心の複雑さに向き合うとは、どういうことか
マーク・D・フォーマン、著
加藤洋平、監訳・翻訳
中土井僚、監訳
日本能率協会マネジメントセンター
P592本書のまとめ道しるべ
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ケン・ウイルバー
インテグラル理論
主観と客観、個人と集団という4つの視点(四象限)
発達段階(レベル)
ライン(能力の領域)
状態(ステート)
タイプ(類型)
といった多層のレンズを組み合わせて現実を立体的にとらえる枠組み
今、どの層が何を駆動しているのか
どの層が滞りを生んでいるのか
どの介入を、どの順番んで、どの深さで行うのか
といった問いが具体化する
自己がより複雑で深い次元へと成熟するためには、過去の傷や固定観念が解放される必要があり、逆に心の傷を癒すためには、新しい意味づけの枠組みーすなわち発達ーが必要
癒しなくして成長なし、成長なくして癒しなし
支援者自身が「どの視点から世界を見ているか」を自覚し、その視点の限界を超えるための実践書
本書が扱う発達段階モデルp27
サイコセラピスト(心理療法士) 人間のあり方の全体的な複雑さに直面する存在
インテグラル・サイコセラピー
具体的に言えば、支援者の役割を「人はどのように世界を理解し、意味づけるのか」という理論ーつまり構成主義や発達理論ーに基づいて捉えています
インテグラル理論とは本質的には統合的哲学p48
主要な目的
人類のさまざまな知の領域からの洞察を、相補的な形で活用する方法を学ぶこと
人の視点は、次の5つの中心的な要因によって形づくられる
1,その人が知識を獲得する方法(主要な視点・手法・学問分野)
2、その人のアイデンティティ発達の「段階」
3、その人がその他の重要な能力の領域、すなわち「ライン」においてどのレベルにあるか
4,特定の時点におけるその人の「状態」
5,その人のパーソナリティ・スタイル、つまり「タイプ」(文化的・ジェンダー的スタイルを含む)
これらの側面を総称する略語「AQAL(アークアル)」
すべての象限、すべての段階、すべてのライン、すべての状態、すべてのタイプを意味する
四象限モデル
原則1
クライアントの人生を主観的ー客観的、客観的ー個人的、主観的ー集団的、客観的ー集団的という4つの大きな包括的視点からとらえる
原則2
クライアントのアイデンティティ発達が、治療的出会いにおいて重要な影響を及ぼす
支援者自身のアイデンティティ発達も、クライアントの困難に対してどれほど深く共感できるかに影響を与える
自己システムの成長
プレパーソナル(前ー個人的)
パーソナル(個人的)
トランスパーソナル(超ー個人的)
原則3
複数の発達ラインや能力が存在することを認める
ウィルバーによる発達のラインp76
認知的、自己、価値、道徳的、対人的、深層性、欲求、具体的、情動的、美的
三分割モデル
1,認知的発達のライン
2,自己またはアイデンティティのライン
3、成熟のライン
原則4
一時的な変性意識状態の重要性
ある特定の心の状態
複数の異なる深層的な要素が統合されたもの
具体的構成要素
・世界の近く
・感情のトーン
・記憶の過程
・自己の心的モデル
・行動的反応パターン
原則5
多様な知のスタイルやタイプ(類型)が存在する
認知的アプローチ
自己の信念や自己に対する言葉
心のスクリプト
人生で何かが起こったとき、その出来事自体ではなく、それに対する解釈こそが幸福や苦痛に大きく影響する
今ここ
支援者がクライアントに与えることのできる最大の贈り物は「開かれた心」
四象限モデルは「ヒューリスティック(経験則)」、すなわち思考の偏りをチェックするための実用的な「手がかり」として機能します
それぞれの事象に対するアセスメントp104~p107、p108、p110
あなたの人生のこれらすべての領域は、治療の対象として関係があり、語ってもよいのです
傷ついているものは何か、どの方向に進むべきか、何が重大な問題であるのか、深く埋もれている経験は何かーそれを知っているのはクライアント自身なのです
介入の優先順位p116
統合的視点から見たとき、人間の心の最も深い衝動をひとつ挙げるとすれば、それは「完全性」または「完全な発達」に向かう、根本的で、かつ多くの場合、無意識的な衝動であると言えます
