栗田有起のレビュー一覧
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流しのお縫い子・テルミーは、女装の歌手・シナイちゃんに恋をする・・・。表題作のほか、「ABARE・DAIKO」を収録。
飄々としつつ、どこかユーモアが漂う語り口が特徴。これはわりと好き嫌いが分かれるところかもしれない。
私は文章には結構好感を持てたのだが、内容のほうがあまり感情移入できず、さらさらーと読んでしまった。
面白かった。面白かったのだが、なんか物足りない。読んでいる間は気持ちいいんだけど、こういうテーマで書くなら、もうちょっと痛みがあるのが本当ではないの?という気もしてしまう。
家族にしても、恋にしても、あまりにも主人公テルミーが割り切りすぎているのだと思う。それが物語を飄々とした -
Posted by ブクログ
大学を卒業しても就職が決まらず、フラフラしている主人公の青年は、パリで暮らす姉に誘われるまま、これまたフラフラと仏蘭西へ渡ります。やがて、青年はパリの三ツ星レストランで、キノコ担当として雇われることになりますが、このレストランでしか扱っていないキノコが筆舌に尽くしがたいほどの超美味。ところが、人々の舌を魅了してやまない通称マルコと呼ばれるこのキノコの在庫もあとわずか。青年はオーナーの命により、名前も正体もわからない幻のキノコを求めて日本へ舞い戻ります。徐々に明らかになっていく、青年とキノコの因縁・・・・。
不思議なキノコの魅力に取り付かれた人々の、奇妙奇天烈な物語です。あっという間に読み終えて -
Posted by ブクログ
ネタバレ題名に惹かれましたが、
結構つらい状況にある主人公が、人のせいにもせず、投げやりにもならず、きちんと人生を生きて行こうとしているのが良かった。
誘眠顔=仮の死顔=現状から逃げ出したい
ということなのかもしれませんが、逃げ出したいと思っているということは、少なくと今はまだ逃げ出していないということですから、
彼女の環境を考えるとかなり立派なことだと思います。
ただ、妊娠を感じさせる描写があったので、
この先あの家族は良いほうへ行かないのかもしれないと思うと心が痛みます。
あと、オテルの謎は、あそこまでファンタジックにしなくても良かったのではないでしょうか。
だって普通にちょっときたないです -
Posted by ブクログ
ネタバレ「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」という会員制の地下13階からなるホテルの話です。
快適な眠りのために存在するホテルで、リネンから空調、明かりまですべてにこだわっています。
睡眠、ホテルを題材にしたストーリーでおもしろかったです。ほんわかとまったりとした空気と時間の流れの中に揺るぎない何かを感じました。
わかっているものへの安心感からか、椅子やシーツに素材の表示がされている。これはなんだろうと思うものより、目に見えて確かなものに対して人は安心感を抱くものなのかもしれないと思います。
不思議な空間ではあるけれど、不眠症になったらホテル「オテルモル」に行くのががおすすめかもしれません。