妻が突然実家に帰ってしまったが、理由が全くわからない男の話。最後は幼馴染から彼氏彼女になった男女の夏休みを、震災で行方不明になった漁師の父と家族に絡めて描いたお話。どれもどこか胡散臭く、不思議な物語になってる。御多分に洩れず、解決とか、結論とかはなくて、放りっぱなしで終わる。出だしも唐突なら、終わりも唐突。なので、喉に骨が刺さったような気がして、スッキリしない。

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    2023年09月10日
  • 叩く

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    誰かの人生のほんの一編を覗いてみたら…
    いろんな角度から見えてくるものがある、そんな5つの短編集である。

    表題作である「叩く」には驚きと戸惑いと見とどけようとする自分がいた。
    どうしたいのか、どうするのがいいのか…。



    闇バイトに手を染めた若者が押し入った先で、老婆の横で転がされていた。
    猿轡をされ、結束バンドで後ろ手に縛られた状態の老婆がじっとこちらを見ている。
    いっしょに押し入った仲間に殴打され気を失っていた若者は、どうするべきか…。

    「アジサイ」庭にアジサイが咲いた日。妻が置き手紙を残して実家に帰った。
    理由を考えたけどまったくわからない。
    連絡しても出ない。
    アジサイはいつまで

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    2023年09月03日
  • 叩く

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    ネタバレ

    これが純文学だったことに気づいてびっくりする。帯だけ読んで、てっきりエンタメかと思っていた。

    叩く
    受験問題とか、国語のテストに出そうな話。
    佐藤の心理を答えさせられそう。

    闇バイトで強盗をした佐藤。組んだ塚田に殴られ、気付くと被害者の老婆と共に現場に取り残されていた。顔を見られた老婆を助けてやるか、殺すか、人生の折々を思い出しながら佐藤は悩む。
    老婆の家の鳥かごには、2羽の小鳥がいた。佐藤は鳥Aと鳥Bと名付ける。鳥Bは片側の風切羽がまだらに抜けていた。
    悩んだ佐藤は、50円玉を畳に落とし、表が出たら殺すと決める。しかし落とす前に鳥の悲鳴が。見ると鳥Aが鳥Bの風切羽を毟っているのだった。

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    2023年07月15日
  • 送り火

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    ネタバレ

    都会から田舎に引っ越してきた少年。彼は地元の学校の悪友らと一緒に万引きしたり危険な遊びに興じる。
    美しい自然描写の一方、物語全体にかかる不気味さがあり、終盤でそれは先輩の熾烈ないじめと、いじめられっ子から少年へ執拗な追跡という形で明示される。
    後味は悪い。

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    2023年06月11日
  • 送り火

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    津軽地方の片田舎,転校した歩は息詰まる暴力に巻き込まれる.いじめを超えた快楽のための暴力ははけ口のない社会の澱なのだろうか.

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    2023年04月04日
  • 音楽が鳴りやんだら

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    前半があまりにも冗長で、投げ出したくもなったが、後半はさすがの高橋弘希さん節が炸裂していた。
    ロックスターの光と影。通して傑作かと言われれば、そうといいづらいが、らしさを感じるうちは追っかけたくなる作家であるのは、はっきりそうと言える。 ★3.5

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    2023年02月09日
  • 音楽が鳴りやんだら

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    バンドサクセス小説ですが、純文学要素が多大に入っているのでちょっと何言っているか分からないという部分も沢山ありました。でもバンド小説として序盤はとても興味深く、あるある要素も含めて面白かったです。
    次第に訳の分からないバンドになってしまって、読んでいてどんな音楽やっているのか分からなくなってしまいました。
    序盤はオルタナ系で曲がメロディアスで歌謡曲っぽい親しみやすさがあるようだったので、ウイーザーなんかを想像していましたが、シアトリカルな要素が多くなってきて、ゴスっぽくなったり、ナパームデスなんて言葉が出て来たり、どう考えてもリスナーはドン引きだと思います。牛の頭蓋骨被ったりようわからん。

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    2022年12月19日