松村栄子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
武術も兼ねた茶道の家元に育ったが、その方針が気に入らなかったため、大事な大学受験をすっぽかしていた事がバレた遊馬。自家数百万という徳川慶喜の茶杓を隠し持ち、友達とともに京都への家出を敢行する。そこで同行者の翠(みどり)の実家の畳屋で、店を手伝いながら、様々な人脈につながっていき、お茶の世界の奥深さを知っていく…。
序盤はわざと堅苦しく、カタカナを廃した文章からスタートするため、時代小説かな?と思わせるものであるが、現代ものである。大学を諦め、バンドに生きるつもりが、世の中そうはうまく行かないという部分から、食えない古道具屋のオヤジども、二癖三癖ある京都の茶人たちという、キャラクターを楽しむ小説である。
話自体は短編でひと悶着、事件が勃発しては、なんとか解決することで遊馬の意識が変わっていくというシンプルなものであるが、電子書籍で400ページ以上のなかなか長めの作品でもあり、文章の回りくどさも相まって、なかなか読み進まない。結構読んだよなあと思っても、40ページというところである。
全体に作者の中にあるキャラクターたちが思った以上に伝わってこず、挙げ句に「翠」がふりがな無しでしばらく登場しても、ずっとこいつどう読むんだよ?と思いながら進めなければいけないなど、作者の設定に甘えがあるのではないか。また、友衛家の「○馬」という名前も、良い設定を思いついたと思ったのだろうが、自分に弟に父親に祖父にとどいつもこいつも馬だらけで、のっけから読む気が失せる。
京都弁については、京都新聞に載ったということからある程度はコンサルが有ったのだろう。それでも女の人が使わなそうな言葉を使うなど、結構引っかかった。
あとな、京都で楽器というと、六角からだとすぐだぞ。自転車で行かなければいけない?いやいや。つーか、六角堂の裏に畳屋なんかあるかいな。
子供用の分冊版もあるようで、もう少し言葉が補われていればおすすめか。内容は読みやすいのに、なぜか文章が読みにくいという本だ。 -
Posted by ブクログ
スカイツリーのお膝元の架空の商店街を舞台に、7人の作家さんがお店を開店、短編を繋ぐアンソロジー。
まず設定が面白い。
そして文体も手法もそれぞれ違うのに、なんだろう、違和感なく一冊まるっとアンソロジーとしてではなくひとつの作品としてまとまっている印象。
それぞれの物語にちょっとずつ他のお話のお店が登場して、繋がっている感じがいい。
よそのお店が出てくると、もう一回その店のお話に戻って読んでしまったりして、実際に商店街を歩くように、あっちこっち寄り道しながら読んでしまう本。
そして最後のお話のラストのラストで、また一番最初のお店にお客さんを呼び戻しちゃうあたりが、うまいなぁ〜!
一冊まるっと通して、商店街を通して、人と人の繋がりを描いている。 -
Posted by ブクログ
初、松村栄子作品。
コミカルでテンポ良く、さくっと読めました。
遊馬はお金欲しさに家宝を売ろうとしてしまうようなイマドキの男の子なのに、
ふとした仕草や茶道の事になると普通の人にはできないような振る舞いをさらっとしてしまう。
そんなギャップが不思議であり、羨ましくもありました。
身に沁み込んだ振る舞いはそう簡単に抜けるもんじゃないですよね。
能天気な遊馬と正反対の性格である弟の行馬。
彼が昔から考えていた壮大な計画を知った時はビックリ!
そしてラストはほろっとさせられます。
ドラマ化されても面白いかも。
【「これからは自分らしく生きることにしたんだ。黒々とした髪七三に分けて、あんこ喰っててもしょうがないだろ」武家茶道家元後嗣・友衛遊馬18歳。彼はそう言って家を出た―。酔狂な茶人たち、ほんのり甘い恋心、そして消えた茶杓…。京の都で繰り広げられる茶ごころたっぷりの傑作エンターテインメント】