村山美雪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2020年に刊行された本書は、米英有力紙の書評で絶賛されベストセラーとなった。
米国では2010年代以降に10代の少女たちの間でトランスジェンダーとしてカミングアウトし、男性名への改名、性別・人称代名詞の変更、テストステロンの投与、乳房切除、甚だしくは陰茎形成手術などを行うケースが急増した。
本書は当事者本人、母親、教師、医者、活動家、反対派、成人した経験者などに幅広く取材し、その背景を多面的に分析したもの。
発行後、活動家界隈からは激しい非難を受けたというが、内容は極めてバランスの取れた常識的なもので、翻訳版を角川書店が発行しようとした際にも爆破予告だかの脅迫を受け断念したらしいが、産経新聞が出してくれたおかげで本邦でも日本語訳を入手できることとなった。
活動家界隈は自分の主張は声高に唱えるが、他者の言論・思想の自由の侵害には何ら気を留めないという習性が、この一点にもよく現れている。
著者の結論は、第二次性徴を迎えた思春期の少女に特有の精神的不安定さにSNSのインフルエンサーや活動家がつけ込みカルト的に洗脳されているケースが大部分で、両親は娘の反感を買うことになっても断固としてインターネットから遮断するなど、影響を及ぼす媒体、環境から本人を切り離すべきというもの。
カミングアウトし、薬品投与までした子どもを長期旅行に連れ出すなとして周囲の影響を断ち切ったところ、生来の女性としての性自覚を取り戻した実例も複数あげ、活動家がいう思春期の性自覚は正しく、一生変わらないという主張を退けている。
リベラルな親は子どもを理解したいと思うあまりカミングアウトした我が子の気に障らないようにしようとするが、薬品投与、手術をしても本人の自己肯定感が上がることはまれで、むしろ生活の質が下がる悪循環に陥る。
思春期の自己認識が不安定なのは経験した者には自明だが、それだけを根拠に専門家としての客観的な診断を怠り、改名や薬品投与、手術などの後戻りの効かない身体侵襲をむしろ後押しする医学会、大学を含む教育界などのなんと無責任なことか。
本書で紹介された少女たちは時を経て親子関係や精神や生活の落ち着きを取り戻しているようだが、こういう悪夢のようなスパイラルに陥る少女たちがいなくなることを願ってやまない。
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Posted by ブクログ
多様性を標榜する某界隈からの執拗な抗議に屈して発行すら断念したKADOKAWAのお陰で、発売前から出版が待ち望まれ、強力な宣伝効果があったその本。
この本が「差別」だと言う方々が、LGBTQ活動の中心であると言うことが、答えだと思った。
どこが差別なのか、さっぱり理解できない。
どこを差別と言ってるのか、全く分からない。
いわゆるLGBTQは、昔からその個人の問題を抱えて来た人たちと、今大騒ぎしている活動家界隈と、この本が対象にしている思春期の女性と、全く問題が異なる。
そもそも、生まれながらの性とジェンダーが違うんだと、何十年も前から言い出して来たことが、ここに至る罠ではなかったのかとすら思う。
ヒトの性は、男性と女性しかない。
つか、その男性と女性を、極めて狭い定義に押し込めてるのはその多様性を謳っている方々やろうに。
ヒトの性は、生まれながらに決まるが、社会によって育っていく。
思春期がやばいと言うのは太古の昔から言われてるわけで、疾風怒濤とかなんとか言うわな。
大半の人は悩みながら、答えを見つけてきた。
なのに今は、それを逃げることができる。逃げることを推奨する。
自我が芽生えて来た子供が、色々悩むのは当然だが、今は、簡単に、安易に、知識だけが目に入る。経験も、思慮もなく、最初に見たものに飛びつく。そこで賞賛される。ああ私は間違ってないと思う。
否定されれば、頑なになる。
それを、そうだよ、君は間違ってないよ、こっちにおいでという。出て行ってはいけないよと言う。
カルト宗教と変わらん構造やんか。
判断力が無いうちに、取り込んでしまう。
いわんや、肉体的な施術や投薬で、気がついても帰れない状況に追い込んでしまう。
それを問題視している。
本当の「性同一障害」で悩む人を一言半句も否定していないし、活動家の「活動」自体にも、一言も言及していない(と記憶しているが)。
問題提起として、極めて良書だと思います。
それが困るんだろうが。
なんで困るんだろう。 -
Posted by ブクログ
2020年にアメリカで出版され、賛否両論の騒動を巻き起こした本の全訳版。当初はKADOKAWAから出版される予定だったが、発売前からタイトルや帯、内容を巡って批判が殺到し、謝罪と刊行中止に追い込まれた。それを引き継いだ産経新聞出版や書店に対しても脅迫が行われた。
