森本正史のレビュー一覧
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本書は、経済学を再び「政治経済学」の座へと引き戻した記念碑的な著作です。著者は、18世紀以来の富と所得がどのように推移してきたかについて膨大な統計に基づいた客観的な考察を行い、そこから驚くべき教訓を導き出しました。議論の柱となるのは、格差拡大の根本的な力である「r > g」という不等式。これは、投資や相続から得られる資本収益率 (r)が、賃金上昇の源泉となる経済成長率 (g) を常に上回り続けるという構造を示しています。つまり、労働によって豊かになる速度よりも、資産が資産を生む速度の方が速いということです。歴史的に見れば、この不平等の拡大を止める力となったのは、良識ある政策ではなく、皮
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931ページの大著。「21世紀の資本」の続編。
当然熟読は不可能。
しかし、全頁間違いなく眺めた。
ピケティの思考プロセスを追うことだけはできたと自負している。
テーマは「格差」。
私の問題意識でもある。
ピケティはこの問題を、古今東西の格差の歴史を追いかけながら、分析を深める。
格差を正当化するのは「格差レジーム」、格差はイデオロギーだと看破する。
1950年から80年はそれ以前と比べ、格差が低い水準だった。
それが今日拡大するきっかけになったのはレーガノミクス。
このあたりは自分もリアルタイムに覚えている。
累進課税こそがやる気を失わせ、経済発展を削いでいる。
課税を低くすれば、能力 -
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『21世紀の資本』に続くトマ・ピケティの超大作。欧米の他に中国、インド、日本、南アフリカなどについても経済の格差に主眼をおいて歴史的に分析している。時代の変遷に従って、国民の資本格差がどうなっているのかを比較することによって普遍性を導き出し、解決策を述べている。分析は極めて精緻であり勉強になる。ピケティの主張はマルクス主義に似ており、純粋な資本主義、自由主義、グローバル主義は格差を広げるので、平等を追求する社会主義の方向に舵を切るべきというのが結論となっている。自由と資本主義は強力であり、ピケティの主張では競争力を低下させ国力を削ぐだけになるように思われる。ピケティのいう「参加型社会主義」の地
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とにかく読むのが大変だった本。特に序盤、批判対象が何であるのかを掴むのが非常に難しかったけれど、後半に向けて対象が一つに集約されているのでそれは解消された。と同時に、対象が何であるか分かりにくくなるのは対象に明確な定義・名称がない為ある程度仕方のない事だとも納得できた。これまで読んできた書籍の中でも恐らく同じ対象に対してあらゆる名称が使われていたし、対象者自体が同じ言葉を使っていないのだからこの場合は仕方がない。本書では名称は<理論>と呼称している。最終的には面白く読めた、けれど結言にはやや同意しかねる。それと、とにかく全体を通して言葉がきつい。
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時間が有り余っている学生時代に読めておけて本当に良かった。
r > g の原則を知らずに社会人として社会に放り込まれていた可能性を考えると怖くなる。
中々裕福になれないやるせなさを感じるも原因は分からない。なぜなら資産の大半は上位層がガッツリ確保しており、それを使って芋ずる式に不労所得を蓄えているのだから。
歴史から得られる原則と、信用性の高い数字と向き合う大切さを学べた。
様々な事象や通説が重なりあって経済は動いている。
あとは読解力がかなり増した気がする。本書を読む前後では、他の本を読む時の理解力が断然に違う。
本書に出会えたことに感謝を。 -
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5年以上、積読だった本。きっと一人じゃ読まないままだ、と思い友人を巻き込みたった二人の読書会を企てました。二週間に一部ずつ読んで、週末2時間zoomで語り合うという方式です。全4部構成を4回で読み終わりました。ものすごい達成感!ノートを取りながら読書したの学生以来か。夜、夕食後に自宅で集えるzoomという仕組みに感謝。いやいやこの試みに付き合ってくれる友人の存在することが最大の幸せ。大昔、パルコのコピーに「本読む馬鹿が、私は好きよ。」というのがありましたが、本を読む馬鹿仲間は宝物です。この読書会と同時に読んでいた「人新世の資本論」でピケティの新刊「資本とイデオロギー」が出ることを知り、次のテキ
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Posted by ブクログ
下巻の本書では、第三帝国の第二次大戦での、初めての大勝利だった対フランス戦から、同帝国崩壊までを著しています。上下巻でそれぞれ700ページ以上あったので、まず読み終えた達成感があります。ナチスに関する事前の予備知識は殆どなかったものの、訳者あとがきで現在でのナチスに関する各専門家の一般的な考察も大雑把ではありますが読めたので、本書の革新的なナチス経済の見解との違いをよく知ることができました。補遺にあるように多くの経済的な数値から導き出される当時の連合軍相手に戦った時のドイツの逼迫した経済状況は、もはや異常なものであり、国自体が日を増すごとに衰退していく様子がはっきりと分かります。本書は、ナチス
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Posted by ブクログ
これは、凄い一冊です。上巻の本書ではヒトラーが総統に就任する直前からの1940年までのナチスドイツの経済状況を詳細なデータを基に、分析しています。例えば、ヒトラーの公共事業では高速道路の「アウトバーン」が有名ですが、それも詳細な雇用データによると、公共事業と呼べるほどの雇用は生み出しておらず、経済政策としては、殆ど成り立っていないことが本書では分かります。その他、ドイツが常に外貨不足で苦しんでいる状態で、幾つもの苦肉の策を編み出しては、失敗していく様が詳細に著されており、只々瞠目しました。蛇足ですが、本書の文章はやや難解な印象を受けるので読みにくさを感じる方は多いかもしれません。