柴村仁のレビュー一覧
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ネタバレ人によるのかもしれませんが、自分はこの話の後味は悪くなかったです。個人的には好きな部類かもです。爽やか青春ストーリーかと見せかけて、段々とひびが割れて崩れていくような不穏さがついには弾けてしまう。またそれが解決を見たかと思ったら、さらなる不穏さを残して前半が終わる。後半はその不穏さを引き起こした正体に気付いてしまった者からの視点で進んでいく。犯人のトラブルを引き起こした理由を語る場面は清々しいほどサイコパス染みてて、ある意味一番印象に残ったシーンでもありました。前半と後半のラストでそれぞれの主人公が、自分がやったものだと心の内で白状する場面は、全然違う雰囲気の意味なのに、文章的には共通してて、
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街のお祭りから始まり大晦までの間、日が落ちると開かれる市がある。湖の小島で、面つけた人なのかすらも怪しい者たちが跋扈する市では、人には言えないものが全て揃うという。
って和ホラー好きには刺さりまくるような話。刺さったよ…。千と千尋の雰囲気や恒川光太郎さんの夜市が好きな人間に刺さらないわけがないじゃない…。
市を警邏するサザを縦糸に織りなされる、物々しいのに余韻が切ない短篇連作集。優しいサザ。
思いがけずにヤンデレ男が出てきたのはびっくりした(性癖なのでありがてぇ〜!!)
わたしは鈍い方なので、読み終わった後に一息ついて、最初から何気なく読み返してから「そういうことか!」ってやっと気がつい -
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ネタバレ二部構成であり、一部は自殺した吉野の真相を確かめていくミステリーだと思っていたが、読み進めていくうちに良い意味で期待を裏切られた。人間の裏の顔(悪意、独善的な感情)が見えた瞬間のゾクゾクッ!とした不快な心の動きが忘れられない。まさか主人公と旭、織江が関わっていたとは。人間のちょっとした悪意で人を殺すことがあるんだな。現実にはそれが偶然行われなったの繰り返しで、自分ももしかしたら知らないうちに狙われているのかもしれないと思うと世界の見え方が変わる。
二部は一部と対照に甘美で優しい物語だった。変人である由良と家庭環境が劣悪で人間が嫌いな吉野の出会い、仲良くなっていく過程。公式の言葉を借りれば「みん -
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より本が好きになるきっかけになった本です。大きいサイズのほうも持っていますが、あちらは表紙やカバーが黒の分汚れに気を使うのですがこちらは小さいのでばりばり読めていいですね!
いろいろと自分なりに調べると、柴村さんが民俗学や漢字や言い回しについて調べたか、熟知しているんだなー、と口をぽかっと開けたくなるほど手が込んでいて、何重にも感動。
本の構成は経緯、をバラして進ませるという、思わず唸ってしまうようなうまさ。チョコレートスープやヒナちゃんの回では、市にいる人を変だとか評している街の側の人間、つまりお客さんのほうがよっぽどゾッとするなー、と背筋が寒くなりました。このお客さんへのゾッと感は、次作 -
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由良シリーズの続編ということで読みました。
前3部作の方は読んだのがずいぶん前なのですっかり忘れてたので不安でしたが、なんとか読めました…さすが柴村先生、爽やか系かと思いきやダークなお話でおもしろかったです。真名井くんかっこいいです。惚れるのわかります。沖津くんも真名井くんもどちらも歪んでて、でも一見真っ当に見えて。高校生のきれいな歪な感じがすごくいい。読んでて息苦しくなるのは久しぶりでした。続編のありそうな終わり方でしたね。2人を主軸に据えるわけではなさそうですが、この後真名井くんと沖津くんがどうなるのか見たいです。
そして由良は全然出てきませんでしたね。しかも脇役と言えるのかも怪しいレベル -
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ネタバレ『プシュケの涙』の三部作以来で読む柴村仁作品。
柴村さんの作品はとても好きなのですが、この『夜宵』はホラーテイストということで、購入しながらも後回し後回しになってしまいました。
のっけから確かに怖かったです。でも、それ以上に、文章から伝わってくる「市」の夜の光景が頭の中に鮮明に浮かんできて、すっかり入り込んでしまいました。
人物も個性的なのですが、それ以上に世界がすごい。
そして、最後まで読んでまた冒頭に戻らせるような仕掛け。読者をも巻き込んで「市」の「円環」を作り上げている。
さらに、不思議な章構成の謎が分かり、読み終わってからしばらく呆然としてしまいました。
舞台となる小 -
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ネタバレメディアワークス文庫で書いていた「プシュケの涙」の「由良三部作」の続編と言う事でかなり気になって購入。
物語は流石柴村仁さんと言うほど思春期なダークな感情を表しながらもまた続きを読ませてほしくなるような物語の進め方は流石と言わんばかりです。
今回の物語もすごく面白かったですが、
「由良シリーズ」といいつつ由良彼方はほんのちょっとしか登場せず、由良三部作とはあんまり関連しない感じ。
実は由良彼方が登場してるんですよ!ぐらいで良かったのにー。
いつ由良が登場するのかドキドキしてたのに、全然登場しなかったのが残念。
物語はすごく面白かった。
真名井君も沖津君も悲しい過去を抱えているが物凄く詳しく描か