ミチオ・カクのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
NHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」の取材成果の中から46のキーワードを抽出して整理・編集した本である。未来学者のレイ・カーツワイルはその著書『シンギュラリティは近い』の中で、未来を変える技術としてGNR - 遺伝子工学(Gene)、ナノ技術(Nano)、ロボット・AI技術(Robot)の3つの分野を挙げた。本書でもこれらの分野に重なるテーマが多い。本書では3つのカテゴリー「命と身体」、「生活とフロンティア」、「人工知能と未来予測」に分けられている。整理されたそれぞれのテーマをここで書き出すことで何かこの本の特色と意義がわかるような気がするので書き写してみる。
1. 命と身体
・ナノマシン
・未来のサプリメント
・遺伝子改変で筋肉を若返らせる
・脳を若返らせる
・蘇ったゴッホの耳
・人工臓器の最前線
・未来の兵士
・腕を増やす
・ブレイン・マシン・インタフェース
・電子皮膚
・着るロボット
・VRリハビリ
・ウェアラブル・デバイスと救急救命
・ウォーク・アゲイン
・脳をアンドロイドに移植する
2. 生活とフロンティア
・マーズ・ワン計画
・火星探査
・有人宇宙飛行船・オリオン
・イーロン・マスク 宇宙に最も近い男
・宇宙ベンチャー最前線
・宇宙空間で使える3Dプリンター
・ネクスト東京
・ハドソンヤードとBIM
・グリーンフロート計画
・自動運転とヘリコプター交通網
・VRゴーグル
・ARダイエット
・触感をつくる
・単音調理法
・光をまとう服
・テレイグジスタンス
3.人工知能と未来予測
・犯罪予測プログラム
・ディグリー・コンパス
・ヒット曲予測システム
・人工知能「ワトソン」
・未来予測とプライバシー
・マッチングサイトの未来
・死のバイオマーカー
・デジタルクローン
・がんゲノミクス がんとの闘い
・感情を読み取るコンピューター
・ソシオメトリック・バッジ
・人工知能に職を奪われる
・量子コンピューター
・シナプス・チップ
・インターネット・オブ・シングス
生命科学や情報科学などについて、やや突拍子もないと感じるところまで含めて取り上げている。1,000歳まで生きるとか、火星に行くとか。もちろん、それぞれは有名な教授が付いてしっかりとした紹介になっている。
中でも大学の同期の染谷先生の「電子皮膚」の研究が大きくフィーチャーされていて、素晴らしいなと思った。彼の研究とは別にこの分野では、電子皮膚を脳と頭蓋骨の間にある硬膜の部分に挿入して、脳細胞の情報を収集したり、心臓を電子皮膚で包むなどの構想もあると書かれてあって、本当かなと思いつつも発展の余地は大きいんだなと思った。電子皮膚の分野には次々と研究者が入ってきているそうで、負けずにますます頑張ってほしい。
NHKとして番組作成においては、技術の行き過ぎに警鐘を鳴らすよりも未来に希望をもてるような番組にしたかったという。いいと思う。5回にわけて放送されたということだが、どの回も「心の準備はいいですか」という言葉で終わるらしい。そう心の準備ができる前に世の中が変わっている。そういったテクノロジーの変化が早い時代に生きているということだ。こうなるともっと長生きをして、少しでも先まで見てみたいなと思うのである。 -
Posted by ブクログ
あくまでいち科学者の未来像なので仕方ないが、ほとんどの2100年像は、現代の技術の発展、延長したもの。ゲームチェンジ、革新的イノベーションは想像されていない。しかしそれでもいい。たとえば「不老不死が実現」などというと荒唐無稽だが、再生医療がホームメディカル化する、であれば、なんとなくありそうな気がする。DNAセンサーや磁気自動車などは、むしろあればわくわくする。宇宙旅行の未来を考察していてひとつ鳥肌がたったこと。人間が地球外惑星に住めないのは、空気とか重力の問題以前に、時速6500kmのスピードで飛んでくる宇宙物質から身を守る手だてがないため。ならば地下なら住めるのか?まてよ?地下?地下といえば、機動戦士ガンダムでジオン軍が作った月基地グラナダは地下だった。あれはまさしく先見の明?
