あらすじ
自己・組織・社会のあり方を根本から問い直す
イノベーションと変革のプロセスを体系化し、各界に大きな影響を与えている変革理論「U理論」。それは革新的なアイデアを具現化する方法であるとともに、真の自己を見出す道でもある――。ますます混沌とする世界に私たちはどう向き合うのか。豊富な実践事例を踏まえ改訂された第二版。
盲点に気づき、真の自己につながる時、すべてが変わり始める――。
VUCA(変動、不確実性、複雑性、曖昧さ)の時代、私たちが直面する課題に対処するには、「過去から学ぶ」のでは到底足りない。必要なのは、「未来から学ぶ」ことである――。経営学から心理学、認知科学、東洋思想にまで及ぶ学際的な研究と、多様な分野のイノベーターたちへの取材をもとにMITで生まれたU理論。その学習と創造のプロセスは、企業・行政・非営利セクターなどあらゆる分野で変革に取り組む人々に支持され、実践されている。
自らの盲点に気づき、真の自己――知とインスピレーションの最も深い源――にアクセスすること。「出現することを望んでいる未来」をともに感じ取り、ともに創り出すこと……。自らのものの見方・考え方に大きな転換を迫るUプロセスは、自己・組織・社会の「あり方」を根本から変え、目覚ましい成長をもたらす力を秘めている。
この第二版では、U理論誕生から今日までに生まれた世界各地の事例を踏まえ、5つの変化の傾向を示す新たな前書きが追加されたほか、全編にわたり加筆・修正が施された。ケルビー・ビードによる8枚のカラー挿画はUプロセスの旅の見取り図となるだろう。
「未来創造志向のリーダー像とイノベーションのプロセスを学際的に描く味わい深い一冊」――野中郁次郎(一橋大学名誉教授)
「発見の瞬間や相互理解の瞬間に私たちの知性、感情、意志を“開く”方法として、 U理論モデルは深遠で、誰もが待ち望んでいたものである」――エドガー・シャイン(MITスローン経営大学院名誉教授)
「この本はインスピレーションそのものだ。創造のプロセスに定義を与えている」――アイリーン・フィッシャー(アイリーン・フィッシャー・インク創業者)
「U理論とその方法論は、大きな根本的な変化を迎えつつあるこの時代にあっては特に、リーダーシップの本質に深く関わっている」――ピーター・センゲ(MITスローン経営大学院上級講師)
「U理論が組織に及ぼす効果は目覚しいものだが、それにもまして重要なことは、多くのリーダーが経験した驚くべき個人的成長だ」――マーシャ・マーシュ(世界自然保護基金COO)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人とのコミュニケーションにおいての適切なプロセスを体系づけている。
もう一人の自分がじっくり観察し、内省し、自分のあり方との対話によって、次の行動に移る。
事実に対して直接的なダウンロードをしないようにすることが大事。
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名著!問題や課題解決におけるプロセス理論として深く考えさせられる。その場しのぎの対応に終始してしまう自分や組織、企業、団体が、これまでのアプローチをどう見直すべきなのか、よくわかる。スピリチュアル要素もあり、理解に苦しむ章もあるかもしれないが、これは欧州の宗教観が影響していると考えればそこまで抵抗がない。その文化が当たり前だと思えばよい。
Posted by ブクログ
コーチングでは、相手と共有する「安全地帯」を醸成するために、まず「傾聴」が重要であるとする。それが第一のステップであると。「7つの習慣」でも、まず相手を理解してからでないと、こちらの言い分は聞いてもらえないと説く。
リーダーの立場の時間が長いとか、常により良い状態を目指して努力、勉強を続けていると自負する人ほど、ステップ1の「ダウンローディング」の情報量が多いのでかえって「自己欺瞞」にハマって次に進めなくなりやすい(進める気持ちが持てなくなる)と痛感した。「傾聴」スキルでも「思い込みをなくそう」と注意喚起はしているが、U理論は「ステップ1」として必ずこの手順を踏むことにした点が良い。これを確かめるには、ちゃんとステップ2「観る」ができているかどうかを意識しようと思った。
また、ここまでは自分の努力や心がけで進められるが、相手(組織)と力を合わせてシナジーを生み出す段階に入ると、メンバー数や親密度、価値観の隔たり具合の変数で途端に難易度が真冬の夜空のように高くなる。
冒頭に書いた「安全地帯」を僕は「多様な生態系を実現している肥沃な土」に重ねてイメージしてきたが、U理論の「ソーシャルフィールド」と一致した。
Posted by ブクログ
著者オットー・シャーマーは、変革を「未来の可能性を感じ取り、それに基づいて行動するプロセス」と定義し、その中心にあるのが「プレゼンシング(Presence+Sensing)」という概念で、深い内省と集合的な感受性を通じて、まだ現れていない未来を「感じ取り、共創する」姿勢が求められると述べている。プロトタイピングを通じた実践重視の姿勢が特に印象的で、小さく試しながら学びを深めるフレームは、イノベーションや組織変革に携わるビジネスリーダーに有効であると感じた。
