ミチオ・カクのレビュー一覧
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一見、タイトルは怪しげだけど、超ひも理論の研究者による最新の理論と天体観測結果等を突き合わせつつ、多角的に論じられるパラレルワールド論。これを読むと、「パラレルワールドはあるかもしれない」から「それを考えないと世界は説明できない」に変る。
世界の見方は相当に変化する。だが、その変化の果てにある「人生観」は、「人生には目的があると思う。その目的は結局のところわれわれが人生に与えた目的であって、なんらかの宇宙の設計から導かれた目的ではないだろう」というアラン・グースの言葉にあるとおり、特に驚くものではない。
人間の知識は加速度的に増加するけど、その「知恵」は、ブッダや老子、あるいはギリシャの哲人たちから大きく変わるものではないのだ。
現実世界につかれたとき、「これは多くのパラレルワールドの一つなんだ」とか、「世界はランダムに生起しつづけているのだ、この世界はその一つに過ぎない」とか、「宇宙はビッグフリーズに向かっているのだ。私たちが生きているのは、宇宙の長い歴史のなかの一瞬、宇宙の極めて恵まれた一地点に過ぎない」とか、考える事によって、強烈に現実逃避が可能となる。そして、「まあいいか、この貴重な奇跡的なこの時間を大切にしよう」とポジティブに変化することができれば、なお良い。
個人的には、そういう現実逃避と現実回帰に「役立つ」本である。 -
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ミチオ・カク氏が描く世界はSFそのものだ。だがその世界がすぐそこまで来ていることを実感させられワクワクさせられる。最新テクノロジーや最先端研究はここまで実現できているのかと一々驚愕させられる。テレパシーやリバース・エンジニアリング、果てはワームホールまで、なんと夢のような世界だろう。そしてそれらの難解怪奇な技術を、ミチオ氏は極めて解りやすく躍動感溢れ且つ理論を疎かにすることなく語り尽くしている。
最先端科学やアイザック・アシモフに代表されるSF、レイ・カーツワイル氏の『The Singularity is near』が好きな方にはぜひおすすめしたい。少しでも長生きしてミチオ氏が示す未来をみてみたいと思わせる本だ。 -
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本書を読むと、脳研究の現在と脳を取りまく技術進歩の大きな方向性がわかる。終盤では地球外知的生命体の話も出てきて、人類がこれから歩むであろう方向性がざっくりと理解できる。
脳には複数の人格が隠れていること、学習の本質はニューラルネットワークの組み直しであることなどを読むと、へーの連続。また、数世紀単位の話だと思われる今後の方向性の話もとても興味深い。脳をつなぐブレインネット、人類はゆくゆくは肉体を捨てて心だけの存在になる可能性、地球外知的生命体が人類をみるときにとる態度など、読み進めるにつれて知的興奮が増してくる。これらは筆者の独創だけでなく、多くの専門家の知見に基づいている。このあたりが、単なるSFチックな話には聞こえないことの理由だと思う。
いずれにしろ、今後数世紀以上を俯瞰する、知的好奇心を刺激される本である。 -
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正月に放送されて話題をよんだNHKのNEXT WORLDにも出演して未来を語った物理学者が「意識」に切り込んだ500ページを越える大著、脳科学のテクノロジーの発達の歴史から物理学者の観点からの意識の定義(ここがとても分かり易く納得感があったので後述)そして、BMI(Body Mass IndexじゃなくてBrain-machine Interface^^;)が思ったより進んでいるのに驚かされ、脳科学の臨床をしっかり押さえてから、人工知能や意識のダウンロードそして量子論などの意識の未来を語ります。脳科学系の著書にありがちな哲学や宗教からの引用が無く、SF小説や映画からの引用が多くとてもワクワクしながら楽しく読めました。
本書での意識の定義のざっくりまとめ引用
レベル0:動かないかわずかな移動性だけを持ち、少数のパラメータ(温度、水分、日光など)のフィードバックグループを用いて自分の場所のモデルを構築する。
例)草花
レベルⅠ:変化する位置を評価する新たなパラメータ群(視覚、嗅覚、平衡感覚、触角、聴覚などで、このそれぞれに複数のフィードバックグループが含まれる)。
例)爬虫類、自身が何処にいて他の動物(獲物など)が何処にいるかといった心的イメージを形成する。
レベルⅡ:他者との関係という位置付けについてモデルを構築するためのパラメータ、動物がみずから集団のメンバーと社会的なやりとりをするのに必要なフィードバックグループの総数で定義する。
例)オオカミが自分のほかに10匹と群れをなし、どのオオカミとも15種類の感情や仕草をやり取りするとしたら、その意識の大雑把な近時は10*15で150となる。
レベルⅢ:人間だけが持つ未来をシュミレートする意識。世界のモデルを構築してから、過去を評価して未来をシュミレートする特殊な形の意識であり、多くのフィードバックグループについて折り合いを付けて評価し、目標を達成する判断を下す。 -
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ネタバレ一言でいうと、地に足がついてないが故にとても刺激的で興味深かった。現実味がなくフワフワした感じ。ただ、全ての記述は根拠があることなので、現実味がなくても、未来に起こりうることでもある。
ハードウェアという脳、機能としての意識。これらを、病気やロボットという観点から、未来はどうなっているかと突き詰めていく。
が、この未来は、来て欲しいかというと、来てほしくないかも。。。精神疾患や人の暴力性がなくなることは大歓迎だけど、不老不死も既存の身体を捨てることも、意識を外部から覗かれることも、御免こうむりたい。やはり、幸せというのは、食べて寝て時々恋をする位がちょうどいいのでは。 -
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脳研究最前線の情報が満載であり驚かされることばかりであった。
最先端技術との組み合わせにより、脳の機能が拡張され始めている。究極的には、肉体は滅びても記憶や意識が生き続ける世の中になるかもしれない。
20世紀が量子論の幕開けだったとしたら、後世の人たちはiPS細胞と合わせて21世紀を不老不死の幕開けと呼ぶのではないだろうか。
デジタルコンピュータの進化とは違う別次元の楽しみを見つけた気分だ。
脳同士が地球規模で直接コミュニケーションを行うブレインネットでは、言語処理系はどうなるのだろう?