より誠実であること」は「より意識的であること」すなわち「より自己認識的であること」
沈潜した無意識
一時的には意識されていたものの、その後はほとんど意識からは利用できなくなり、無意識の下に沈んでしまったもの
埋め込まれた無意識
人は自身の発達段階というレンズを通して経験を翻訳・構築している
発達のサブフェーズ
発達のダイナミクスのなかで特に重要なもの 融合、差異化
差異化のプロセスには「以前の段階や世界観を拒絶すること」がほぼ必然的に伴います
私たちが最も魅力を感じないのは、ちょうど乗り越えたばかりの意識の秩序である
統合
意識的または無意識的に拒絶してきた過去の段階を、新たな段階の視点から自己の一部として受け入れ直すこと
つまり「過去を所有する」ことが求められる
発達の重心
三重の視点:日常的自己・遅れをとっている自己・未来の自己
支援者の仕事は、この「自己をめぐるダンス」を可能な限り追跡すること
インテグラル理論の視点では、認知に限らずあらゆる発達段階は「混ざり合い」や「波のような広がり」を持っている
自己システムの機能
1,同一化の中心であること
2,心に秩序や「統一性」を与えること
3、意思と自由意志の中心であること
4、防衛機制の中心であること
5、経験を代謝すること
6,アイデンティティを「維持すること」と「超えていくこと」のあいだに立つ自己の中心であること
認知的発達の段階とアイデンティティの発達の段階との対応関係p188
成熟を「メンタルヘルス」とほぼ同義と考える
エマージング・アダルト
18歳から25歳までの年齢層のことを指し、この世代は、以前の同年代に比べて結婚、育児、安定した職業と言った伝統的な大人の役割に定着している可能性がはるかに低い
ウィルバー
サイコグラフ」アプローチを提案
アイデンティティの発達と相関に関するポジティブな心理特性p210
原始的信頼感 後の感情的・心理的調整にとって重要な基盤となります
感覚運動的ー未分化的段階
第1/2段階:情動的ー関係性的段階
おおむね清吾6か月から24か月のあいだ
境界性パーソナリティ障害
自己と他者の間に明確な情動的境界が形成されていない状態が続きます。この境界が不完全であるために、子どもは非常に脆弱な自我を抱え、自らの感情の起源に混乱をきたしやすくなります
自己愛的禿頭を持つクライアントと接する場合は、支援者はしばしば「この人は私と同じ空間に“いない”のではないか」という感覚を抱きます
第2段階:呪術的ー衝動的段階
通常2歳から4歳のあいだの子ども
呪術的思考とは、深層的・情動的・身体的な世界の間に親密で因果的かつ未分化なつながりがあると見なす認知の枠組み
魅力的な「集団」との出会いを助ける
クライアントがこの段階からの差異化を始めた兆候が見られたとき、非常に重要な支援のひとつは、次の段階への学びを促すような、個人的に魅力的で意味のある「集団」との出会いを助けること
第3段階:神話的ー同調的段階
自分自身の経験を物語として語ることができる能力の獲得が課題
第4段階:合理的ー自己著述的段階
アイデンティティ・ノイローゼ
個人的なアイデンティティについての混乱から生じるもの
集団的同一化によって自分を定義することができないと知ってはいるものの「では、自分は本当は誰なのか?」という問いにはいまだに答えを持っていない
「分かってはいるのに、できない」
第4/5段階:相対的主義的ー感受的段階
自分が何をどう見ているかは、自分の視点に依存しているのだ」と任S木下結果、自身の視点を深く掘り下げようとする動機が強まります
第5段階:統合的ー他視点的段階
深い孤独感と人生の意味や目的に対する根本的な問いに直面する
第5/6段階:自我自覚的ー逆説的段階
第6段階:没入的ー目撃的段階
共感は必ずしも言語で表現される必要はない
努力や粘り強さは称賛されるべきであり、進歩は認識され、クライアントの強みや資質は明示的に指摘されるべき
今ここ
基本的なナラティブとは、自分自身とその歩みについての、比較的シンプルでまとまりのある物語のこと
ケイティのアプローチは、強く苦痛を伴う信念に対して、4つの基本的な質問と「転換(ターンアラウンド)」という手法で探索を行う
1、それは本当ですか?
2、それが絶対に本当だと言えますか?
3,その考えを持つとき、あなたは反応しますか?
4,その考えがなかったら、あなたの人生はどうなりますか?