21世紀に入ってから「自分はトランスジェンダーだ」と主張する思春期の少女が急増した(この時点でなにか異常な事態が起きていることがわかる)。本書は彼らや家族を中心にインタビューし考察した、まっとうなノンフィクションである。
インターネットやスマホの普及でどんな情報にも簡単にアクセスできる時代の功罪か。自由すぎるアメリカ社会にも問題がありそうだ。 -
Posted by ブクログ
ある日突然、自身はトランスジェンダーだと主張する10代の女性が増えている。
そうした少女たちを取り巻く問題について、様々な証言を通して、取り上げている。
読んでいて、決して差別的な本でもないし、むしろ、公平な立場から、問題は問題であると主張している本だと感じた。
実際、10代の少女にとって、テストステロンやトップ手術などは身体に与える健康リスクも大きく、その決断が取り返しのつかないものとなりうることは確かだろう。
(原題の通りIRTEVERSIBLE DAMAGE となりうる)
権利を求める活動は別に悪いことばかりでもないだろうが、
それにより起きている医療的な問題を棚上げにして、それを問題として指摘する本書のような主張が迫害されるというのもおかしなことだと思う。 -
Posted by ブクログ
トランスジエンダーとは何なのか?。著者の膨大な時間と取材により様々な実例を下に考察を深めて多くが少女であると言うことは非常に興味深い。そもそも性同一性障害が進んだものかと思っていたが、これはある種の洗脳なのではないかとさえ思う。トランスジェンダーは・・という前に、アメリカという大国の病というものを非常に強く感じた。教育現場、医療機関など親の知り得ない場所で侵食するイデオロギーは恐怖すら感じた。彼らの主義主張はイデオロギーなのか、金儲けなのか・・。少女達の手のひらに収まるデバイスの先に広がるインターネットの世界の様々な情報の犠牲者。思春期の多感な少女たちを食い物にするために巧妙に仕掛けられた、様々な情報や罠にどう立ち向かっていくか非常に悩まされる内容だ。人の成長の速度とコンピュータの進化のギャップが生んだ悲劇。それを金儲けネタにした仕掛けた人々。
手術にまで至った少女たちを思うと心が痛い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレロマンス小説の基礎って感じの王道の話。
美しいヒロインが隣に越してきたヒーローの噂を聞き窓越しに観察。ヒーローはそれに気づき不快に思っている時、ロシアの貴族がヒロインに入れ込んでいるから監視しろと命じられる。ただの外見が良いだけのヒロインと思っていたが、接するうちにお互い好きになっていき、結婚をと思った時にヒロインがさらわれ、事仲を得て結婚。
ロシアの貴族がヒロインを怖がらせないように、ヒロインの客間で仕事をしたり、窓越しに朗読したりと素敵なシーンが多くて良かった。また読みたいってほど盛り上がりもないけれど、初めての方には読みやすくて良いんじゃないかと思った。ただ、朗読の本の詳細は省いてよかったんじゃないかと思った -
Posted by ブクログ
解説込みで600ページちょいあるんだけど面白くて一気に読んでしまった!
不運にも現実とリンクするような世界観で読んでて頭がぐらぐらしたが、現実に重なるからこそ今絶対に必要な物語だった。
ルースの言葉が真っ直ぐで格好良くて私はこの言葉を待っていたんだなあと涙ながらに読んでいた。
感染症とテロによってライブができない世界で音楽を作り続けるルースと音楽を世界に届けようと奔走するローズマリー。
正反対の二人が導き出した答えに胸が熱くなった。
映画みたいな幕引き!
最高!!
この小説は音楽を作る人と音楽を届ける人の物語であり、創作活動をする全ての人に捧げた物語でもあると思うので全員漏れなく読んでほしい〜!!
絶対心にブッ刺さるものがある。
あとどこかの感想ツイートであった通り、良いクィア小説でした。
素晴らしい読書体験だった!!!!! -
Posted by ブクログ
先にNetflixのドラマで見てしまっていたので登場人物のイメージが固まってしまっていたけれど、それでも細かく書かれたそれぞれのシーンで、主にサイモンの側からの描写にドキドキされられた。女性目線だとキュンとするけど、男性目線だとドキドキするのね。初体験でしたw
ドラマとは違って王妃様やエロイーズ、フェザリントン家の様子はほとんど出てこない。それだけにダフネとサイモン、そして兄アンソニーに集中できる。うっとり、キャー!、ドキドキ、ぽ〜♡みたいな繰り返しで読んでたわけですが、新婚初夜の宿のシーンはゲラゲラ笑ってしまった。このじれったさ!
