アランのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
珠玉の格言集。アランの英知の結晶が、綺羅星のごとき輝きをもつ。こういう場合、私の稚拙な解説よりも抜粋のほうが、本書を説明できると思うので、そうする。「想像力はなにもつくりだすことができない。なにかをつくりだすのは、行動である」「本物の音楽家とは音楽を楽しむためのことであり、本物の政治家とは政治を楽しむ人のことである。そして、楽しむのは能力のある証拠だ」「ミケランジェロのような人間をわたしがすばらしいと思うのは、あれだけの天賦の才能がありながら、安楽な人生をわざわざ困難なものにする、その強烈な意思である」「行動のない楽しみよりはいっそのこと、行動のある困難のほうを選ぶ」「優柔不断はあらゆる不道徳の中でも最悪のものである」 すべての人類に読んでほしい。
-
Posted by ブクログ
"新聞の日曜語録に掲載されたプロポ(哲学断章)のうち、幸福にかんするものを93集めたのが本書。
これから先、なんどか読み返したい本の一つになった。
一つ一つは、ちょっと読むのにちょうどいい長さ。
この本で印象に残ったものをメモしておく。
気分
喜びの達人スピノザが言ったように「からだが暖まったから喜ぶのではなく、私が喜んでいるからからだが暖まるのだ」。したがって、同じような考えかたで「うまく行ったからうれしいのではなく、自分がうれしいからうまく行ったのだ」と考えねばならない。
この部分。
自らの意志で変えることができるもの、それが気分だ。しかし気分は、周りから得る様々な刺激により大きく影響を受ける。
雨が降っていると、気分が塞いだり、誰かの一言で喜んだり悲しんだりしてしまう。でも、どう受け取るかは自分次第であり、どんな気分で過ごすかは自分次第だということに気づかされる。
究極のオプティミストは、常に幸せを感じる気分で過ごしているのだろう。
幸せを感じるためのコツは、幸せをストックさせておくことだといっている。
気分が沈んだときに読み返したら、気分が変わるかもしれない本だ。" -
Posted by ブクログ
仕事が忙しく、被害妄想的なマイナス思考スパイラルを切り抜ける為に、読んでみました。
この「アランの幸福論」を読み進めるだけで、心が落ち着きます。
心の持ちようによってではなく、
行動によって心をコントロールし、心を作っていく。
そして周囲に影響されることなく、しっかりと自分の道を歩んでいく。
これから何度も読み返して、バイブルになるであろう素晴らしい本です。
現状に悩んでいる方、お勧めです。
■不安とは無意味な動揺である
■感情ではなく、態度をコントロールする
■体を動かして気持ちを変える
■幸福を演じる
■喜びは健康につながる
■自分の幸せのために努力する
■さまざまな可能性を考えて決断する
■自分の人生に専念する
■欲しいものは自ら取りにいく
■本当の解決策とは、どうしたらいいかが分かっていること
■行動のない楽しみよりも、行動のある困難を選ぶ
■最大の敵は自分自身である
■家族とは意志の力でつくり、守るもの
■人とのつながりは奇跡の場である
■相手は自分を映し出す鏡である
■仕事は、自分に権限がある限り楽しめる
■役に立つ仕事はそれ自体喜びである
■行動することで幸せを得る
■幸せを願う気持ちがあれば、すぐに幸せになれる
■天気の悪い時こそ晴れやかな顔をする
■幸せこそ最高の贈り物である
■意志をもって幸せになる
■幸せになると誓う
-
Posted by ブクログ
まだそれほどくっきりと見えてもいないのに、人生について観念的に悩む時期でもある少女期に、ご多分にもれずわたしも人一倍あれこれなんだかんだと苦悩の日々を過ごしました。生きるとは・・・、愛とは・・・、死とは・・・、などの中に幸福とはということにも関心を持って、それで手にしたのがアランの『幸福論』(串田孫一・中村雄一郎訳、白水社、1975年)でした。少しして岩波文庫版(神谷幹夫訳、1998年)も手に入れました。『幸福論』は、言葉で概念を探究するものではなくて、日常生活を活き活きとさせるための、心の持ち方とか智恵を、ズバッと明確に示唆したアフォリズムが並んだ本で、すぐに私のお気に入りになりました。その後、このアランは、本名エミール・オーギュスト・シャルティエというフランスのリセの哲学教師で、我が愛するシモーヌ・ヴェイユの先生だったということを知った私は、彼女と同じようにアランに直接教わるようにしようと、真っ白いノートに向かって、ことばの概念とか自己省察とか社会や現象の定義などを書き留めるようになりました。たしかにあの時期、私はシモーヌ・ヴェイユになりたくてたまらなくて、顔とか髪とか服装とか身の回りをなるべくまったく気にせず、難民の子供たちが餓死していると聞くとお小遣いを募金したり、自分もあまり食べないでおこうとして栄養失調になったり、よくわかりもしないのに何冊ものむずかしい哲学書を開いたりしていました。もし許されれば、銃を持ってどこかの戦線に志願していたかもしれません。