あらすじ
大晦日までの僅かな期間にだけ立つ「細蟹(ささがに)の市」。そこで手に入らないものはないという。 ある者は薬を。ある者は行方不明の少女を。ある者はこの世ならぬ色を求めて、細蟹の市へと迷い込む。 異形の者たちが跋扈(ばっこ)する市で、市守りのサザが助けたのは記憶を喪った身元不明の少年・カンナだった。呪われた双子の少女は唄う。「ああ、不吉だ、不吉だ」「おまえがもたらす流れ、その循環は、混沌を呼ぶわ」……
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Posted by ブクログ
街のお祭りから始まり大晦までの間、日が落ちると開かれる市がある。湖の小島で、面つけた人なのかすらも怪しい者たちが跋扈する市では、人には言えないものが全て揃うという。
って和ホラー好きには刺さりまくるような話。刺さったよ…。千と千尋の雰囲気や恒川光太郎さんの夜市が好きな人間に刺さらないわけがないじゃない…。
市を警邏するサザを縦糸に織りなされる、物々しいのに余韻が切ない短篇連作集。優しいサザ。
思いがけずにヤンデレ男が出てきたのはびっくりした(性癖なのでありがてぇ〜!!)
わたしは鈍い方なので、読み終わった後に一息ついて、最初から何気なく読み返してから「そういうことか!」ってやっと気がついた。面白かった!!!!!続編も買います!!!!!!!
Posted by ブクログ
最近で1番良かった…。こんなどんでん返しは想像してなかったし、涙するほど切なかったし、完璧に色々と騙された…‼︎‼︎
先が気になりすぎて歩きながら読んでしまうほどでした笑(危ないので良くないですけど…)
柴村さんの作品、初めて読んだけど他のも読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
より本が好きになるきっかけになった本です。大きいサイズのほうも持っていますが、あちらは表紙やカバーが黒の分汚れに気を使うのですがこちらは小さいのでばりばり読めていいですね!
いろいろと自分なりに調べると、柴村さんが民俗学や漢字や言い回しについて調べたか、熟知しているんだなー、と口をぽかっと開けたくなるほど手が込んでいて、何重にも感動。
本の構成は経緯、をバラして進ませるという、思わず唸ってしまうようなうまさ。チョコレートスープやヒナちゃんの回では、市にいる人を変だとか評している街の側の人間、つまりお客さんのほうがよっぽどゾッとするなー、と背筋が寒くなりました。このお客さんへのゾッと感は、次作の「宵鳴」の一話目にも受け継がれていると感じました。赤毛のカンナ君を助けたサザさんがまさか…!と、全くラストを予想できず、びっくり。そして、結末に涙…。単純な感動というよりも、いたたまれない、なんでこーできなかったのか、もっと彼らは解決できる方向は無かったのか、と半分悔しいような不思議な気持ちになります。
ただ、サザさんの最後の言葉にサザさんのほんのりとしたズルさを感じました。本当に子供のように思っていたなら、本来はこう言うんじゃないかな、と。そこにも、ああ、カンナ君を引き止めたかったのかなぁ…と切ない。
あとはもう、ナキさんの虚しさが胸に刺さりました。ひとえに可哀想とは絶対に言えないんですけど、それでもなんて報われない人なんだ!ともどかしい。
夜宵は、すべての人がどこか行き間違い、そして後戻りできない寂しさ、切なさに生きているようなそんな印象を受ける美しい本でした。
Posted by ブクログ
『プシュケの涙』の三部作以来で読む柴村仁作品。
柴村さんの作品はとても好きなのですが、この『夜宵』はホラーテイストということで、購入しながらも後回し後回しになってしまいました。
のっけから確かに怖かったです。でも、それ以上に、文章から伝わってくる「市」の夜の光景が頭の中に鮮明に浮かんできて、すっかり入り込んでしまいました。
人物も個性的なのですが、それ以上に世界がすごい。
そして、最後まで読んでまた冒頭に戻らせるような仕掛け。読者をも巻き込んで「市」の「円環」を作り上げている。
さらに、不思議な章構成の謎が分かり、読み終わってからしばらく呆然としてしまいました。
舞台となる小島の周りを包む水の暗さと匂いを感じました。この世界は、本当にすごい。
Posted by ブクログ
冬の間だけ開かれる不思議な市を舞台にしたダークファンタジー。前半はもはやホラーのようにこわい。「チョコレートスープ」など、背筋がぞっとしました。主人公であるカンナくんと赤腹衆のサザの交流がやさしくて切ない。こんな結末になると思っていなかったので、予想外に胸を締め付けられました。ナキの考えも正論だからこそ、切なかった。そしてカンナの恋も切ない。胸がいっぱいで苦しいです。最後まで読むと、もう一度最初から読み返したくなります。名前や二人称のトリックがおもしろい。続編?があるようなので読んでみたいです。
Posted by ブクログ
この本の暗くて妖しい世界観が好きです
人の欲ってすごいなって思うし、なによりとても悲しいなというか切ないなって思うような痛みを感じました。
すごく面白かったです。
Posted by ブクログ
タイトル怪しくて読んでみようかと。
ファンタジック・ホラーとか言うジャンルみたい。(あんまり気にして読んだことないけどね)
日が沈んでいる間だけの何とも怪しい感じの市。手に入らないものはなし!人でも何でも売ってて…でも許される…この市では…
(でも、どっかの国の人身売買的な怖い感じではないで!)
