高橋弘希のレビュー一覧

  • 朝顔の日

    Posted by ブクログ

     サナトリウム文学的な作品。
     前作の指の骨と同様に舞台が戦争の最中ということもあってか、似ている部分が結構あるように思う。
     ただ、こちらはずっと静かな空気が流れているというか、淡々と生と死の間にある日常みたいなものを書いているような気がする。
     前作よりも印象的なシーンは少なかったが、やはり文章が素晴らしい。
     特に妻への手術のシーンは読んでいてハラハラとして、何回も本を閉じてしまった。

    0
    2026年04月15日
  • 送り火

    Posted by ブクログ

    何かが起こりそうなジワジワとした緊張感がずっと続いて、ラストに暴力が爆発するお話。

    田舎に転校してきた主人公が暴力で支配するガキ大将に振り回されるお話で、藤子不二雄Aの「少年時代」を思い出しながら読みました。

    漢語や硬い言い回しが多い文体が、時代に取り残されたような田舎のコミュニティの感じをものすごくうまく演出していたように思います。

    外から入ってきたことで、彼らの中にあった調和を乱した主人公が最後に経験する恐怖は読んでいてものすごく恐ろしかったです。

    0
    2026年04月03日
  • 子供部屋同盟

    Posted by ブクログ

    こわいよ
    社会こわい
    来年から新卒の私としては社会が怖くなっちゃった
    組織の中で生きていく上での怖さと
    自分が子供部屋おばさんにならないかの怖さ

    0
    2026年03月29日
  • 子供部屋同盟

    Posted by ブクログ

    やたらと自分のステータスに執着してる人が出てくる。高学歴や大企業に勤めている人は、偉くてまともな偏見描写があって不快だった。無職の人だから、子ども部屋に住んでるからまとも人間じゃないって偏見を捨ててほしい。それぞれの得意分野を駆使して、人間の尊厳を踏み潰した奴らを懲らしめる描写はスカッとする。「子供部屋に住んでいようが無職だろうが関係ない。自分にも出来ることはあるんだ!」と勇気を与えてくれてるようで好き。勿論やり方は歪で性格に難ありだけど、この小説にでてくる"まともを装った人間"よりは遥かにマシ。

    0
    2026年03月09日
  • 子供部屋同盟

    Posted by ブクログ

    辛い場面や、涙することもあったが、必殺仕事人みたいで、面白かった。
    現実でも悪を倒してほしい。
    また何か飛び抜けた才能があるのは羨ましい!
     

    0
    2026年02月26日
  • 子供部屋同盟

    Posted by ブクログ

    軽いタッチの連続ショートドラマを観ているかのようにサクッと読み終わりました
    ハロー、ハウロウ... のお決まりフレーズもリズミカルなエンタメ全振りの作品でした

    0
    2026年02月08日
  • 指の骨(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    細やかな描写が戦争の酷さ、惨めさを鮮烈に描き出している。まるで見てきたかのような、人が腐り落ちる描写は読む者を酩酊させるよう。

    野戦病院という安全地帯で、マラリヤなどで周囲の人間が死んでいくというのに、どこか長閑ささえ感じさせる前半。
    そしてひとたび物語が爛熟し腐り始めれば、急転直下のように死と腐臭の凄惨さが広がっていく。

    戦争の最小単位である一人の兵士に焦点を当て、そこに渦巻く悲壮さがリアルに表現されている。もし戦争が起こればこうした無価値な死に包まれ、尊厳なく消滅していくのだと思うと、憤りや恐れ以上に悲しみを感じてならない。

    0
    2024年11月08日
  • 日曜日の人々

    Posted by ブクログ

    主人公は傍観者のようで、物語が進むにつれて関わる人々の心の在りように絡め取られ、心のもつ暗く淀んだ淵のような深みに引きずり込まれていく。
    主人公は此岸にいると信じて読者は安心して読む。けれどいつ彼岸に渡るか分からない危うさを主人公は感じさせる。その匙加減が妙。

    0
    2024年11月07日
  • 日曜日の人々

    Posted by ブクログ

    -------------------------
    剃刀みたいな文章が
    「居たい」と「痛い」を引き裂く。
    ぱっくり開いた穴はどうせ空っぽなのに、
    なぜだかいつまでも目が離せない。
    尾崎世界観
    -------------------------
    チャプターズ書店のYouTubeで、
    文喫に訪れた際に購入されていた一冊でした。
    ずっと気になっていて購入して、
    可愛らしい表紙だけを見て、週末に読んだ一冊です。

