森本正史のレビュー一覧
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19世紀から20世紀にかけての世界のお金の流れを、今までにない規模でのデータから集約、分析し、資本主義のなかで拡大する格差に歯止めが必要であると訴える書。
ふとしたきっかけから手にした、ピケティ『21世紀の資本』。
本文、およそ600ページ。
経済の話、苦手だし……、読んでもわからないかもしれないし……。
読まない理由はいくつもあったけれど、2010年代を代表するベストセラー、せっかくならどんな本か知りたい!と1ページ目から体当たりしていくことにしました。
さいしょは「資本」とか「所得」の用語が出てくるたびに、意味が頭に定着していないから、いちいち立ち止まっていました。
ノートにメモをとっ -
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この本の3分の1は、「21世紀の資本」という本の代名詞のようになっている r > g(資本利益は経済利益を上まわる)という式の解説である。残りの3分の2は、格差と資本集中の解消に資本に対する累進課税と、相続税への課税の有効性、政治と経済の関係についての考察である。とくに終わりにちかい50ページについては、EUの抱える問題点に言及がある。経済というと、様々な数式や、理論があるが、現実はどうだったのか。資料を集め精査し、経済理論の様々な色眼鏡を外してみると、事実が見えてきた。というかんじなのだ。いくつか、象徴的だと感じる瞬間が読んでいてある。たとえば、累進課税方式が格差をなくすための知恵の産
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歴史上、新たな技術などの”異質なもの”に対して「オープン」な姿勢で接した国家が成功してきた反面、それらの国々がいつしか「クローズ」になり、没落していったのはなぜか。人間の進化の過程を遡ってその要因を明らかにし、現代社会に影を落としつつある「クローズ」の脅威に立ち向かう方策を提唱する啓発書。
著者は、かつての古代ギリシャやローマ帝国から、8世紀以降のイスラム諸国、宋代の中国や近代オランダ帝国に至るまで、歴史上「帝国」と呼ばれた国々に共通する成功の根本要因は、”他所者”たちと能動的に交流する社交性や、それらがもたらす異文化や新技術などを認める寛容性と、既存の価値観に捉われずに新たなものを積極的に -
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ネタバレ「オープンな社会の方がクローズな社会よりも望ましい」という直感的にも納得感のある主張を、歴史を振り返りながら検証していくと同時に、なぜ人類はオープンな社会を維持できないのか/維持するにはどうすればいいのかについても考察された本。
人は、共感しやすい内集団と攻撃的に振る舞いがちな外集団をつくりだすが、内集団を広げて、多様性をどこまで取り込めるかが、オープン性にかかっているような気がした。
この内集団と外集団の境界は簡単に変化するもので、外集団と接して共通点を見つけるだけでも内集団は広がるし、逆に内集団内で疑心暗鬼が広がるだけでも内集団は狭まる。
オープン性を維持する方法は、シンプルに、外集団と -
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トマ・ピケティ(1971年~)は、フランスの経済学者。2002年にフランス最優秀若手経済学者賞を受賞。パリ経済学院設立の中心人物、教授。社会科学高等研究院の研究部門代表者。
本書は、2013年にフランス語で発表され、2014年4月に英語版が発売されるやベストセラーとなり、同年12月には日本語版が出版されブームとなった。30ヶ国以上で翻訳され、経済学書では異例の300万部以上を売り上げている。また、2019年には、ピケティ本人が出演するドキュメンタリー映画が公開された。
私は従前より、世界中で格差を広げる資本主義に問題意識を持っており、これまでも、ジョセフ・スティグリッツ、水野和夫、広井良典(社 -
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才能ある人に大きな報酬を与えて才能を開花してもらえば、社会の生産性が高まり経済が発展して、結果として最下層の人々にも恩恵がある(クズネッツ)というわけではない。80年代以降、先進国の経済成長率は低下している。賃金は経済成長率と同じくらいしか増加しない。一方、金融や不動産など、資産を投資して得られる収益率は増大している。経済成長率が、資産からの収益率よりも低ければ、収入格差は広がっていく。労働者が経済成長によって得る所得の増加幅よりも、資本家土地や株式で得る利益の方が常に大きいので、不平等が拡大した。資本の格差は相続によって固定されている。所得(フローへの課税だけでなく、資本(ストック)への課税
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ようやく読み終わりました・・・注釈含めると700Pの大作・・・読破するには覚悟が要ります・・・
自由な資本主義の行きすぎにより留まるところを知らず拡大した格差。ピケティの主義主張は一貫して、「累進課税」。資本税の導入だという。不労所得にも税をかけること。確かに。寝かせられるだけのお金をたくさん持っていればいるほど、その人は働かなくても食っていける。そうすると富めるものはより富み、持たないものはより細る。ただし、資本税が有効に働くのは、すべての国の銀行口座情報がガラス張りになっていること、これがないと、今横行している税金逃れが続いてしまう。
コロナで世界中で景気が停滞し、失業者が出る一方で、今ま -
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提案の方向性はおそらく正しいものだと思う。ただし、膨大な項目にそれを引用する上での留保。理解する上での前提の多さ、この留保や前提は数字のことではあるものの、どこか宗教的感性が必要だ。これは、この人の物言いがそうなんじゃなくて経済学の話全般に言える胡散臭さや問題点だと思う。テレビでの解説は概ね簡略化されている。コメンテーターもわかりやすく言うが実相が見えている人は表に出てこないで金を稼いでいると思う。そういう人たちの野心の強度に比べて学者の言論は心許ないなというのが正直な印象。合意を形成して目指すにしてはもっと別の枠組みも必要になると感じた。
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ネタバレ☆は3にするか4にするかでちょっと悩んだけど。
普段、経済政策の話って実はあまり読むことなくて、不平等を経済政策としてゆっくり考えたの初めてに近いから、そういう意味で、いいきっかけになったから、4にしました。
つまり、これまで、個別に社会保障問題、年金、税率、社会サービスへのアクセスなど、考えたりはしてきているけど、それを全体政策として捉えきれてなかったし。社会サービスへのアクセスも、貧困層が弱いのはもちろん自明だったし拡大すべきと思っていたけれども、その捉え方はどちらかというと、人権思想であり、まあ、capabilityアプローチであって、それがすなわち所得の拡大と同義だ、なんていう考え方