こういう世界観は、好きやな。市にはお面被って、人ではないという事で成り立ってる。
魑魅魍魎の中での非現実的な感じが、日常を忘れさせてくれる〜
最後にどんでん返し的なのもあって、なかなかやった!
続編もあるみたい。読もう!
溜まってる本全部読んでからやけど(^^;;
Posted by ブクログ
恒川光太郎さんの「夜市」を少し若者向けにしたような感じがする。基本的にこういう余韻が残る話は好きです。チョコレートスープはいまいちだったけど、その後は良かった。
サザが女性だったのに驚いたのは絶対私だけではないはず!
Posted by ブクログ
最初のチョコレートスープから一気に世界観に引き込まれた。
和洋混ざった不思議な世界に浸れるだけでなく、最後のトリックが明かされてから、もう一度初めから読み返すと同じ文章が全く違うように感じられ面白かった。
しかしまだ、細蟹(=蜘蛛の糸)の市というだけあって、もやもやすること、気づいていない伏線がありそうな雰囲気。
そこがまた、この世界観と合わさって妙な後味がある。
続編があることをさっき知ったので、読んでみたい。
Posted by ブクログ
出だしの「チョコレートスープ」の印象が強烈。
不穏な歌だとは思っていたけれど、流石にそんなとんでもないスープだとは思いもよらなかった。
表紙のファンタジー感は何だったのかと目を疑うほど、気持ち悪い、絶対に飲みたくはない一品。
サザが登場するとはいえ、主人公らしきカンナに関わる話でもなしに、何でこれを最初に持ってきたのやら…
と思いながら読み進めていたのだけれど、結末まで読み終えてから、違った意味で「チョコレートスープ」にガツンと頭を殴られたような気がした。
サザを知る前と知った後では、同じ話でも全く違うものに見える。
まして、サザにとってのカンナはいかほどの存在だったのか。
「チョコレートスープ」を思えばもう一度読むのは遠慮したいはずなのに、再び細蟹の市の経と緯の糸の上に足を踏み入れずにはいられない、恐ろしくて、美しくて、悲しい物語だった。
Posted by ブクログ
素敵な装丁の本だなーと思って見てみたら柴村仁さんの作品だったので即買い。講談社BOXは初めて手に取ったが、なかなか素敵。そのままどこかに飾りたくなる。
細蟹の市をめぐるダークファンタジー。まともな人間は関わってはならない場所。関われば必ず普通ではいられなくなる。
チョコレートスープから始まり、どんどん世界に引き込まれていく。グロテスクな描写がかなりリアル。
赤腹衆のサザはいつも大忙し。そんな折に見つけたマドウジのカンナ。2人の生活は微笑ましいようだが、闇が隠れている。
カンナとまことの出会い、2人だけの秘密の世界。お互いに支えあいながら成長していく。
そんな折に、かつてサザと親しかったナキが現れ事態は一変。最後はたたみかけるように崩壊へと進んでいった。
夢中になって読み進めていたため、サザについてはみごとに騙された。どこでどうなっていたのかもう一度読み返したくなった。
Posted by ブクログ
最初と最後の時系軸が違ったので、ずっと勘違いしながら読み進めていました(笑)
サザとカンナ君のやり取りが切ない時や、ほのぼのする時などがあって読んでいてとても楽しかったです。
ゾッとするような話もありましたが、それさえもこの本の良さを引き立てるようなもので、とても良かったです。
続きがあるので、それも早く文庫化して欲しいです。
Posted by ブクログ
なんでも売っているという細蟹の市。
不思議な市での怖くて悲しい話だ。
赤腹衆のサザが優しい。
優しすぎて悲しい。
市と子どもを守るために何でそんなに優しいの?
