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Posted by ブクログ
陳舜臣の文体が好きだ。生まれた台湾の亜熱帯の様な粘着質な感じでも、育った神戸の港町の様な陽気な感じでもない、大陸シルクロードに吹く風の様などこか乾いた文体。
本書にも陳は取り上げられ、陳は「戦前の日本や戦後の台湾、あるいは中国の激動のなかで味わった喪失感を、さらなる作品の原動力に変えてきた」とある。喪失感の代わりに得たマイノリティとしての視点から一歩退いて物事を見つめ、乾いた文体によって表現したのだろうか、と思ったりした。
「秘本三国志」5巻の最後に呂蒙、関羽、関平、孫皎が死んだ後に孫権が「なんだ。…みんな死んだか。…」と呟く。この一言が胸を打つ。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。