5、それを逆にしてみましょう。
アクティブ・イマジネーションP388
目を閉じて静かに座り子どもの頃の家庭を思い描いてもらう
ドリームワーク
かつて、そこでP390
直接的接触は、態度とプロセスの転換
今起きていることのなかに入っていく」あるいは「変えようとせずに、その瞬間にあるものと共にある
実際に私たちが最も苦しむのは、感情や状況そのものではなく、それに対する抵抗や解釈なのです
焦点が「思考」や「信念」にある
認知療法の目的は、特定の歪んだ思考や信念を、よりネガティブでないもの、より肯定的なものへと調整すること
人生の経験を言葉や思考で語ろうとすることは、数フィート先から海の写真を撮ろうとするようなもの
上昇的視座「この世を越えた」観点
下降的視座「この世における」方向性
臨死体体験NDE
一般化ーすなわち、物事や概念、社会的集団を広くカテゴライズすることーは、人間が圧倒されることなく世界を単純化し、整理して理解するための道具です
性差によって有病率に差がみられる主なメンタルヘルスの状態P471
女性は平均して男性よりも左右の大脳半球において物理的な対称性が高い傾向を示す
女性は「戦うか逃げるか」反応よりも「手当して友人となる」反応を示す傾向がある
エージェンシーとコミュニオン
個として自己を主張したいという欲求」と「他者とつながりたいという欲求
クライアントは「別の人間になる」べきではなく「より統合された自己」へと向かうべき
分化によるコミュニケーション・スタイルの違いP511
ポストモダン的・相対主義的視点の3つの中心的特徴
1,絶対的な心理は存在しないという信念
2,社会的・政治的な言説には権力構造が内在しているという理解
3,人の違いや多様さこそが人間の本質だと考え、それを大切にし肯定する立場
相対主義的ー感受的な考え方を十分に問い直さないままでいると、心理療法の実践は、その立場に無自覚に引き寄せられてしまう
人種/文化アイデンティティ発達モデル5つの段階
1,順応
2,葛藤
3、抵抗と没入
4,内省
5、統合
理想的なのは知的理解と体験的理解の両方を兼ね備えること
自然な没入」とは
できる限り、絶対主義者の視点を自ら引き受けてみること
インテグラルであるということは、「時に偏ること」も含んでいる
信奉者
特定の声」や「特有の体験」を見出すこと
「他者に向けた静かな集中状態に入ること」であり「その人に今まさに起きていることに対して開かれた受容的姿勢を保つこと」
目を開けた瞑想
発達とは、単なるスキルや知識の獲得ではなく「生きる力の熟成」である
インテグラル理論や成人発達理論とは、頭で理解するための理論ではなく「生きながら成長するための道」
断片を越えて「全体としての人間」を理解し、支援するための統合的アプローチーSれがインテグラル・サイコセラピー(統合心理療法)
それを支える5つの基本原則
1,多次元の原則ー人間は身体・心・社会・自己の深層性という多層構造を持つ
2,発達性の原則ー意識は時間と共に発達し、異なる段階を経て成熟する
3,関係性の原則ー癒しは個人の内側だけでなく、関係の場の中で起こる。
4、統合の原則ー癒しとは部分の排除ではなく、対立の統合を意味する
5,臨在の原則ー支援者の“あり方”そのものが最大の介入となる
私はクライアントをどの象限から見ているか?
支援の小テインが、心・身体・関係・社会のどこかに偏っていないか?
癒しを“問題解決”ではなく、“発達のプロセス”として見られているか?
フロイトが描いた「無意識」は、重荷衝動的・破壊的エネルギーとして理解されていました。しかし、インテグラルな視点では、欲動は生存や快楽の衝動にとどまらず、成長・結合・超越へと向かう進化的エネルギーでもある
支援者の発達を「意識の拡大」と「共感の深化」というに軸で捉えます
後期段階では、セラピスト自身が「自己の構築性」を自覚し、介入や理論を越えて「あること(being)」そのものが支援になります
支援者は、他者を支える中で自らの境界を保ち、身体・感情・意識のバランスを整える必要がある
私はどの発達段階からクライアントを見ているだろうか?
自分の中の“癒さていない部分”が、支援の中でどのように影響しているか?
支援とは、変化を“起こす”ことか、それとも“起こる空間を整える”ことか?
支援者の発達を「終わりなき旅」
癒しとは、壊れた部分を修復するのではなく、発達の流れの中で停滞してるエネルギーを再び動かすことーつまり「進化する生命としての私たち」を取り戻すこと
プレパーソナル
安全とつながり」が中心テーマ
支援者は言葉よりも存在で包み込むことが求められます
パーソナル
成果から存在へ」と焦点を移すように導く
トランスパーソナル
全体性への帰還」として肯定
支援とは「部分を直す」ことではく「全体を思い出す」こと