栗田有起のレビュー一覧
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『約束もしないで誰かをひたすらに待ち続ける』
不思議。と一言で片付けて仕舞えばこの物語は終わってしまう。
ただ素晴らしい眠りを提供するためだけに作られたオテルは、客従業員全員が心から安眠快夢を望み、それぞれの思考に影響を及ぼすくらい不安定なバランスで成り立っている。
主人公はまるで自分は無害であるような顔して、静かに狂い、主人公の双子の妹はその矛盾を埋めるようにピエロを演じている。
世界はその世界を覗く人の数だけ広がっている。重なり合った世界は、夢の中でだけ調和を保ち、心の歪みを拭い去っていく。
読み終わった時、すごく満足した。とても良いものを読んだと感じた。わたしが覗く世界も、こん -
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このひと不思議だなあ、と思っていたらあとがきで的確に表現されていて、それそれ!と膝を打つ。マルコ、テルミーと読んできたけど、この人は本当にぶれない。かんたんなのにつかめない。さくさくなのにもやもやすっきり。
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「夢中になるのは期間限定。本気になったら永遠を目指す」
今の状態がいやで、良くなりたいなら、でたらめにでも何かやったほうがいい。
おじさん、そういうときは、頭をからっぽにして、さっさとやってしまえばいいんじゃないかな。テレパシーで彼に語りかける。私も、深く考えないまま、アフロにしちゃったよ。やってみると、案外、どうってことない。私ってこういうこ -
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「直筆って、すごいんだ。書かれた文字にはそのひとの魂がこもっているんだ。そのひとの歴史なんだ。過去、現在、未来のすべてがそこにあるんだ」
でも、料理長が言ったのだ。フランスにいるからには、フランスで採れたものを食べることだ。そうしてはじめて、その土地のことがわかる。
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なにこれ。すごい。意味がわからない。面白い。
就職が決まらず、パリにいる姉の仕事を手伝いに行ったら三ツ星レストランにスカウトされた。そこまでのたんたんとした感じがとても面白くて読んでいたら、日本に飛んだあたりからどうもおかしい。トントン拍子で、主人公がキノコに早変わり。彼の人生、も -
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15歳で歌舞伎町で働きながら、服を仕立てる「流しのお縫い子」をしているテルミー。
飾りなく、リアルで、かわいいとゆう感覚からではないけど、すごく少女性の強い空気が充満していました。
簡潔な文章なのに詳しく説明されるよりその部屋の空気も広さも
臭いも伝わってきすぎて、時に息苦しく、時にとってもリラックスした
静かな時間が流れてました。
創作の突き動かされる衝動に身を委ねていくファミレスでの場面は、
テルミーちゃんと一緒に高揚しました。
今後のテルミーちゃんが優しくて温かいココロの居場所を見つけて
大切な人と手を繋いでいて欲しいなと静かに祈った、
なんとも不思議な夕暮れの景色のような読後感で -
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あっさり読んでしまった。
文章に癖がないからスラスラ読めるし、違和感であるべき場所が違和感に感じない、みたいな、栗田有起さんの作品を言うならばそんな感じ。
それを解説のいしいしんじさんが上手いこと言ってた。
『ハミザベス』も『豆姉妹』も、主人公は悩んでるはずで、寂しいはずでどうしていいか分からないはずなのに、寂しさがない。むしろ、なんてさっぱりしていて付き合いやすそうな子なんだっていう主人公たちだから、読んでいて辛くない。自分の道を切り開いていく強さみたいなのを持っている彼女たちが好きだ。
そして毎回すっきりした気持ちにさせてくれる文章を書く栗田さんが好きだ。 -
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栗田さんの作品2冊目。
【ハミザベス】まるで友達の話を聞いているように話は進み、終わってしまった。。。
そうそう、それくらい身近にありそうな話。でも、絶対に無いだろうな、っていう。
不思議な感覚で読んだのは、オテルモルも一緒だけど、また一味違った作品でした。
人は、突然の贈り物をもらったら何を失うのか?それとも失わないのか。
人は、突然大切な人を失ったら、何を悟るのか。
バランスを保つ事を辞めない=生きる。
そんな事を思った作品。
【豆姉妹】これはこれは、面白かった!
こんな姉妹を知り合いに欲しい。でも、自分がなりたいとは思わない。
人はいつか、自立して生きなければいけないの?
でも、依存でき