    結果、表紙から想像していた話を違いました。

    従姉の奈々が自殺した。
    死んだはずの奈々から届いた荷物。
    荷物の中には紙束。
    それは彼女の日記だった。

    彼女の死の理由を知るため、
    航は奈々が生前参加していた朝の会。
    虚飾、過食、不眠…様々なものを抱えた人たちが集う。
    参加者は自分の話したい事を文字にする。

    奈々の抱えていた秘密や気持ちを知り、
    航もゆるやかに死に近づくような気配に、
    途中で読むのが怖くなり苦しくなり、
    それでもページをめくる手は止められず。

    身近な人が自ら命を絶つこと、
    どんなに集まって話をしても聞いても、
    結局はぐちゃぐちゃになっていって。
    そして突き付けられる強烈な生。

    私は影響されやすい方なので、
    読み終わった後しばらく放心状態というか、
    物語の余韻から抜け出せませんでした。苦笑

    でも読んでよかったし、
    こんなに痛くて痛い物語を書ける著者の
    他の作品も読んでみたくなりました。
    今度はあらすじとタイミングをみます。苦笑

    0
    2024年05月06日
  • 叩く

    Posted by ブクログ

    個人的に「海がふくれて」がすごく好きだ。一人の少女が父の死を乗り越え大人の女性になるある夏の話。幼馴染男女の何気ない日々、海沿いの田舎町の雰囲気、土地のしきたりなど、読んでいて感傷的な気分になる。他の作品はオチがはっきりせずモヤモヤした読後感だったが、これは良かった。
    やはりこの作者は田舎の描写や家族、友人との何気ない瞬間を描くのが非常に上手いと思う。また新作が出たら読みたい。

    0
    2024年04月26日
  • 叩く

    Posted by ブクログ

    短編が4つと中編が一つの構成だが、全般的にどんよりとした雰囲気の読後感だった.強盗の助けをしたにもかかわらず相棒に裏切られた佐藤の小心さを示した表題作.妻に逃げられた田村浩一の優柔不断さを表した「アジサイ」.「風力発電所」では難解な下北弁が出てきて現実を経験した小生としてはにやりとした.思い出話に満足した浩一の回想を示した「埋立地」.少し長めの「海がふくれて」が一番楽しめた.琴子と颯汰が暮らす海岸べりの町での淡々とした話だが、合挽場所の灯台、凪読み様の老婆、沖だしに行って帰って来ない父への手紙、フナダマ様を祭る行事、父の頭骨の発見など印象的なエピソードが随所に散りばめられた構成が良かった.

    0
    2024年01月19日
  • 叩く

    Posted by ブクログ

    短編集。
    表題作が一番面白かった。身勝手な自己弁護な屁理屈を繰り広げるのに呆れ返って苦笑だけれど、そんなみっともなさや愚かさが、全くは他人事ではないように思えて、生々しかった。

    0
    2023年11月07日
  • 叩く

    Posted by ブクログ

    短編は向いてないのかもと思いながらだから何!といいながら読む。
    どんな短編なら面白く読めるんだろう。今のところ児童図書の銭天堂がダントツでそれを覆えす短編はあるのだろうか。

    0
    2023年09月28日
  • 叩く

    Posted by ブクログ

     平凡な日常の中に潜む落とし穴を描く少し風変わりな短編集。
              ◇
     佐藤が意識を取り戻すと、目の前には縛られた老婆が転がっていた。
     日当3万円の闇バイトで、雇い主の塚田とともに老婆ひとりの住宅に押し入って金庫を開けさせ札束を拝んだまではよかったが、直後に後頭部を殴られ気を失っていたのだ。

     気づくと塚田の姿はなく、佐藤自身はしていたはずのゴーグルやマスクが剥ぎ取られ、むき出しになった顔を老婆と突き合わせている状態だった。
     金は塚田が持ち去っていて、高飛びしようにも資金がない。顔は老婆にしっかり見られた。目の前の快楽だけを求めるダラけた生き方をしてきた佐藤が、初めて直面する難所だった。