「思考を変える」のではなく「あり方を変える」ことが変化の出発点であることを論理的かつ実践的に教えてくれ、ビジネスの枠を超え個人の成長にも直結する一冊に思える。
Posted by ブクログ
U理論
第2版
著:C・オットー・シャーマー
訳:中土井 僚
訳:由佐 美加子
読むのに時間がかかってしまい、もうへとへとの状態です
読む前まで、ちょっと楽しみにしていたのですが、甘かった。
近頃であったことのない感覚がありました。そういう意味では脳細胞は活性化されてよかったかもしれません。
各章のうしろに、フィールドノートというまとめがついているのですが、わからないものをまとめてもわからないのです。図表がたくさんついているのが幸いでイメージ的に感じられた、ような感覚をもちました。
現在のやり方でも、過去のやり方でも、問題は解決できない
そこで、過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出せる技術、がU理論と冒頭でいっています
正直、用語の使い方がビジネスライクでなかったりするところや、論理の飛躍が多々あったりするかと思いますが、方法論のひとつとして、チーム・組織・社会におけるイノベーションを生み出す方法として書かれています
否定する⇒感知しない⇒不在化⇒欺瞞⇒破壊 という道をたどって滅亡するか
観る⇒感じ取る⇒開かれた意思⇒結晶化⇒共創造という道をたどって共に生きるのか
どちらのサイクルをたどるのかという,問いかけからはじまっています
個人ではなく、集団を扱っていることが特徴です
U理論は、共プロセッシングという道をたどって、問題解決をしましょうというのが主張です
共始動⇒共感知⇒共プレゼンシング⇒共創造⇒共進化
と言う道です
おもしろい比喩がいくつかありましたので下に並べさせていただきます
盲点に突き当たる
空白のキャンバス
膜を突き破る
器を満たす
全体にいたるには、部分を通り抜けることによって全体に入り込む
全体をみるためには、下がって眺めるだけではなく、内側へ入り込む
視座の転換と手放す
針の穴を通る
大きなバイオリンを弾く
8つの鍼のツボ
時間の彫刻
真実を知る5つの方法
エピステーメ 才能、能力
プロメーシス 知恵
ソフィア 理論的な知恵
ヌース 直感
テクネー 技術
複雑性には3つある
ダイナミックな複雑性
社会的複雑性
出現する複雑性
こういう本には、索引がないと漂う海に一人さまよっている感がありました。
目次
日本語版訳者まえがき
第二版まえがき――10年ののち、立ち現れる地球
序文――ピーター・センゲ
はじめに
第1部 盲点に突き当たる
第1章 火事
第2章 Uへの旅
第3章 学習と変化の四つの層
第4章 組織の複雑さ
第5章 社会の変容
第6章 哲学的見地
第7章 敷居
第2部 Uの領域に入る
第8章 ダウンローディング
第9章 観る
第10章 感じ取る
第11章 プレゼンシング
第12章 結晶化する
第13章 プロトタイピング
第14章 実践する
第3部 プレゼンシング
第15章 社会的な場の文法
第16章 個人の行動
第17章 会話の行動
第18章 組織の行動
第19章 グローバルな行動
第20章 現実創造の瞬間をとらえる
第21章 プレゼンシングの原則と実践
エピローグ Uスクール
原注
参考文献
用語解説
ISBN:9784862762474
出版社:英治出版
判型:A5
ページ数:592ページ
定価:3500円(本体)
2017年12月25日第1版第1刷
2021年06月05日第1版第3
Posted by ブクログ
第1版より、だいぶ薄くなった印象の第2版。
ページ数では、605ページが、585ページと20ページくらいの減少だが、紙質が変わったせいもあるのか、それ以上にコンパクトになった印象。
あと、30ページくらいの前書きが追加されているので、本文は、50ページほどコンパクトになったことになる。
コンパクトになったのは、第3部のプレゼンシングの部分。第1版を読んだときは、第2部まではなんとか読めるが、第3部になって、だんだん読むのが面倒になったことを思い出した。
ページ数が減ったからといって、内容が薄まるはずもないわけだが、なんだか、第1版に比べると、ずっとわかりやすくなった印象。
それは、第1版から10年を経て、表現がよりシンプルに洗練されたとか、実例が増えたということもあるのかもしれないが、この10年でU理論を踏まえた本やセミナーも増えたし、日本でも、こういうU理論的なことをまさに実践しているリーダーたちが沢山現れてきているということも、関係するのだと思う。
こんな具合で、久しぶりに読んでみて、以前、読んだときより、はるかにわかりやすく、頭に入ってくる。
一方、以前にはない微妙な違和感も感じつつあるかな。
なんだろうか、それは多分、現象学的な哲学的なスタンスと神秘主義、本質主義的なところかな?
「本当の自分」みたいな概念は、やはりなんだか落ち着かない気持ちになってしまうんだよね。
ナラティヴ・アプローチの本とか、ミシェル・フーコーなどを読むことを通じて「本当の自分」という概念への違和感をもってしまう自分の感覚がことさらに否定されるものでもないことがわかりホッとしているところだしね。
その辺が、整理できて、よかった。