【感想・ネタバレ】お縫い子テルミーのレビュー

あらすじ

依頼主の家に住み込み、服を仕立てる「流しのお縫い子」として生きる、テルミーこと照美。生まれ育った島をあとにして歌舞伎町を目指したのは十五歳のとき。彼女はそこで、女装の歌手・シナイちゃんに恋をする――。叶わぬ恋とともに生きる、自由な魂を描いた第129回芥川龍之介賞候補の表題作。アルバイトをして「ひと夏の経験」を買う小学五年生、小松君のとぼけた夏休みをつづる『ABARE・DAICO』収録。

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Posted by ブクログ

なんと気持ちのいい小説か。人は強いとか弱いとか、そんなことはまったく重要ではなくて、いることだけがすべてなのだと感じた作品。

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2013年07月27日

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テルミー、シナイちゃん。

いい。

昭和の感じ、
テルミーの持つ諦めと強さとポジティブさの気持ちいいバランス、
会話、
シナイちゃんの突き抜け感、
嫌なヤツが出て来ないところが好き。

これからのテルミーも知りたい。
読んでいて楽しかった。

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2012年09月19日

Posted by ブクログ

15歳で歌舞伎町で働きながら、服を仕立てる「流しのお縫い子」をしているテルミー。
飾りなく、リアルで、かわいいとゆう感覚からではないけど、すごく少女性の強い空気が充満していました。

簡潔な文章なのに詳しく説明されるよりその部屋の空気も広さも
臭いも伝わってきすぎて、時に息苦しく、時にとってもリラックスした
静かな時間が流れてました。

創作の突き動かされる衝動に身を委ねていくファミレスでの場面は、
テルミーちゃんと一緒に高揚しました。
今後のテルミーちゃんが優しくて温かいココロの居場所を見つけて
大切な人と手を繋いでいて欲しいなと静かに祈った、
なんとも不思議な夕暮れの景色のような読後感でした。

表題テルミーともう1つ「ABARE DAICO」も収録されていて、
小学生の小松誠二くんの夏休みのお話。

テルミーは苦しかったけど、コマの夏休みは男子ーって感じで
軽快なテンポで楽しかった!!!でも、やっぱり栗田さんの文章は温度が涼しい。

不思議なネコのグーちゃんハーちゃん。ナゾの人酒井さん。
なんでもできて大人びてるけど、ピンポンうんこしちゃう、
やっぱり小学生男子なオッチン。小さな男子の冒険が楽しい1編でした。

酒井さんのキャラ大好きです。
いろんな人のくだらない枠なんてとっぱらって、これからも強くそして幸せになって欲しいです。

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2012年09月11日

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稀有な本。
人生に立ち止まった時読みたくなります。
まっすぐ ひたすらまっすぐ。

作者の主人公を見守る目も温かい。
物語の温度もすてき。

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2011年12月28日

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なんとなく好き!
こういうふわふわした小説

どっちも明るく楽しいお話ではないけれど
それぞれの世界観がひしひしと伝わってきた
テルミーも誠ニも前を向いているのが素敵
清々しい気持ちになる

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2024年05月21日

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ABARE・DAICOが特に良かった。
小学生のときの、友人と自分を比べて自信が無くなるかんじとか、周りの大人の言動をよく理解しきれなくて漠然と不安になるかんじとかを思い出した

表題作「お縫い子テルミー」も、主人公の強さが好き

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2021年07月17日

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ABARE・DAIKOは友人に劣等感を感じながらも自分にも誇れる所を、と行動できる主人公が素敵。
世間体とか劣等感とかそんなの気にしなくていいし、「他人の家でうんこしたっていい」んだと思えた。

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2020年09月04日

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お縫い子テルミー、ABARE・DAICOの2作で構成されている。

お縫い子テルミーの感想を書かれている方が多いように見受けられますが、ABARE・DAICOの方が個人的に好きでした!

恵まれない環境の中、劣等感を持って生きる12歳の誠二が成長していく様子が描かれている。
エピソードが斬新で面白く、様々な経験を通して強く逞しくなっていく姿に感動した!