     手っ取り早く問題解決するには老婆を殺すしかない。それはわかっているのだが、そんな大きな決断や緊張を伴う行動をとったことのない佐藤は……。
           ( 第1話「叩く」)全5話。

          * * * * *

     たいていの人間にとって人生は平凡です。平凡な日々の中で警戒心を持ち続けることはできません。平和な世界で不測の事態を予想することが難しいように。


     第1話「叩く」の佐藤はいつも通りの軽い気持ちで闇バイトに関わり窮地に陥ります。怪しげな塚田に対し警戒心を抱かなかったのも原因です。


     第2話「アジサイ」の田村はいつものように会社から帰宅すると、家に妻の姿はなく、食卓に「しばらく実家に帰る」と書き置きがありました。妻へのメールや電話は通じず、義父母に電話してみても取り次いではもらえないばかりか、妻の怒りの理由すら教えてもらえません。

     この田村も、妻との平穏な暮らしに慣れきって、妻の地雷を踏んでしまう危険を考えもしなかったのです。


     第3話「風力発電所」はなかなか怖い。
     青森県六ケ所村。電力関連施設がひしめく本州最北端の村です。作られる電力はすべて東京都心に送られるという話です。
     青森で幼少期まで過ごし東京で成長した主人公は都会の快適な生活に浸りきっており、その快適さの裏にある不穏さにまで意識を向けることなどありませんでした。ある日、主人公が仕事で六ケ所村を訪れたところ……。

     安全とされる風力発電。けれど、その光の影に隠れた闇の部分が、ゆっくり首をもたげてきたとしたら……怖い。
     

     第4話「埋立地」。
     郊外の自然豊かな町で開発事業が始まりました。田畑や緑地、雑木林などを全て埋め立て、計画的に整備された都市を造成するという話です。
     ある日の夕方、工事現場に入った子どもたちが、クレーター状の穴の側壁に見つけた横穴。どこまで続いているのか知りたくなってペンライト片手に入っていったところ……。

     この世にあるのは私たちの暮らす世界ひとつだけと思い込んでいて、本当にそうなのかと疑う人はほとんどいません。
     向こうが見えないトンネルに入るということの恐ろしさ。異世界はファンタジーだけの話ではないかも知れません。


     第5話「海がふくれて」は身につまされる人も多いでしょう。
     津波に攫われ行方不明になった漁師の父親を持つ少女。思春期を迎え初恋の彼氏との甘酸っぱい日々を過ごすうち、知っているはずの津波の恐ろしさを忘れてしまいます。


     前半3話は結末が描かれていません。
     個人的に気になるのが第2話です。毎日、色を変えていくアジサイの描写が象徴的で、最も気に入った話でもあります。
     いつも変わらぬ態度で田村を送り迎えしていた奥さんの中で、アジサイのように日々変化していた心模様、ぜひ知りたいと思いました。

     第3話は怖すぎるので、自分にとってはここまでで十分です。

    0
    2023年09月03日
  • 叩く

    Posted by ブクログ

    自分が編集者時代であれば、間違いなく担当になりたい作家さん。きれいな文章に、その小説世界に引き込む力を秘めた作品を作り続けている。
    どの作品も甲乙つけ難いが、個人的にはタイトルにもなっている「叩く」と、「アジサイ」がよかった。
    前者はどちらに転ぶか決めかねる主人公の複雑な心理描写と、読者に叩きつけるようなラスト二行のインパクトがとにかく強烈。
    後者はアジサイを切ることで終わりを求めた、個人的にも共感を得られる作品だった。 ★4.0

    0
    2023年08月21日
  • 叩く

    Posted by ブクログ

    大好きな高橋弘希さんの新作短編集。

    『叩く』
    特殊詐欺に加担し、"タタキ"をするため押し入った老婆の家で、仲間に裏切られ取り残されてしまった男の様子が描かれる。高橋弘希さんと特殊詐欺ってすごく相性が良さそうだと思って楽しみにしていたんだけれど、期待通り面白かった。
    殺人という一線を超えられるのか否かという葛藤と、変貌していく様子が恐ろしかった。

