ミチオ・カクのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
20年も前の本。
しかし、この間に宇宙論に関する書かれていない進歩もあるけれど、扱っている内容が内容なので、古さは全く感じない。
基本的な物理の内容を数式なく噛み砕いて説明し、時に見事な喩えを示しながら丁寧に説明してくれる。そして、M理論と考え得る科学的根拠に基づいて、宇宙からの脱出のような議論まで論じられている。
とにかく面白いし、こんな本を読むと、宇宙物のSFがただの胡散臭いものになってしまいそう。
人生の意味についての著者の考えの中に、世界を変えることができる事実に触れられていることはとても素敵だった。
読み終えると、どうしても存在について、世界について、神については考えさせられてしまう。
このレベルの話を数式で追って理解できたら、そういったことへの考えもまた違うものになるのだろうなぁ。 -
Posted by ブクログ
非常にエキサイティングな書籍でした。
「量子超越」とは、量子コンピュータが従来のコンピュータの計算能力を超える事ですが、その原理を詳しくと言うより、量子コンピュータの発展でどれだけ世界が豊かになる可能性があるかという点に主軸を置いた書籍です。
医療やエネルギーや宇宙探索まで、世界レベルの難解な課題が網羅的に取り上げられており、量子コンピュータ抜きにしても、視野が広がり普通に面白いです。
書籍の中で、映画「イミテーションゲーム」にあった様に、アラン・チューリングというイギリスの数学者が作成したコンピュータがナチスのエニグマ暗号を解読して、第二次世界大戦の終結を2年程早めたという話がありましたが、それ自体は計算能力の効用の面では分かりやすい事例ですね。
ただ、軍事目的のみならず、更にはAIとの掛け算により、2050年にはどれだけ我々が豊かになれる余地があるか、その科学の無限の可能性に心踊る読書体験でした。 -
Posted by ブクログ
プロローグ
はじめに 多惑星種族へ向けて
第Ⅰ部 地球を離れる
第1章 打ち上げを前にして
第2章 宇宙旅行の新たな黄金時代
第3章 宇宙で採掘する
第4章 絶対に火星へ!
第5章 火星 ー エデンの惑星
第6章 巨大ガス惑星、彗星、さらにその先
第Ⅱ部 星々への旅
第7章 宇宙のロボット
第8章 スターシップを作る
第9章 ケプラーっと惑星の世界
第Ⅲ部 宇宙の生命
第10部 不死
第11部 トランスヒューマニズムとテクノロジー
第12部 地球外生命探査
第13部 先進文明
第14部 宇宙を出る
謝辞
訳者あとがき
原注
推薦図書
索引 -
Posted by ブクログ
材料工学、医療、宇宙のモデル化など、量子コンピュータが技術を一気に加速させる分野を、最新の研究成果を紹介しつつ、幅広く、かつ、深く解説している。
また、電池と石油のエネルギー効率の違い:1kgの電池に溜め込めるエネルギーは200W/hなのに対し、1kgのガソリンに溜め込めるエネルギーは12,000W/h、など知らなかった事実を歴史的ストーリ:エジソンとフォードがどちらのエネルギー源が未来を作るか賭けた、を交えて紹介している。
気になったのは、古典コンピュータが苦労する全ての問題を量子コンピュータで解けるという印象を与える書き方だ。例えば、SNSを分析して、「息ができない」とか「匂いがしない」といった投稿を分析して、パンデミックの予兆を検知するとい例が紹介されている。が、これは通常のビックデータ分析の領域の話で、分子のメカニズムをシミュレートしたり、RSAのクラッキングのように複数の解を仮想的に並列処理により探索するという量子コンピュータの売りが、どのように活きるのかは、自分には理解できなかった。 -
Posted by ブクログ
ひも理論の創始者のひとりであるミチオ・カク氏。理論物理学者である彼の幅広く豊かでクリエイティブな知識に驚かされる、ただただワクワク感が止まらない一冊。「SFのような」どころか、現実はSFを超越した時代に入っているようさえ感じる。
「地球を離れる」「星々への旅」「宇宙の生命」と三部に分け、ロケット工学・惑星のテラフォーミング・恒星などの天文学・スターシップの実現・人体拡張や知的外生命体などなど、幅広い論点を検証する。このステップを着実に踏めば地球外への移住が出来そうな気がしてくる(数世紀先であろうが)。
特に「火星」といった特定の惑星ではなく「宇宙」に住むという邦題が言い得て妙。第Ⅲ部のカク氏の専門分野である超ひも理論を用いてユニバースな光体の超生命体になることで宇宙に広がる人類を語っている。単なる想像ではなく10次元の世界から捉えたマルチバースの概念からの演繹で、なんとも凄い世界観。キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」のスターチャイルドのような存在になるということか。そう考えると1968年にカク氏の語る世界を独自に発想し映像化するキューブリック氏も驚くべし。
本書で面白いのが、様々な可能性を論じながらも、カク氏はほぼ「不可能」と言わないところ。必ず理論的裏付けや方法論を検討したうえで「数十年後」「数世紀先」「Ⅲ文明では」という、いずれは叶うという余韻を残している。このマインドが彼の著作を漏れなく面白くしている秘訣だと思う。 -
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自然界を支配する四つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)。これらすべてを統一する理論、”A Theory of Everything”に関する本。
神の方程式に迫る取り組みは、ニュートンの万有引力の法則から始まり、マックスウェルの法則で別の側面を得、アインシュタインの相対性理論で新たな展開を迎え、ブランクやシュレディンガーの量子論を以って著しい発展を遂げる。
四つの力は、大元の一つの力すなわち超力から分岐し、それは11次元の存在としてひも理論で説明できるとする。特に印象的なのは、研究が進むほど対称性の重要性が増し、そこには深淵なる「美」があるということ。
相対性理論以降の章は一般人にとってなかなか難解な話が続くものの、ミチオ氏はかなり分かり易く物理学の歴史とひも理論に達するまでの経緯を丁寧に解説しており、ポピュラーサイエンスとして知的好奇心を刺激する非常に面白い一冊だ。 -
Posted by ブクログ
万物の理論=神の方程式は「ひも理論」であることを提示する。
ニュートンが運動と重力の法則を打ち立てた結果、産業革命の礎が築かれた。ファラデーとマクスウェルが電気と磁気の力は一つのものだと明らかにすると、電気の革命が幕を開けた。アインシュタインや量子物理学者たちが、現実の本質は確率論的で相対的であることを示すと、今日のハイテク革命の火蓋が切られた。
そして近い将来、四つの基本的な力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)の全てを統一する万物の理論=神の方程式への収斂がなされるかもしれない。それが「ひも理論」だ。
実に興味深いのは、万物の理論が打ち立てられたらさぞ科学や文明の発展に寄与するものだろうと思うところ、著者は私たちの日常生活には何ほどの影響もないだろうとしていることだ。ニュートンやアインシュタインもたらした科学的成果の人間者社会への影響とは極めて対照的な見方だ。
そしてこの理論が影響するところは「宇宙はどこから出てきたか」といった哲学的な問題だとしている。生命の創始者としての神はともかく、秩序ある宇宙の創始者を否定することはできない、としている。
秩序ある万物の理論は、どこからきたのか・・?確かに、科学は「万物の理論そのもの」を解明するかもしれないが、「万物の理論が存在する理由そのもの」は、科学的な実証の範囲の外にある気がする・・。
本書は物理学の歴史を振り返りつつ「ひも理論」の概要を一般読者にも分かりやすく解説されつつ、科学の「その先」へも触れた非常に興味深い著作。充実した読後感。