栗田有起のレビュー一覧
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◇あらすじ◇
一歳の時に別れ、母から死んだと聞かされていた父の遺産を、20歳の誕生日の前に相続することになった主人公、まちる。父が彼女に遺したものは、高層マンションの一室と、ハムスター1匹であった。
遺産を相続した彼女”まちる”と、父と何やら複雑な関係であった更年期障害の母”梅子”、父の同居人で遺言執行者である”あかつき”、幼馴染で美容師の”彰”が繰り広げるユーモラスでどこか不思議な、非日常的日常の物語。
◇感想◇
解説者”いしい しんじ”の『何が起きたのか分からないけれど、なんだかおもしろかったので、もう一周してみよう』というコメントは、まさにこの作品を表してるな、と思います。
全体的に -
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表題作は好き。テルミーの葛藤は恋愛と仕事どちらをとるかの葛藤、と単純には言い切れないとこがステキ。おそらくそういう一口に言ってしまえるような単純な理解を、作者はにくんでいる、というか、恐れているかのようだ。
恋する相手は、仕事そのものに恋しているような女装の歌手シナイちゃん。このネーミングすごいよなぁ。「しようか」と聞くけど、結局しないからシナイちゃんなのかなーとか思った。
「ABARE・DAICO」はだいぶおもしろいはずなんだけど、要素が多すぎてちょっとキレがないように感じました。
表紙は可愛いけど、私としてはテルミーの扱う布のイメージじゃなかった。 -
Posted by ブクログ
10代の子ども(と呼んでいいのか)二人を主人公にした中編2作入り。表題作「お縫い子テルミー」は昭和初期の設定かと思った。小学校にも通わずに祖母と母と3人で居候をしながら転々としていた って設定がどうしても現代とは思えなくて。テルミーは依頼主の所に居候しながら身に付けるものを縫う。出来上がると次の依頼主を探す。お金が足りないと水商売をする。それで16歳っていうから驚き。そんなテルミーが出会ってしまう恋。これが切ない。想い過ぎて関係をもてない感じがしみじみ伝わる。枕を持たなかったテルミーが初めて手に入れた枕 きっとずっと一緒に旅を続けるんだろうな。2作目のABARE・DAIKOは12歳の小学生男子
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Posted by ブクログ
母親と二人暮らしをしていたまちるは、ある日、自分が生まれてすぐに出ていったという父が亡くなり、遺産とマンションを残していたことを知る。その父と同居していたという女性あかつきから、マンションやお金とともに、一匹のハムスターを譲り受け、マンションの33階でハムスターとともに一人暮らしをすることにした。
純文学と言うほど純に文学をしているわけでもない中編2作。表題作の方は、ひたすら淡々と、三好銀の漫画のような、乾いた淡々とした作風で、その一方で冷たくて硬いというわけでもないというなんとも不思議な作品だ。
父の秘密、あかつきの秘密は、「は?」となる話なのだが、その部分を除いても十分に話が成り立って