野嶋剛のレビュー一覧
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ネタバレ台湾の入門本でありながら、基本的な論点が網羅され、順番も章立ても読みやすく構成されている。具体的には、以下のとおり。
・台湾は国なのか
→人民・領土・統治機構の国家の三要素は満たしているので、基本国だが、国家承認を満たしていない。
・台湾の歴史はいつからか
→スペイン・オランダの支配からの400年を捉えるのが一般的
・台湾の人々は中国をどう考えているのか
→民主化の旗手は蒋経国と李登輝。国民党は反共、民進党は反中だが、現実的な舵取り志向で独立も吸収もない。一方、中国は台湾統一は政策ではなく、原則でありドグマ。
・台湾のアイデンティティはなぜ生まれたか
→中国生まれの外省人が減る中で、台湾人の -
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その名を聞かない日がないほど重要な企業であるものの、実態は何も知らないので読んでみた。
まず設立されてから40年にも満たない企業であること、にも関わらず時価総額の世界ランキング10-12位に位置し、純利益では4位、先端半導体の世界シェアは9割を握るという驚異的な成長を遂げたことに驚いた。
半導体は高度な技術と非常に多くの工程を要する製品なため、設計と製造の分業が進み、tsmcは製造に特化したファウンドリーという形態をとる。製造と言っても設備投資や研究開発には莫大な資金投入が長期的に必要となる。1976年には台湾がアメリカラジオ会社からの技術供与を受けている。1980年に新竹サイエンスパークが -
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2024年の台湾総統選が間近に迫っているけれど、台湾政治をふわっとしか知らないので読んでみた。読んでよかった。特に、馬英九政権の台湾についての理解が進んだ。台湾関連のニュースの解像度もかなり上がった。
改めて、難しい場所だと感じる。特に、「第五章 台湾アイデンティティ」「第六章 例外と虚構の地「台湾」」を読むと、台湾への言及の仕方に迷い、幾分慎重にもなる。
それでもやっぱり、この場所が大好きで、これからも通い続けて台湾の文化を一層理解したいと思う。
本書は、蔡英文が総統に就任した直後の2016年に出版された。あれから、世界の状況も大きく動いた。1月に総統選を迎える台湾から目が離せない。
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陳舜臣の文体が好きだ。生まれた台湾の亜熱帯の様な粘着質な感じでも、育った神戸の港町の様な陽気な感じでもない、大陸シルクロードに吹く風の様などこか乾いた文体。
本書にも陳は取り上げられ、陳は「戦前の日本や戦後の台湾、あるいは中国の激動のなかで味わった喪失感を、さらなる作品の原動力に変えてきた」とある。喪失感の代わりに得たマイノリティとしての視点から一歩退いて物事を見つめ、乾いた文体によって表現したのだろうか、と思ったりした。
「秘本三国志」5巻の最後に呂蒙、関羽、関平、孫皎が死んだ後に孫権が「なんだ。…みんな死んだか。…」と呟く。この一言が胸を打つ。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。 -
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台湾について少し何かを知りたいと思って借りた本。
しかし、読み始めて最初の序章、次の第1章がとてもお堅い内容。台湾の政治に多少なりとも興味を持っていなければなかなか読み進められない。もうほとんどやめようかと思ってぱらぱらと読み飛ばして第2章に入った途端面白くなった。
著者は朝日新聞で中国語圏に留学する機会を得て台湾の大学を選択するも、会社の方針で中国に変更させられた
という。この体験談から、2016年当時の日本と中国、台湾との関係がとてもよくわかった。
日本は台湾と正式な国交を結んでいないため、台湾との関係をまじめに考えようとすると矛盾が多く、「思考停止」せざるを得なくなる。台湾人も、独立国台