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2020年06月13日

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特に思うところも無いけれど、なんとなく好き。
別に何も残さないけど、そこが良かった。
個人的には、栗田さんの作品を、文学的な評価とか考える対象、みたいなものに分類してほしくないとさえ思った。

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2018年02月18日

Posted by ブクログ

栗田有起月間3冊目。

表題作「お縫い子テルミー」と「ABARE・DAICO」の2つの中篇。
どちらも背景は『卵町』や『オテルモル』と異なり、ごく普通の現代の風景です。
ただ「お縫い子・・」については、主人公の職業が流しのお縫い子(客の部屋に居候しながら服をしたてる)というのが変わっています。一方 「ABARE」の方は小学5年生の少年を主人公にした物語で、これはごく普通の現代小説と言って差し支えないと思います。
どちらの主人公もキッパリしていて、でも毅然というほどでもなく。なんだか共感できます。
しかし、この心地よさは何なんでしょうね。

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11-123 2011/11/23 ☆☆☆☆☆

前回とちょっと感想が変わりました。「お縫い子テルミー」の方が良い。
「ABARE・DAICO」は現実に在りそうな話ですが「テルミー」は不思議な世界です。
何処からこんな発想を湧くのか、「オテル モル」もそうですが、栗田さんは現実と少しズレた不思議な世界を作り出します。その中で、何かを声高に語ろうとしている訳でも無さそうです。ただ純粋にちょっと不思議な世界を生み出して、その中に浸ることで楽しんでいる。そういう意味では梨木さんの「家守奇譚」に近い気もします。
素直に物語を読む喜びを感じさせてくれる本です。

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07-044 2007/05/18 ☆☆☆☆

何処から生まれるものなのか良く判りませんが、何か独自の雰囲気を持った作家さんですね。ひょっとしたら主人公の潔さみたいなものかもしれませんが。
「お縫い子テルミー」も良いのですが、個人的には「ABARE・DAICO」の方が好きです。主人公が生き生きとしていて、ユーモアも有って。まあ、主人公が少年のせいで感情移入しやすいというところもあるのでしょうが。
目立つ作品ではないかもしれませんが、力のある作家さんだと思います。

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2016年05月29日

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それは自分の枕でないと寝られないことにくらべれば、自由であるような気がする。でも自由とは、自分を縛る鎖を選ぶことだと、聞いたこともある。









残った布はハンカチくらいの大きさにして四辺をまつる。折りたたんで、胸元にしまう。ここにはいつも、気に入りの布が何枚も入っていた。つねづね、人はだれしも、せめて一枚は美しい布を持ち歩くべきだと考えている。







つくづく、もう若くはないのだと悟ったわ。いろんなもの犠牲にしてきたことにようやく気づいたの。好き勝手やってきたけど、だれかがそのために犠牲になってくれてたんだって、やっとわかったの。そのときどきでやれることをやるって大事よ。でもそれは、だれかがやらせてくれるからこそやれるのよね。私知らなかった。人にはそれぞれの役割があるんだから仕方ないでしょって、ごうまんだった」





針の先が布を突きやぶるぽちっという音





*・*・*・

お縫い子として歌舞伎町で生きてくテルミーの話と、夏休みにお留守番バイトをする小学生の話。
栗田さんの本はマルコ以来二冊目なんだけど、相変わらずあのよくわからないもやもやしたものがずっと覆いかぶさっているのに文章はぱきっと明快で、本当に不思議な気分で読んでた。
うちのままはわたしが好き勝手やるために、ぎせいになってるのかもな、ってあの一文を読んでハッとする。それが親の役目であり、子を産んだ責任でしょとも思うけど、はたちをすぎた娘がなに言ってるんだか、だよね。
シューカツだって、やらせてもらっているのである。

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2014年02月06日

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キリッとしている。
なんとも潔い。
甘くヌクヌクと育ってきたわけではない16歳。
けれど、そこに湿っぽく寄りかかったりはしない。
かといって荒々しく肩を怒らせてるわけでもない。

