栗田有起のレビュー一覧

  • お縫い子テルミー

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    栗田有起月間3冊目。

    表題作「お縫い子テルミー」と「ABARE・DAICO」の2つの中篇。
    どちらも背景は『卵町』や『オテルモル』と異なり、ごく普通の現代の風景です。
    ただ「お縫い子・・」については、主人公の職業が流しのお縫い子(客の部屋に居候しながら服をしたてる)というのが変わっています。一方 「ABARE」の方は小学5年生の少年を主人公にした物語で、これはごく普通の現代小説と言って差し支えないと思います。
    どちらの主人公もキッパリしていて、でも毅然というほどでもなく。なんだか共感できます。
    しかし、この心地よさは何なんでしょうね。

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    11-12

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    2016年05月29日
  • オテル モル

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    突如、栗田有起月間です。

    良眠と快夢のためだけのホテル。
    横歩きでしか入れないビルの谷間の奥にあり、地下だけの客室。部屋にはテレビも冷蔵庫もテーブルも無いオテル・ド・モル・ドルモン・ビアン。
    その求人広告に応じて、オテルモルの受付に勤めることになった希里の不思議な体験。

    どうも栗田さんの共通項の一つは、奇妙に歪んだ背景です。
    全体が歪むのではなく、局所的に歪んでいる感じが良いですね。病院町を舞台にした『卵町』にしてもホテルを舞台にするこの作品にしても、その特徴である「静寂」や「睡眠」を極端に強調するやり方で不思議と心地良い歪みを作っています。
    あと一つは主人公を取り巻く人の生真面目さでしょ

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    2016年05月29日
  • お縫い子テルミー

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    それは自分の枕でないと寝られないことにくらべれば、自由であるような気がする。でも自由とは、自分を縛る鎖を選ぶことだと、聞いたこともある。









    残った布はハンカチくらいの大きさにして四辺をまつる。折りたたんで、胸元にしまう。ここにはいつも、気に入りの布が何枚も入っていた。つねづね、人はだれしも、せめて一枚は美しい布を持ち歩くべきだと考えている。







    つくづく、もう若くはないのだと悟ったわ。いろんなもの犠牲にしてきたことにようやく気づいたの。好き勝手やってきたけど、だれかがそのために犠牲になってくれてたんだって、やっとわかったの。そのときどきでやれることをやるって

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    2014年02月06日
  • お縫い子テルミー

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    キリッとしている。
    なんとも潔い。
    甘くヌクヌクと育ってきたわけではない16歳。
    けれど、そこに湿っぽく寄りかかったりはしない。
    かといって荒々しく肩を怒らせてるわけでもない。

    このテルミーももう1作「ABARE・DAICO」の小学生小松君も、
    自分で決断する、あるいはそうしようとするその「姿勢」が実にカッコいい!
    どちらもすがすがしかった。

    表題作、★5でもよかったかな。
    また気になる作家さんが増えた。

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    2013年12月14日
  • マルコの夢

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    主人公のカズマはなぜかパリにいる。
    就職がうまくいかず、悶々と過ごしていた時に姉から自分の仕事を手伝えとパリに誘われたからだ。

    ふらふらとあちらへこちらへと尻軽に行動するカズマはまるで「あれ」のよう。
    「あれ」がもう一人の主人公でもあるのだが。
    やっぱり不思議で素敵でちょっと薄暗いお話。好きだ。

    ただ、わざとらしい名古屋弁が・・・。作為的か違うのかわからないけど。あんな言葉しゃべらんわー。

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    2013年11月25日
  • お縫い子テルミー

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    流しの縫い子として生きるテルミーのお話。

    舞台は新宿歌舞伎町。現代の話なのにどこかが不思議な雰囲気。そういうのを描くのがこの人はうまいと思う。
    テルミーとシナイちゃんの会話の部分が切なくて良い。


    アンニュイな感じというか、ほの暗い雰囲気というか、そんな感じを醸し出すこの作家さんが私はとても好きだ。

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    2013年11月21日
  • オテル モル

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    オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン。泊まってみたいけどその資格があるのも困り者。この人の文書、わたし好きみたいです。

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    2013年09月12日
  • お縫い子テルミー

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    栗田有起、初読み。「流しのお縫い子」という言葉に惹かれ、珍しく衝動買い・・・で、長らく積読山に埋もれてましたw そうか、こういう感じなのか、他の作品も読んでみよっと♪

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    2013年06月15日
  • ハミザベス

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    ネタバレ

    面白かったー!
    会話のテンポが良かった。
    アフロが良かった。
    青年海外協力隊って一瞬だけど出てきた。
    ちょっとあり得ない感じのストーリーだったけど、なんかとても面白かった。
    締め方が好き。

