秋田禎信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ◆原大陸編シリーズを通しての感想
物語にエンドマークが打たれても世界は問題を抱えたままその後も続いていく。
20年前にエンドマークが打たれた物語と同じように。
キエサルヒマ編をリアルタイム学生時代に追っていたファンとして、あれからほぼ20年後、大人になってからこのシリーズを読めて良かったなあと思った。
キエサルヒマ編の終盤は当時の自分には理解できない部分も多く、あのエンディングで良かったのだろうか……オーフェンらしい選択ではあるのだが、という、納得しつつもすっきりはしない読後感が残っていたのだけど、原大陸編を読み終わった今でもそのすっきりしなさは解消していない。でもあの頃よりもずっと理解は -
Posted by ブクログ
学生の頃夢中で読んでいた富士見ファンタジア文庫版魔術士オーフェンシリーズのエピローグにして新編への前日譚のようなお話。(作者のホームページで原型となる話が公開されていたようだけど、そちらの存在は知らなかった)
新編を読むにあたりはぐれ旅の原作を読んだのがあまりに昔で思い出せない部分もあったので令和版アニメを視聴したところ、アニメシリーズの最終話がちょうどこの部分のお話だった。
アニメだと20分程度にまとめなければならない関係で展開が早くついていけない部分もあったけれど、小説版だとその点厚みのある描かれ方になっていて良かった。
エンドマークが打たれた物語の先は大団円とはいかなくて、混乱と混沌が -
匿名
ネタバレ 購入済み高校生視点の現実
オトナはいつだって、自身に都合のいい情報しか子供に伝えない。
誰が正しく誰が間違っているのかなんてことは関係なく、誠実に現実と向き合っていくことの大切さを主人公は学んだのではないだろうか。
邪魔なもの煩わしいものを排除して蓋をして見ないようにして、自分の生活を脅かすモノがなくなることで平和になったと思う大人たちが間違っているとは言えないのが現実の難しいところなのだと考えさせられる一冊となっている。 -
購入済み
ハーティアとコンスタンツ
黒魔術士の最高峰である牙の塔。そのエリート街道から外れてしまい、左遷も同然に商都トトカンタの支部に、ひっそりと勤める事になったハーティアの、とある派生の物語。
優秀(?)なキリランシェロの二人の姉達に、悪友として一緒に振り回されていた頃から、常にお調子者で日和見主義だった彼の元に、出世欲に燃えるコンスタンツが上司と共に、厄介な依頼を持ち込ん来るのだが…。
結局、最後の見せ場は謎だらけな執事キースが持って行く事にw
小説の本編だと一巻でしか出番の無かった彼が、プレ編(学生時代)以外で出番があるとは、当時は思いもしなかったですね(約二十五年位前…あの頃は自分も若かったw)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオーフェンの第一部開始までの時間軸を描く第二弾。
主役はコミクロンに続いてハーティア。そこにコギーとキースまで巻き込んで一気に無謀篇の空気に。
コミクロンについて掘り下げた前作とは変わって、これぞ無謀篇とはぐれ旅の融合といった今作。
ハーティア、コンスタンス、キース、マリアベル、ケシオン、岬の楼閣と濃いキャラ大集合。バトル、ナンセンスギャグ、心の実在と幅広く網羅する秋田先生の無茶なキャラを崩さずにシリアスへと取り込んだストーリーの巧さが光る。
隙間編というコンセプトの通り、無謀編時点でのハーティアはなんであんなになっていたのか、トトカンタが戦場になったときになんであんなことするに至ったのか、と -
オーフェン漫画で一番オススメ
読み終わった後に「これぞ無謀編!」と思わずにはいられなかった。
何より素晴らしいのは、作者が原作の雰囲気をよく掴んでいること。
無謀編のあのなんとも言えないギャグシーンを、漫画としてうまく落とし込んでいる。
漫画を読んでいて思わず笑ってしまったのは久しぶりでした。
背景やその他の細かい描写も見事で、キャラクターの生活感まで滲み出ているのがすごい。まるで生きているようです。
原作とはまた違った視覚的楽しみが味わえるのは、いちファンとして非常に嬉しい。
無謀編が好きな方へ、ぜひオススメできる作品です。 -
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Posted by ブクログ
車のCMをノベライズ……? と思ったけれど秋田先生のファンなので即購入。親子、会社の上司と部下、かつての親友どうし、遠距離恋愛中の恋人ふたり……CMのバージョンにあわせて5編の短編が集められている。「路」編がとてもよかった。大学生時代、カメラ仲間だった親友。同じカメラを買って、同じ写真を追いかけ、何度もふたりで撮影旅行に行った。ふたりの道は卒業とともにわかれ、ひとりは趣味を趣味とわりきって雑誌編集の仕事に、もうひとりは内定を蹴って写真の道へ。「現実見ろよ」と吐き捨てて喧嘩別れになった友人との、二十年ぶりの再会。
CMがもとだけあって、ある意味わかりやすい、いわゆる「ハートフルストーリー」ではあ -
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Posted by ブクログ
オーフェンシリーズの秋田禎信の新作一般小説。
存在するだけで一つの町の花粉を無害化する能力があるが、自身にとっては有害であるため外出時には宇宙服のようなスーツが欠かせない。そんな荒唐無稽な設定のあらすじから想像できないが、とてつもないマイノリティとマジョリティの話だと受け取った。
花粉を無害化する当人にとって花粉が有毒であるという設定が絶妙。みんなのために一人を犠牲にしているのではなく、その制度がなければ本人は狭苦しい施設で一生過ごさなければならなかったかもしれないため、絶対的に悪な制度とは言えない。
中心人物であるはずのハルコがほとんど話さず意志も示していないことが不思議な雰囲気を醸し -
Posted by ブクログ
ネタバレ純愛ものとして帯やあらすじを書かれているけれど、この小説のよさはそこではないと思った(出版社の方には申し訳ないけれど)。
いや、純愛要素はたしかにあるし、恋愛小説として魅力的な場面もある。ハルコは可愛い。ふたりの関係は切ない。だけどそれでもわたしにとってこの小説は、怒りと暴力についての物語であって、義憤や、義憤に姿を借りた自己弁護がいかに簡単に人の目を眩ますかという話だ。
人と人は、どうしようもなくわかり合えない。世界は複雑で、人間は複雑だ。だからわかりやすい話に飛びつく。わからないもの、自分に都合の悪いもの、自分を否定する他者を拒絶し、自分の怒りを正当化するために敵を作りたがる。群れて -
Posted by ブクログ
漫画の主人公がハッキリ「レオ」と指定されているので、小説版もそれに倣ってか、終始レオ視点。(地の文は三人称だから、三人称単元視点)……な、おかげか…。すごくザプレオでした!ありがたくって涙がでるくらいザプレオでした!!
そもそも話の中心がザップさんと、ザップさんの元を訪れたザップさんをパパと言ってはばからない少女、なもんで。その二人の動向を終始追っちゃあ、ときにはザップさんの心情まで汲んで代弁するレオなんて、お前かなり先輩のこと理解してるな!? 愛だな、愛! てなるわけなんですよ。当たり前のように一緒に住んじゃうしなんなの? あなたがた夫婦なの? あ、どっかで結婚してた? ごめんそこ多分読み飛