それはともかく、こうして小学生のころにしてきた、日記というものに、ありのままを書くという行為は、中学生になって思惟・省察ノートというものに、分析・内省するという行為に変わっていきました。そのようにして、まさに幸福なことに、私にとって哲学とは、何もむずかしい用語を覚えたり、それを駆使して論難したり新しがったりするものではなく、自分のことばでいかに精一杯いいつくそうとするかという、日常の分析的な行為として始まったのです。そして、その後、読み切れなかったヘーゲルを平易に読みやすく教えてもらったのが、この本の訳者の長谷川平蔵じゃなかった長谷川宏センセなのです。最初に読んだ『諸芸術の体系』(桑原武夫訳、岩波書店、1978年)にくらべて、なんと本書の読みやすくてスラスラ入って来ることでしょうか。もしかして私は、この本で、ダンス・詩・音楽・演劇・建築・彫刻・絵画・デッサン・散文・行進・曲芸など、わたしたちが人間として生きる日常生活のなかに、ありとあらゆる芸術と接することの大切さを教えてくれたアランの啓示通りに生きてきたのかもしれません。あるいは、シモーヌ・ヴェイユが、アランの第一次世界大戦へ志願兵として従軍したことにならんで、スペイン内戦に人民戦線派義勇兵として志願したひそみにならって。
-
Posted by ブクログ
アランの『幸福論』を読んで、まず感じたのは、アラン「メンタルマッチョ」なのではないかということだ。とにかく、気分や感情に振り回されるな、という主張が随所に現れている。
冒頭の謝辞にすべてが語られていると感じた。「気分の善し悪しはすべて、一時的なからだの出来事によるものだが、それを我々は異様に拡大して、そのことに神託のような意味を与えてしまう。そのような気分が最後に行き着くところが不幸である。」これは、深く考えるな、気分に意味を与えるな、ということ。
そして、アランの根本的な考え方は、プロポの69や93などから明らかになる。「もし不撓(ふとう)不屈のオプティミズムを原則中の原則として自らに課さないならば、すぐに最悪の悲観主義が現実のものとなってしまう。人間のおかれている状況とはそういうものなのだ。」人間は放っておくと悲観的になってしまうからこそ、楽観主義を努力して自らに課す必要がある、というのだ。幸福は自然にやってくるものではなく、不断の努力によってようやく手に入るものだという認識がある。
だからこそ、幸福への道のりが遠く感じてしまった。
以下、特に印象に残ったプロポをいくつか挙げる。
⸻
5 憂鬱
心の病気も、身体と同じように扱えという指摘。「心の悲しみをお腹の痛みのように考えるのだ」と言われると、気分の落ち込みを深刻に捉えすぎる必要はない。ただし、「休め」といっても、何もしないことではない。体が動くなら動けばいいし、運動して心身を休めるのもいい。「思うように休めばいい」。
それでも、不幸になると、つい心の「痛み」に触れてしまうのが、癖。わかってるけど実践が難しすぎる。
22 宿命
「動き出してから考えろ」「過去を嘆くな」というメッセージ。「「ああ、どうしておれは学んでおかなったのか」。これは怠け者の言い訳である。それなら学ぶがいい。学んだといっても、もう今やめてしまったならば、それは大したことではないと思う」
背筋が伸びる思いがした。「最初の舵の動かし方で一航海のすべてが決まると言ったら、船乗りはきっと笑うだろう」。歌詞みたいだな。
37 夫婦
「外の生活から孤立した愛情だけで成り立つ夫婦には、いつも心配なことがある」という指摘。外とのつながりがなければ、夫婦関係も閉塞的になりやすいのだろう。それは分かる。
ここまでは言ってないし、個人的な間隔だが。少し極端な言い方になるが、子供は、半ば強制的に夫婦を外界とつなぐ存在なのかもしれない。
44 ディオゲネス
行動することの楽しさを説いている。ただし、「自分でコントロールできたら楽しいだろうが、そううまくはいかない」という現実もある。
47 アリストテレス/49 労働
アランが現代に生きていたら、間違いなく仕事人間だろうな。主体的に取り組める仕事は楽しいが、そうした仕事に出会えること自体が難しい。「やらされている」と感じると苦しくなるし、主体性のない勉強や仕事はつまらない。それは当然。
でも、自分でコントロールできる仕事なんて稀じゃない?自分でコントロールできないことのストレスは、現代的な悩みでは。
85 名医プラトン
心の健康の前に、まず体の健康。とにかく運動が大事だという主張には納得する。メンタルを整えるには、まず身体を整えよ。
そりゃそうだ。
87 克服
幸福とは、報酬など全然求めていなかった者のところに突然やってくる報酬である。とにかくやれ、中に入ってみてやってみろ、そしたら楽しいから。
93 誓わねばならない
ここでも、アランは「人間は努力しないと自然と不幸になる」と言っている。
chatGPTに通したら…
全体を通して、アランの幸福論は、かなり「鍛える」タイプの哲学だと感じた。気分に流されず、行動し、体を動かし、前向きであれというメッセージは、厳しくも温かい。幸福は、考えるものではなく、実践の中で獲得するものだ。