堀内静子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった!
まずお屋敷とかじゃなくイギリス国内のいろいろなところで事件が起きて駆けずり回る筋書きが、これまで読んだポワロシリーズの中では新鮮でとても面白かった。
お屋敷や村とかだと途中でどうしても牧歌的で穏やかな雰囲気も出てきてしまい、それがクリスティの魅力のひとつとも思うが、この作品はそれがなく良い意味でずっとピリピリした緊張感を感じながら読んでいた。
随所に挟まれるカスト氏のシーンも異常者の行動をのぞき見しているような(読んでいるときはそう思わされていた)居心地の悪さがあり、作品全体をシャープに引き締めている。
ここらへんはなんかフィンチャーのセブンやゾディアックのようなじわじわと怖がら -
Posted by ブクログ
ポアロシリーズを読んだのは、今回で4作品目だけど、これまでの作品にみられたような限られた集団内での事件とは異なり、今回は犯行が広範囲に及び、無差別連続殺人事件の犯人と対峙する展開なので、これまでとは雰囲気が違うような。
基本的に、お馴染みヘイスティングズ視点で進行。相変わらず、愛嬌たっぷりのお茶目さんw
ポアロへABCと名乗る謎の人物から殺人予告の挑戦状が送られる。その予告通り、Aから始まる地名の町で、Aの頭文字の第一被害者が発見される。そして、B、Cと第二、第三の事件が発生する。いわゆるミッシングリンクと言われるミステリの先駆け的な作品で、次々と起こる事件の疾走感とともにグイグイと読み進め -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んだものの内容覚えてないのでもう一度読みたい!
2025/3/20追記:
再読完了!終わりに向かうにつれて何となく内容を思い出し始めたけど、それまでは全く覚えていなかったので二度楽しめてお得でした
カストを捕まえるところまで、割とサクッとやってしまったのでポワロの活躍はいつ!?とびっくりしていたら、ラスト100ページくらいでしっかりと追い上げて。しかも、連続殺人事件の真相にしては珍しい(と思う。ミステリー詳しくないから何とも言えんけど)、一個の殺人を隠すための連続殺人という手口が斬新。しかもそれを、現地調査ではなく灰色の脳細胞で考えるので、我々読者にもちゃんとその過程で情報が開示されるし -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻にも人格名と性格一覧を載せてくれよ、と思いながら読み始めたが、順番に新人格が登場してパンチのある紹介(行動)をしていくので必要なかった笑
"憎悪の管理者"で喧嘩担当のレイゲンだが、ロビンフッドのように貧困の子供を助けて喜んだり、人格の中でもクリスティーンを気に入っていて、スポットに出ていない時は遊び相手になっていたり(レイゲンが必要な時に呼んでも出てこないのでアーサーが探し回ってみると遊び相手をしていた)、レイゲンがエイプリルに唆されてチャーマー・ミリガンを銃殺しようとするのを、アーサーがクリスティーンに止めさせる(効果あり)流れが面白かった。
アダラナは女性と一体に -
Posted by ブクログ
ネタバレ人格同士の争いや、他者と各人格とのやりとり中心の話かと思って読み始めてみたら、前半はレイプ事件中心なので、あくまで他者から見聞きして得られた情報のみを記していくのかと思いきや、後半から人格同士の対話が増えてきて、期待どおりの面白さだった。
ノンフィクションでありながら執筆にあたり、全てが事実通りではなく脚色も入っており、公にされると犯罪として立証されてしまうため伏せられた案件もある(本人の希望を尊重)等の注意書きから始まる。
そして複数人の登場人物の名前として、人格の名前と簡単な性格などの説明。
上巻はレイプ事件の捜索からビリーミリガンという人物の登場、裁判にかけての一連の話。
そして本著 -
Posted by ブクログ
面白いです。辛い描写もありますが、心温まる場面や言葉もあります。
まとめて読む時間が取れず細切れに読んでいるので、最初は第一部が始まる前の『心のなかの人々』を参照しつつ読みましたが、だいぶその頻度が減ってきました。
後半で、ビリーの中の人々が次から次に他者の前に姿を表す部分はとてもテンポよく面白かったです。彼らが実在した人たちなのか、どこからどうしてビリーの中にやってきたのか、まだ分からないことが多い。ただ、アレンがドクター・ジョージに言った「ドクターが人格たちと言うと、彼らがほんとうにいるとは考えていないみたいに聞こえます」という言葉は印象的で、彼らは確かに「人格たち」ではなく「人々」なのだ -
Posted by ブクログ
かつて〈モンスター〉として描かれてきた多重人格者を、〈モンスター〉の側から書くことで理解を深めた記念すべきノンフィクションの傑作。連続レイプ犯として逮捕されたビリーミリガンには犯行の記憶がなかった。ビリーの症状、24人の人格との対話、生い立ち、裁判の様子など非常に興味深く描かれる。虐待が生み出したと思われる多重人格。しかし犯罪者の人格も彼の一部であり、それが一人の人格であるなら文句なしに罰される罪を犯している。そしてどれも彼の人格なのだ。その中から一人格を正しいと決めて集約させようとすることは治療なのか、矯正なのか。また犯罪を犯すほどではない多重人格者はどうしているのだろう。問題視されなければ
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Posted by ブクログ
ネタバレ子供の頃テレビで見て、彼についてなんとなくは知っていた。今でも内容が頭を離れず、ようやく読むことができた。
解説にもあったが、多重人格は親からの虐待に起因することが多いらしい。ビリーの場合は、継父からの性的虐待、実父の死によるショック、母親からの激しい叱責などが原因で、自分を守るために人格が分裂していった。怪力のレイゲン(スラブ訛り)、愛を渇望するアラダナ(レズビアン)、知的能力の高いアーサー(イギリス上流階級訛り)、全ての苦痛を引き受けるデイヴィッド(幼児)などなど。それぞれが全く異なる人格やバックグラウンドを持っているのも驚きだし、リーダーを作って人格をコントロールしていたというのも衝撃だ -
Posted by ブクログ
多重人格というものに対しての偏見?イメージ?みたいなものが変わった気がする。
自分が知っている冷酷で理知的で、必要に応じて人格を分けるサイコパスではなく、生きていくために人格を変えざる得なかった弱者だったのが衝撃的だった。
今回の話は身体的な意味でビリーが犯した罪よりも、多重人格者が犯した犯罪という意味で有名になった訳で、そう考えると偏見にまみれているように感じるし、周りからの視線も好奇以外のものがないと思う。
罪を犯していない人間(人格)を逮捕するのは冤罪と変わらない気がするが、身体的な意味では犯罪者だから、どう分類したらいいのかわからない。
それにしても、知力や体力はもちろん、使用する言語