野嶋剛のレビュー一覧
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現代台湾文学選を読むにあたって、台湾について知ろうと思い読んだ本の二冊目。一冊目の歴史総合パートナーズでは、どちらかというと日本の統治時代から現代にかけての日台関係が中心だった印象だったが、今回の本では、八十年代の民主化以降の現代史がよく分かった、という読後感が大きい。
一番知ってよかったと思うのは、第1章「台湾は『国』なのか」。ずいぶん昔だが、池袋で働いていたときに、小学生の子が台湾から来た子をいじめていたときの理由に「だって日本は台湾を国だと認めてないもん」と言ったことがあった。当時は、それと目の前の台湾人をいじめるのとは関係ねぇだろと -
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ネタバレ台湾の入門本でありながら、基本的な論点が網羅され、順番も章立ても読みやすく構成されている。具体的には、以下のとおり。
・台湾は国なのか
→人民・領土・統治機構の国家の三要素は満たしているので、基本国だが、国家承認を満たしていない。
・台湾の歴史はいつからか
→スペイン・オランダの支配からの400年を捉えるのが一般的
・台湾の人々は中国をどう考えているのか
→民主化の旗手は蒋経国と李登輝。国民党は反共、民進党は反中だが、現実的な舵取り志向で独立も吸収もない。一方、中国は台湾統一は政策ではなく、原則でありドグマ。
・台湾のアイデンティティはなぜ生まれたか
→中国生まれの外省人が減る中で、台湾人のアイデンティティが増えている。特に、90年代以降に教育を受けた「天然独」は台湾は台湾で独立宣言らの必要なく、中国へのコンプレックスもない。
・台湾は親日か
→李登輝らの第一世代と、若い世代が親日のハンバーガー構造だったが、壮年層も中国に失望し、日本支持が増えていて。好きな国一番は60%で日本、5%で中国、4%で米国(2021年)
・台湾有事は本当におきるのか
→習近平次第。日本は台湾との関係強化により、隙を見せずに、自らの準備をすべき
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その名を聞かない日がないほど重要な企業であるものの、実態は何も知らないので読んでみた。
まず設立されてから40年にも満たない企業であること、にも関わらず時価総額の世界ランキング10-12位に位置し、純利益では4位、先端半導体の世界シェアは9割を握るという驚異的な成長を遂げたことに驚いた。
半導体は高度な技術と非常に多くの工程を要する製品なため、設計と製造の分業が進み、tsmcは製造に特化したファウンドリーという形態をとる。製造と言っても設備投資や研究開発には莫大な資金投入が長期的に必要となる。1976年には台湾がアメリカラジオ会社からの技術供与を受けている。1980年に新竹サイエンスパークがオープンし、1987年に工研員から派生した2つ目の会社がtsmcだった。
また、顧客の製品製造を受託して利益を上げるため、顧客の成功が即ち自社の成功となる。顧客はパスワードを取得してtsmc工場の進捗をいつでも確認でき、トラブルがあれば昼夜を問わず24時間体制で技術者が駆け付ける。研究開発でライバルに勝つために、エンジニアも3交代の24時間体制で仕事に没頭し、残業や長期出張なども厭わない。
成功の裏にはこうした、今で言うブラックな部分も受け入れる国民性があるのだと思い知る。
製造業をサービス業として行うことで、より高い価値を顧客に創造する、これは今の日本では賛否があるやり方かもしれない。
1980年代の日本の半導体メーカーは、受託製造ではなく自社製品の製造がメインで、不景気などで生産ラインに空きが出た場合にしか受託製造を行っていなかった。そのため顧客との長期的な協力関係を担保できず、凋落の一因となった。
またインテルも顧客製品との間に利益相反が起きることがあった。インテルはプロセス技術でtsmcの後塵を拝し、アップルがチップの自社設計を始めてtsmcに製造委託するようになると、「アップル+tsmc」という産業協力構造に敗れた。
ウエハー生産には数百ものプロセスがあり、設計から生産まで最低1年はかかる。わずかな値上げを理由に長年付き合いのあるサプライヤーを変更することはあまりない。tsmcは良品率や優れた技術、サービスを提供するだけでなく、価格の引き下げによっても顧客に利益菅家している。
強さの秘密は毎年の値下げを可能にする効率性だけではない。ナレッジマネジメントが優れている。
現在、日本の熊本、米国アリゾナ州、ドイツに工場建設を進めているが、米国の製造価格が台湾より高いため、今後提示価格が台湾工場を大幅に上回る可能性がある。しかし、欧米や日本はナショナルセキュリティを確保するためにより高い対価を払わざるを得なくなる。半導体の販売価格を下げ続けることができなくなると、あらゆる電子製品と科学技術の実際価格が上がり、半導体が身近な存在であり続けることに、大きな不確定要素を形成する。 -
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2024年の台湾総統選が間近に迫っているけれど、台湾政治をふわっとしか知らないので読んでみた。読んでよかった。特に、馬英九政権の台湾についての理解が進んだ。台湾関連のニュースの解像度もかなり上がった。
改めて、難しい場所だと感じる。特に、「第五章 台湾アイデンティティ」「第六章 例外と虚構の地「台湾」」を読むと、台湾への言及の仕方に迷い、幾分慎重にもなる。
それでもやっぱり、この場所が大好きで、これからも通い続けて台湾の文化を一層理解したいと思う。
本書は、蔡英文が総統に就任した直後の2016年に出版された。あれから、世界の状況も大きく動いた。1月に総統選を迎える台湾から目が離せない。
野嶋剛さんの新刊『台湾の本音』がまもなく発売ということで、楽しみ。 -
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陳舜臣の文体が好きだ。生まれた台湾の亜熱帯の様な粘着質な感じでも、育った神戸の港町の様な陽気な感じでもない、大陸シルクロードに吹く風の様などこか乾いた文体。
本書にも陳は取り上げられ、陳は「戦前の日本や戦後の台湾、あるいは中国の激動のなかで味わった喪失感を、さらなる作品の原動力に変えてきた」とある。喪失感の代わりに得たマイノリティとしての視点から一歩退いて物事を見つめ、乾いた文体によって表現したのだろうか、と思ったりした。
「秘本三国志」5巻の最後に呂蒙、関羽、関平、孫皎が死んだ後に孫権が「なんだ。…みんな死んだか。…」と呟く。この一言が胸を打つ。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。 -
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台湾について少し何かを知りたいと思って借りた本。
しかし、読み始めて最初の序章、次の第1章がとてもお堅い内容。台湾の政治に多少なりとも興味を持っていなければなかなか読み進められない。もうほとんどやめようかと思ってぱらぱらと読み飛ばして第2章に入った途端面白くなった。
著者は朝日新聞で中国語圏に留学する機会を得て台湾の大学を選択するも、会社の方針で中国に変更させられた
という。この体験談から、2016年当時の日本と中国、台湾との関係がとてもよくわかった。
日本は台湾と正式な国交を結んでいないため、台湾との関係をまじめに考えようとすると矛盾が多く、「思考停止」せざるを得なくなる。台湾人も、独立国台湾を望む人が増えているというが、かといって積極的な独立運動は行わず「現状維持」波が多数を占めているという。
経済的にも文化的にも魅力の多い台湾は、政治的には複雑な立場に置かれているようだ。
他の本も読んで台湾のことをもっと知らなければいけないと思った。