高橋弘希のレビュー一覧

  • 朝顔の日

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    あの「野火」に匹敵する…の帯にそんなわけがないだろう!と高を括っていたのだが読み終えて思ったのはこれは戦争など知る由もない30代の青年に旧日本軍の兵士が憑依したのではないのかと。その想像の世界の戦争はエンタテインメントに走ることもなく飢餓と病により死を目前にした人間の内面を淡々と描くものであるがそれは遠く離れた南の島で戦病死した何十万人の兵士の生々しい声。忘れてはいけない、語り継ぐなどの大義はさておきスタバのコーヒー1杯分の値段で読めるわずか70年前に起こった歴史の事実を感じ取れるこの文庫本の価値は高い

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    2018年10月16日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    ネタバレ

    圧倒的なリアリティとか読んだ人みんなが言っているのだがホントにそうで、見た人しか書けないような、圧倒的な生々しさが全編に漂っている。まるで太平洋戦争のその時その島のその場所の臭いまで感じるような内容。野火を読んだ時と同じような感覚も覚える。イメージのような戦いのない戦わない戦場があり、それ故の悲惨さが重くのしかかる。戦争だけはしたくないとつくづく思うし、自分の子どもが戦争に行き戦うと言うなら何も考えずに止めたい。戦場で戦おうが戦わなかろうが、死がそこにある状況、個人の意思に反した死を迎えざるを得ない場面を絶対的強者が作るべきではないと思う。戦わざるを得なかったというのは思考の停止であり、そうせ

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    2018年08月21日
  • スイミングスクール

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    芥川賞を取った高橋弘希さんの短編2本の一冊。先日の受賞記者会見のぶっきらぼうな様子からは繋がり難い文体で初めは女性が書いた本みたいな印象でした。不思議な癖になる文体ですね。「スイミングスクール」 「短冊流し」どちらも短いけど秀作です。彼の ほかの作品も読んでみたくなりました。

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    2018年07月27日
  • スイミングスクール

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    表題作ではひなたとお母さんのやり取りが淡々と記載されており,特にイベントはないが,深谷の家を売却する場面が何故か気になった.「短冊流し」は綾音の闘病生活の話だが,お父さんの気持ちがうまく表現されていた.

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    2018年04月10日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    ネタバレ

     以前読んだ大岡昇平『野火』は古い作品であることもあり読み辛さがあったが、こちらは2017年刊行ということで非常に読みやすかった。

     『野火』の終始タイヘンな生活とは大きく異なり、尾の小説の描写は長閑で平和な感じ。もちろん周囲は死で溢れているのだが、それも感傷的だったりドラマチックであったりブラックユーモアが交じっていたりと、大人しい文学という感じがした。戦争における日常。戦争が凄惨なものであるという前提に立てば、どこか壊れたけど平和に見える日常(2016年のヒット映画『この世界の片隅に』とか)が描かれていると言えるだろうか。

     ただし、その日常が仮初めのものであり、そこにいた人が既に壊さ

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    2018年02月04日
  • スイミングスクール

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    あらすじを読んでみてすぐに気になった作品。
    不穏な空気感、意味ありげな情景描写、緊張感のある文体、そういうのすべて好みでした。
    ただ「スイミングスクール」と「短冊流し」の、どちらも上手く感想をまとめることが難しい。
    自分がこの小説を読んで何を感じたのかが自分でもよく分からない。ただ心が確かにざわついた。

    9歳の娘ひなたをスイミングスクールに通わせることにした早苗。
    自分もかつてスイミングスクールに通っていたな、と早苗は自身の幼少時を回想していく。
    母との確執、伯父との関係、まだ赤ん坊のひなたにぶつけた言葉、録音したカセットテープ。
    どうにもならない過去があり、これからも続いてく日常がある。

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    2018年07月20日
  • 朝顔の日

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    「私の恋人」とは違い、含喩を深読みする必要の一切ない、真っ直ぐな純愛もの。

    真珠湾攻撃前後という時代背景、抗生物質の発見前の当時は不治の病であった結核を道具立てとして、若い主人公夫婦の時間が静かに、濃密に、だが容赦なく過ぎていく。

    佳作である。

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    2016年01月13日
  • 子供部屋同盟

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    タイトルに惹かれて。そして、芥川賞作家がエンタメを書いた、ということで。

    6つの連作短編とエピローグ。
    ひとつひとつは非常に読みやすい勧善懲悪モノで、エピローグでいいオチが付いていた。
    ブラックユーモアもネットスラングも味わい深い。

    面白かったが、「ファイル6」以外は内容的に少し薄いかなとも感じた。
    せっかくダークウェブにまで侵入してまで、と思うと、事件も復讐もスケールが小さい。
    その日常性が魅力だとも言えるが、この手の復讐モノは割と溢れている、飽和状態だから、物足りないと感じるのかもしれない。漫画などを見れば……。
    「子供部屋おじさん」と社会から揶揄される存在が、代行業として復讐するとい

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    2026年03月15日
  • 子供部屋同盟

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    社会から疎外された、こどおじが集い「子供部屋同盟」という復讐代行組織が、ダークウェーブに潜んでいる。
    裁かれぬ現代社会の悪を子供部屋おじさんが、復讐するといったわけだ。
    対価は動機という金銭を要求しないのも面白い。
    成敗レベルは、悪戯レベルからタヒレベルまであり、レポート作成と同時に選択する。

    ハロー、ハウロウ、こちら通信部のジョン・万次郎とのやりとりも危険さや冷たさを感じず逆に親しみを覚えてしまうのだが…
    一気に読める痛快無比の世直しエンタメだった。