    『アジサイ』
    理由もわからず妻に出て行かれてしまった男の、それでも淡々と流れていく日常風景。梅雨どきのアジサイの観察日記のようでもある。
    妻の実家へ何度も電話をかけて安否確認したりしつつま、そのうち帰ってくるだろうと待つ姿にはさほどの焦りも見られず一見穏やかな印象を覚えるのに、ラストシーンに不穏な暗雲がたれこめて驚いた。「もう夏だというのに、あのアジサイはいつまで咲いているつもりだろう──。」

    『風力発電所』
    青森県を訪れた作家が、噂に聞く風車機に興味をもち六ヶ所村という土地まで見学に赴く。その村や村人のの様子がどこか不可解で、途中からノンフィクションを読んでいるかのような気分になった。

    『埋立地』
    ある土曜の午前、父親が息子に語って聞かせるのは、埋立工事が始まったばかりのこの土地の話。
    友だち同士で工事現場に忍び込むというちょっとした探検と、そこで見つけた不思議な横穴。
    今となってはすっかり綺麗に整備された都市だが、あの横穴はどこに通じていたのだろう。故郷や童心を呼び覚ましてくれるような、どこか懐かしい短編。

    『海がふくれて』
    この一冊の中でいっちばん好き!
    海辺の町で暮らす17歳の幼なじみ(いまは恋人である)男女のささやかな逢瀬や交わされる言葉が、健やかかつ甘ずっぱい青春そのものでキュンキュンした。琴子と颯汰は、二人だけのために用意された夏にいる。
    海岸を散歩したり、砂浜に並んで座ってただ話したり、自転車で一緒に近くの町中華へワンタン麺を食べにいったり、消波ブロックの手前にある鯛焼き屋さんで鯛焼きを頬ばったり、立入禁止の灯台のなかで身を寄せ合ったり。それら一つひとつがとても幸福そうで、高校生のデートはこうであってくれ〜!と思ってやまない。
    そして、とある時化の日、琴子を呑み込んでしまうかのような嵐と、その後にやってくる夏の終わり。二人の前に広がる未来は、きっと海のように果てしないけれど、これからもいつまでも仲良くいられるといいと思った。(東京なんて来たらあかん……)

    0
    2023年09月04日
  • 送り火

    Posted by ブクログ

    第159回芥川賞受賞作。
    「あなたのなかの忘れた海」、「湯治」の三作。
    表題作は、終わり方も含めて、受賞作っぽいなと感じた。比較的鮮明にイメージできる文章に思われた。その他の2作品は、同じようにイメージはつながりやすかったのだが、内容はなんとなく、日常の断片が切り取られただけの感じがした。もっと長い作品が読んでみたい。

    0
    2023年01月06日
  • 音楽が鳴りやんだら

    Posted by ブクログ

    ロックだ。音楽に魅入られ、音楽に取り憑かれ、音楽に狂わされていく人間の姿がある。
    幼馴染4人グループで始まったThursday Night Music Clubという一つのバンドが、どんどん変貌を遂げていくさまは、さながら音楽のよう。
    フィンランドに滞在する場面が思いがけずあったりして嬉しかった。
    終盤、彼らバンドメンバーが知らないデビューをめぐる真相と過去が明らかにされるのだが、鳥肌が立った。音楽を愛してしまった人は、その音楽が生まれるためならどのような手段でも講じられるのだろう。

    〈 ロックに日常性なんて必要か? 必要なのは衝動と破壊と混沌だよ、俺はそういう気分でいま音楽を作っているんだ 〉

    それにしても、狂乱のライブシーンなど各所ぐいぐい読ませる鬼気迫る文体で、高橋弘希さんのこれまでの筆致とはまるで違うので驚いた。
    言わずもがな両方好きです。夕焼けの描写が多く、とてもよかった。

    0
    2022年11月01日
  • スイミングスクール

    Posted by ブクログ

    淡々と語られるストーリーは実体験のごとく情景が浮かび上がり、筆者の描写力に感銘さえ覚える。タイトルや序章からほのぼのとした内容かと思いきや予想を裏切る展開に引き込まれた。

    0
    2021年04月15日
  • 朝顔の日

    Posted by ブクログ

    ちょっと昔の小説を読んだような不思議な感覚。作者はまだ若い。結核病棟のそれも現代的ではない空気が感じられた。

    0
    2020年10月05日