堀内静子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリー小説のマスターピース的な一冊として挙げられる作品。
お恥ずかしながらようやく読むことができた。
ポアロの元に届けられた挑戦状。
その予告通り、Aで始まる地名の街でAの頭文字の老婆が殺される。
そして現場には不気味にABC鉄道案内が残されていた。
まもなく第二、第三の挑戦状が届く。
Bの地でBの頭文字の娘が、Cの地でCの頭文字の紳士が殺され・・・・
いや、これが1934年に出された小説だというから驚きである。
まさに今で言う劇場型犯罪。
現在で起きれば大きなセンセーショナルとなるだろう。
最初、倒叙型のミステリーなのかと思いきや、
そんな単純な話だったらここまで歴史に残らないのは -
Posted by ブクログ
被虐待児は全国でかなりの人数に上ると思うが、その中で解離性同一性障害を発症するのはどのような特徴を持った人間なのか。
ビリー・ミリガンは多才で知的にもかなり高かったようだけど、それも関係しているのか。
そもそも人格なんてものがあるのは人間だけで、その人格が分裂していることが良いこととも悪いこととも見なせない。最終的にミリガンが社会の中で生き、生活していけるのならば「共同経営」でも「個人経営」でも「会社組織」だろうと問題は無いと言ったドクターコールの見解にその通りだなと思った。
ミリガンは癌を患い亡くなったようだが、彼が晩年幸せな時間を少しでも多く過ごせたことを願ってやまない。
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ネタバレ 購入済み
最後まで
最後まで犯人がわからなかった。ABC順の名前の殺人が起きて、犯人と思われる人もイニシャルがABCだなんてセンス良い。身代りも用意してキチンと計画したのに、証拠ゴロゴロ出て呆気なく終わるとは。ポアロの推理が始まったところはスラスラ読めた。
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Posted by ブクログ
主人公に据えられているはずなのに、徐々にビリーにうんざりしてしまったのはなぜだろうか。自分の望まないことを回避するように統合と分裂を無意識にコントロールしているのでは?とか、自分が性根では善人なのだと喧伝したいがための正当化なのでは?という気がしてくる。
作中の作家は中立であるように描かれていると思うが、一方で、実際のキイスはビリーに心を寄せていたのではないかとも感じた。
そう感じたのに、ビリーに対して上記のような感想を覚えたのが少し不思議だったけれど、それがこの作品の妙なのかもしれず、また最後の方はストーリーが一進一退だから、そのためかなとも思う。 -
Posted by ブクログ
1977年、ビリー・ミリガンは連続レイプ犯として逮捕された。だが、本人には全く犯行の記憶がない。精神鑑定の結果、彼の中には複数の人格が存在し、犯行はそのうちの一人によるものという事実が明らかになる。初めて『多重人格』により無罪となった男のノンフィクション。
『ザ!世界仰天ニュース』でも放送され、実際の映像も残っているビリー・ミリガンという人物について、本人へのインタビューや関係者の証言をもとに『アルジャーノンに花束を』で知られる作家が記録作品とする。
ビリーは幼少のころ、父親の自殺を目撃したころから精神の分裂が始まってしまう。そして分裂が加速したのが、再婚相手となったチャーマーによる虐待や