中土井僚のレビュー一覧
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「なぜ弱さを見せ合える組織が強いのか」Robert Kegan, Lisa Laskow Lahey
仕事で燃え尽きる最大の原因は、成長を感じられずに長く働き続ける事。
VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)が強まる世界では、試練もチャンスも増える。このような環境では社員の一人一人に要求されるものが多くなる。
VUCA時代の企業は、技術的な課題だけでなく、適応を要する課題にも直面する。技術的な課題は、マインドセットと組織デザインを改良する事で対応できるが、適応を要する課題は、個人や組織がそれまでの自己を超越しなければ対処できない。
従来的幸福の定義は、喜びを感じられる状態、苦痛や退屈を感じない状態、そして前向きな感情やレジリエンスを通じて、ものごとへの関わりとやり甲斐を感じられる状態。一般的に称賛される「いい職場」でやり取りされる「新しい所得」はこのタイプ。具体的にはフレックス勤務、ビリヤード台とダーツボード、専属シェフによる24時間体制の食事提供、有識者を招いた講演会、昼寝スペース、無制限に取得できる休暇等。
一方、ユーダイモニアとは、人間が可能性を開花させるプロセスを幸福とみなす考え方。やり甲斐と関わりの要素を伴うが、その感覚は自己の成長と開花を経験する事。ありたい自分の姿に近づく事。より自分らしく世界と関わる事による充実感との関係で得られるもの。
弱さは、恥や恐れや自己肯定感の乏しさの基である反面、喜びと創造性、帰属意識、愛情の根源にもなる。
社員が成長し始めると、売上とビジネス全般に好ましい影響が及ぶ。
人間には他人に奉仕する天性の性質が備わっており、もし仕事の場で他人に奉仕して充実感を味わえなければ職場以外でボランティア活動に携わり、その充実感を得ようとする。
人は自らの成長を感じ、同時に他の人を助ける活動に携わっている時、真の豊かさを、つまり長く続く幸福感を味わえる。この豊かさは給料からは得られない。
長期の幸福感は、意義を感じられるような仕事を作り出せる文化があって初めて得られる。
人は手段であるだけでなく、それ自体として尊重される目的である。
ワークライフバランスを目標やキャッチフレーズにする事を拒む。もしライフが職場から排除されれば、ワークは非常に暗澹たるものになるから。喜びのある人生と仕事はトレードオフにはならない。
昔は、人を大切にするとは会社と社員が絆で結ばれ、会社が社員を保護する事を意味したが、今は人々が開花できる場をつくる事。人が花開くとは、楽しく生きる事や自我が脅威や試練やリスクにさらされない事を意味するわけではない。
全てのメンバーがコミュニティ的な意識決定プロセスに参加する。
あなたは、自分がどのくらい優れているかと、どのくらい速いペースで学習しているかのどちらをより心配しているのか?
社員のキャリアの発展ではなく、社員の人間としての発達に光を当て、組織を大きくすることにより、組織をよくする事をまず考える。
発達するとは、人が世界をどのように理解するか?そして年齢を経るにつれて、その理解がどのように広がり、歪みが小さくなり、ほかの人の視点を受け入れられるようになり、しかも主体性が高まっていくか?