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Posted by ブクログ
●読むキッカケ
・丸の内読書会の課題図書に上げられていたため
●サマリー
・今後2〜30年の近未来に実現しうる科学技術が紹介されていた印象。
それらは、既に実験的に部分的に実現しているものなので、
確からしく実現する可能性があるという意味で、
ドラえもんの世界とは違って、リアル感があった。
・そのリアル感によって、じゃあそれが実現した時に、
何が起こるのかを想起させられた。
そして、それによって到来する未来を、何となく不安に思う自分がいた。
・とはいえ、もし仮に到来するのであれば、
それは自分が嫌がろうがなんだろうが、勝手に到来してしまうものであって、
そうなった時に自分に出来ることは、それをどう対処するかという、
己の在り方を調整することに、当たり前に帰結する。
・これらの便利さがもたらされるのであれば、それはそれで有り難く恩恵を預かりつつ、
自分はもっとローカライズされた、豊かさを求める生き方を追求していけば良いのだろうなとは思う。
●ネクストアクション
・特に無し。折にふれて読み返してみると良さそう。
●メモ
・ネクスト東京の事例
L利便性を追求するなら、その1つの形として全てを1つの建物に集約してしまえばいいという発想で、
1600m級の超高層ビルに、都民を住まわせ、住環境に必要な機能も集約するという、とんでも発想。
L建築技術的に、可能にはなるだろう発想なのだろう。国土が余っている現状、その必要性を全く感じないけど。
でも、今後人口爆発でリアルに住む土地が無くなる未来においては、有り得る未来なのかもしれない。
・自動化によって奪われる仕事はあるだろうが、その技術に関連した新しい仕事が生まれるという意味においては、
結局仕事は失われないとのこと。
自分が思うに、今後仕事は、こういったテクノロジーを創る仕事、メンテナンスする仕事、
娯楽を生み出すクリエイティブな仕事の大きく3つに集約されていくんじゃなかろうかと思っている。
それこそ、単純労働なんかは、本当に無くなるんだろうなあとは思う。
そうなった時、人々は自由を手にするのか、逆に失業による問題を抱えるのかは、予測不可能。 -
Posted by ブクログ
「自然界のすべてを見わたして、何より大きな謎をふたつ挙げるとしたら、心と宇宙だ」という宣言から始まる。著者のミチオ・カクは「宇宙」の方の専門家だが、この本は「心」の方に焦点を当てた本。最初の方に、マーヴィン・ミンスキー、スティーブン。ピンカー、マイケル・ザガニカ、V. S. ラマチャンドラン、デイビッド・イーグルマン、デイビッド・チャーマーズ、ジュリオ・トノーニ、ジャコモ・リゾラッティ、ダニエル・デネット、などの名前がどんどん出てくるので、彼らが追求している「意識」や「自由意志」などについて脳神経学をもとに論じていくのかなと期待をしながら読むと、ちょっと違う。
心の動きがMRIで読める(本当にある程度は読めるようになる)や、テレパシーや脳のリバースエンジニアリングなど、どちらかというとレイ・カーツワイルのようなシンギュラリティやフューチャリストの色の方が強い。
確かにナノテクノロジーとMRIなどのセンサーテクノロジー、あとはコンピューティングパワーの累乗的進化によって、これまでとは違う形で心はある意味で要素分解されていく方向では解明されていくのだろうなと思っている。それが、不老不死や、記憶の永遠の保存などにつながるかというと別物のような気がしている。
ニューヨーク・タイムス1位のベストセラーらしいが、こういうのをニューヨーカーはこぞって読むのだろうか。面白くないわけではないが、期待と最初の入りがよかった分、ちょっと期待外れだった。
謝辞に出てくる科学者のリストが圧巻。 -
Posted by ブクログ
300人以上にインタビューした最先端の研究に基づいているので、あくまで予測であるとはいえ、結構説得力がある。技術的な話が長く続くのは退屈でもあったが、7章以降の社会面への影響の考察が興味深かった。文明のランクを、惑星規模、恒星規模、銀河規模でタイプ分けしているのはぶったまげたが、その指標として、エネルギー量、情報量、エントロピーといった候補をあげているのは議論としておもしろかった。
スター・トレックや禁断の惑星などのSF系の映画がたくさん登場する。また、歴史や物理学を学ぶことの意義を改めた。さらには生物学も有用だろう。
今までムーアの法則が成り立っていた理由のひとつは、シリコンウエハーに照射する紫外線の波長をどんどん短くすることができたから。この小型化は、原子のサイズに近づくに従って、限界を迎えるため、2020年頃にムーアの法則は成り立たなくなる。