このテルミーももう1作「ABARE・DAICO」の小学生小松君も、
自分で決断する、あるいはそうしようとするその「姿勢」が実にカッコいい!
どちらもすがすがしかった。

表題作、★5でもよかったかな。
また気になる作家さんが増えた。

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2013年12月14日

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流しの縫い子として生きるテルミーのお話。

舞台は新宿歌舞伎町。現代の話なのにどこかが不思議な雰囲気。そういうのを描くのがこの人はうまいと思う。
テルミーとシナイちゃんの会話の部分が切なくて良い。


アンニュイな感じというか、ほの暗い雰囲気というか、そんな感じを醸し出すこの作家さんが私はとても好きだ。

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2013年11月21日

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栗田有起、初読み。「流しのお縫い子」という言葉に惹かれ、珍しく衝動買い・・・で、長らく積読山に埋もれてましたw そうか、こういう感じなのか、他の作品も読んでみよっと♪

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2013年06月15日

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3冊目だけど
いつも変わったタイトルだ。

そして変わった設定なのに
すごく読みやすい。

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2013年03月12日

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一芸を持っているなら、それを大事に磨いていかなければ。お縫い子のテルミーを見てそう思った。
面白くなってきた頃に突然終わってしまったのが残念。
そういえば2篇入っていたのを忘れていました。
もう一つのお話も主人公の少年がかわいくて好きです。

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2013年02月06日

Posted by ブクログ

クスリ、クスリと笑いながら、読み終わる。


「ABARE・DAICO」のほうも、おとぼけ感が良い。



といって、特に心に残るようなステキな本というわけでもなかった。

まぁ、ふつう。


追記。
「お縫い子テルミー」からの引用文。
こういう風に考えている人がいるっていうこと、わたしの気持ちの中がふっと軽くなる。
たとえ、本の中であったとしても。

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2012年07月01日

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ネタバレ

手を動かして何かを作る女の人の話がとても好きだ。たぶん、「からくりからくさ」を読んでからだと思うけれど。手仕事っていい。
そんな思いで手に取った一冊。装丁もかわいい。

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2011年06月24日

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 表題作は好き。テルミーの葛藤は恋愛と仕事どちらをとるかの葛藤、と単純には言い切れないとこがステキ。おそらくそういう一口に言ってしまえるような単純な理解を、作者はにくんでいる、というか、恐れているかのようだ。
 恋する相手は、仕事そのものに恋しているような女装の歌手シナイちゃん。このネーミングすごいよなぁ。「しようか」と聞くけど、結局しないからシナイちゃんなのかなーとか思った。
 「ABARE・DAICO」はだいぶおもしろいはずなんだけど、要素が多すぎてちょっとキレがないように感じました。
 表紙は可愛いけど、私としてはテルミーの扱う布のイメージじゃなかった。

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2016年01月05日

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10代の子ども(と呼んでいいのか)二人を主人公にした中編2作入り。表題作「お縫い子テルミー」は昭和初期の設定かと思った。小学校にも通わずに祖母と母と3人で居候をしながら転々としていた って設定がどうしても現代とは思えなくて。テルミーは依頼主の所に居候しながら身に付けるものを縫う。出来上がると次の依頼主を探す。お金が足りないと水商売をする。それで16歳っていうから驚き。そんなテルミーが出会ってしまう恋。これが切ない。想い過ぎて関係をもてない感じがしみじみ伝わる。枕を持たなかったテルミーが初めて手に入れた枕 きっとずっと一緒に旅を続けるんだろうな。2作目のABARE・DAIKOは12歳の小学生男子が主人公。ひと夏の大きな出来事で一歩オトナになる。簡単に言うとジュブナイル小説なんだけど、これ すっごくいい。これだけで1本映画が出来るよ。子どもが入り込むことのできない、子どもの価値観では計りきれないオトナの世界に片足を突っ込んでしまったときには思いっきり子どもの鎧で闘えばいい。そう ピンポンう○こ 攻撃のように!!痛快だ。

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2011年08月01日

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『お縫い子テルミー』
なんだか不思議な物語
20年前の歌舞伎町

『ABARE•DAIKO』
最初はしっかり育った小5の男の子だなと好感持ってたのに最後のピンポンうんちから雲行きが怪しくなり
うんちの連発で悲しくなってきた
でもきっと、それが年相応になったてことかな??

