高橋弘希のレビュー一覧

  • 指の骨(新潮文庫)

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    戦争があり、戦いがあり、病があり、生と死が背中合わせにあった。
    情景が淡々と浮かんでは消え、また現れ、消え、の繰り返し。なにかが特別な訳でもない文章が、なぜに心に残るのか。
    無声映画をみているような感覚。

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    2022年12月17日
  • 音楽が鳴りやんだら

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    むむむ、音楽性の不一致というか、本の中って鳴ってるだろう音楽に最後まで共感できないままだったかも…。

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    2022年10月19日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    これを戦争を経験していない人が書いたなんて信じられない。まるで自分も一緒に熱帯の戦場を彷徨っている気分になる。人を喰らいそうになるシーンがエグい。この主人公はきっと日本には帰れなかったのだろうなあ。戦友の指の骨と共にこの熱帯で朽ちていくイメージがありありと浮かぶ。

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    2022年06月30日
  • 送り火

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    第159回芥川賞受賞作。

    中学3年生の歩。
    中学生というだけで危うさがありそうだが、
    景色も、友達との関係も、全てのところにどこか後ろ暗い感じを醸造させている。

    なんでもできそうで、なにもできないような年頃の、
    なにも起きなさそうで、なにか起きてしまう、そんなお話。

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    2021年11月17日
  • 送り火

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    閉じられたコミュニティでの虐め、暴力
    傍観者としてのいじめ
    最後はハラハラするし文章力がすごかった

    2021/7/18 ☆3.7

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    2021年07月18日
  • 送り火

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    読書開始日:2021年6月23日
    読書終了日:2021年7月1日
    所感
    学生の頃の、悪いとは思うが周りに流されてやってしまう感じ。自分にも覚えがある。
    そんな時は決まって文章中の一文「その冷たい響きに反して、胸中には甘い微熱を覚えた」の感覚を味わっていた。
    田舎の年功序列、悪のサイクル、刺激が少ないが故の渇望、よくない部分が全て写ってた。
    恐らく稔は、東京からやってきた主人公の中途半端な優しさがムカついたのだと思う。余ったコーラを情けでやるなんて最たるもの。
    全ての行動に弱者を庇う自分が色濃く残っていた。
    そしてポッと出が晃の右腕ポジションになり自分の罰を見物しているとなれば相当心にくる。

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    2021年07月03日
  • 送り火

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    ネタバレ

    無知な子供たちの悪戯という印象で始まるが後半は痛々しく生々しいが惹きつけられてしまった。

    実際中学生ぐらいまでは学校と家が世界の全てになってしまっているので恐怖を感じた。更に田舎という場所がより狭さを感じる。
    そんな狭い世界で生きる学生は地元や集団の中でひとつでも選択を誤ると取り返しのつかない事になるという自らの学生時代を思い出した。

    そんな感想とは別に、晃や稔の心情をもっと深く読み取りたいと思った。
    一度読んだだけの自分は終盤の心情がよく分からなかった。
    晃の時折見せる正義感や真面目さは?
    稔は歩が自分より弱そうで器用だからムカついたのか?
    登場人物の背景も少ないので細部までは分からなか

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    2021年05月24日
  • 送り火

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     バイオレンス描写が、生ぬるい。
     というのも、殊にこの手の描写に関してなら村上龍とか花村萬月とか、究め尽くした作家が山のようにいるので、はっきり言って分が悪いだろう。

     もちろん、語彙の豊富さや描写の厚みは最近の作家では群を抜いているのは確かだ。本作にもそれは発揮できている。それだけに惜しいと思う。まだ、これ、という主題を高橋は見つけていないのではないか。
     個人的には『日曜日の人々』のようなものを再度書いてほしいな、とは思っている。
     

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    2021年03月03日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    ニューギニアの野戦病院、行軍の風景。飢餓と病。実体験をもとにした「野火」とはどこか異質の空気を感じる。衝撃的ではあるがどこかオカルトっぽい。2020.11.13

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    2020年11月13日
  • 送り火

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    芥川賞作品という点と著者まの経歴に親近感を覚え、手に取った。都会から田舎の環境に変わった中学生の心情が描かれた話。不安定な情緒が日に日に危険性を増し、遂には〜・・ラストは目を背けながら、死と紙一重な思春期の心境を感じさせられた。

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    2020年09月06日
  • 日曜日の人々

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    従姉妹の死の真相を追求するためにREMに参加するものの、拒食症の少女と懇意になっていく。死んだ従姉妹を拒食症の少女に重ねているのだろう。結局、少女の拒食症は悪化し入院にまで至り、主人公は死の欲動に感染する。
    拒食症の少女を救えなかったのに、集団自殺を失敗した上で明るいラストを迎えていた。ここで賛否両論分かれるのではないだろうか。