こんな優しさを注がれたカンナがせつない。
ところで夜宵さんって…
宵鳴は続編なのか、それともアナザーストーリー?
Posted by ブクログ
細蟹の市では何でも売っているらしい
人もそうでないものも、
その島のその市で取り扱う商品に縛りはなく
混沌とした熱気が
大晦日の日が昇るまで暗い湖上に立っている
ただひとつ、マドウジだけは手を出してはいけない
市守りのサザに、懲らしめられるよ……
*
面白かった!
非合法なものや怪しいものを取り扱ってる
この世のものなのかどうなのかわからない、
そんな市の話
この手の話はなんとなく雰囲気は同じだけど
商品の数だけストーリーがあって楽しめる
でも何だろう、怖いというよりは
この本の読後感はただひたすら寂しいというか虚しいというか
まだまだ市も堪能できていなかったし
もっと読みたいなぁ!と思わせる作品
結局双子は何なのか確かにはわからなかった
あと商品を探しに来る話ももうちょっと読みたかったなぁ!
お高い版の方は全部違う内容なのだろうか…
読み終わってレビューを書く段階になって知ったけど
「細蟹」とはクモのことらしい。あるいはクモの網
どういうことなんだ…
夜宵様ってのも……
うーーん
Posted by ブクログ
私の大好きな作家さんの一人柴村仁さんの新作文庫。
メディアワークスで出しているお話とはまったくイメージの違う切なくて、悲しくて、おどおどしくて、心臓がぎゅっとなるせつなさ。
一年のうちに日が短くなる季節に湖中の小島に細蟹の市というのが開かれ、その市ではなんでも揃っているそうです。
だけど、非合法なものが販売されていたり、市から帰ってこられなくなったりするそんな怖い市が主体となるお話。
さすが柴村さんと言うひきつけられる文章。
そして最後の最後でわかったサザの正体。
カンナがどうして赤腹衆になれないと言われ続けたのか!
そしてカンナとまことの叶わぬ恋の話も切な過ぎる。
でも誰かが死んでしまう物語ってやっぱり悲しいですね。
Posted by ブクログ
ある期間だけ開かられる細蟹の市。
そこにはなんでも売っている。ここで買えないものはないといわれている。そんな細蟹の市を守っているサザと出会った人びとの話。
この市ではなんでも非合法のものも売っているためいろんな人びとが迷い混む。だが人間さえも売られているここはとても危険な場所であった。
最初は短編でチョコレートスープの話から怖かった。でもこのおどろおどろしい雰囲気と
細蟹の市の世界観がよかった。
途中から身元わからない、記憶もないカンナとサザの話になる。サザは一体何者なのか?カンナは成長していきサザのために何かしてあげたいと考えるが破滅が襲いかかる。
そしてなんといってもカンナとまことの恋が切ない。
Posted by ブクログ
一ノ経 チョコレートスープ
白いポンチョの女
生首の蒐集家。
肥満男
真性の変態。
サザ
アカハラ。赤腹衆。仄白い翁の面をつけている。
ヒチリキ
雪客衆筆頭。毛羽立ったぼろぼろの外套を肩にかけた男。白鷺の面をつけている。
私
マドウジと扱われる。黒胞衣を着せられている。妊娠中。石骨病院で出会った女に、チョコレートスープを飲めばおなかの子が助かると言われた。
間倉
まん丸いサングラスをかけた男。
あさなさな
ゆうなゆな
瓜二つの女の子。
シラ御前
チョコレートスープを作る。
一ノ緯 マドウジ
少年
赤毛。カンナ。
四人の男
キビト。白い兎のラバーマスクをつけている。
サザ
あさなさな
ゆうなゆな
案山子
黒式尉の面をつけてサザの命に従う。
少女
まこと。丹。
詰襟の学生服を着た少年
うつろなるもの。
ナキ