ダフネの可愛らしさが最高!まぁそのあとは情熱的なシーンがあるのですがね♡
すごく読みやすくてあっという間に読めてしまう。続きが気になります! -
Posted by ブクログ
ネタバレ【覚書 子沢山なので】
Bridgertons
Edmund 1764-1803
Violet 1766-
Francesca 1797- / father33 mother31 /
John Stirling, 8th Earl of Kilmartin 1792-1820
Michael Stirling, 9th Earl of Kilmartin 1794-
When He Was Wicked / 1824 / Michael30 Francesca27 /
A40 B38 C33 D32 E28 F27 G23 H21
実はこのフランチェスカとPenelope、エロイーズのロマンスは同じ年の1824年に進んでいたのですね。
フランチェスカはブリジャートン一家の中でひとり、存在感の薄い子だったんですが、彼女自身が距離を置いてたんだなあ。
ヒーローのマイケルには同情していたんだけど……終盤性欲を抑えずにいたのが複雑な気持ち。仕方ないんだろうか。
フランチェスカの葛藤が分かるような分からないような。
私がこのふたりに今一つ入り込めないのかな。 -
Posted by ブクログ
「1951年、レニングラード」「線路に並べられた5つの死体」という帯の言葉が眼を引く。大戦後、スターリン支配下の共産国家の恐怖政治下の警察小説ということで、かなりの変わり玉だと思いつつ読んだのだが、期待通りの突然変異的な作品。どこにもないこの個性的作品に出会えたことはまさに収穫だった。
物語に未だ尾を引くナチスドイツとのレニングラード攻防戦について、作品では少なからず触れているが、兵糧攻めに合ったレニングラードは、長期に渡る攻防の下、圧倒的な飢餓に襲われ、その後遺症は物理的にも精神的にも戦後復興に向かおうとするこの都市には、まだまだ存分に吹き荒れていた。
スターリン指揮下の秘密警察による拉致と拷問と処刑の嵐が国中を席捲する中、人間同士の不信が高まり、少しでも油断すると密告され、疑獄の果ての処刑や行方不明へと繋がる。いわゆる足元からの危うさでいっぱいの恐怖時代と狂喜の如き国家制度の下で、本書登場の人間たちは一人残らず息苦しいほどの緊張を強いられる状況なのである。
警察官たちすら連れ去られると二度と帰らない。「線路に並べられた5つの死体」の警察官もほぼ全員が聖女の暗闇の中に消えてしまったため、捜査する者がいなくなり、レニングラード人民警察署のメンバーが雪を蹴立てて犯罪現場となった鉄路に赴く。五つの死体はすべて、指紋を採取すべき腕が切断され、全員の顔が剥がされ、完全な身元不明状態。ある者はレールに頭を乗せられ、ある者はレールの間に転がされている。
主人公の捜査官レヴォル・ロッセルは、かつて交響楽団のバイオリニストだったが、拷問を受けた際に左手の指を二本切断されたことで、楽器演奏ができなくなって久しい。この物語のタイトルが示すように、この奇妙な殺人死体は、音楽の世界にどこかで繋がっているかに思われる。
ロッセルの指を切断した拷問者ニキーチン少佐も本件に乗り出し、二人の奇妙な因縁のコンビはあろうことかこの運命の事件に、協力して捜査に絡んでゆく。凄まじい宿命の絡むこの事件を、遠い時代遠い向こう側の国に追いかけてゆくこのストーリー・テリングが凄まじい。格調高い芸術域に及ぶ音楽世界の語り口と、見えない影の国家による暴力の時代に真っ向踏み込んだ、逆境ミステリーの世界とが、ロッセルの眼を通して深刻に絡み合う。
対立と、処刑と、拷問と、裏切りと。凄まじい時代。歪んだ残酷な事件。それらを扱って、なお高い格調を保つ本小説は、フィリップ・カーによるナチス三部作の恐怖と緊張に満ちた捜査を思い起こさせる。二人の新人作家による極めて特異なシチュエイション設定が格別である。作家の一人は音楽家だそうだ。主人公ロッセルのモデルに投影された音楽への愛着には魂を込めているように感じられる。
各章の小題が音符で記されていることや、徐々に判明してゆく音楽との繋がり。眼を離せない伏線と、複雑な仕掛けに騙されつつ、ストーリーテリングの重厚な巧緻さに、最後には魂ごと持って行かれそうになった。当代における大変貴重な怪作として是非とも注目しておきたい作品である。