    ①パワハラ上司成敗
    ②オレオレ詐欺成敗
    ③痴漢冤罪成敗
    ④バイトテロ成敗
    ⑤書店万引き犯成敗
    ⑥いじめっこ成敗


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    2026年02月28日
  • 子供部屋同盟

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    パワハラ、詐欺、痴漢の冤罪、バイトテロ、書店万引き、いじめ——。
    これらの悪の被害者を救うために立ち上がったのは、ダークウェブに潜む謎の復讐代行組織「子供部屋同盟」だった。
    わかりやすい勧善懲悪を描いたエンタメ全振りの短編集で、本当にあの高橋弘希さんの著作なのかと何度も確認してしまった。
    刊行にあわせて、東洋経済オンラインでも横書き小説として連載されていた模様。
    純文学要素は皆無なのでびっくりしたけど、スカッとする結末だし文章は易しいし、読み手を選ばない小説だと思う。

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    2026年02月12日
  • 子供部屋同盟

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    様々な悪に対する復讐代行。
    ダークウェブに集いしルサンチマンを抱えたこどおじたちが様々な手段で悪を成敗していく。
    テーマが面白いしスラスラと読めた。
    いじめのシーンはキツかったけど。
    あまり読んだことのないタイプのブラックエンタメ小説でした。

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    2026年01月15日
  • 子供部屋同盟

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    高橋弘希さんは芥川賞候補作の『指の骨』に続いて2作目(後に『送り火』でで芥川賞受賞)
    本の紹介にはでかでかと「芥川賞作家が挑む、痛快・世直しエンタメ!」とあります。

    ダークウェブ上で被害者の相談を受けた、いわゆる「こどおじ」(大人になっても実家の子ども部屋に住み続けている未婚の中年男性)集団が行う復讐代行を描いた短編集。パワハラ上司、祖母の貯金を巻き上げたオレオレ詐欺、痴漢冤罪。。。。確かに紹介通りの復讐代行。でも、そこは『指の骨』の高橋弘希、何かどんでん返しの様なモノがあるだろうと期待していたのですが。。。最後の最後に小さな反転がある位で、肩透かし。
    まあ、エンタメに徹したと言えばそれまで

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    2026年01月13日
  • 子供部屋同盟

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    はじめて読んだ作家さん。
    パワハラや特殊詐欺、痴漢冤罪などで酷い目にあった人がダークウェブの復讐サイトで復讐を依頼する。
    読み終わったあとスカッとする世直し小説。
    私が復讐を考えるなら…と思わず考えてしまった笑

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    2026年01月07日
  • 子供部屋同盟

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    高橋弘希さん、「送り火」とか「指の骨」のように読んでいていて気持ちが暗くなっていく本が多いから、世直し系というか成敗系の話書くんだ〜と思っていたら、やっぱりほんのり薄暗い…でも痛快。

    酷い目に遭った人たちより子供部屋おじさん(おばさん)たちがどうして今こうしているのかを知りたくなった。でも語られないからこそ謎めいていていいな。
    バイトテロされて訴えないとかいじめ加害者を直接的に成敗しないとか、ちょっとしたもやもやはあるけど現実ってこういう感じかもな。やたらリアルなのは最初の被害者が加害者の片鱗を見せて終わるところ。子供部屋同盟が解散しても、きっといずれ復活して彼は社会的に死ぬんだろうな。

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    2025年12月24日
  • 子供部屋同盟

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    リアリティのあるダークな描写に、一緒になって心を病んでしまいそうでした。スカッとするまでの必要な過程なんだろうけど、辛くて読めない箇所もあり、、。話自体はテンポ良く、進んでいきます。最後のエピローグがとても悲くて、どうしようもない気持ちになりました。

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    2025年12月24日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    数年前に購入して積読されていた一冊

    今年はタイミングよくこの時期に手に取ったので読んでみた

    戦時下の話ということで
    戦火の…と思ってたけど
    読んでみるとこの題名の
    「指の骨」
    の意味が、ものすごく心に刺さる

    最後は切なくもどかしく悲しく
    何とも言えない感情が残る…

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    2025年08月17日
  • 音楽が鳴りやんだら

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    純文とエンタメの狭間にあるような本だった。
    フィクションでありがちな、なんならどこかで見たことがあるような、バンドマンが身を持ち崩していく話。けれどその描写の、言葉の選択の、綴られる文章の「初めまして」感たるや。
    大変楽しい読書でした。

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    2025年05月24日
  • 叩く

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    表題作の「叩く」は闇バイトが題材ということでタイムリーな話題なので興味を持って読んでみた。
    追い込まれた佐藤が芯から犯罪者に堕ちるのか、その心理の変遷と、鳥籠の二羽の鳥との対比が、短い話の中に凝縮されている。

    他の話では、「埋立地」や「風力発電所」が好みだった。作品に漂う、日常と非日常の狭間の危うさが、作品の魅力になっている。

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    2025年02月05日
  • 音楽が鳴りやんだら

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    これがライトノベル部門にいくとグラスハートになるのかというような
    破滅へむかっていくミュージシャン

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    2024年09月07日
  • 送り火

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    表題作「送り火」は、第159回芥川賞を受賞した著者の代表作です。父の転勤が多く引っ越しを繰り返していた歩は、その土地に順応するのが早かった。次の引越し先が、東北のある山の麓にある町で、歩は中学生最後をその町で過ごすことになった。そこで出会ったのが、学校のガキ大将的ポジションの晃だった。彼との出会いが、歩の人生を変えていく。クライマックスの部分がすごく印象的でした。

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    2024年07月01日