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    2013年04月04日
  • お縫い子テルミー

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    3冊目だけど
    いつも変わったタイトルだ。

    そして変わった設定なのに
    すごく読みやすい。

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    2013年03月12日
  • オテル モル

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    こういうホテルあれば繁盛するだろね。

    睡眠は人生の大部分を占めるから
    快適を願いたいのもわかる。

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    2013年03月09日
  • オテル モル

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    良い睡眠と良い夢を得るために存在するホテルのおはなし。
    不思議な話で、ちょっと村上春樹風。。。?
    姪を自分の子供のように育てているという設定は必要だとしても、主人公の妹の話はいらないと思った。
    妹のハチャメチャぶりがホテルの雰囲気とあっていないから。
    いまいち主人公が魅力的でないのはそのせいかも。

    こんなホテルに泊まってみたい。

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    2013年02月19日
  • お縫い子テルミー

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    一芸を持っているなら、それを大事に磨いていかなければ。お縫い子のテルミーを見てそう思った。
    面白くなってきた頃に突然終わってしまったのが残念。
    そういえば2篇入っていたのを忘れていました。
    もう一つのお話も主人公の少年がかわいくて好きです。

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    2013年02月06日
  • オテル モル

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    そこはかとない希望みたいなものがあって良かった。

    なんとなく村上春樹っぽい。
    キャラとか「ホテル」とか「地下」とか「眠り」とか。

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    2013年01月28日
  • マルコの夢

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    キノコそのものであるキノコと、キノコに運命付られた青年の物語です。白昼夢のような印象を受けますが、それもすべて菌類特有の生態と非常に親和的で、なんというか味わい深い。何度も言いますが、キノコのように。
    小説は、起承転結や変化がそれなりにあることを期待されつつ、実はフラクタルです。つまり、どの一節からも、その小説世界自体が匂い立つ。テーマやメタファーに還元されきらない、その世界の全体性が文字の連なりとなって現出してきます。菌類のその生命の拡がり、連綿と続く不思議な分裂とも再生産ともつかない在り方と、よく似ていると思いませんか。その意味で、物語である物語をさっと楽しむのにはうってつけです。
    ただし

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    2012年09月13日
  • お縫い子テルミー

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    クスリ、クスリと笑いながら、読み終わる。


    「ABARE・DAICO」のほうも、おとぼけ感が良い。



    といって、特に心に残るようなステキな本というわけでもなかった。

    まぁ、ふつう。


    追記。
    「お縫い子テルミー」からの引用文。
    こういう風に考えている人がいるっていうこと、わたしの気持ちの中がふっと軽くなる。
    たとえ、本の中であったとしても。

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    2012年07月01日
  • マルコの夢

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    ネタバレ

     クスクス笑いながら読めるライトな純文学。
     テレビ塔のある名古屋と、東京タワーのある東京と、エッフェル塔のあるパリ。その鉄塔の頂点から、大きなキノコのかさが広がるのをついつい想像してしまった。
     でもラストがちょっと怖いような??

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    2012年04月24日
  • マルコの夢

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    大学を出たが就職の決まらない一馬。姉に呼ばれてパリに渡り、ふとしたことから三つ星レストランでキノコの管理を任される。ある日オーナーから、店の名物料理に使う「マルコ」という日本原産のキノコの買い付けを命じられた。パリではこの店だけで食べられる極上のもものだ。早速日本に飛んだ一馬だったが、思いもよらない事実を知ることにー。魅惑のキノコをむぐる、奇想天外な物語。

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    2012年01月14日
  • ハミザベス

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    ハミザベス・豆姉妹の2編が入っている。解説がいしいしんじだったので、購入。

    ハミザベスは話に登場する動物の名前。最初この題名を見て何か深刻な話かと思ったら、とても楽しい話だった。そして名前の由来も可愛い。でもどちらかというと豆姉妹の方が面白い。要所要所笑いがある。どちらの話も日常の淡々とした話のようで、そうでもなかったりする。作風的には川上弘美さんとか長嶋有さんとかに似ているような。読後感のさわやかさや満足度が似ているのかな。繰返し読めそう。豆姉妹・・。お勧め。

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    2011年06月11日
  • ハミザベス

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    ネタバレ

    栗田さんの小説は変な(いい意味で)中毒性があると思う。
    思いもよらない着地点。読み終えた後は、しばしぼうっとなります。脱力。。それが心地よいわけです。

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    2011年08月19日