考えを言語に一旦変換する必要がなくなるので効率がよくなるのか、それとも左脳で思考すると言われているので、はやり翻訳機能が必要になるののだろうか。
または、コミュニケーションに不可欠な暗黙知の共有化はどうするのだろうか。色々興味は尽きない。
記憶をアップロードしたり、忘却をコントロールできたりすることは、平和的利用をしている分には、人類の幸福につながるが、諸刃の剣であることは言うまでもない。
科学の進歩とともに多くの失敗も経験してきた我々は、生物としての進化にも踏み込もうとしている科学技術領域では、なお一層慎重になる必要があると思う。 -
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「透明な電磁バリヤ」を張って防御するってのは分かるけど、「透明人間」が実現可能レベル 1、すなわち難易度が最も低い事象だという。この本に挙げられている幾多の事象の中での話だけど。さらに「テレポーテーション」までもがレベル1。肉体の原子を分解してファクシミリよろしく転送し、復元すればいいらしい。もっとも、魂まで復元できるかは疑問だ。「タイムトラベル」はレベル2ながら、地球時間と宇宙時間との時間の長さの違いから未来には行けるが、過去に行くのは難しいようだ。いやはや「量子論」「反物質」「ひも理論」などなどがある程度分かってないと、およそ9割はチンプンカンプンながら面白い。1世紀前、いや俺が生まれた半世紀前から見ても現在はSFの世界なわけで、1世紀後、10世紀後の世界は・・・
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ネタバレ一流の物理学者がSFの実現可能性を考察する、格調高い空想科学読本みたいな内容やった(-_-)
タイムスリップ、ワープなどなど、ほとんどの技術が理論的に矛盾がないので、いつかは実現可能という驚きの内容。数千年後、ってやつもあるけど w
不可能と考えられるのは「永久機関」「予知能力」の2つ。予知能力のなにがマズいかというと、これを認めると因果律(原因→結果)が崩壊して物理法則の全てが成り立たなくなるらしい。ただ、現時点では不可能なだけで、将来は分からないよ~?という夢のあるミチオ・カクさん。
SFに憧れて物理学者を目指し、大人になって科学の限界を知り、今は不可能を可能にするため最前線で活躍してるってのが、いやー、カッコええ学者さんですわ。 -
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一流の物理学者さんが、コンピュータ、バイオ、ナノ、エネルギーなど各分野の専門家に突撃インタビュー。今後100年間に実現できそうなテクノロジーについて、3段階の実現レベルでまとめた素晴らし本。
たぶん、現状実験室で実現できているのは今後30年、こうしたらいいんじゃね?ていう案状態なのは50年後、夢物語なのは100年後なのかなあ、と勝手に理解しました(-_-)
内容のグレイトさはぜひ読んで!てとこやけど、文明論も考察してるのが興味深かった。テクノロジーの発展に伴い、今後国の垣根がなくなって惑星文明に移行するやろうけど、うっかり道を踏み外して破滅の道に落っこちる危険性もあるよ、と。特にこれからの100年は、正しく科学を理解することが重要なので、教育はものすごく大事!
てことで、100年後のお話から、今の私らの足元にブーメランで戻ってくる構成が、ほんと秀逸やなあ、と思いました。 -
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以前、本書の著者、物理学者ミチオ・カクが司会を務めた未来の科学技術を予想する科学番組シリーズをNHK-BSで放送していて、とても面白く見た
のがあるのだが、本書はいわば、その発展版。取材を元に、2100年までにどのように科学とテクノロジーが進化していくのかを具体的に予測した
一冊。
著者が描き出す未来は希望に満ちているといっていいものだが、完全に薔薇色ではなく、そこにまた制約があることも描き出している。
科学とテクノロジーがいくら発展しようとも、我々が原始から持つ「穴居人の原理」が邪魔する。たとえば、我々はバーチャルなものより
実物に重きを置く。オフィスがIT化すればペーパレスが実現するといわれながら、結局、さらにプリント枚数が増えているという現実がそれを
物語っている。
コンピュータの処理能力が進化していく一方で、ソフトウェアがそれに追い付かないだろうというという指摘には深く頷けた。
著者がいうように、ソフトウェアは、人間がノートと鉛筆を持ちながら1行ずつ書いていくしかないからだ。コードを書く人であれば、
同意してもらえるだろう。
未来における「富」とはなにかという著者の主張も非常に示唆に富んでいる。将来の進路やビジネスを考える一助になるだろう。
著者が本書を書いた理由に、アメリカの若者の科学離れがあるそうだ。全米の大学で物理を教える教授のうち、約半数は移民とのこと。
しかし、日本も決して他人事と傍観できる状況ではないことは周知の事実だ。原書は2009年発刊のため、福島原発事故は本書に含まれていないが、
ポスト311にある今の日本人が読む価値のある本といっていいと思う。