人は、個人の知性のレベルがその人の行動に及ぼす影響について驚くほど知らないが、個人の行動はその人がどのレベルの知性に基づいて組織文化を見るかに強く影響される。
組織としての目標とメンバーの能力の発達を一体のものと考える。
文化と利益がトレードオフの関係にある時はいつも文化を優先させる。
職場生活に個人の内面の要素を持ち込み、外面の行動だけでなく頭の中の事にも関心を向ける必要がある。
繰り返し活用できる安定的な慣行や構造、ツールが必要。 -
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従来のPDCAサイクルは過去からの学びですが、“U理論”はいわば「出現する未来からの学習」と呼べるようです。それこそが、イノベーションをもたらすと、本書は説いています。
現実的には出現する未来など、覗き見ることはできないはずなので、それに近いことをどうやって実現するか、ということが具体的な事例や著名人のエピソードを交えて詳細に解説されています。
各ステップごとに具体的なエクササイズの方法も示されているので、「U理論入門」という学術的(=机上の空論的)タイトルから受ける印象とは違い、大変実際的な一冊です。
また、U理論が、優れたイノベーター達がどういう「やり方」をしているのかという方法論や形式の話でもなく、これまであまり見えていなかった「内面のあり方」に注目し、優れたリーダー達の経験の集積から生まれている、という点も大きな特徴だと思います。
①ただひたすら観察して、
②一歩下がって内省し、内なる「知」が現れるに任せ、
③すばやく即興的に行動に移す。
というのが、大括りのU理論のステップですが、これをさらに7つの段階に分けて、“ソーシャルフィールド”という概念と関連付けて、過去の延長線上にはない変化を創り出す方法を紐解いていきます。 -
Posted by ブクログ
U理論とは、「過去の延長線上にはない変容やイノベーションを起こすための原理と実践手法を明示した理論」。
「やり方」に着目するのではなく、高い成果をあげる人達の「内面のあり方」、変革が起きる際の「意識の変容」に着目しているのが特徴。
U理論のプロセスは主に以下の3つ。
1.センシング:ひたすら現状を観察する。
2.プレゼンシング:一歩下がって、内省する。
3.クリエイティング:素早く行動に移す。
今までにない変化をもたらすには、まずは内面の変化を促させなければ、根本的な解決策は見いだせないというのが、この理論の特徴。
具体的な事例が豊富なので、この理論が言わんとしていることは理解できる。しかしながら、それを実践するのは中々に難しそう。
「内面の変容」をもたらすような"体験"が得られるものか。まずは内省から始めたい。 -
Posted by ブクログ
「入門」でここまで紹介していただいていいのだろうか?と、思わず心配になってしまうくらい、U理論について、丁寧に紹介されている本です。
観察して、内省して、実践する。
事実と解釈を混同せずに、観察すること。
対立や葛藤にとどまり、それを味わい尽くすこと。
新しい取り組みを、日常で実践していくこと。
言葉にするのは、簡単。
行うのは、簡単ではない。
本書では、組織での取り組み方について、具体的なノウハウも紹介されています。
読みながら、「バイステックの7原則」や「IPS(インテンショナル ピアサポート)」が頭に浮かびました。
ソーシャルワーカーには、親和性の高い内容なのではないかと思いました。
「入門」ということは、次のステップもあるのかな?
U理論への興味が、一層深まった一冊でした。 -
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フレーズ
リーダーシップ開発の文脈では、高いパフォーマンスを発揮しているリーダーは、「本来の自己( Authentic Self)」と「役割の自己( Role Self)」が高い次元で統合されていると言われています。
企業にとっては、従業員のすべてが二つの自己を統合させて働けるような組織を築くことが、取り組むべき変革の本質なのではないでしょうか? そうだとしたら、それを可能にする組織とはいったいどんな姿をしているのでしょうか? その野心的な問いにハーバード大学の研究者たちが挑んだのが本書です。
人が仕事で燃え尽き状態に陥る最大の原因は、仕事の負担が重すぎることではない。その要因とは、成長を感じられずに長く働き続けることだ。だから、弱点の克服に取り組もうとせず、弱点を隠そうとする結果、みずからの人としての成長をはばんだり、その足を引っ張ったりすることの弊害は、あまりに大きい。
組織から切り離された特別なプログラムを実施するのではなく、組織そのものを能力開発の場にしよう。また、個人の発達を組織の大目標と位置づけよう。つまり、組織文化がほかのビジネス上の目標(収益性や品質など)を後押ししているかだけでなく、文化が人々の成長を──メンバーがみずからの限界と死角を克服し、複雑さを増す仕事に対する習熟度を高めることを──後押しできているかを問い、それを目指そう。
これらの組織はみな、大人になっても人が成長できること、大人の成長には大きな価値があることを信じている。
人がリスクを取り、失敗を味わったとき、学習の環境が生まれ、柔軟性が高まる。その意味では、高い水準を追求する過程で失敗して学習することに比べれば、勝利を収めることの価値は小さい(
自分の成長 +他者の成長 =みんなの成長
つまり、スタープレーヤーより、ほかのプレーヤーの成功を助けられるプレーヤーに報いたい、
失敗をすることは問題ないが、失敗を認識し、分析し、そこから学ばないことは許されない──そんな文化を築け。
メンバーに魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるように努めよう。