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    2020年06月17日
  • 朝顔の日

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    ネタバレ

     テーベ、現在でいう結核を発症している人たちの病棟と思われる入院施設に入院している妻を見舞いに訪れる夫の凛太の視点が主になっている。一瞬一瞬を生きている人たちの光景に死の影がちらちらとあって、だんだん不安になる。特に筆談で会話するようになってから。そんな中でも最後は少しだけ光が見えたのかな。わずかな命に輝きが見えたそんな感じ。

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    2018年11月23日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    太平洋戦争中の南方戦線の島は激戦区だった。野戦病院に送られた主人公が得た束の間の休息。だがそこにも死が溢れていた。そして退却。
    とてもリアルな描写で情景が目に浮かぶようだった。特に死の描写が恐ろしい程に。顳顬を撃って自決した軍医の逆の耳から出てくる血など。
    退却戦でも自決用の手榴弾を魚採りに使ってしまったり、小銃の枝の部分を寒さ鎬の薪に使ってしまったりと人間らしさがあり、そこもリアル。

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    2018年06月30日
  • 朝顔の日

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    ネタバレ

    TBを患い入院する妻を見舞う夫、凛太。

    見舞いに行くたびに、少しずつ病に蝕まれていく妻の様子。

    回復して退院していく患者や、次に病院に来たときには、亡くなっていく患者。

    兵士として戦地に行っている、凛太の父の会社の従業員だった男からの、現地の様子が書かれている手紙。

    進行や回復を繰り返すなかで、心も体も安静にするように言われている妻。
    言葉を話すことも禁じられ、筆談での夫婦の会話。

    静かに命の終わりがカウントダウンされているような感じ。
    骨を折っての手術、こええええ。

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    2018年06月19日
  • 朝顔の日

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    秋に小春日和とは、さだまさしの悪影響。コスモスに秋桜という漢字をあてた張本人もさだまさしですし。昔ネアカ、ネクラという言葉がありましたがそれと同じように悲しい話を悲しく、楽しい話を楽しくではただの上っ面だけをなぞるようなもので奥行きがありません。些事でもメリハリ、濃淡で大きな表現が出来ると思う。古い漢字、文章表現で昔の話をしているだけに思えてしまいます。

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    2018年03月04日
  • 朝顔の日

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    TB(テーベ)いう細菌に冒され入院している妻と、それを見舞う夫、病を前にした二人の静かな日々の記録。
    とことん感情が抑えられた、淡々とした筆致で綴られています。だけどその代わり、情景描写や行動から「気持ちをいかに書かずに書くか」がひしひしと読みとれました。
    印象的なのは食べ物がわりあい多くでてくるところで、特に二人が食堂で一緒に昼食をとるシーンなんかはとても穏やかで絵になるなぁとじんわり。
    病気をしたときはサンヨーの桃缶か缶詰ミカンかで意見が分かれる会話もかわいい。
    血液型がちがうせいで輸血してあげられない夫が、妻のためになにか形になることをしたいと、院内の調理場に飛び込みだし巻き卵を焼いても

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    2017年11月10日
  • 指の骨(新潮文庫)

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    前線で死んだ兵士を、いちいち荼毘に付す余裕はないので
    小指を切り落とし、その骨を持ち帰るのが陸軍の慣例だったらしい

    ニューギニアの戦い
    戦闘で負傷し、後方の野戦病院に送られた主人公は
    常に死と隣り合わせ、ではあるものの
    怠惰で退屈な療養生活のなか
    日本の連戦連勝を信じ、永く安心しきっていた
    しかしある日
    とつぜん訪れた敗残兵の群れに、真実を知らされる
    そこから、「転戦」のための行軍に参加するのだけど
    飢えと疲労に冒され、だらしなく食物を求める日本兵たちを前に
    絶望がわきあがる
    現地人から略奪しないことだけは、誉められていいのかもしれない
    けれど結局は自堕落に死を待つことしかできない
    あるいは

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    2017年08月13日
  • 朝顔の日

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    昭和16年12月。TB(結核)に侵された妻を療養所に見舞う夫が、道すがら回顧する妻の療養の日々。
    現在では死病ではなくなった結核が、まだ、確固たる治療法もない時代。戦争の足音を通奏低音とし、時代の緊張感と、二人の愛情が静かに淡々と描かれていく。
    少し前に言葉をかわした入院患者が、一人、またひとり亡くなっていく儚さ。
    肌が白く透き通っていくにつれ、日に日に悪くなっていく妻の病。
    その日々のなか、咽頭の安静のため声を出すことも禁じられた妻との筆談による会話が切ない。
    デビュー作「指の骨」ほどのインパクトはないものの、言葉による描写の味わい、作品全体を包む静けさが共通してあって、その時代、その場面に

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    2017年08月11日
  • 朝顔の日

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    太平洋戦争になだれ込んでいく頃の日本。
    難病に罹った妻と、見舞いに通う夫。
    少しずつ弱りゆく妻、ささやかな色彩に彩られた日々。
    時代の空気、二人に通う想いを感じながら読む。
    静かな中に様々なものが去来する物語。

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    2016年04月07日