どちらもふわふわと掴みどころのないお話でした

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2024年04月08日

Posted by ブクログ

可愛いのに、穴があるみたいにぽっかり虚無感がある文章。可愛い、テルミーちゃんも誠二も偉いよ。自立しようとか思わなくても、自分で自分の肩をつけようとしてるから。

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2020年04月15日

Posted by ブクログ

タイトルの『お縫い子テルミー』と『ABARE・DAICO』の中編2作が収まっています。
ジャケ買いだったのだけれど、すっきりとした読み味で良かった~。
会話のテンポが独特なような、自然なような。
何かに一生懸命な人っていいよなぁ。

「夏休み」にお勧めな一冊です。

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2016年02月19日

Posted by ブクログ

特に印象に残らなかった。
面白く無くはないがだからといって何か思うこともない。
嫌いじゃないし好きでもない。
どっちでもいいといったらあまりに失礼だろうか。

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2015年02月24日

Posted by ブクログ

表題作より、もう一編のほうがヨカッタな
小学生の夏休みもイロイロ大変だよなー
自分はぼんやりしてただけだけど…

自転車とかプールとか体操服とか
今、大人になってきくとそこはかとなくノスタルジー

星はフツーの3つ

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2013年07月31日

Posted by ブクログ

栗田さんの本はとにかく会話の投げ合い感が可笑しくて大好きなので、
主人公の境遇が過酷すぎた分、ナイスガッツ的なノリでもっと笑いたかったな、
笑かして欲しかったな、と、貪欲な私は思ってしまったのでした。
優しく前向きな主人公が◎。

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2012年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

*引用*

 母は私をよくぶった。そして言った。いらいらしてあんたにやつあたりをするのは。月のせいなんだからね。私、月のせいで変なんだから、うらまないでよ。そんなの、筋違いなんだよ。

―― 『お縫い子テルミー』 p.39

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2011年11月18日

Posted by ブクログ

流しのお縫い子・テルミーは、女装の歌手・シナイちゃんに恋をする・・・。表題作のほか、「ABARE・DAIKO」を収録。

飄々としつつ、どこかユーモアが漂う語り口が特徴。これはわりと好き嫌いが分かれるところかもしれない。
私は文章には結構好感を持てたのだが、内容のほうがあまり感情移入できず、さらさらーと読んでしまった。
面白かった。面白かったのだが、なんか物足りない。読んでいる間は気持ちいいんだけど、こういうテーマで書くなら、もうちょっと痛みがあるのが本当ではないの?という気もしてしまう。
家族にしても、恋にしても、あまりにも主人公テルミーが割り切りすぎているのだと思う。それが物語を飄々とした、きれいなものにしているのだけど、これは悪く言えば、作者がもう一歩主人公の奥底まで踏み込むのを避けているようにも見える。

「ABARE・DAIKO」のほうも似たような印象かなぁ・・・決して下手とか面白くないとかいうわけではないのだが、面白いと思ってさらさらーと読んでしまい、さらさらーと忘れてしまいそう。

著者の感性と、その表現としての文章は楽しめる。でも、そこからもうひとひねり欲しい、というのが正直なところ・・・かな。

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2011年07月09日

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100831(a)
101205(a)

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2010年12月05日

Posted by ブクログ

あの遠い、夏の日みたいな

全てはギラギラうるさいくらいに眩しくて
手を伸ばせば、掴めると思ってたあの青い空。
恋をしても、夢を見ても、砕けても
それでも前に前に歩んで行こうと決めたあの日。

そんな遠い日の事を思い出す様な、ビターな小説。

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2013年06月03日

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