イスラム文明が凋落を始めたのは、イスラム学者が知識とは宗教の知識だけを意味すると解釈してイスラムの教えや解釈、イスラムの法や慣習の議論に時間を費やし、科学を研究しなくなったため。
19世紀初頭、蒸気エネルギーと産業革命が生んだ富の余剰によってロンドン証券取引所の機関車株がバブルをまねき、1850年の恐慌を引き起こした。実際の鉄道敷設の全盛期は、1880〜1890年代だった。20世紀初頭には自動車株のバブルが起きて、1929年の世界恐慌を引き起こした。アメリカやヨーロッパで電化や道路舗装が進んだのは、1950〜1960年代だった。情報革命の全盛は、これから訪れる。
人工知能は、パターン認識と常識という障害があるため、この2つの能力を必要とする仕事は未来も残る。仲介業者、窓口、経理担当などは仕事を追われるが、芸術・芸能、リーダーシップ、分析、科学などの創造的な資質を必要とする仕事は残るだろう。これまでの商品資本主義は、知能資本主義に取って代わる(レスター・サロー「資本主義の未来」)。 -
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ミチオ・カク 氏自身が著名なサイエンティスト(リーマン予想で有名になった「超ひも理論」)だけあって、事実に基づいた未来予想が面白い。各分野の著名な専門家へのインタビュー・ディスカッションを基に100年を「近未来」「世紀の半ば」「遠い未来」と三区分に分けてまとめあげられている。
「100年後はどうなっているか?」の予想というより「今の技術だとここまでは出来そう」という線形に近い。だからこそワクワクさせられる。
各章、分野の興味はあるだろうが、個人的には「コンピュータの未来」「ナノテクノロジー――無から万物?」「人類の未来――惑星文明」あたりがおすすめ。
政治経済系の未来予想はネガティブ過ぎてゲンナリさせられるものが多いが、こちらはリアリスティックかつポジティブ。未来予測はこうあるべきだろう。 -
Posted by ブクログ
2100年までの未来の予測の本である。次の項目を近未来、世紀の半ば、遠い未来の3つに分けて説明している。予測しているのは理論物理学者である。予測の内容は多くの科学者のインタビューに基づいている為、単なる夢物語りではない。
1.コンピュータの未来
2.人工知能の未来
3.医療の未来
4.ナノテクノロジー
5.エネルギーの未来
6.宇宙旅行の未来
7.富の未来
450ページ以上あり、かなり多くの内容を網羅している。SF映画を引用して説明されている箇所も多く興味を持って読める。ターミネーター2に出てくる形を変えるロボットの実現方法もナノテクノロジーの部分で触れられている。気になるエネルギーは最終的に核融合と太陽、再生可能資源から供給される。
これらの予測に続いて、2100以降については人類の未来の文明をエネルギーの消費量でランク付けして説明している。それには以下の3つがある。
タイプ1.惑星規模の文明で、一つの惑星に降り注ぐ恒星のエネルギーを消費する。
タイプ2.恒星規模の文明で、一つの恒星の全エネルギーを消費する。
タイプ3.銀河系規模の文明で、数十億個の恒星のエネルギーを消費する。
タイプ3はスターウォーズの世界だ。
そして、最後は2100年のある日を描写している。SF映画のようにロボットに囲まれ、情報にはコンタクトレンズを通してアクセスしている。意外なのはその世界の多くの都市が水没していることである。登場人物は水害から都市を守る仕事をしているのだ。
地球温暖化については「5.エネルギーの未来」で解決方法が紹介されているが、技術的な問題ではなく、政治や経済の問題のようだ。筆者はこれを2100まで解決しないと考えているらしい。放射能汚染は技術的な問題でコントロール不能だが、温暖化は政治、経済的にコントロール不能なようだ。放射能汚染が数万年後に及ぼす影響を心配するより温暖化でそこまで人類がもつかを考えた方がよいかもしれない。 -
Posted by ブクログ
すごい情報量、すごい想像力に圧倒され、物理をちゃんと勉強しながら読みました。これを理解するためには素粒子論が必要で、それを理解するには相対性理論が必要で、それを理解するにはニュートン力学が必要で…と、結局体系的に物理と数学の知識を持っていないと理解できないこの本の性質を尊重するために、読み終わるまでに2ヶ月近くかかりました。それでもM理論のところはほとんど理解できませんでした。
こんなに骨太な読書をしたのは久しぶり。知識一辺倒になるわけではなく、最新科学を論拠にしつつ夢を語ってくれる最終章はよく出来たSF小説みたいでした。フィクションじゃないと思わせてくれるところがこの本の醍醐味です。
まあ難しかった、難しかった。疲れたので科学系は一旦休憩します。