刑務所にぶちこまれた。
二ノ経 ヒナちゃん
僕
ヒナちゃんがいなくなってちょうど一年後、ヒナちゃんを探しに行った。
女
黒いワンピーの上に黒いケープを羽織っている。
天秤棒を担いだ男
サザ
奇妙に背の高い男
ブリーダー。
俺の父親
二ノ緯 エフェメラの苗床
サザ
カンナ
ナキ
市に出入りしていた男。
うつろ
まこと
タガネ
雪客衆筆頭のヒチリキの息子。
三ノ経 雪客衆
リュウテキ
雪客衆の新入りの面倒を見る。
夜宵
漠。細蟹の市における運営方のトップ。
ヒチリキ
雪客衆
とても重要な雑用係。
サザ
三ノ緯 曼珠沙華
カンナ
ナキ
まこと
サザ
四ノ経 サザ
カンナ
サザ
タガネ
ヒチリキ
ツヅミ
親父
捨吉
色黒の大男。
ナキ
トドロ
ピアスの小男。
オーファン
国籍不明の男。
四ノ緯 カンナ
サザ
ヒチリキ
織女
あさなさな
ゆうなゆな
詰襟の学生服を着た少年
カンナ
Posted by ブクログ
夜市が好きで読んでみました。
夜市のパクリとか口コミがあったものの、夜市とはうさんくさい怪しい市場という世界観が同じなだけで全く違うお話なのでパクリではなかった。
これはこれで面白かった。
このうさんくさい世界で楽しんでる人もいれば、宿命というかここでしか生きられない人もいたり。
私は好きなので今度は続編の宵鳴を読んでみようと思う
Posted by ブクログ
「大事なことはただ一つ。まともな一生を送りたければ、あの市に近づくべきでは無い」
帯にもある通り、人に言えぬもの全て揃います。
ただ一つだけ置いてないものがあります。
人間が迷い込んでしまえば容赦なく切り落とされ、犬に噛みちぎられ、売り物にされる細蟹の市。
柴村さんの作品はぬるっとどんでん返しがあるので、衝撃っていうよりもなんか嫌な感じになるミステリーってところが面白いです
人間がいくべき市ではないけど、なぜか魅力的で美しくて
行ってはダメだけど
この作品を読んだ人は誰でも細蟹の市に一回は行ってみたいと思うのではないでしょうか
Posted by ブクログ
ほんのりホラーテイストのファンタジーで、読みやすかった。一気に読んでしまったので伏線全然気付かなかったところも多い。
サザとかナキとかキャラクターがたっていて、だからこその叙述トリックなんだなぁ。
世界観が好きだったので続編も読みたい。
読みやすさとキャラクターの設定とかが漫画的でそこも好きだった。
続編を読むときにもう一回読み直してみようかな。
Posted by ブクログ
湖に浮かぶ小島で毎年開催される細蟹の市は、何でも売っていて手に入らぬものはない、という舞台設定のダークファンタジー。
ホラー的要素の中に感情に訴えるストーリーはそれなりに魅力があるものの、世界観をもう少し深く作り込んで欲しかったかな。
ある意味で本書の肝である叙述トリックには、まんまとしてやられました。
まだ続きがあるようなので、この先に期待して読んでみよう。
Posted by ブクログ
続編があるそうなのですが、結末がこうである以上もういいかな…と思う。
失ってから気づくことの方が多い。きっとそうだ。
与えられ続けているうちは、それがいかに特別なことであるかに気付かないのだ。
ナキもだいぶクレイジーだなあ。
愛する人のためには手段を選ばない。
ラストはやっぱり泣けちゃうなあ。
サザとカンナの、2人きりのささやかな生活を
思い返すと余計に涙出てくる。
Posted by ブクログ
さらりと読むには適度なおもしろさ。最初はそれこそ、恒川光太郎の夜市を思い浮かべたけど、時間の錯覚を上手く使った構成は昔読んだ「12月のベロニカ」を彷彿とさせたなぁ。悪くない。うん。